オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

日本も他人事じゃない〜『ダム$マネー ウォール街を狙え!』


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ダムマネー(Dumb Money)は、日本語で「愚かな資金」とも呼ばれ、マーケットにおいて、冷静な状況判断ができない投資家の資金をいいます。

冷静な状況判断ができる投資家の資金である「スマートマネー(賢い資金)」とは反対のもので、その時々のマーケットの雰囲気(世論)に左右され、例えば、マーケットが加熱して天井付近にある時でも強気になって投資されたりします。

……金融情報サイト「i Finance」より

 

 『ダム$マネー ウォール街を狙え!』鑑賞。

  

 いやもう、面白かったっすよ!

 

 原作は、わずか3年前アメリカで起きた※「ゲームストップ株騒動」を題材にしたベン・メズリッチ(『ソーシャル・ネットワーク』)の著作『反社会的ネットワーク /The Antisocial Network』。本になったのも映画化されたのも(ついでに)日本公開も超スピードだったね(笑)

※「ゲームストップ株騒動」とは、アメリカのゲーム販売会社「ゲームストップ」社の株価が、昨年2021年1に突如急騰、その後急落したという怪現象。そのからくりといえば、ネットで集まった投資家たちがウォール・ストリートヘッジファンドを暴落させる目的で、株を集団で買い上げたことが要因とされ、下院で公聴会まで開かれる国家的大問題に発展した。


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※『フェイブルマンズ』のスピルバーグのお父さん役のようにアメリカの良心の代表みたいな役を演じるかと思えば、『バットマン』のリドラーなど真性サイコパスも演じるポール・ダノ。彼の神演技にも注目!

 

 コロナ禍真っ最中の2020年、アメリカ。人の心は将来への不安と緊張で荒みきっていました。そんな中、マサチューセッツ州の会社員兼投資系ウェブサイトWSBの運営者キース(ポール・ダノ)は、全財産の5万ドルをゲームストップ株につぎ込んでいました。ゲームストップ社はゲームソフトの販売会社ですが、オンラインショップ全盛の昨今、従来の小売店方式を頑なに守っていたため業績はどん底、さらには長年億万長者たちの「空売り」攻撃を受けており、もはや倒産間近と噂されていました。しかし真性オタクのキースはそんなゲームストップ社が大好き(^_^;)ここはゲームストップ社のためにひと肌脱ごうと赤いハチマキで気合を入れ、ネコのTシャツを着た「ローリング・キティ」(彼の別アカウント名「ディープ・ファッキンバリュー」を聞いて、ヲタク吹き出す 笑)にヘンシン、ゲームストップ株がきわめて過小評価されているとネット民に大演説。見るからに誠実そうなキース(何せ演じているのがダノくんだからね、説得力あり)の主張に大勢の個人投資家が共感、ゲームストップ株を買い始め、ジワジワと株価が上昇。明くる2021年初頭には、「どうにもとまらない」株価の大暴騰。ついには、彼らの含み資産など「ダム・マネー」だとせせら笑っていたゲイブ・プロトキン率いるヘッジファンド運営会社メルビン・キャピタル・マネジメントが倒産危機にまで追い込まれる羽目に。1番びっくりしたのはキースご本人だったことでしょう。追い詰められたプロトキンは親友のケン・グリフィン(シタデルCEO)に「どうにかしてくれ」と泣きつきます。グリフィンは小口投資家たちが使っている株式売買サイト「ロビンフッド」の創業者ブラド・テネブ(セバスチャン・スタン)に圧力をかけ、サイトを一時閉鎖させて挽回を図ります。しかしそのことが小口投資家の逆鱗に触れ、取引再開後は再び彼らの「買い」意欲を燃え上がらせ、株価はついに天井高に。「ゲームストップ騒動」はアメリカ全土を巻き込み、株式市場を牛耳る一握りの億万長者たち(ライオン)と、彼らを倒そうとする名もなき投資家たち(ハイエナ)との全面戦争を呈していきます。この熾烈な戦いは果たしてどのような結末を迎えるのか……!?


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※我らがセバスタ(右)は、ロビンフッドの創業者役。ギレスビー監督のお気に入りなのか、監督作品に登場するのは『アイ,トーニャ ~史上最大のスキャンダル』、『パム & トミー』に続いて3作目。ヲタク的には、ブルガリア移民からのし上がったハングリーさの中にふと弱さを垣間見せる今回の役、めっちゃ好みかも〜〜٩(♡ε♡ )۶

 

 まずは主人公のキースを演じたポール・ダノが最高!このマネーゲームを始めたきっかけが金儲けというよりは、ゲームショップ応援のための「オタク魂の爆発だ〜」だったことが良かったよ、うん。彼が投資詐欺の疑いで起訴され、下院金融委員会の公聴会の尋問に答えた時、「貧しい家庭で育ち、名も無い大学を卒業したものの7年間就職浪人を経験した過去」を語ったくだりでヲタクはウルウルし始め、「かつて株式市場は誰もが知恵を絞って戦える平等な場所だった。しかし今は、ほんの一握りの大金持ちにいいようにされている」と熱弁を振るったところで大拍手〜〜!!ヲタクもローリング・キャットの信者になっちゃった(笑)……しかしキースが切々と訴えた、アメリカンドリームなんてもはや虚しき夢のまた夢、貧富の差が極限に達したアメリカのシビアな現状は決して他人事じゃない。日本もそうなりつつある、いや、もうなっているかもしれない(泣)


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※キースの強く賢い妻役にシェイリーン・ウッドリー(『ビッグ・リトル・ライズ』)。大事な局面でキースがいちいち奥さんにお伺いをたてるのがカワイイ。

シェイリーン・ウッドリー、直近に見たのは『愛しい人から最後の手紙』の、不倫に走るセレブ妻役だったけど、今回は真逆の役ですね。この人もポール・ダノ同様、憑依型のカメレオン俳優だなぁ。

 

 監督は、前述の『アイ,トーニャ ~史上最大のスキャンダル』や『パム & トミー』、『クルエラ』など、スキャンダラスなワルたちを描写させたら天下一品のクレイグ・ギレスビー。株とか資産運用にはとんと疎いヲタクのような人間でも、ハラハラ泣き笑いしながら、同時に金融業界や株式市場の裏側もお勉強できたワ。マニアックになりがちな題材を極上のエンターテイメントに仕上げたギレスビー監督に脱帽です!

 

★今日の小ネタ…株の空売り

公式サイトが株式市場の用語集を載せてくれているんだけど、それによれば空売りとは

ショート
株価の下落局面で利益を得ようとする投資手法。下がると見込んだ企業の株を、信用取引などを利用して“借りて売る”ことを指す。実際に下落した時点で買い戻すとその差額が利益になるが、逆に株価が上がると損失を被る。

……らしい。

そう言えば今思い出したんだけど、ホリエモンが「以前僕も空売りで稼がせてもらいました。……別に違法じゃありませんから」って言ってたよ。日本の株も一握りの金持ちに牛耳られてるのかよ、チクショー(笑)

 

・おススメ度…★★★★☆

2時間弱があっと言う間。中身の濃い1作。