オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

久しぶりのイヤミス映画〜Netflix『神が描くは曲線で』(オリオル・パウロ監督)

 
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Netflixオリジナルの映画『神が描くは曲線で』鑑賞。いや〜、久しぶりに※イヤミスの典型みたいな映画見たわ〜〜❗

※そのものズバリ、読んだ後あるいは観た後、イヤな気持ちになるミステリーのこと。人間の狂気や、心の闇の部分に焦点を当てているため、ナゾ解きも明確な回答が得られない場合があり、後味が悪い余韻が残る。

隣で見ていた夫は結末に不服らしく、「モヤモヤする〜❗」と叫んでおります(笑)

 

 時は※1979年、舞台はスペイン、カタルーニャ地方。山の上、鬱蒼たる森の奥に聳え立つ「泉の聖母精神科病院」。年配の男性とタクシーから降り立った一人の女性、アリス・グールド(バルバラ・レニー)。彼女は主治医の診断書を持っており、入院するためにここに来たようです。主治医の診断書には、彼女は「パラノイアを患っており、症状が高じて夫を毒殺しようとし、危険な状態のため入院が必要」と書かれていました。しかし彼女は秘密裏に何かの資料を病室内に持ち込んでいて、病室に入ると、熱心にそれを読み始めます。それは、「デルオルモ家の悲劇」と書かれた新聞記事。アリスは実は、病院に入院中自殺したとされるデルオルモ家の子息ダミアンの死の真相を突き止めるため、殺人事件を疑うデルオルモ家の当主ガルシアから潜入捜査を依頼された私立探偵だった…という事実が、次第に明らかになってきます。どおりで、病院まで彼女を送って来た年配の男性が彼女に向かって「よろしく頼む」と言っていたのか…と。あの男性が依頼主のガルシアだったのでしょう。

1979年の精神科病院という設定がまた、クセモノ。精神病患者の人権も軽視されてる感じだし、現在ではよほど重症でないと使用されないというECT(頭部電気痙攣療法)も簡単にバンバン使われてて……なんかコワイ ^^;

 

 アリスはアルバ院長の部屋に忍び込んで入院患者の極秘資料を入手したり、病院内部で密かに捜査を始めますが、そんなある日のこと、男性患者である小人症のルイスが森の中でアリスに突然飛びかかり、彼女をレイプしようとします。彼女は頭を石で殴られ、気を失ってしまいます。目覚めた時、彼女の横にはルイスの死体が転がっていました。身に覚えのない殺人の濡れ衣を着せられたアリスは、果たして真実に辿り着けるのでしょうか…!?

 

 2時間半という長さですが、二転三転とどんでん返しが用意されていて、最後まで飽きさせません。(最後のどんでん返しが一番インパクト大ですが…)

結末は、全く正反対の、二通りの考え方ができるんですね。…つまり、ヒロインのアリスは、彼女の言う通りダミアンの死の真相を捜査する探偵で、私生活では夫に財産を狙われている被害者なのか?それともアルバ院長の診断通り、夫を毒殺しようとしたパラノイア患者なのか?

 

 夜中に病院が火災になり、患者たちが逃げ出して病院中がパニックになっているシーンが、本編に何度か挿入されてきます。私たちは、それはアリスが捜査している、「ダミアンが死んだ(殺された?)夜」、つまりは過去の回想シーンだと思ってずっと見ていたのが、ラスト近くになって実はそうではなかった…ということがわかって唖然とします。全く同じシーンなのに、カメラのアングルの違いや、誰がセリフを喋っているかを明らかにすることによって、ある出来事が全く違った意味を持ち始めるのです。このシーンをはじめとして、こちらを故意にミスリードする演出が随所に仕掛けられていて、最後まで翻弄されっぱなし(^_^;)

 

 肝心の「アリスの正体」ですが、正直言ってヲタクはまだはっきり断定できません。映画自体も、あえて明確なナゾ解きは提示してませんしね。ヲタクの乏しい脳ミソでは、あと2回くらい見直さないと解答に辿り着けなさそうです(笑)家族や友人同士で一緒に見て、それぞれの推理を話し合うのも面白いかもしれませんね。  

 

 スペインって、結構ミステリーの秀作を生み出している国なんですよね。ヲタクの観た中では、本作と同じオリオル・パウロ監督の『インビジブル・ゲスト/ 悪魔の証明』、『ロスト・ボディ』(こちらのナゾ解きは、スッキリわかりやすい 笑)、『マーシュランド』(2015年…アルベルト・ロドリゲス監督)などがおススメ❗

 

 また、ヲタクは以前「オススメのイヤミス映画」について記事を書いたことがあります。下にリンクを貼っておきますので、『神が描くは曲線で』を見て、同じようなテイストの作品に興味を持った方は、他のイヤミス作品もぜひ、見てみて下さい。🔻🔻🔻