オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想を呟いたりしています。今はおうちで珈琲片手に映画やドラマを観る時間が至福。

クドカンワールドを完璧にする役者たち〜『1秒先の彼』


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 可笑しくて、切なくて、ちょっと(いや大分)世間とはズレていて、生きるのがヘタだけど憎めない、愛すべき登場人物たちが織りなす悲喜劇……原作は台湾映画らしいのですが、どうひっくり返って見ても、完璧なるクドカン・ワールドサクレツ❗な作品でございます😂

 

 京都の郵便局の窓口で働くハジメ岡田将生)は、何をするにもとにかく1秒早い(つまり、せっかちで思い込んだら命がけ、何かと暴走気味(^.^;)。「顔は満点だけど、中身は$%*&℃€£π№」と言われるザンネンな男で、付き合い始めても、彼女から速攻フラレてしまうのです。そんな彼が路上で歌うミュージシャン・桜子に一目惚れ。桜子から日曜日に行なわれる花火大会デートの返事をもらったハジメは有頂天❗……前の晩、ドキドキしながら眠りについたハジメ。ところが、目覚めるとなぜか月曜日の朝。ハジメにとって人生でいちばん大事な1日がすっぽり全部無くなってしまったのです。しかし顔は真っ赤に日焼けし、服は砂だらけ。(自分は1日何をしていたんだ❓)「空白の1日」の秘密を探ろうと、京都の街を彷徨い歩くハジメは、ある小さな写真店に、海辺で微笑む自分の写真を見つけます。彼には、その写真を撮影した記憶が全く無いのです。この写真の撮影者は実は、ハジメが働く郵便局に毎日きまって切手をたった1枚買いに来るのんびり屋の大学7年生レイカ(清原果耶)でした。彼女はなぜ毎日郵便局を訪れるのでしょうか❓……そして、彼女が抱える切ない秘密とは……❗❓

 

 アカデミー賞受賞式でも評判になるくらい完璧なる美青年、岡田将生をこんなザンネンなキャラ設定にするなんて、さすがクドカン(笑)そしてそして、類まれなる知性派美女、清原果耶が何をするにもどんくさい、7年も大学を落第し続けている「冴えない女」(笑)普段彼らが演じている役柄とはかけ離れていますね(^.^;……しかし主演の2人はそんなギャップあるキャラを生き生きと演じており、このちょっと不思議な、ぶっ飛んだファンタジーロマンスにリアリティを与えています。…岡田くんにこんなはっちゃけたコメディセンスがあるなんて。これからもっと岡田くんのコメディが見てみたいな。

 

 主演のお二人だけでなく、ハジメの「ダメ親父」役を加藤雅也が普段のイケオジぶりを封印して演じており、天真爛漫な母を羽野晶紀、レイカの「夢を実現」するのに奔走する人の良い運転手を荒川良々ハジメと同居するギャル男にしみけん……と、適材適所のキャスティングがお見事。

 

 京都を舞台に選んだのも◎ですね❗京都って、安倍晴明じゃないけど、異世界との境界線を連想させる場所がそこかしこに点在する街。例えばあの「清水坂」、中世の「清水坂」は清水寺に至る急坂ではなく、大和大路付近の松原通を指したそうです。つまり、京の死者を、鴨川を渡り「六道の辻」を通って東山(昔は鳥辺野と呼ばれた)にある葬送地に運ぶための「生者と死者の境」だったそうで。また、あの三年坂(産寧坂)で転ぶと三年以内に死ぬ、という恐ろしい迷信も聞いたことありますよね。…そんな不思議な京都の街だからこそ、ひょっとして……もしかしたら……この作品のような摩訶不思議な出来事も実際に起きるかもしれないって、観ている私たちに思わせてくれるんです。

 

 作品の中の季節も夏。私たちも一時(いっとき)、不思議な、不思議なファンタジーワールドにトリップしてみませんか❓