オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想、推し活のつれづれなどを呟いたりする気ままなブログ。

2023年〜オタクが選ぶ日本映画BEST10(第5位〜第1位)

★第5位 1秒先の彼


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 京都の郵便局の窓口で働くハジメ岡田将生)は、何をするにもとにかく1秒早い(つまり、せっかちで思い込んだら命がけ、何かと暴走気味(^.^;)。「顔は満点だけど、中身は$%*&℃€£π№」と言われるザンネンな男で、付き合い始めても、彼女から速攻フラレてしまうのです。そんな彼と正反対、何をするにもどんくさい、7年も大学を落第し続けている「冴えない女」(清原果耶)との、チグハグな❓ラブコメ

 

 本家本元アカデミー賞受賞式でも評判になるくらいの完璧なる美青年岡田将生と、芸能界随一の知性派美女、清原果耶をこんな残念なキャラに設定するなんてさすがクドカン(笑)。…でも2人が生き生きと、しごく楽しそうに演じていて、観ているこちらへ側も幸せ気分♬

 

 可笑しくて、切なくて、ちょっと(いや大分)世間とはズレていて、生きるのがヘタだけど憎めない、愛すべき登場人物たちが織りなす悲喜劇……原作は台湾映画らしいのですが、どうひっくり返って見ても、完璧なるクドカン・ワールドサクレツ!な作品でございます^^;

 

★第4位 首


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 信長の甲州征伐、秀吉が毛利と戦った天正10年(1582年)の備中高松城の戦い(黒田官兵衛の水攻め策が功を奏した)、本能寺の変、秀吉の光秀討伐等々、世に知られた数々のエピソードを絡めながら、北野監督独自の歴史的解釈を加えた、壮大な一大コント……いやもとい、一大エンターテイメント(笑)

 

 何と言ってもこの映画の中でヲタクが大好きなのは、羽柴秀吉ビートたけし)、秀吉の弟、羽柴秀長大森南朋)、秀吉の軍師・黒田官兵衛浅野忠信)3人の掛け合い。たけしと大森南朋は漫才のボケとツッコミ、名コンビで、2人にいいように翻弄される浅野忠信のヌボッとした感じも◎!……でもよくよく考えてみれば、この3人のふざけた態度こそ、戦場でのリアルだったんじゃないかって思えてくる。恐怖が極限に達すると笑いに転化するとよく言いますが、おちゃらけてなきゃ、日常的に血飛沫ドバーで生首が飛ぶ狂った世界に生きてらんないよ。

 

 あと、信長役・加瀬亮のぶっ飛び演技は最高!一見の価値アリ。

 

★第3位 あの娘は知らない


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 季節は夏。眼の前に広がる伊豆の青い空と紺碧の海。BGMは寄せては返す波と、海の底の泡の音。

 

 伊東の海辺、両親と祖母亡き後、一人で民宿「中島荘」を切り盛りしている中島奈々(福地桃子)。従業員には休みを出して民宿は閉館中。海を眼下に見下ろす高台の道端に今日もサンダーソニアの花束を供えた奈々が民宿に戻ってきたところに、一人の青年がフラリとやって来て、どうしても泊めて欲しいと言います。青年の、どこかただならぬ様子に思わず宿泊を許してしまった奈々。藤井俊太郎というその青年(岡山天音)は、1年前中島荘に宿泊し、直後に伊豆沖の初島で亡くなった女性の婚約者だったのです。死の直前の恋人の足跡を辿ろうとする俊太郎に、奈々は同行することを申し出ますが…。

 

 共に大切なものを失った二人。自分自身の生き方にも、懐疑的な二人。そんな二人が、互いの哀しみや痛みを少しずつ理解し合い、手探りでその喪失感を癒やしながら、明日に向かって一歩を踏み出そうとする姿は切なくも愛おしい(ToT)これは福地桃子岡山天音、二人を愛でる映画ですねぇ……。何より、祈りを捧げる二人の横顔と合掌の姿が美しい。

 

 福地桃子の白い肌の質感すら捉えて映し出すカメラワークが見事で、ヲタクはずっと、(……こんなに透明感のある、綺麗な人が世の中に存在するんだなぁ…)と、惚れ惚れしながらスクリーンに見入っておりました。そしてそして、相手役が岡山天音だもん!これ以上のキャスティングは、無いよね。福地桃子の、ちょっと硬質な透明感を受け止める岡山天音の柔らかさ。

 

 俊太郎の恋人が好きだった花、奈々が両親のために供える花、そして俊太郎が奈々に贈る花、サンダーソニア。劇中、奈々が「花言葉、知ってる?」と俊太郎に問いかけるけれど、答えは最後まで明かされない。この辺りの演出もニクイ。

 

一人でも多くの人に見て貰いたい、隠れた傑作。

 

 

★第2位 愛にイナズマ


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 新進の映画監督折村花子(松岡茉優)は自主制作で映画を撮り続けている新進の映画監督。大学の映画研究会にいそうなタイプ(笑)自身のWikiページが作成されているのが密かな自慢?でしたが、実は家賃滞納で退去を迫られているようなボンビーガール。そんな彼女のところに、制作費1,500万円で商業映画デビューという夢のような話が舞い込みます。全精力を注いで撮影に取り組む花子でしたが、一本気で理想家肌の彼女は、二言目には「この業界は、そんなもんじゃない」「若いねぇ」と彼女を小馬鹿にする、世間ずれしたプロデューサー(MEGUMI)や助監督(三浦貴大)と度々衝突するようになり、日に日に彼らとの亀裂は深まるばかり。そんなある日、花子は街角で、喧嘩の仲裁に入ったことで不良に殴られてしまった若い男を見かけ、心惹かれます。その直後、ふらりと立ち寄ったバーで、先程の若い男、舘正夫(窪田正孝)と運命の再会を果たす花子でしたが……。

 

 正夫と、まさにイナズマみたいな劇的な出逢いをした後、さんざん所謂「ギョーカイのジョーシキ」に振り回された末に監督から外され、どん底に落とされてしまう花子。「ぬぉぉぉ〜〜〜、絶対あきらめんぞ、リベンジしてやるぅぅ〜〜」とこぶしを振り上げる花子の姿を見てヲタクは、(んん?これは昨今流行りの女性のお仕事ドラマ「女版・半沢直樹」華麗なるリベンジストーリーか?それとも「愛も仕事も手に入れてやる!」欲張り系?はたまた「この出会い、1億ボルト」って言うくらいだから、全てを捨てて愛に走る系?と、アタマぐるぐるさせながら見ておりましたが、どれも外れた(^.^;

 

一言で説明するなら、しごく真っ当な、心温まる家族愛の物語なんでした。……前半の、イマドキ女子のお仕事&恋愛事情、映画ギョーカイの裏ばなしを描くシニカルなタッチから一転して、ある意味予定調和的な、そして昔ながらの義理人情溢れる後半の展開は良い意味で予想を裏切ってくれてとても心地良かった。そんな中にも、石井監督らしいシャレやユーモア満載で、ヲタクは何度もガハハと大笑いしたくてたまらなかったのだけれど、周りの方たちがしごく神妙な感じで見ているので、ずっと笑いを噛み殺して苦しかったのだった(笑)

 

★第1位 正欲


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 物語のヒロインであるショッピングモールの販売員・桐生夏月(新垣結衣)は独身、実家暮らし。閉鎖的な地域社会の中で対人関係に倦む日々を過ごす彼女でしたが、そんなある日、中学時代の同級生で、ある事件がきっかけで心を通わせた佐々木佳道(磯村勇斗)が引っ越し先の横浜から地元に戻ってきたことから、彼女の単調な生活に変化が生じてきます。一方、横浜地検の検事、寺井啓喜(稲垣吾郎)は、息子が不登校状態になり、YouTubeの動画配信を始めたことから、息子を応援する妻と度々衝突するようになり、心乱れる日々。そして、ダンスサークルに所属する大学生、諸橋大也(佐藤寛太)。彼はクランプの名手ですが、周囲の人間と関係を断ち切っており、彼自身の鬱々とした怒りの感情をダンスに吐き出しているかのように見えます。そして、同じ大学で、密かに彼を見つめる神戸八重子(東野絢香)。彼女もまた、人には言えない秘密を抱えていました。住む場所も、家庭環境も、人生の方向性も全く異なる5人。しかし、彼らの人生は思わぬ形で交錯していきます。ミステリタッチのストーリー展開の後、訪れる衝撃の結末とは……!?

 

 社会の分断や同調圧力から生じる差別…など、今日的なテーマを鋭く抉った群像劇ですが、何と言っても1番の見どころは、主たる5人の俳優たちの演技の確かさ、巧みさ。鬱々たる拗らせ女・新垣結衣磯村勇斗の繊細、稲垣吾郎の柔らかな物腰や語り口に潜む冷血……そして、これら先輩たちの円熟味に相対して際立つ若い2人(佐藤寛太・東野絢香)の清新さ。

 

 彼らの最高の演技を引き出した岸善幸監督の手腕に脱帽です!