オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

彼女は今もどこかの国で…〜『少女バーディ〜大人への階段』(Amazonプライムビデオ)


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 Amazonプライムビデオにて、映画『少女バーディ 大人への階段』鑑賞。

 

 時は中世13世紀、所はイングランド。村の領主の家に生まれた14歳のキャサリン(通称バーディ(小鳥さんの意味)…ベラ・ラムジー)は、村の男子たちと泥まみれになって遊んだり、小屋作りをしたりする(中世、小屋作りは男性の仕事だった)のが好きなお転婆な女の子で、家族や乳母はいつも彼女に振り回されてばかり(^_^;)。しかし周囲の暖かな理解と愛に包まれて、バーディは楽しく生き生きと毎日を送っておりました。しかしバーディの幸せな子ども時代も風前の灯。家族思いだが浪費家の父、ロロ卿(アンドリュー・スコット)のせいで一家は借金まみれ、父は一発逆転、バーディを大金持ちと結婚させ、持参金をせしめようと考えます。 絶対に結婚などしたくないバーディは初潮を迎えたことも絶対の秘密にして、一方で次々と押し寄せてくる求婚者たちを何とか断ろうと孤軍奮闘しますが……。

 

 『赤毛のアン』、『若草物語』、『長くつ下のピッピ』、『秘密の花園』……優れたガールズ・ストーリーは数々あれど、舞台を中世に持ってきたところがアイデアですね❗今では考えられないような風俗習慣が色々出てきますが(特に女性に対して)、賢いバーディが知恵を総動員して求婚者たち(その殆どが、金持ちだけど……ハッキリ言ってキモイ 笑)を次々と撃退していくところがスカッと爽快で、1番の見どころ。またバーディを演じるベラ・ラムジーがとてもキュートで役にピッタリ。


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※……ホントはバーディのことを可愛くてたまらないパパのロロ卿(アンドリュー・スコット

 

 実はヲタク、バーディの父ちゃん役のアンドリュー・スコット目当てで見始めたんだけど(^_^;)万年青年の彼もすでに46歳、パパ役をするようになったのねぇ……。この父ちゃん、最初は金遣いが荒くて優柔不断、(何この甲斐性なしのオトコ❗)って腹立ったけど、超演技派のアンドリューのこと、もちろんそのまんまぢゃ終わりませんぜ(笑)ストーリーが進むうちに、(あ、あれ❓この父ちゃん、じつは家族思いで案外男前なんぢゃん❓)と思い始め、そしてそして、最後の最後は全部彼が持ってったわ〜〜(*˘︶˘*).。.:*♡このキャラ変がちっとも不自然じゃないのは、ひとえにアンドリューの繊細で巧妙な演技のなせるワザ♥ああやっぱり、ヲタクが見込んだオトコだけあるわ❗(……何様❓(^.^;)


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※バーディにとって憧れのヒーローは、十字軍に遠征した叔父のジョージ(ジョー・アルウィン)。しかし彼は身分違いと裕福ではないため好きな人と結婚できず、親子とも年の違う未亡人(ソフィー・オコネドー)と結婚することに。バーディに向かって「僕は君が思っているようなヒーローじゃないんだ」と呟く彼の瞳が哀しい😢

 

 はるか昔、中世のおはなし……と思って私たち見ているけど、アフリカや中東、インドでは、男兄弟を大学に行かせるため、未成年で強制的に結婚させられる少女たちが大勢いるんです。10年ほど前、ヲタクは国連の人権関連の文書を仕事で翻訳した時、パソコンに向かいながら涙が止まらなかったのを思い出します。


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※望まぬ結婚に反抗するバーディを応援し、女性の権利が奪われていた中世において、自らも自立しようともがく、ジョージの年上の妻エセルフリサ。演じるは英国の名優ソフィー・オコネドー(『ホテル・ルワンダ』)。出番は少ないですが、強烈な印象を残します。ソフィーと言えばシェイクスピアの史劇をドラマ化した『ホロウ・クラウン〜嘆きの王冠』ヘンリー6世の妻マーガレット・ダンジュー。弱気な夫に代わって自ら武器を持って戦う気丈な女性を演じていました。

 

 この『少女バーディ』、コメディタッチで軽妙に描かれてはいるけれど、テーマはかなり重い気がする。過酷な環境で、それでも運命に懸命に抗いながら必死に生きた少女たちがいたこと、そして今でも、世界の何処かに存在していること……。特に、1人でも多くの同世代の若い人たちに見て欲しいと思います。埋もれた歴史と、今起きている事実を知るために。