オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

『LAMB ラム』(A24)~結末は誰にも話しちゃダメ!

f:id:rie4771:20220930153331j:image

  ああ、またやってくれました、A24❗なんでこう、ヲタクのツボど真ん中の作品ばかり次々と繰り出してくるんでしょうか(笑)

 

  アイスランドの急峻な山々の奥、羊の放牧を生業にしてひっそりと暮らすイングヴァル(ヒルミル・グナイル・グドゥナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)夫婦。冒頭、季節は冬。一寸先も見えないアイスランドの激しい雪嵐の中、羊小屋には何やら不穏な空気が。何者かわからぬ不気味な息遣い、怯える羊たち。この冒頭のシーン、見終わってから(ああ、そうだったのか❗)ってなりますから、注意深く見ておいて下さい😉


f:id:rie4771:20220930175455j:image

(アイスランド……Pixabay)

  時は過ぎ、ある雌羊が出産を迎えます。赤ちゃんを取り出した夫婦は目を見張ります。……なぜなら、その赤ちゃんは頭は羊、体は人間の子どもの姿をしていたから。しかし二人は慌てるふうもなく、「神さまの贈り物だ」と大喜びして、大事に育てることにします。幼くして死んだ一人娘と同じ、「アダ」という名前をつけて。

 

  このストーリー展開から言っても、この映画はファンタジーであり1つの寓話なのだな……ということが明確になっています。個人的には、映画の持つ視点がはっきりしていたほうが好きかも。同じ北欧の映画で『ボーダー』という作品があったのですが、「異形の人々」を題材にして、差別やマイノリティのリアルな問題に斬り込んでいく作品かと思いきや、唐突に(何の前振りもなく😅)ラストでファンタジー化しちゃったので、肩透かしされたことがあったので。いやまあ、好きな作品の1つであることは間違いないんですが😅

 

  このアダの造型がもう、愛くるしすぎて。声もしぐさもみんな可愛くて😍マリアが溺愛して夢中になって、アダ以外のことは目に入らなくなるのも納得です。

 

  マリアがアダに夢中になる一方で、アダを産んだ母親羊はアダを求めて母屋の軒先で徘徊しながら、鳴き声を上げ続けます。(私の赤ちゃんを返して)と言わんばかりに。その哀しげな鳴き声は次第にマリアを追い詰めていきます。そんなある日のこと、ライフルを持ち出したマリアは母羊を撃ち殺してしまうのです。降りしきる雨の中、一撃で羊を倒し、その重たい体を引き摺って行く時の、ノオミ・ラパスの形相の恐ろしさよ。鬼子母神とはまさに、このことなり((( ;゚Д゚)))彼女が母羊を撃ち殺した瞬間から、この夫婦の運命は決定づけられたと言っていいでしょう。行くも地獄、戻るも地獄。


f:id:rie4771:20220930175516j:image

(アイスランド……Pixabay)

 

 愛らしいアダを挟んで、夫婦がいくら嬉々としてはしゃいでいても、見ている私たちには、彼らには破滅しかないことが明らかです。愛する者のためなら、どんなに他者を犠牲にしてもかまわない、地獄に堕ちても、それが何だって言うの。……げに恐ろしきは、母性なり。

 

  しかししかし、ラストに彼らを襲うカタストロフィは怖すぎる、恐ろしすぎるヽ(;゚;Д;゚;; )

 

冒頭の羊小屋の禍々しさ、全編を流れる不穏な調べ、それが形となって現れた時にやって来る、目を覆うばかりの惨劇❗しかもそれが全編、アイスランドの美しく雄大な自然~蒼い山並みや抜けるような青空をバックに繰り広げられるから、物語の悲劇性が際立つのです。

 

……衝撃的な結末にヲタク、しばらく席を立てませんでしたよ。

 

昨今の 映画界に旋風を巻き起こしている A24が、再び世に問う問題作です。

 

★今日の小ネタ

製作総指揮・主演も務めて大活躍の才女、ノオミ・ラパス。そう、かの『ミレニアム』シリーズ三部作で、ミステリー史上最も過激なヒロインと言われるリスベット・サランデルを演じたアノ人。同じ役を演じたアノルーニー・マーラ(『ドラゴンタトゥーの女』)やクレア・フォイ(『蜘蛛の巣を払う女』)も熱演だったけど、やはりノオミのド迫力には負けてましたよね😅『ラム /LAMB』では、一転して、無口で平凡な妻の役。とても同じ人物とは思えません(笑)