オタクの迷宮~映画と舞台と音楽と Chaos-α

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

ロイ・アンダーソンワールド再び~『ホモサピエンスの涙』

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  寡作で知られるスウェーデンの鬼才、ロイ・アンダーソンの新作『ホモサピエンスの涙』をキノシネマみなとみらいで。

 

  前作の『さよなら人類』から6年かぁ…。月日の経つのは早いですねぇ。前作は、ひじょうに皮肉でシュールというか、ブラックコメディの要素に満ちていました。(エピソードのオチとかは、デヴィッド・ウォリアムズのBBCのTV番組『リトル・ブリテン』を思い出したりもした😅)

 

  アンダーソン監督の作品ってひじょうに独特の世界観。リアルな実物大のセット、ミニチュアの建物、マットペイントなどSFXを緻密に組み合わせたそれは、まるで動く絵画、動く美術品のよう。その静止画のような映像の美しさにぽーっと見惚れていると、人物が突然動き出して(あら、これ映画だったんだっけ)とビックリするくらい(笑)

 

  さて、最新作『ホモサピエンスの涙』

人類の歴史は悲しみの歴史、涙の歴史。美しい映像で語られるのは、そんな人間たちのさまざまに悲劇的なエピソード。ヲタク的に目に焼き付いて離れないのは、神を信じられなくなってキリストのように磔刑に処せられる悪夢にうなされる牧師や、お誕生日会に向かう途中大雨に降られてしまうパパと娘、明白な敗北の中で立ち尽くすヒットラーとそれでもなお「ハイル、ジーグ(勝利万歳)」と叫ぶ哀れな親衛隊員たち、厳寒のシベリア平原で捕虜収容所に向かう兵士たちの背中、背中…。

 

うーーん、書ききれない❗(笑)

 

  それにしても、ポスターヴィジュアルに取り上げられている場面。ナレーションは「廃墟と化した街の上を飛翔する恋人たち」とだけ。むむ…。終末論?最後の審判?監督はスウェーデン人だから、ラグナロク(神々の黄昏)?深掘りしすぎると、夜眠れなくなる(笑)

 

  ……しかし、その人間たちの悲痛な涙を見つめるアンダーソン監督の眼差しは限りなく暖かい。(…それでも、生きていくんだよ)と、背中を押してくれている気がする。映画に登場する精神分析医のセリフ「生きてることは、いいことだ」や、降りしきるクリスマスの雪を見ながら繰り返される酒場の客の叫び「それでも(この世界は)素晴らしいんだよ❗」に代表されるように。……そうやって、人類の歴史は連綿と続いていくのだ、今までも、そしてこれからも。

 

  映像の魔術師と呼ばれるロイ・アンダーソン監督。作品の魅力を説明するのは難しい😭じぶんの表現力の乏しさがうらめしい。

 

  拙い感想で恐縮ですが(汗)記事を読んで少しでも興味を持った方がいらしたら、この機会にぜひ、アリ・アスター監督(『ヘレディタリー継承』『ミッドサマー』)やイニャリトゥ監督(『バードマン』『レヴェナント』)が尊敬してやまないという、唯一無二のロイ・アンダーソンワールドを体感してみて下さい😉

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(キノシネマ前のイルミネーション)