(横浜美術館前の紅葉)
キノシネマみなとみらいで『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい❗』
1897年12月27日の初演以来500日間のロングランを達成し、フランスを代表する戯曲と言われる『シラノ・ド・ベルジュラック』。戯曲の作者、エドモン・ロスタンを主人公に、いかにこの名作が作り上げられたかを、笑いあり、涙ありで描いた作品です😊
ロスタン(トマ・ソリベレ)は売れない戯曲作家。才能はあるらしいのですが時流に乗れず、韻文の悲劇ばかり書いているので酷評ばかり😅流行に迎合しない芸術家が不遇をかこつのは、古今東西変わらないようですね(笑)そんな彼の文才を以前から認めていた大女優サラ・ベルナールが、ロスタンを当時の売れっ子舞台俳優コンスタン・コクランに紹介するところからストーリーは始まります。このロスタンがね、お髭だけは立派なんですが、小柄で細くて童顔で、めちゃくちゃ母性本能くすぐるタイプ。サラ・ベルナールが一生懸命になるのも…わかる(笑)
一方紹介されたこのコクランという役者(オリビエ・グルメ)、借金まみれで、借金がまとめて返せるような大傑作を書け、一攫千金を狙うんだ❗とロスタンに迫ります。おまけに大根役者の自分の息子に重要な役をつけろとゴリ押ししてくる始末😅さらには興行のパトロンが、自分の愛人の女優をヒロインに据えるのが第一条件だと言い出して…。
そんなてんやわんやに加えて、上演まであと1ヶ月しかないという無理難題。周囲からは「大コケ確定❗」とウワサされる中、果たしてロスタンとそれぞれワケあり、崖っぷちの仲間たちは一発逆転を図れるか❗❓
(映画が終わってキノシネマを出ればそこはイルミネーションの世界)
見終わった後爽やかな笑いと涙に満たされるのは、少々性格はヘンテコリンでも(笑)登場人物の誰もが、何よりも舞台を愛しているから。そして、さすが芸術の都パリ、製作側・演じる側の心意気を情熱を、サポーターや観客がガッチリ受け止める、心底応援する❗サラ・ベルナールのセリフにもあるように、「パリは舞台を見る観客が成熟している」。それはつまり、文化の成熟、社会の成熟。大人の都、パリ。この映画を見てヲタクは、昔から大勢の芸術家や文化人たちがなぜあれほどパリに惹かれるのか、その秘密をちょっぴり垣間見た気がしました。
最後に、コクランを初めとして、歴代シラノ役者の貴重なフィルムの数々がぁぁぁ~❗舞台&映画ファンには垂涎モノです。詩人ジャン・コクトーが愛したイケメン俳優ジャン・マレーや、ジェラール・ドパルデュー、さらにはホセ・ファーラー(『アラビアのロレンス』トルコの司令官役で強烈な印象を残した人)の英語を話すシラノ…なんていう変わり種も😅
世紀末のパリ、特に当時のムーラン・ルージュやポルト・サン・マルタン座が忠実に再現されていて必見ですし、娼館でロスタンがアントン・チェーホフに偶然出会う…なんていうエピソード(ここでの会話がまた、笑えます)を筆頭に、当時のパリ演劇界の内幕や、くすりと笑える小ネタも満載❗