1月3日に地上波で放映されたばかりのSPドラマ『侵入者たちの晩餐』が早くもNetflixで配信開始〜〜♬
ドラマ『黒い十人の女』(2016)以来、すっかり脚本家・バカリズムのファンになってしまったヲタク、さっそく視聴。
家事代行サービス会社で働くバツイチの中年女性・亜希子(菊池凛子)と同僚の恵(平岩紙)は、会社のパート賃金の安さや待遇の悪さを愚痴り合い、うっぷん晴らしをする仲。そんなある日恵が、アイドル上がりで「働く女性の味方」を標榜する社長の奈津美(白石麻衣)が実は脱税をしていて、自宅マンションに数億円のタンス預金を隠し持っているという極秘情報をどこからか仕入れてきます。恵は、社長のタンス預金を盗み出し、半分は山分け、半分は慈善事業に寄付すれば罪の意識に悩まされずに済むと、独自の義賊理論を展開、初めは躊躇していた亜希子もだんだんその気に(^.^; なぜか家屋の防犯事情?に詳しいという恵の友人、香奈恵(吉田羊)も巻き込んで、年の瀬も迫ったある夜、奈津美がハワイ旅行に出かけた隙に、3人はついに彼女の豪華マンション侵入に成功!……ところがところが、全く予想もできない想定外の出来事が次々と彼女たちを待ち受けており、ほんの出来ごころが大変な展開に……。
※3人が繰り広げる中年女子あるあるの会話が抱腹絶倒ナリ(^.^; 凄いなバカリズム、こんなにも私たちの心をお見通し。もしかしてファミレスかなんかでおばさんたちの会話に聞き耳立ててる?昔のユーミンみたいに(笑)…それにしても菊地凛子の化けっぷりったら…。誰だかわからない(笑)
サスペンスタッチのスラップスティック・コメディといった味わい。さすがバカリズム脚本だけあって、十余りの短い章に分かれているうちのそれぞれに独特の「オチ」が隠されています。バカリズムイズム満載の作品。
ヒロイン亜希子役、菊地凛子がドすっぴんの大熱演。ポスターではスタイリッシュな衣装に身を固めた彼女ですが、ドラマ中その種のきらびやかな衣装を着るシーンは1度もありませんのであしからず(笑)お人好しの亜希子は、恵から悪の道?に誘われても決心がつかずさんざん逡巡していましたが、スーパーの冷えたお惣菜をつついている時にちょうど女社長がTVに出てくるんですね。それを見た時、自分の惨めさがだんだんこみ上げてきて、犯罪に手を染める決意をする…その時の彼女の演技、心憎いくらい巧かった。大人そうなカオして大胆不敵な平岩紙のぶっ飛び具合も凄いし、いつものようにハンサムなクールビューティで登場しながら、ある時点でこちらの予想をまんまと裏切り、ビックリするような感情の爆発(暴発?)を見せる吉田羊も◎!まいやんのビッチっぷりも素晴らしく、そんな女性たちの強烈キャラに振り回される、情けない男性陣(池松壮亮&角田晃宏)にも大いに笑わされます。そう言えばバカリズムのホンって、オトコたちは大抵がポンコツなんだけど……なんで?(^.^;
※同世代俳優陣のフロントランナー、池松壮亮。個人的には、今回みたいな「ポンコツ壮亮」が好き。めっちゃ可愛ええ……。
バカリズムの脚本って、「悪いヤツほど良く眠る」現代の世相を猛烈に皮肉ってはいるけど、一方で、権力に搾取されても懸命に、したたかに生きてる一般庶民(特に女性)を温かい眼で描いているところがいつも好き。それにしてもこの作品はもちろんですが、『架空OL日記』にしても『ブラッシュアップ・ライフ』にしても、女子の行動心理を描かせたら右に出る者はいない、脚本家バカリズム。現代に相応しい、ジェンダーレスな才と言えるでしょう。
お正月のドラマらしくキャストは豪華だし、ちょっぴりワルだけど憎めない登場人物たちの運命にハラハラドキドキ、彼らのおマヌケぶりに笑いながらも、ラストには(今どき人生いろいろ厳しいけど、悪いことばかりじゃ、ないよね)って、温かな気持ちになる素敵なドラマでした。……でもって、何より出てくる料理がめっちゃ美味しそう。
★今日の小ネタ
角田晃広扮するマンションコンシェルジュがいとも簡単に管理室から個人の部屋の鍵を持ち出す……という場面があったけど、実際にはありえません。各部屋の鍵を収めている金庫の鍵は、緊急時、しかも本人同意の上で契約警備会社しか開けられないことになっています。(もちろん入居時、管理会社に鍵を預けるのを拒否することも可能)同業者なので見てて気になっちゃって。マンション管理会社はそんなに杜撰ではないので、誤解なきよう…(^.^;
★おススメ度
★★★☆☆(見て損はない!マンション管理の件がなかったら、★もう1個増えてたんだけどな(^.^;)