オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

尋問室での息詰まる心理戦〜Netflix『クリミナル:イギリス編』


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 Netflix『クリミナル:イギリス編』鑑賞。(シーズン1は3話、シーズン2は4話の構成)

 

いやー、面白かったっす!

 

 舞台は尋問室とマジックミラーで隔てられた隣の部屋(尋問の担当者以外のチームの面々が見守っている)、廊下の3箇所のみ。狭い尋問室の中で、刑事、被疑者、弁護士の三つ巴の苛烈な心理戦が繰り広げられる。ヲタク大好きワンシチュエーション&ワンショット、まるで良質な舞台劇を見ているよう。ヘタなミステリーよりよほど手に汗握りますね。

 

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スコットランドの至宝、デヴィッド・テナント

 

 刑事側は、例えば確たる証拠が不十分な場合、わざと尋問者が部下に捜査資料を持ってこさせ、被疑者の前で頷きながら読み出して不安を掻き立て、焦らして、相手側の自白を引き出そうとしたり、一方では尋問者の策略を確認した弁護士がそうはさせじと休憩をとり、わざとマジックミラーの外に聞こえるように被疑者に注意を与えて刑事チームを牽制するなど、虚々実々の駆け引きが展開、見ていてハラハラします。


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※冒頭7分ワンショット、カメラを向いて喋りっぱなしのキット・ハリントン。サスガ!

 

 イギリス編は全7話構成。密室での全編会話劇だから、どうしても、ゲスト(被疑者役)の演技力がモノを言いますよねぇ。その意味から言うと、7エピソードのうち1番のおススメエピソードは、デヴィッド・テナントが被疑者を演じた『エピソード1〜エドガー』かしらん。しょっぱなからテナント大先生を持ってくるなんて、やるなNetflix(笑)ヲタク的には、NTL(ナショナル・シアター・ライブ)『善き人』の、自らの意思に反してナチスに取り込まれていく誠実で知的なドイツ人教授の印象が強いので、その時とはまるで違う、今回の真性サイコパスは衝撃でした。

 

 デヴィテナを推したついでに?おススメゲストの2位3位を発表しましょう!

 

 第2位は、日本では『ゲースロ』のジョン・スノウで知られるキット・ハリントン(エピソード5『アレックス』)。ヲタク的にキットと言えば、直近で見たやはりNTLの『ヘンリー五世』、ハル王子時代の放蕩生活から足を洗って名君ヘンリー五世へと成長するタイトルロールが忘れられない。カッコ良かった……はあ。キットもデヴィテナおじと同様、今作ではいつものイケメン・イメージを投げ打ち、スノウやヘンリー五世とは似ても似つかぬ、強制わいせつで訴えられた俺さま系のクズ男をノリノリで演じてます。『ゲースロ』を見てキット沼に落ちた方々はご注意を(笑)。

 

リーダーのナタリー・ホブス警部補(キャスリーン・ケリー)と部下のトニー(リー・イングルビー)2人がコンビを組んで彼を尋問している最中、キット演じるアレックスがナタリーに向かって「ちゃんと記録とっとけよ」ってぞんざいに言うんですね。するとナタリーが「私のほうが上司よ。なぜ私に向かって記録しろって命じたの?私が秘書だと思った?なぜ?」とすかさず突っ込むんです。何気ない一言で、被疑者の潜在意識(この場合は女性蔑視)を引き出していく…。そんなシーンが随所に見られて、めっちゃ面白い!

 

 そしてそして第3位は、大英帝国勲章第三位・第四位OBEを叙勲している、英国の誇る大女優ソフィー・オコネドー。セレブやキャリア役が多い彼女ですが、今作では、ゲイの夫が愛人の青年を殺害した疑いで逮捕され、人生に絶望した中年女性の役を巧みに演じていました。何しろ、滂沱の涙を流すシーンが幾度となくあり、ワンショット&ワンシチュエーションであの演技って……。素晴らしいの一言です。

 

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※素顔は、ケンブリッジ大学&王立演劇学校卒の知性派美女ソフィー・オコネドー

 

 全編ドキュメンタリータッチで撮られているので、見ているこっちは(イギリスではこんなふうに犯罪が捜査されて、立件に持ち込まれるのか……)と興味シンシン。同じ尋問室の設定で、他にもフランス、スペイン、ドイツ編もそれぞれ作られているようなので、これから見るのが楽しみ〜〜!

 

 尋問の仕方も、お国柄でそれぞれ違ってくるのかしら(・・?

 

・おススメ度……★★★★☆

英国演劇界の第一線で活躍する俳優たちの熱演に圧倒されます。