オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

日本映画人への熱きオマージュ~『カツベン❗』

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いみじくもブログにて『映画ヲタク』と自称するからには、これはもう外せない映画『カツベン❗』(周防正行監督)見に行って参りました😊映画ヲタクにとって、楽しくて楽しくて、やがて哀しき、愛すべき日本映画人たちのおはなしでございます。

 

  最後、テロップに巨匠稲垣浩監督(ワタシ、『無法松の一生』見てますッ❗)の言葉が写し出されるように、「海外にはサイレント(無声)映画が存在したが、日本にはサイレント時代はなかった。なぜなら活動弁士(カツベン)が存在したから」…なのです。言わば声優の元祖とでも申せましょう。映画の画面に合わせて、ある時はストーリーを熱弁し、ある時はヒーロー、ある時は薄幸の美女、少年少女に犬(笑)に至るまで、それこそ七色の声音を使い分けるのです。

 

  小さい頃から映画が大好き、カツベンに憧れる少年、染谷俊太郎(成田凌)。女優に憧れる少女や活動写真好きの警察官との旧き良き時代のエピソードから10年後、生活の為に彼は、泥棒一味専属のカツベンに成り果てていました。当時の人気活弁士に変装した彼が熱弁を奮っている間に、他の連中が村の富豪の家から金目のものを盗み出すというしくみ😅(いつまでもこんなことしてちゃダメだ…)と思った矢先、ひょんなことからお金の入ったトランクと一緒に逃亡中の車から投げ出され、追手を逃れて行き着いた先が、村の活動小屋『青木館』でした。そこで彼は次第にそのカツベンとしての天才的技量を発揮していき…。

 

  まず特筆すべきは、主演の成田凌。それこそ幅広い音域で、活弁士として実際にさまざまな役柄を見事に演じ分けています。「人間失格太宰治と三人の女たち」の編集者役でも感じたのですが、素顔は、そのスタイルといい雰囲気といい、いわゆる『今ドキ』、時代の先端を行く若者なのに、いざ役に入り込むと、途端に大正~昭和初期の香りを漂わせているところ。気が良くてちょっと動作が鈍いんだけど(笑)どこまでも夢を追いかけていくひたむきさ…。活動写真館の亭主(竹中直人)に、「電信柱みたいなヤツだな」なんて言われてましたっけ(いろんな意味、あるよね😅)

 

  また助演陣が見事です❗竹中直人渡辺えり子の『青木館』の夫婦はもう、二人がそこにいるだけで笑いがこみ上げてくるし、カタブツの巡査役、竹野内豊とちょっとイっちゃってる暴力団組長の娘に井上真央。二人とも日頃見せない貌を見せて新境地。女たらしで冷血で、小狡いライバル弁士に高良健吾。いやー、ゲスな美男には萌えますなぁ😅青木館のおかしくも哀愁溢れる貧乏楽士たちに田口浩正正名僕蔵(待ってました、ディスパーッチ=笑)、徳井優。そして、無声映画の伝説的監督二川文太郎(坂東妻三郎の最高傑作と言われる『雄呂血』の監督。バンツマと言えば、古畑任三郎こと田村正和をはじめとする田村三兄弟のお父様😊)に池松壮亮牧野省三山本耕史

 

    あー、この映画、もうキャスティングが神です、神❗役者陣を見ているだけで、ヲタク、シアワセ😌🌸💓

 

  映画の説明をするだけの弁士に将来を見出だせず、「映画は弁士がなくても成り立つが、弁士は映画がなくては成り立たない」と言って、夢破れて酒浸りになるかつてのスター弁士、永瀬正敏。一方俊太郎は、誰が見ても駄作の無声映画に面白おかしく自分でストーリーを作り上げて拍手喝采を浴びる。これが俊太郎の、カツベンの天才たる所以なのですが…。こんなところにも、『駄作も名作に作り替えてしまう』カツベンたちのトンでもない才能が、日本の映画界発展に大いに貢献したという陰の歴史がうかがえます。そして、日本映画界を支えてきた多くの先達たちに対する周防監督の、深いリスペクトの念と暖かい眼差し…。最後に流れる御大奥田民生の主題歌も秀逸🎵

 

  カツベンの話ゆえ、当時の和洋さまざまな無声映画が劇中に登場しますが、驚くべきは、名作のオマージュにせよ全くのオリジナル作品にせよ、全て今作の為の撮り下ろしだということ❗通常ヲタクは事前に口コミ等前知識を入れていかないので、初見では全く気付きませんでしたよ😅

 

   えー❗❓…でも…でも、それホント❓😮「椿姫」の草刈民代城田優、当時のエレガントなハリウッド俳優にしか見えなかったけど(⬅️シツコイ😅)

 

  もうさまざまな楽しみ方ができて、小さなツボも満載のこの映画、お正月にピッタリじゃないでしょうか😃ヲタクも来年早々もう一度見に行くつもり。今度は昔むかしの無声映画の役者たちになりきった名優たちをじっくり拝見致します😉