オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

今夜もうなされそう(^.^;〜映画『ナポレオン』


f:id:rie4771:20231228164537j:image
 

 映画『ナポレオン』(リドリー・スコット)鑑賞。

 

 ナポレオンといえば、今を遡ることン十年前、ヲタクが小学校6年の時、「大ナポレオン展」なるものを見に行ったことがありまして。「ワーテルローの戦い」や「ロシア遠征」、「アウテルリッツの戦い」等、人や馬の阿鼻叫喚が怖くて怖くて、しかもトドメは、フランス軍ロシア遠征での地獄のエピソード〜ロシアの冬、厳寒の中で食糧が支給されず、飢えきったフランスの兵隊たちが自分の兵隊靴を切り取って食べ、胃壁が破れて断末魔の中で次々と死んでいった…〜がパンフレットにしれっと書いてあり、それ以来ヲタクは何日も夜中にうなされるという苦い思い出が……(^.^;

 

 しっかし「この映画の撮影中ナポレオンが私の中に宿り、指示を出した」とスコット監督(ヤバい、ヤバいぞリドリー 笑)が胸を張るだけあり、エキストラ8000人、馬100頭、カメラ11台を総動員して撮影したという戦闘シーンは「ド迫力」の一言に尽きます❗


f:id:rie4771:20231228170858j:image

※飛び交う砲弾、吹き飛ばされる人、人、馬、飛び散る血飛沫…。今夜もうなされそう😭

 

 当代きっての「怪優」ホアキン・フェニックスがナポレオンを演じるからには、一筋縄では到底いかないのは容易に想像がつくけど、それ以上でしたね。今回のホアキン、素晴らしいです。ナポレオンが軍人として出世するきっかけとなったトゥーロン攻囲戦。最初は怖くてガタガタ震えてるのに、ひとたび血を見るととたんにハイになって次第に狂気に取り憑かれていくとこなぞはサスガ。『アラビアのロレンス』(デヴィッド・リーン監督)のピーター・オトゥール思い出したわ……(遠い眼)愛妻ジョセフィーヌヴァネッサ・カービー)に相対する時の情けないクズ亭主っぷりや、寝る時以外は常に軍服制帽姿でいるという滑稽なフェティシストである等、ホアキンだからこそ表現し得た複雑怪奇なナポレオン像だと言えるでしょう。

 

 ホアキンリドリー・スコット監督と組むのは『グラディエーター』以来2度目ですが、この2人、ひじょうに相性がいいとお見受けしました。インタビュー等を読むと、ホアキンって50をとうに過ぎた今でも極めて尖っているというか、難しそうな人じゃないですか。プレイベートでは絶対にお友だちにはなりたくないタイプというか(笑)それが今作で、先に述べたように、彼お得意の激しい感情の発露であるとか、サイコ的な狂気だけでなく、人間・ナポレオンの持つ精神の脆弱さやそこはかとないユーモア、滑稽さまでも自然体で表現していたところを見ると、よほど監督の引き出し方が上手だったんでしょうね。ホアキンは『ジョーカー』で念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞しましたが、今回のナポレオン役のほうがずっと複層的で、円熟味を感じさせましたね。2度目の主演男優賞、じゅうぶん狙えるんじゃないかな❓


f:id:rie4771:20231228171102j:image

 ナポレオンの愛妻、ジョセフィーヌを演じるのは、Netflix『私というパズル』でアカデミー主演女優賞にノミネート、その後も『ミッション・インポッシブル』、Netflix『ザ・クラウン』シリーズ(若き日のマーガレット王女)と話題作への出演が続くヴァネッサ・カービー。ジョセフィーヌって、「大人しい良妻賢母タイプの女性」ってイメージを勝手に抱いていたけど、今作では今ふうに、ナポレオンを愛しながらも、子どもが生めないからと衆人の前で面罵されたり、果ては離婚式まで強制されたりしながらも、暴君ナポレオンに徹底的に抗う女丈夫として描かれています。考えたらジョセフィーヌって最初の夫をフランス革命で処刑され、自身も投獄されながら生き抜いた人だもの、今回の映画の描き方がより実像に近いかもしれないね。演じるヴァネッサ・カービーも「怪優」ホアキンに相対して一歩も譲らず堂々たる演技、カッコいいわ、惚れてまうわ〜😍そう言えばヴァネッサ、『ミッション・インポッシブル』の共演が縁であのトムクルが彼女に熱を上げ、果てはプロポーズした…ってウワサになっていました。真偽のほどはわからないけど、それだけ素顔の彼女も魅力的な女性ってことよね❓

 

 最後、ナポレオンが引き起こした戦争での死者数がスクリーンに列記されるんだけど、あの凄まじい戦闘シーンを見せられた後にこの数を改めて見ると、戦争の残酷さ、虚しさに改めて背筋が寒くなります。映画を観る前は「……なぜに今、ナポレオン❗❓」って思ったけど、リドリー・スコット監督が今を生きる私たちに訴えたかったことが、エンド・クレジットを見てはじめて納得できるしくみ。


f:id:rie4771:20231228181105j:image

※「ワーテルローの戦い」でナポレオンを打ち破った功労者、「鉄の公爵」の異名をとる初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーを演じるのは、お久しぶり〜ね〜🎵なルパート・エヴェレット(『アナザー・カントリー』、『真夏の夜の夢』、『恋に落ちたシェイクスピア』)。

 

 …ただ、一点だけ。演技も素晴らしいし、圧倒的な映像の素晴らしい超大作なんだけど、ナポレオンが英語喋ってるのは最後まで違和感感じちゃった(^.^; ジョニデが『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最後の愛人』で、全編フランス語でルイ15世を演じるってニュースを聞いたばかりだからかな。