オタクの迷宮

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「完璧な役より軟弱キャラを演じるのが好き(笑)」by ジャック・ロウデンインタビュー①~The Scotsman

 
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(Edinburgh from Pixabay)

BAFTA(英国アカデミー賞)のライジングスター賞にノミネートされているジャック・ロウデンのインタビュー❗舞台『黒い魔女~Black Witch』でデビューしてから、『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』のダーンリー卿や『ファイティングファミリー』のレスラー役に至るまで、このボーダーズ地方出身の俳優が、演技、アクティビズム(英国の行動主義思想。社会変革をもたらすために積極的に行動すること)、映画製作についてジャネット・クリスティに語り尽くす❗

 

  ジャックは落ち着かない様子で、リース劇場(エディンバラ)の内部をちらちら見ていたが(笑)、しばらくの間上階の花に溢れたスイートルームでインタビューに応じてくれた。彼は、BAFTA(英国アカデミー賞)のライジングスター賞にノミネートされて、どんなに嬉しいかと語った。英国アカデミー賞の中で唯一、一般の映画ファンの投票によって選ばれる賞で、最も我々のイマジネーションをかきたてる俳優に贈られる。普段はエディンバラを活動の拠点として活動しているジャックは、2月2日、ロンドンの授賞式に臨む。

 

「どうして僕がこの賞に選ばれるのかなって思ったよ」と、彼は温かみのあるボーダーズ地方の訛りで語り始めた。「もう、この仕事10年も続けてるのにね(笑)でも、本当に素晴らしいことだよ。若い才能にスポットライトを当ててくれれば、当人は今まで開けたこともない扉の向こうに行けるんだから」

 

  このボーダーズ地方の若者の演技者としてのキャリアは、2011年スコットランドナショナルシアターでの舞台『黒い魔女』"Black Witch"から始まった。

(記事に掲載されたジャクロくんの写真可愛ええ~~🤤18才だったんだもんねぇ)

その後イプセンの『幽霊』で、ローレンス・オリヴィエ演劇賞(英国で最も権威ある、舞台俳優に贈られる賞)を受賞した彼は、映画やTVドラマに進出する。BBCの記念碑的作品『戦争と平和』、プランテーションの経営者を演じた『長き歌』"The long song"、プロゴルファーの先駆者と言われるスコットランド人プロゴルファー、トミー・モリスを演じた『トミーの栄誉』"Tommy's Hounour"、そして見事英国アカデミー賞を勝ち取った背筋も凍るようなスリラー『最悪の選択』"Calibre"と続いた。さらにクリストファー・ノーランダンケルク』で広く認められ、『ファイティングファミリー』で実在のプロレスラー、ザック『ゾディアック』を、そして『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』で複雑な人物ダーンリー卿を演じてシアーシャ・ローナンと共演した。

 

「ダーンリー卿を演じるのは楽しかったよ。彼は明らかにクズ野郎なんだけど、でもね、それは彼の心の奥深くに根差した不安定さから来ているんだ。軟弱なキャラクターを演じるのは楽しいよ。完璧な役柄は好きじゃない。演じてても退屈なんだ(笑)僕自身が完璧な人間じゃないから、完成された人物を演じるのは大変。でも欠点がある人物は造型しやすい。感情移入も容易だから」

ジャクロくんハリウッドのヒーローものを断った、っていつか言ってたけど、彼の演技への取組み方を読むと、残念だけど仕方ないかなぁ…。(ヒーローものも大好きなヲタク😅)

 

そして『フォンゾ Fonzo』『小さき斧 Small Axe』『カラス CORVIDAE』へ

そしてついに今年はトム・ハーディーがアル・カポネを演じる『フォンゾ』がいよいよ公開❗ジャックはFBI捜査官を演じている。アカデミー賞受賞監督スティーブ・マックイーン(『それでも夜が明ける』)が演出を務める『小さき斧』は、ロンドンにある西インド諸島出身者たちの小さなコミュニティが舞台。主演はジョン・ボイエガレティーシャ・ライト(BAFTAライジングスター賞受賞者)。

 

『フォンゾ』で彼はボストン出身の捜査官役を演じた。まるで彼自身がかの地の出身者であるかのように。「なんであの役を引き受けちゃったんだろうね。でもボストン訛りは好きなんだ。まるで早口言葉の練習するみたいにセリフを喋る(笑)周りのみんな、僕がそうすべきだと思ったみたい」

 

『小さき斧』「スティーブ・マックイーンは、最高の監督の一人。彼の、まがい物をかぎわける才能は驚くほどだ。彼の演出手法は確かに役者たちを追い詰めていくようなもの。しかし決して彼は、僕たちを侮辱するようなことは言わないんだ。」

 

「役者を始めたばかりの頃は、僕はとても傲慢な考え方をしていて、役者は面白がられチヤホヤされる存在で、舞台に登場して何か喋ればそれで済むと考えていた。しかし製作サイドに回った時、それはとんでもない間違いで、役者って素晴らしい職業なんだって思ったよ」

「まるで建物を立てるみたいにセットが組み立てられ、照明係やスタッフがどっと集まって来て、俳優たちは『さあここで演じてくれ』と言われても、なかなか難しいものがあるよね。でもマックイーン監督は違う。まず役者、ストーリー、それらがもたらすワクワク感を大事にしてくれて、何事もまず彼自身が整理してみせてくれる。彼のやり方は好きだなぁ」

 

  『小さき斧』でジャックは、英国で最も重要なブラックパワー裁判と言われる"Mangrove Nine"裁判(1970~72年。警察内部に存在した根深い人種差別が露になった)で、被告人たち(ノッティングヒルの黒人社会を守るため暴動を起こし、当時の警察権力に潜む差別主義を糾弾した)にアドバイスを与える急進的な弁護士、イアン・マクドナルドを演じている。

 

ヲタク考えるに、ジャクロくんはスコットランド王立音楽院の出身。演劇理論に忠実な、真面目なイメージだなぁ。スタニラフスキーの演劇論を思い出します。「演じる?君は舞台の上で自分の人生以外の何を演じると言うんだ?」っていうアレ。ジャクロくんも、役柄のリアリティを出す為には、自分の中に全く存在しないものは演じられないという…。ヲタク的にはちょっと残念だけどね。ジャクロくんのイっちゃってるサイコパスとか見てみたいけど(笑)

 

  この超ロングインタビュー、ここまででまだ半分です(笑)前半は彼の演技者としての考え方が語られ、後半は、ジャクロくんの映画製作者としての横顔が明らかになります。近いうちに訳してまた拙ブログでUPしますので、お楽しみに~😍

 

 

 

 


Jack Lowden interview - The Scotsman