オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

ポン・ジュノ監督もおススメ❗黒沢清監督『トウキョウソナタ』

f:id:rie4771:20200530193249j:image

  黒沢清監督演出による『スパイの妻』。放送をあと1週間に控え、気もそぞろな近頃のヲタク(笑)TVドラマはそれほど見ないので😅ドラマをこんなに心待ちにするのは久しぶりのこと。期待の映画やドラマの新作の公開&放送が迫ると、屋根裏部屋からやおらその監督や出演俳優の旧作のDVDを引っ張り出して見直したり、見逃していた作品を動画配信サイトで見て予習しておくのが常。

 

  今回見直したのが、同監督の『トウキョウソナタ』。『セブンスコード』や『散歩する侵略者』『岸辺の旅』も好きなんだけど、ロマンスものやSFぢゃなくって、なぜか家族の話を観たい気分だったんですね、今日は(笑)

 

  第61回カンヌ映画祭『ある視点部門』審査員賞その他、数々の映画賞を受賞、日本だけでなく世界にも認められた名作ですね。『パラサイト~半地下の家族』のポン・ジュノ監督が『世界一受けたい授業』で日本映画ベスト3を選んだんですけど、その中に入っている1本でもあります😊

 

  『トウキョウソナタ』に見られる家族の関係って、いかにも日本的というか。ポン・ジュノ監督の『パラサイト』では、家族同士ナマの感情剥き出しで、徹底的にやり合い、お互いを容赦なく突き詰める。だからこそ人生の悲劇も喜劇も異様な振れ幅で、運命が火の玉みたいに坂道を転がっていきます。

 

  『トウキョウソナタ』でも、発端は『パラサイト』と似たようなもの。両親と兄弟二人、小さな戸建てに住むごくごく平凡な家族。しかし、父親(香川照之)がある日突然会社をリストラされたことをきっかけにして、少しずつそれぞれの歯車が狂い始めます。父親の沽券に関わる…とばかり、リストラされたことを妻にも言えず、家の中では相変わらず息子たちを怒鳴り飛ばしながら、スーツを着て街をうろうろする父親。同じように失業中の学生時代の同級生(津田寛治)。携帯を自動的に鳴らすようにセットして、仕事のフリをし続けるエピソードも、滑稽で物悲しい😢母親(小泉今日子)は夫のリストラにうすうす気づきながらも、なぜかそれを追及することもせず、毎朝能面のような笑顔で夫を送り出すのです。この母親の描きかたが、『パラサイト~半地下の家族』と決定的に違うのが、この母親の行動でしょう。

 

  てんでばらばらにやりたい放題な男たち(父親=香川照之、長男=小柳友、次男=井之脇海)を、黙って陰で支え続けて来た母親は、ある晩突然プッツンしちゃう(笑)。なんと、強盗犯(役所広司)と一緒に、逃避行を繰り広げちゃうんです😮その晩は母親だけでなく、男たちもそれぞれ、命に係わるような散々な目に遭遇するんだけれども、結局翌朝にはみんな三々五々家に戻ってきて、いつものように黙って食卓を囲む。あの場面、ヲタク的には『パラサイト』の結末に負けないくらい、シュールで怖かったよ(笑)

 

…でもよくよく考えると、そういう、真実を白日のもとに晒さない、何事も突き詰めない、あえて曖昧にやり過ごすっていうのも、日本古来の美徳なんじゃないの❓悪くないよね…って今回観てそう思った。谷崎潤一郎『陰翳礼讚』の世界だわ…。まるで昨今世界中で話題になっている、日本のミステリアスな新型コロナ対策みたいに。それとも単に、年をとっただけなのか、じぶん(笑)

 

  次男坊の井之脇海くん(当時は小学校6年の役)。大人になってからも、『帝一の國』の生徒会副会長や『海辺の生と死』、『ザ・ファブル』のお間抜けヤクザなど、出演シーンは少なくても眼で語る、というか、とっても印象的な演技をする人なんですよね😊もっと注目されてもいいと思うんだけど…😅

 

  ポン・ジュノ監督は『日本の若者にもっと見て欲しい映画』って仰っていましたが、オジサンオバサンにも見て欲しい(笑)まあ、身につまされて苦しくなるきらいはありますが😅