オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

「A24」がまた名作を生んだ❗~映画『フェアウェル』(2019年)

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(NewYork from Pixabay)

エッジーで独創的、攻め攻めな映画を次々と世に送り出している映画スタジオ「A24」。『レディ・バード』、『ムーンライト』、『ヘレディタリー 継承』、『ミッドサマー』、『聖なる鹿殺し』…。これだけ並べてみてもトンガリ具合がハンパない作品ばかり(笑)今日ご紹介する作品『フェアウェル』は、先に挙げた作品群に比べたら強烈なインパクトには欠けるけど、寒い日に飲んだ湯気の立つココアがじんわり体を暖めてくれるような、そんな佳品と言えるでしょう。

 

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〈あらすじ〉

6才の時に両親と共にアメリカに渡って25年。ヒロインのビリー・ワン(オークワフィ)は実家から独立し小説家を目指して頑張っていたが、グッゲンハイム・フェローの奨励金試験に落ちてしまい、いろいろな面で人生の壁にぶつかっていた。そんな折りも折、中国で暮らす祖母ナイナイが肺がんで余命いくばくもないという悲しい知らせが。祖母は25年前、長男を日本へ、次男をアメリカへと送り出し、気丈に一人で生きてきたのだった。親族が集まる理由をでっち上げる為?😅日本人の女性アイコと婚約したばかりのビリーのいとこハオハオの結婚披露宴を長春で開くことになる。ビリーはアメリカンスタイルで、「嘘をつくのはよくない、本人に真実を知らせるべきだ」と言い張るが、他の親族たちは「不治の病の場合、本人には最後まで知らせないのが中国のやり方」と耳を貸さない。結局、本人に疑いを持たせない為、親族あげての壮大なお芝居が始まり…。

 

  25年アメリカに住んでいるビリーはすっかりアメリカンで、彼女の目から見た「今の中国」あるあるのエピソード(一族郎党揃ってのお墓参りや、新築のホテルなのにいきなりエレベーターが止まってしまうとか、披露宴の料理にロブスターを注文していたのに無断でカニに変更されていた…etc)がユーモアたっぷりでいちいち楽しい(笑)ビリーを演じるオークワフィナ、すっかりアメリカンになっているのかと思いきや、いきなり訳もわからずアメリカに連れていかれた時の心の傷をずっと抱えている設定。実は彼女は、自らのルーツを誰よりも愛していた…その事実がストーリーが進むに連れて次第に明らかになっていく…そのあたりの演技が実に繊細で、第77回ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したのも激しく納得です😊オークワフィナと言えば…そう、マブイ女優勢揃いの『オーシャンズ8』で、天才的スリを演じていた彼女。あの映画でアン・ハサウェイとすっかり仲良しになったとかで、二人のインタビューが爆笑モノでしたっけ😅

 

  ヲタク的にサイコーだったのが、ハオハオとアイコの結婚式❗「アメリカ人も日本人も中国人も変わらない、銀河系、いや太陽系ならみんな同じだ❗」という素敵な宣言から始まり、ビリーとパパのカーペンターズに、ハオハオとアイコの「竹田の子守唄」が続きます。この映画が製作されたのは2019年。そのすぐ後にコロナ禍が勃発して、この映画とは正反対の方向に世界全体が走り始めてしまった感があるけれど😭…きっとまた、お互いに歩み寄れる日が来るよね❓…ヲタクは、信じてる。

 

  この映画はルル・ワン監督の体験した実話に基づいているそうで、ラスト、相手を思いやる「優しい嘘」がもたらした小さな奇跡に、さらにHappyになること請け合い❗

 

『フェアウェル』~U-NEXTで配信開始しました🎵


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(ご近所さんの春の花たちをパチリ📸)