オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

シアターコクーン『パンドラの鐘』鑑賞記

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 シアターコクーンで、野田秀樹作『パンドラの鐘』観賞。現代(‥‥といっても、その時代設定はネタバレになっちゃうので伏せます😅)

の長崎で発掘作業に励む考古学者(大鶴佐助)とそのフィアンセ(前田敦子)、彼女のぶっ飛んだ母親(南果歩)が織り成す人間模様と、彼らが発見した古代の遺物『パンドラの鐘』にまつわる、古代王国の女王(葵わかな)と臣下の若者(成田凌)の悲劇が、タイムパラドックス的に展開していきます。野田秀樹特有の、言葉遊びや機知に富んだ、スピーディーなストーリーの中に、彼の「平和への祈り」、「日本人の根幹」が色濃く滲んだ作品だと思います。

 

 

 

  演出は野田版と蜷川幸雄版があるのだけれど、今回は「NINAGAWA MEMORIAL」と銘打っているだけあって、当然蜷川バージョン。暗闇の客席通路に、いつのまにか主役(成田凌)が潜んでいて、客席にどよめきが起こり、観客が「見物人」ではなく、一瞬にしてその劇世界の「住人」となる、ワクワクするオープニングに、数々の蜷川作品の「住人」となった過去が甦り、目頭が思わず熱くなる。蜷川さんが他界されてもう、5年も6年も経つというのに、まだ引き摺ってるじぶんにオドロキである(笑)

 

さて、そんなNINAGAWA MEMORIAL『パンドラの鐘』は、とにもかくにも1階の9列目から見た成田凌の美青年振りに惚れ惚れした2時間半。舞台はナマモノだから、何度も撮り直しができて、「最高の瞬間」を留めることの出来る映像作品とは真逆のもの。立ち姿の美醜であるとか、歩き方、走り方、声の張り、滑舌、お肌の色艶‥‥もう全てが洗いざらい露呈されて、考えようによっては役者さんにとってこれ以上キツイ仕事はないのでは‥‥と思ってしまう。

 

  だから、映像を見てファンになった役者さんの場合、ナマの舞台を見て百年の恋も醒めちゃった‥‥という経験がヲタクにはあるので、今回の成田凌の場合も期待と不安の半々だった。『カツベン❗』『マトモじゃないのは君も一緒』『コードブルー』『おちょやん』等々、自由自在且つ柔軟な演技力で、贔屓の役者さんだったから。しかししかし、「ナマ成田」を目の前にして、その水も滴る美男子ぶりにヤられました(笑)彼、けっこうゴシップ記事の常連だけど、まあ、あれじゃ女性がほっとかないわねぇ。でもいいんですよ、「恋は芸の肥やし」って言うけど、品行方正な役者さんはやっぱり、色気不足だから。特に、舞台の上では。ノブレス・オブリージュを貫いて民の犠牲になる気高い女王役の葵わかなとは、キャラは真逆だけど、凄く相性が良いように見えました。あっ、もちろん演技のね😅

 

そして成田凌と同じことが言えるのが、男性をコケティッシュな魅力で振り回す小悪魔をいかにも楽しそうに、生き生きと演じた前田敦子。彼女が出てくる度に、ぱーっと舞台が明るくなって、何人もの役者さんが舞台に居ても、どうしても目線が引き寄せられてしまう。いわゆる「華がある」ってヤツで、これは悲しい哉、努力したから、演技力を磨いたから、どうにかなるものでも‥‥無い。芸の世界は、残酷です😢

 

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シアターコクーンの開場を待つ間、DE MAGOのある中庭を見下ろす感じが好き♥️渋谷の喧騒(ヲタクはかなり苦手😅)が、不思議とここには届かない。

 

ヲタクの席のすぐ横にカメラが入ってましたが、今夜6時からWOWWOWでライブ配信があるみたいですね❗

 

★ついしん

NINAGAWA MEMORIALというからには、忘れちゃいけません、そう白石加代子御大❗もはや怪演とも言うべきド迫力の演技で、舞台をビシッと締めていらっしゃいました😊