オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

映画館で『デッド・ドント・ダイ』を観る幸せ💓

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  映画館で映画を観る、って行為が、こんなにも人を幸せな気分にするなんて、初めて知ったよ(泣)そもそも映画館って消防法によって換気が義務付けられているし、同一方向を向いて黙って観るものだし、しかるべきルールを守れば(マスク着用とか、飲食を控えるとか)営業可能なのでは…?って確か3月初めの記事に書いたヲタク😅しかしご存知のように一斉閉館の運びに…。

 

  今日行ったのはTOHOシネマズなんだけど、ネット予約も当日の夜中の零時以降しかできなくなっています。 体調の如何によって観賞可能かどうか変化するからでしょうね😊当然ながらマスク着用は必須、入口で体温を計測します。ちなみに予約ネット画面、前後左右一席ずつ空いているから、まるで市松模様状態(笑)

 

  開場時、マナーの良い私たち映画ファンは一定の間隔を保ち、マスクをつけ、うつ向き加減に、一定の速度で入場。様子は静かなるゾンビの行進にも似て、その風体で『デッド・ドント・ダイ』を観賞するシュールさよ(笑)

 

たとえヴァンパイア映画だってゾンビ映画だって、ジャームッシュジャームッシュ(笑)

  キャリア・アスピレーション(出世)を目指している人の映画を撮ることにまったく興味がない。僕のどの映画にもテーマとしてあるのが、そうしたキャリア・ハッスル(出世主義)の外側にいる人たちなんだ。

というジャームッシュの姿勢は、表現方法こそ違っても、もう最初からブレてない。

 

 極地の水圧粉砕工事のせいで地球の自転軸がズレ、死者が生き返るというあり得ない事態に。(どこかの国みたいに、政府はその事実を隠蔽😒💢💢)アメリカの田舎町、銀行強盗もなく拳銃の撃ち合いもなく平和なパトロールの日々を送っていた二人の警官クリフ(ビル・マーレイ)とロニー(アダム・ドライヴァー)は、そのせいで想像を絶する修羅場に立ち向かうハメに…。

 

  いくらオフビートなジャームッシュ作品とは言え、路線バスを運転する時と同じように😅無表情にゾンビの首をフルスィングでハネていくロニー(アダム・ドライヴァー)がある意味ゾンビに負けないくらいブッ飛んでる(笑)ビル・マーレイ自身❓もそれを不審に思っていたらしく、終盤近く、アダム・ドライヴァーを問い詰める場面、楽屋落ちみたいでちょっと笑っちゃいます。(いつもながら、そこかしこにジャームッシュ流くすくす笑いが…)

 

  ジャームッシュのゾンビは、生きていた時の物欲(執着)を忘れてないって設定だから、コーヒーゾンビとかシャルドネゾンビ、抗不安薬Wi-Fiゾンビとか、あってあらゆるゾンビが出て来るんだけど、個人的には、ホラー映画ヲタクで、ゾンビ映画の知識を生かして途中までめっちゃ頑張る(最後には矢折れ、力尽きる…南無阿弥陀仏🙏)ボビー・ウィギンス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ…『スリービルボード』で、サム・ロックウェルにボコボコにされちゃった人ね😅)にめっちゃ感情移入しちゃいますね😅(ホビットの)ビルボ・バギンスになりたかったのに、ちょっとハズレちゃう哀しい青年(笑)自作の『吸血鬼ノスフェラトゥ』のTシャツを着て、旅行者のお客さんに「このへんにベイツモーテルみたいなバンガローある?」って聞かれ、「『サイコ』に出てくるのはバンガローじゃない」ってつい余計なことを口走り、相手にドン引きされるって言う…😅ヲタクあるあるですね、ハイ(汗)

 

 そしてそして、どこからともなくふらっとやって来て、葬儀屋の女主人に収まった不思議な女性ゼルダ役に、ジャームッシュ監督のマブダチ、我が愛しのティルダ・スウィントンさまぁぁぁ~~😍硝子玉みたいなblank eyesで、柔道着に日本刀を差し、金色の仏像に「阿弥陀仏…」と呟く姿を見ただけで、ヲタク的にはもう、後光が射すようで眩しいくらい(うっとり)しかも、真剣を閃かせながらゾンビをバッタバッタとなぎ倒し…きゃあああ、シビレるぅ(笑)クリフ(ビル・マーレイ)はスコットランド人だって言うんだけど、英語の発音からして、ヲタク的には東欧か北欧辺り❓って思った。しかし最後にまさかの…$@Ψ¥&#そっちかいいーっ❗そう言えば、その前のアダム・ドライヴァーとの会話に伏線があるんだわ。

 

  森の中に住むホームレスだけが(たぶん😅)生き残る象徴的な結末。彼が呟くメルヴィルの『白鯨』の一節…『無数の人間の名状しがたき悲惨』そして、彼のさらなるモノローグ…

ゾンビは、物質文明の遺物なのさ。底なしの欲にかられたあいつらは、最初から魂をなくしていたんだ。金や車と引き換えに、魂を失っちまった。

…は、ジャームッシュ監督の今の偽らざる心境でしょう。

 

  全編を通じて流れる主題歌『デッド・ドント・ダイ』を歌うのは、アウトローカントリーミュージックの雄、スタージル・シンプソン。アメリカでは保守派の代表的な音楽とされるカントリーミュージック界で、『反トランプ』『人種差別反対』『同性愛差別反対』を掲げる彼はまさにアウトロー

 

  警官による黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死に端を発し、各地で抗議活動の火の手が上がり、根底から揺らぐ大国アメリカ。そんな母国を、スタージル・シンプソンは、そしてジム・ジャームッシュ監督は今、どんな思いで見つめるのか…。

 

  ヲタクの耳には今も、哀切なテーマ曲が鳴り響いています。

 

 

  

 

  

 

素晴らしく非日常~オペラ『サムソンとデリラ』

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WOWWOWで、3時間にもわたるMETライブビューイング『サムソンとデリラ』(サン・サーンス作曲)一挙放送❗なんという贅沢、なんという非日常❗

 

  METライブビューイングとは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の舞台公演を世界中の映画館に生中継する『Metropolitan Opera Live in HD』のこと。日本の場合は残念ながらライブではなく数週間遅れの録画で上映されますが、それでも…ねぇ❗❓

 

今回WOWWOWライブチャンネルで放送されたのは、2018年10月20日に上演された、当代きってのメゾソプラノエリーナ・ガランチャ(デリラ)と、ロベルト・アラーニャ(サムソン)の、もはや伝説の舞台。

 

  このオペラは旧約聖書に登場する怪力の英雄サムソンの逸話を題材にしたもの。キリスト生誕前のパレスチナユダヤの神ヤハウェを信仰するヘブライ人たちは、ペリシテ人の圧政に苦しんでいました。鎖を引きちぎって人としての自由を手に入れようと民衆を励ますサムソン。そこに登場するのが、ペリシテの稀代の妖女デリラ。彼女はその肉感的な魅力でサムソンを陥落し、ワナに嵌まった英雄はペリシテ人たちの囚われの身に…。

 

  ライブビューイングだと、まるで映画と同じで、歌い手さんたちの細かい表情まで見えますから、ガランチャが最高の歌い手であると同時に、不世出の名女優であることがよくわかります。幕間のインタビューでも彼女自身が話していましたが、デリラを単なるファム・ファタール(男を翻弄し、破滅させる悪女)ではなく、もし違う時代、違う条件でサムソンと出逢っていたら、恋は成就していたのではないか…?と、観ているこちら側にふと思わせるところが心憎いし、ガランチャ流なんですよね😉彼女は、歌唱技術は勿論のこと、演じる役柄を深く理解・分析し、時には大胆な新解釈を試みることでも有名な人。一方、天才ガランチャをがっちりと受け止める相手役のテノールロベルト・アラーニャはクラブの歌手からオペラに転身した経歴を持つ変わり種で、人間的な弱さと優しさを併せ持つ役をやらせたら天下一品❗やはりMETライブビューイングで上映されたビゼーの『カルメン』のドン・ホセ役はその最たるものでしょう😍(カルメン役はやはりガランチャでした。ゴールデンコンビですね✨)

 

  『カルメン』同様、『サムソンとデリラ』も、使われる言語はフランス語。信仰と民衆の為に命を捧げようと誓うサムソンに、神ではなく私を見てとかきくどくデリラ。有名なアリア「あなたの声に私の心も開く」(Mon coeur s'ouvre à ta voix)など、濃密な大人の愛のオペラにはフランス語が良く似合う(笑)サムソンが何度も「ジュテーム❗」って繰り返す箇所があるんだけど、背中ゾクゾクしちゃう(笑)

 

  3幕、反逆者のリーダーサムソンを捕らえたペリシテ人が、ダゴンの神殿で勝利を祝うのですが、半裸の男女が延々と踊る祝祭のダンスが…なんというか、異教的で、官能的で、エキゾチックで…。まるでモダンダンスの1つの作品のよう👀見応えがあります❗

 

 ゴージャスでスタイリッシュな舞台装置と衣装も必見❤️芸術のあらゆる要素を内包した、確実に異次元にトリップできる舞台でございました❗


サン=サーンス《サムソンとデリラ》 | 演目紹介 | METライブビューイング:オペラ | 松竹

あの美青年よ、今いずこ(笑)~ジェームズ・スペイダー in 『ブラックリスト』

夫が毎晩夢中になってるアメリカのドラマ『ブラックリスト』(主演・ジェームズ・スペイダー)

 

  ヲタクは画面を横目でチラチラ見ながら、ジェームズ・スペイダーのここ15年ほどのビジュアルの激変ぶりに心底驚きながらその一方で、若い魅力に驕ることなく(大多数のイケメン俳優たちは大体その驕りに自分を見失って、やがて消えて行く😅)、演技力を磨き続け、魑魅魍魎の米国メディアでしたたかにサバイバルした彼のパワーに驚嘆する。…そして同時に彼の、もはや二度と戻って来ない儚げなあの若き日の美貌に思いを馳せる。

 

  米国の雑誌『M』の表紙に登場したジェームズ・スペイダー。特集はまさに"Neurotic WASPs"。WASPって、W(ホワイト=白人)、AS(アングロサクソン)、P(プロテスタント)の略。1980年代のイケイケヤッピーの大半がこういう人たちで、スペイダーくんは映画の中で、鼻持ちならないエリート青年とか、セレブのひねくれボンボンとかを演じてたわけ。1980年代、ハリウッドの青春映画に出演する一連の『ブラットパック』という若い俳優たちの一団がいて、大抵の人たちは消えてしまったけど、生き残って今でも活躍してるのがトム・クルーズとスペイダーくんくらいかな😅ストイックに肉体改造し、永遠の若さを追及し続けるトム・クルーズと、ハ◯・デ◯な姿をさらけ出してそれをも武器にするスペイダーくん。真逆だけど演技のプロフェッショナルに徹する二人だけが残ってる…というのが、感慨深いですねぇ。

 

  Neuroticっていうのは神経症的な…っていう意味ですが、彼のその演技ラインの究極が映画『僕の美しい人だから』(1990)。内容からかけ離れた何ともセンチメンタルな邦題ですが、原題は"White Palace"。ヒロイン(スーザン・サランドン)が勤めるハンバーガーショップの名前。スペイダーくんは広告代理店に勤務するユダヤ系のヤッピーで、超潔癖症。それがふとしたきっかけで知り合った、年上でその日暮らしの、しかも『片付けられない症候群』のスーザン・サランドンと恋に落ちる…っていうおはなし。ちょっとあり得ない設定なんだけど、何しろスーザン・サランドンとスペイダーくんの演技が上手くてリアルで、いつのまにか引き込まれちゃう。あの映画の頃のスペイダーくんは、ブロンド(今は殆ど髪の毛なくて想像もつかないでしょうが😅本来はキレイな金髪なんですね)、薄いブルーの三白眼(本国ではblank eyesなんて呼ばれてた)で、めちゃくちゃイケメンでやんした(笑)この記事書くのにちょっと確認しておきたい場面があったので動画配信サイトをくまなく探したんだけど…

どこにも配信されていない!DVD化もされていないらしい…(泣)

まさにまぼろしの美青年時代(笑)

 

  まさに王子様的なビジュアルだったにも関わらず、それに安住することなく、実験的な映画や役柄にも果敢に挑戦し続けたスペイダーくん。秘書として就職した自分に自信のないヒロイン(マギー・ギレンホール…あの個性派俳優ジェイク・ギレンホールのお姉さん😊最近スクリーンで見かけないけど元気なのかなぁ)が、サディストのヘンタイ上司(スペイダーくん…イケメンだからタチが悪い😅)と職場で!SMプレイにハマっていく…なーんてブッ飛んだ映画(『セクレタリー』2002)にも出てたわね。一筋縄ではいかない個性派イケメン俳優の面目躍如でした。そう言えば、問題作『クラッシュ』にも…。

 

どんなにビジュアルは変わっても、やっぱりスペイダーくんは超イケメンなり(笑)

 

That's 悪役❗なベネディクト・カンバーバッチ~『リチャード三世』


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  シェイクスピアの作品の中でも、特に英国歴代の王たちの生涯を描いた史劇の数々をドラマ化した『嘆きの王冠~The Hollow Crown』。この稀有なシリーズもいよいよ大詰め、大トリを務めまするは、現代英国の演劇界でこの人ほど相応しいオーラ溢れる俳優はいないでしょう、ベネディクト・カンバーバッチことベネさまのリチャード三世❗

 

  王でありながら、歴史上これほど英国の国民に忌み嫌われた君主もいません。王位に就く為に、他人はおろか親族、兄弟までも手にかけ、王冠を手にしてからも謀叛を恐れ、疑心暗鬼のままに、数多くの人々を暗殺した、残虐極まりない血塗られた国王。

 

  特に、当時王位継承者であった甥のエドワード(当時12才)を戴冠式の前日に幼い弟と共に拉致しロンドン塔に幽閉、挙げ句の果てに刺客を放って暗殺した事件は、陰惨なロンドン塔の歴史の中でも最も悲惨極まりないものです。ヲタクがロンドン塔を観光した時も、ガイドさんが真っ先に話していましたから…😢

 

  さて『リチャード三世』の冒頭、上半身裸のリチャードは、背中に大きな瘤が盛上がった、衝撃的な傴の姿を観る者に晒しながら、あの有名な独白(モノローグ)を吐くのです。

俺は不具者で、醜い、女になんてモテやしない。戦争が終わっちまったから、活躍の場などありゃしない。だから決めた!悪党になってやる!

この科白ね、初めて読んだ時びっくりしましたよね。「悪党宣言」するキャラって初めてだったから(笑)まあでも、王子3人の中で一人醜く、幼い頃から狂暴な性格の為に母親である王妃(ジュディ・デンチ)から疎まれ、「お前を産んだこの子宮を呪う」なんて言われちゃね…。ベネさまがまたね、サイコパス的な殺人鬼とは違う、生まれた時から否定され続けて、自らが何なのかを見失って、『絶対的な悪の力』を手中にしようとあがくリチャード三世を、その圧倒的なパワーでグイグイ演じ切ります。極悪非道な中に、時に自らの醜悪さを冷笑したり、かと思えば人たらし的な愛嬌を滲ませたりして、もうベネさまの独壇場ですよ😅

 

  陰謀と策略で王冠を奪い取ったリチャード三世の治世は長くは続きません。正当な王位継承権を主張するリッチモンド伯ヘンリー(のちのヘンリー七世)が蜂起、リチャード三世は窮地に追い込まれます。戦いの前夜、王冠を手中にするために今まで手にかけた者たちの亡霊に悩まされ、悪夢にうなされるリチャード三世。「誰かいるか?…いない、俺だけだ。人殺しはいるか?いない…いや、いる。俺が」と、自分は一体何なのか、迷い、逡巡する無限地獄に堕ちていくわけです。

 

  ベネさまは、ストレートな役柄よりも、心に闇を抱え、二面性を持った役が合いますねぇ…。ご本人はいかにも、端正な英国紳士の風貌ですが。『イミテーションゲーム』、ナチスの暗号エニグマを解読、得意の絶頂にあったアラン・チューリングが同性愛のかどで逮捕され、去勢されて誇りをズタズタにされ、廃人同様になってしまう、あのメリハリの効いた演技。素晴らしいの一言でしたが、今回のリチャード三世もまた、劇前半の圧倒的な悪と、そこから一歩踏み外した時の惨めな凋落…この際立つ二面性があるからこその、ベネさまの忘れ難い名演となりました。

 

  あの発明王エジソンが絡む電力ビジネスバトルを描いた『エジソンズゲーム』もまもなく公開❗世間のイメージとかけ離れた、傲慢で謀略に長けた天才発明家を演じているようで、こちらもめちゃくちゃ楽しみです😊


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『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』の吸血鬼から『デッド・ドント・ダイ』のゾンビへ

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  ジム・ジャームッシュ監督の最新作『デッド・ドント・ダイ』本日公開❗諸々の事情で映画館に観に行けるのは来週になりそうなヲタクであるが、まっその前祝い❓的に、今日は同監督の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年)のお話を😊

 

  今回の『デッド・ドント・ダイ』、「ジム・ジャームッシュ監督の新作はまさかのゾンビ映画❗❓」…と、意外だという声が大多数のようですが、その前に『オンリー・ラバーズ~』を観ておくと、当然の帰結…というか、自然な流れのように感じます。

 

  主人公は、何世紀にも渡って生き続けて来たヴァンパイアの夫婦、その名もアダム(トム・ヒドルストン)とイヴ(ティルダ・スウィントン)。アダムはアングラのカリスマミュージシャンとして、デトロイトの廃屋のような古い大きな家にひっそりと暮らし、古書収集家のイヴはタンジールで大量の本に囲まれて暮らしています。アダムは最近、人間たちの蛮行に心を痛め、ひどく厭世的になっていて、なんとはなしにそれを感じ取ったイヴが、夫を励ましに訪れることからお話が進んでいきます。

 

  彼らは人間に噛みついて血を吸う…なんて野蛮なことは決してしません😅「質の悪い、汚れた血液を飲むと体に悪い」と言って憚らず、ヴィーガン好きのセレブよろしく、医者から闇取引でゲットした「キレイな血液」で、細々と生きています😊

 

  この二人の愛の交歓場面は、ヲタク的には映画史上5本の指に入るラヴシーンだと思います😊まるで美術品…みたいな。ロダンの彫刻『接吻』を彷彿とさせる…みたいな。

 

  愛を確かめあった二人は、月に浮かび上がる深夜のデトロイトの街をドライブします。パッカード工場、ジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場…。様々に美しい廃墟を眺めながら、アダムは古き良き時代の終焉、欲にまみれた人間たちの愚行の産物だと嘆きますが、あまりにも長く生きすぎたせいか?😅ひどく人生を達観して楽天的なイヴは、

「大丈夫❗デトロイトもきっと再び繁栄する時が来るわ」

と、アダムを励ますのです…。

 

 キャリア・アスピレーション(出世)を目指している人の映画を撮ることにまったく興味がない。僕のどの映画にもテーマとしてあるのが、そうしたキャリア・ハッスル(出世主義)の外側にいる人たちなんだ

…と語り、アメリカという物質主義、マッチョ文化の権化のような国で、主流から外れた人々へ温かい眼差しを注ぎ続けて来たジム・ジャームッシュ監督。『オンリーラヴァーズ~』の中でアダムは、欲望を肥大させ、それを得る為には手段を選ばない人間たちのことを『ゾンビ』と呼んでいるんですね😅

 

  はてさて、そんなゾンビたちの末路はいかに❗❓映画館で、この目で確かめてまいりましょう。

 

 

 

  

 

  

身分違いの恋💕されど…『あなたの名前を呼べたなら』

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  それだけじゃない❗インドの『今』、女性の置かれている立場や自立問題、カースト制度や古い因習…。様々に深いテーマを内包した作品です。ヲタクが以前、横浜のミニシアター『ジャック&べティ』の片隅で涙した珠玉の佳品が、動画配信サイトで見れるようになりました❗

 

  いまだに名誉殺人なんて風習が横行しているインドで、メイド(しかも本人が言うようにインドの地方の村では『すでに人生が終わった』19才で未亡人になった女性)と、身分の高いご主人様の禁断の恋愛を描いた作品なんて、初めて見ました😮あの『インドの良心』アーミル・カーンだって手をつけられない不可侵領域じゃないんだろうか…。本国では上映を許されず、1年経ってやっと上映にこぎ着けたといういわくつきの作品です。

 

  …とは言え、映画の醸し出す雰囲気はあくまでも甘く、切なく、物悲しい。高層マンションから眺める、煌めく宝石のようなムンバイの夜景、ヒロインのラトナ(ティロタマ・ショーム)が身に纏うサリーの鮮やかな色合いはこの上もなく美しく、そしてそして、彼女が旦那様(いみじくも原題はそのものズバリ"Sir")に日々作るライムジュースやサンドイッチや数々のインド料理が美味しそうなこと❗🤤

 

  監督・脚本・製作を手掛けた若き新鋭ロヘナ・ゲラは、スタンフォード大学の学位を持つアメリカ育ちのインド女性。生粋のアメリカンだったら、それこそ『エリン・ブロコビッチ』や『スキャンダル』みたいに、戦うアマゾネス的な切り口になっちゃうのかもしれないけど、一見たおやかに見えながら何物にも動かされない芯の強さを持つラトナの人物造型は、彼女の生まれながらのDNAがそうさせたのか…❓

 

  着目したいのは監督だけでなくヒロイン役のティロタマ・ショームもニューヨークで教育を受け、世界で活躍するインド女性であり、旦那様アシュヴァン役のヴィヴェーク・ゴーンバルもインド系シンガポール人であると言う点。ある意味彼らはインド社会のアウトサイダーなんですね。こういう画期的な作品がインド国内で製作されるようになるには、まだまだ時期尚早…ということなんでしょうか。

 

  それにしても、アシュヴァンから「名前を呼んで欲しい」と何度も懇願されながら、頑なに「旦那様」と呼び続けたラトナが、初めて愛しい人の名前を口にする瞬間…。その一瞬に、この作品の全てが凝縮されているように思います😊

 

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☆おまけ

日本版と海外版のポスター、これ同じ映画なの❗❓って突っ込みたくなるくらいイメージ違いますよね😅いつも控え目で感情を表に出さず、愁いの表情が印象的なラトナが、唯一弾けるように踊る祭りの場面を海外版は切り取ってます。お国柄…と言ってしまえばそれまでですが、なかなか興味深いです😊

 

 

 

 

 

  

 

 

  

そして少年は大人になる~WOWWOWシネマ『僕はイエス様が嫌い』

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近年の注目日本映画を特集した、WOWWOWシネマ『日本映画最前線❗』。大トリを務めるのは、奥山大史監督の『僕はイエス様が嫌い』(6月11日(木)21時~)

 

  雪深い地方都市の祖母の家に、東京から両親と共に引っ越してきた少年ユラ。その地のミッション系の小学校に転校する。もともとキリスト教の素地もなく、毎日の礼拝に戸惑うユラの前に、ちっちゃなイエス様が姿を現す。ユラ以外の人には見えないが、いつも彼の願いをかなえてくれるイエス様。サッカーが上手な素敵な友だち、和馬も出来て毎日がハッピーなユラは、次第にイエス様の存在を信じ始めるが、大きな試練が…。

 

  ユラのちっちゃなイエスさまは、言わば子ども時代のサンタクロースのようなもの。「いい子にしていたら、クリスマスにはサンタさんが素敵なプレゼントを持って来てくれるわよ」っていうね。神様にお祈りすれば、いい子にしていれば、神様は何でも願いを叶えてくれる。ひねくれた大人のヲタクだって、そんなふうに信じてた可愛い時代もあったんだよ(笑)サンタさんなんて本当はいないんだ、神様だって忙しくて、何でも願いを聞いてくれるわけにはいかないんだ…って、苦い思いを抱き始めたのはいつのことだったろう。昔すぎてもはや思い出せない(笑)

 

  雪深い森の中にある親友の和馬の別荘で、和馬と、和馬のママと三人で一緒に過ごすクリスマス。フワフワと楽しそうな、まるで少女のような和馬のママ。

「和馬のママって、いつも笑ってるね」

「いつも笑ってたら、おかしいでしょ、それ」

  そんな他愛もない少年たちの会話が、来るべき悲劇の伏線になっているとは、観ている誰が想像できたでしょうか😢

  そして、大きな試練に直面したユラが、自ら選ぶ残酷な結末。

 

  純白の雪に止まった白い鳥、風にざわめく雑木林、北国の冬の冷たい空気の匂い……そして、全編を流れる『主よ終わりまで』、『聞けや愛の言葉を』、『Jesus loves me』などの讃美歌が心に染み入ります。

 

  人生のとても早い時期に、アダムとイブのように、子ども時代というアルカディアから追われ、『メメント・モリ』という厳しすぎる人生の現実に直面しなくてはならなかったユラ。それでも私は、その小さな肩を抱き寄せて耳元で囁いてあげたい。「あなたのちっちゃなイエスさまは、やっぱりどこかであなたのことを見ているよ」…と。なぜなら、ユラの願いを叶えてあげられなかったちっちゃなイエス様の、悲しげな表情と、悄然と肩を落とした姿が、ヲタクの心の中に今でも残っているから…。

 

  奥山大史監督は、青山学院大学在学中に本作品を自主製作。監督・脚本・撮影・編集のスーパーマンぶり。グザヴィエ・ドランかよー❗(…って最近こればっかのヲタク😅最近の日本映画がいかに元気かのあかし😉)

 

 このデビュー作で、史上最年少、若干22歳で第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞、第29回ストックホルム国際映画祭、第13回ダブリン国際映画祭における最優秀撮影賞の受賞、瞬く間に世界の映画界の寵児となりました。

 

好きな監督の共通点って、その人の軸があって、作りたいものだけを作っている人ですし、そのほうが圧倒的に格好いいですよね。

…と、仕事を持ちながら自らの映画製作のスタンスを守り抜こうという奥山監督。その意気や、良し❗😊

 

  今、日本映画界を脈々と流れる若き潮流。その熱いうねりをあなたも❗

 

  

煌めく若き才能・片山慎三監督~『岬の兄妹』WOWWOW

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WOWWOWシネマチャンネル、6 月3日(水)23時10分~『岬の兄妹』。昨日ご紹介したWOWWOW『日本映画最前線❗』9作のうちの1つです。

 

  ある地方の港町で暮らす兄と妹。兄は足が不自由で妹は自閉症。ちょっと目を離すと妹はすぐに外に出て行ってしまうので、港で働く兄は自分が留守の間、室内の妹を鎖で繋いでいる😢そんなある日、外にさ迷い出た妹は見知らぬ男と一夜を共にし、お金を貰ってくる。その時は妹を殴り、その行為を激しく叱責した兄。しかし仕事を解雇され、生活がますます逼迫して来た時、兄は妹の手を取り、『妹を見知らぬ男たちに売る』為に、夜の港町を二人で徘徊し始める…。

 

  これちょっと、あらすじ読んだだけでもエグすぎて😅二の足踏むような内容なんで迷ってたんですが、何しろ各界の著名人から絶賛の嵐なんですよね😮特にヲタクの敬愛する白石和禰監督、池松壮亮くん、ポン・ジュノ監督…etc.…なんで、怖いもの見たさで(笑)こわごわ観た映画です。

 

  ストーリー的にはもう、救いようのない展開なんですが、ところどころ陰鬱なユーモアが感じられるのは、兄役の松浦祐也さんの演技のせいかなぁ。お金に困って、障害のある妹に売春させるなんて、下の下の外道で、ぶん殴ってスマキにして海に投げたいくらいなんだけど、女性の立場からしたら😅…でもあのいかにも気が弱そうな、上目遣いの卑屈な笑顔を見ると…(笑)妹が逃げないように玄関の扉に南京錠をつけて仕事に出るんだけど、それをこの兄、帰って来た時にはトンカチでぶち壊しちゃう😅扉には、今まで幾つも壊した跡があって…。(えっ❗❓なんで❓カギはどこに行ったの❗)って思うんだけど、もしかすると監督はあの場面で、兄のほうも若干知的な障害があることを暗示しているのかな…と思ったんですね。だとしたら、彼のいろいろ常軌を逸した行動も納得がいくし、彼が妹と二人、生きていく唯一の方法として考えついたのが妹の売春だったとしたら、あまりにも切なすぎる😢

 

  一方妹のほうは、薄暗い部屋で鎖に繋がれた生活から、売春によって独居老人や小人症の若者に悦びを与えることにより、次第に女性の自我に目覚め、自己発現していくという、痛烈に皮肉な展開になっていくんです。そして心だけでなく、彼女の体にも変化が…。

 

  妹を演じた和田光沙さんの最後の表情、素晴らしく印象的。この兄妹にとって、いや私たち人間にとって、『生きる』ってどういうことなのか、真の自己充足ってどういうことなのか、深く考えさせられる結末になっています。(和田光沙さん、白石監督の『止められるか俺たちを』にご出演されてたそうなんですが、はて、どの役だったんだろう😅しっかし今作では一度見たら脳裡に焼き付くパワフルな熱演、凄い女優魂です❗)

 

  どこかの記事で『地方都市の暗部を描く』って見たけど、いや、そんな事言ったら地方都市に住んでる人たち怒るよ(笑)まずもってこの港町の社会福祉制度はどこに存在するの❓って話だし😅兄の幼なじみが警官で、度々兄にお金を用立ててあげるんだけど、ヲタク思わず(おいーーっ、おカネ貸すより福祉事務所に一緒に行ってあげなさいよーっ(°Д°))って画面に突っ込んだ😅…でもね、これはリアルぢゃなくて、一種の寓話だと思うんですね。シンボリックな寓話なんだ、って思って観ました。社会の常識とか、脆弱な倫理観とか、全てぶち壊す、渦巻くエネルギーに満ちた寓話。

 

 この鮮烈な作品でデビュー、 製作・脚本・監督・編集と全てをこなした片山慎三さん。グザヴィエ・ドランかよ…。若干39才、この機会に、日本映画の煌めく若い才能をぜひ体感してみて下さい😊

 

  

 

  

映画『サラバ静寂』~WOWWOW放映

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 映画『サラバ静寂』WOWWOW放映❗日本映画界の鬼才たちをWOWWOWが大特集😆(6月1日~4日と、7日~11日、2部に渡り、合計9本を放映)ラインナップがめちゃくちゃヲタク好み💕その名も、『日本映画最前線❗』トップバッターを飾るのは、『サラバ静寂』(R15+、2018年)。6月1日23時~(あれ❗❓もう明日だ=笑)残念ながら劇場では見逃しましたが、映画『リバーズエッジ』で、摂食障害の少女役で強烈な印象を残したSUMIREと、数々の作品でエッジの利いた演技を披露する吉村界人に惹かれて、動画配信で観た映画😆

 

  時は日本の近未来❓映画も、文学も、音楽も法律で禁じられた世界。…もう、設定聞いただけで気が狂いそうになるヲタク😅町工場に働き、遊興を奪われた世界で単調な毎日を送るミズト(吉村界人)とトキオ(若葉竜也)。禁じられた音楽を聴いて、ファナティックな警官(斎藤工)になぶり殺されてしまった男の家に偶然紛れ込んでしまった二人。初めて音楽に触れた若い二人の、喜びようが可愛い。特にトキオ役、若葉竜也の無邪気な表情ね❗あー、あの『愛がなんだ』のナカハラくん思い出しちゃった。その後二人を襲う悲劇を考えると、胸が締め付けられます😭

 

  警察に発見され、リンチの果てにトキオを失ったミズトは、殺された男の娘でやはり音楽を愛するヒカリ(SUMIRE)と共に、音楽が自由に聴けるという地下組織『サノバノイズ』を目指します。万引きを繰り返しながら旅する二人。まるで歌舞伎の道行きか、はたまた『俺たちに明日はない』のボニーとクライドか…。若い二人の瑞々しい演技が光ります。特に、浅野忠信CHARAという当代きっての役者とアーティストの血を引くSUMIREは、たとえ法律で禁じられても、命を賭けても『音』を求めずにはいられないこのヒカリという役にピッタリ❗

 

  そして忘れちゃいけません、狂気のサディスト警官杉村役の斎藤工きゅん😍最悪のクズなのになぜかゾクゾクするくらいセクシーなのは、映画『レオン』のゲイリー・オールドマンを彷彿とさせますな~😉西のゲイリー、東のタクミ❗工きゅんはこの杉村役、銀髪で演じたかったらしく、宇賀那健一監督に却下されたのに、あきらめきれずカラー剤を現場まで持ってきたとか(笑)まあでもねぇ、銀髪でアレ演じたら、インパクト強すぎて、たった20分位の出演時間なのに、主役のジャン・レノを食っちゃった『レオン』のゲイリーみたいになっちゃう(笑)それはマズイ。ツーブロックで止めといて◎😅

 

  今でも世界のどこかで繰り返されているであろう権力という名の暴力と狂気、それに踏みにじられる若者たちの哀しみ…。神経がヒリヒリするような映画なんだけど、群馬でロケしたという、雑木林や沼の水面の静謐さ、場末の街の廃墟のような美しさのコントラストがなぜか最後まで心に染み入ります。

 

  日本映画の若き才能が結集した映画をこの機会にぜひ😍

 

  

 

ポン・ジュノ監督もおススメ~黒沢清監督『トウキョウソナタ』

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  黒沢清監督演出による『スパイの妻』。放送をあと1週間に控え、気もそぞろな近頃のヲタク(笑)TVドラマはそれほど見ないので😅ドラマをこんなに心待ちにするのは久しぶりのこと。期待の映画やドラマの新作の公開&放送が迫ると、屋根裏部屋からやおらその監督や出演俳優の旧作のDVDを引っ張り出して見直したり、見逃していた作品を動画配信サイトで見て予習しておくのが常。

 

  今回見直したのが、同監督の『トウキョウソナタ』。『セブンスコード』や『散歩する侵略者』『岸辺の旅』も好きなんだけど、ロマンスものやSFぢゃなくって、なぜか家族の話を観たい気分だったんですね、今日は(笑)

 

  第61回カンヌ映画祭『ある視点部門』審査員賞その他、数々の映画賞を受賞、日本だけでなく世界にも認められた名作ですね。『パラサイト~半地下の家族』のポン・ジュノ監督が『世界一受けたい授業』で日本映画ベスト3を選んだんですけど、その中に入っている1本でもあります😊

 

  『トウキョウソナタ』に見られる家族の関係って、いかにも日本的というか。ポン・ジュノ監督の『パラサイト』では、家族同士ナマの感情剥き出しで、徹底的にやり合い、お互いを容赦なく突き詰める。だからこそ人生の悲劇も喜劇も異様な振れ幅で、運命が火の玉みたいに坂道を転がっていきます。

 

  『トウキョウソナタ』でも、発端は『パラサイト』と似たようなもの。両親と兄弟二人、小さな戸建てに住むごくごく平凡な家族。しかし、父親(香川照之)がある日突然会社をリストラされたことをきっかけにして、少しずつそれぞれの歯車が狂い始めます。父親の沽券に関わる…とばかり、リストラされたことを妻にも言えず、家の中では相変わらず息子たちを怒鳴り飛ばしながら、スーツを着て街をうろうろする父親。同じように失業中の学生時代の同級生(津田寛治)。携帯を自動的に鳴らすようにセットして、仕事のフリをし続けるエピソードも、滑稽で物悲しい😢母親(小泉今日子)は夫のリストラにうすうす気づきながらも、なぜかそれを追及することもせず、毎朝能面のような笑顔で夫を送り出すのです。『パラサイト~半地下の家族』と決定的に違うのが、この母親の描きかたでしょう。

 

  てんでばらばらにやりたい放題な男たち(父親=香川照之、長男=小柳友、次男=井之脇海)を、黙って陰で支え続けて来た母親は、ある晩突然プッツンしちゃう(笑)。なんと、強盗犯(役所広司)と一緒に、逃避行を繰り広げちゃうんです😮その晩は母親だけでなく、男たちもそれぞれ、命に係わるような散々な目に遭遇するんだけれども、結局翌朝にはみんな三々五々家に戻ってきて、いつものように黙って食卓を囲む。あの場面、ヲタク的には『パラサイト』の結末に負けないくらい、シュールで怖かったよ(笑)

 

…でもよくよく考えると、そういう、真実を白日のもとに晒さない、何事も突き詰めない、あえて曖昧にやり過ごすっていうのも、日本古来の美徳なんじゃないの❓悪くないよね…って今回観てそう思った。谷崎潤一郎『陰翳礼讚』の世界だわ…。まるで昨今世界中で話題になっている、日本のミステリアスな新型コロナ対策みたいに。それとも単に、年をとっただけなのか、じぶん(笑)

 

  次男坊の井之脇海くん(当時は小学校6年の役)。大人になってからも、『帝一の國』の生徒会副会長や『海辺の生と死』、『ザ・ファブル』のお間抜けヤクザなど、出演シーンは少なくても眼で語る、というか、とっても印象的な演技をする人なんですよね😊もっと注目されてもいいと思うんだけど…😅あっ、それから忘れちゃいけません、瞳に微かに狂気を秘めたかのごとき小学校教師役のアンジャッシュ児嶋一哉❗黒沢監督という方は、異分野の逸材を発掘する慧眼がスゴイ😮(『セブンスコード』の前田敦子然り)

 

  ポン・ジュノ監督は『日本の若者にもっと見て欲しい映画』って仰っていましたが、オジサンオバサンにも見て欲しい(笑)まあ、身につまされて苦しくなるきらいはありますが😅

 

 

 

  

 

 

 

  

 

  

異形の宴と生命讃歌~『ボーダー~二つの世界』

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  2018年カンヌ映画祭の『ある視点部門』グランプリ作品。あの名作映画『ぼくのエリ~200歳の少女』の原作者であるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが自身の原作を自ら共同脚本、監督した作品です。当時の審査員だったギレルモ・デル・トロ監督が

強い詩。社会に見捨てられた者が人生において愛と怒りの間で選択を迫られる、大人のためのおとぎ話。

と絶賛したと聞いてましたから、デル・トロ監督の大ファンであるヲタクとしては外せない作品なわけです😉

 

  一般的に北欧ミステリというと、社会に潜む様々な問題を、事件の犯人探しをする過程であぶり出していく手法がとられます。本作品は、映画の日本公開時には『北欧ミステリー』と銘打っていましたが、『児童虐待』という、福祉国家スウェーデンの闇を象徴する事件(ミステリー的要素)を絡めつつも、マイノリティ~デル・トロ監督言うところの社会に見捨てられた者~の悲哀と再生をファンタジックに描いていて、正確には、ミステリーとダークファンタジーの融合とでも言いましょうか❓その着眼点が新しくて、『ある視点部門』グランプリというのは超納得❗

 

  『ぼくのエリ』では主人公が美しい少年少女なので、血のメタファや残酷さと美の融合が鮮烈でしたが、今回のヒロインは中年のオバサン(笑)…なんで、ヲタクとしてはめちゃくちゃ感情移入しやすかったです(笑)

 

  ヒロインのティーナ(エヴァ・メランデル)は、特異な風貌の持ち主(本人は染色体異常と信じ込んでいるがじつは…)。彼女には他人には真似できない特殊能力がありました。それは、人間の負の感情、つまり嫌悪や羞恥心、後悔などを『匂い』で嗅ぎ分ける能力。彼女は自分の風貌や体つきを醜悪だと思い、人とは違う性癖や嗜好を恥ずべきと考え、自らを極度に抑圧し、社会の片隅でひっそりと生きています。「醜い為にいじめられた」という事実は映像では描かれず、ティーナが幼い日の微かな記憶として語るのみ。ティーナの周囲にいる人たちは、彼女とのボーダーをあたかも意識していないかのように振る舞っています。皆、優しい人たち。…でも、ティーナにとっての悲劇は、どんなささいな負の感情でも、嗅ぎ分けることができる、ということ。周囲の人たちと摩擦せずに生きてこれたのも、彼女が自我というものを極度に圧し殺し、社会に過剰適応して生きて来たから😢

 

ところが、そんな彼女の生活は、ヴォーレ(エーロ・ミロノフ)という一人の男の出現により、180度変化を遂げていきます。ティーナは、その男に、自分と共通する『何か』を嗅ぎ分けるのです。そんな彼に影響されて、少しずつティーナの自我の解放が始まるわけです。

 

  ヴォーレがまたティーナとは真逆の、「人と違うのは優れているってことさ」とこともなげに断言するオプティミスティックな人物😅この短絡的な自己肯定はそのまま彼の『危うさ』に繋がり、彼が引き起こす重大事件の伏線にもなっているのですが…。

 

  自分は本当は何者なのか、出自を知ったティーナは、最後に、自分はこれからどう生きていったらいいのか、究極の選択を迫られます。その答えの果てに、ティーナにもたらされたものとは…❓

 

  圧倒的なスウェーデン大自然、目に染み入るような森の緑色、見ているだけで震えるよいな冷たく透明な水…。そんな自然の美しさの中で、ティーナが最後に手に入れたもの。それを見たヲタクは、一気に涙腺崩壊するのでありました😭

 

デル・トロ監督が表現したところの『  強い詩』。なぜ『強い』のか❓それは、自分を貶め、息をひそめて生きて来たティーナの、自らのいのちの尊さへの目覚め、真の自立の物語でもあるからです。

スクリーンに咲き誇る大輪の花~マーゴット・ロビー


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 三大女優の豪華共演❗ニュースTV局FOXのCEOロジャー・エイルズが、なんと20名以上の女性ニュースキャスターにセクハラをしていたかどで告発され失脚、結果的にFOXは60億円に上る賠償金を支払うという、全米TV史上前代未聞の醜聞(実話)を描いた『スキャンダル』。まず、キャスター生命が葬られるのを覚悟でエイルズを提訴するグレッチェン・カールソン役にニコール・キッドマン。総力戦でグレッチェンを潰しにかかるエイルズでしたが、局の看板番組を背負う花形キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)がグレッチェンの提訴を裏付ける証言を決意したことにより、形勢は思わぬ方向へ…。

 

  凄いのは、殆どの登場人物が実名で登場しているということ。FOXは共和党熱烈支持のTV局。映画の舞台になっているのがちょうどトランプ現大統領が、大統領候補に指名されるか否か…という時期なので、当時の共和党大会その他の実際のニュース映像も流れ、まるでリアルタイムでドキュメンタリーを観ているかのような迫力と怖さがあります。…ただ、反面、グレッチェンとメーガンの人物造型、提訴に至るまでの心理描写が、ご本人たちへの配慮からかさらっと流しているイメージで、ヲタク的にはちょっと物足りないかなぁ…という感じ😅

 

  ところがところが、メインキャスターの座を狙う野心家のケイラ(マーゴット・ロビー)の人物像がリアルなこと❗グレッチェンとメーガンにとって、エイルズのセクハラは過去形なんだけど、ケイラはまさに現在進行形。野心に任せてエイルズの部屋に飛び込んだものの、「スカートをたくしあげて下着を見せろ」って言われ、言われるがままにするわけですよ。その時のマーゴット・ロビーの、想定外の成り行きに呆然と立ちすくみ、その後に沸き起こって来る怒りと悲しみ、自己嫌悪…全てがないまぜになった表情が凄い(ヲタク思わず、画面のエイルズに向かって、『マーゴットちゃんから離れろ、このク◯ジジィ❗』って叫んじゃったもんね=笑)

 

また、職場の同僚に電話口で泣きじゃくりながら「…私は汚い…」って振り絞るように言うところね。もう、彼女が殆どこの映画の見所持ってっちゃいましたよね(笑)このケイラの役だけは実在の人物ではなく、何人かのキャスターのインタビューを元に作り上げられたものらしい。だからかえって思い切った描写ができたのかも😅ちょっと皮肉ですけどね。


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  もうね、最近のマーゴット・ロビーは、女優としててっぺん目指してグイグイ突き進んでいる感じがもう、眩しいくらいです✨『アイ・トーニャ』少女時代のトラウマの哀しさを滲ませながらも振り切った演技、美人オーラを完全に封印した『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』、『ハーレークイン』『スーサイドスクワット』のヤバイ(笑)演技、『ワンハリ』天真爛漫でコケティッシュシャロン・テート役…等々、役柄も多種多様でお見事❗特に『ふたりの女王』で彼女はエリザベス1世を演じているんですが、女性としての自分に自信がなく、美しく華やかなメアリー女王(シアーシャ・ローナン)に対して、内心妬みとコンプレックスを抱いている設定。映画の最初のほうでエリザベス1世が天然痘を患い、酷いあばた顔になっちゃうんですね。それも特殊メークでリアルに演じていて、凄い女優根性だと思いました😊また『アイ、トーニャ』ではプロデュースも務めたようで、知性も折り紙つき😆


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  美貌と実力を兼ね備えた女優、マーゴット・ロビー。彼女の進化にますます目が離せない❗

 

心洗われる涙を流したい~『ガーンジー島の読書会の秘密』

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  ヲタク的には、泣く…って行為は、それそのものに関しては良し悪しはなくって、汗などと一緒、一種の生理現象だと思っていて。生理現象なんだから、ガマンするのはカラダに悪いと思ってる(笑)だから、よく小さい男の子が「男の子でしょ❗泣くのよしなさいっ」って言われてるのは可哀想な気がする😅そういえば、「日本の中年男性に心筋梗塞が多いのは、小さい頃から『男が泣くのは悪』という通念があり、ストレスが知らないうちに積み重なっているから」なーんて俗説聞いたことがあります。

 

  …っていつものように前置きが長くなりましたが(笑)映画を見て、悲しい涙にせよ、感動の涙にせよ、思い切り泣けた時って、なんだか悪いツキモノが落ちたような、心が洗われて生まれ変わったような気がしませんか❓


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(ガーンジー島の紺碧の空と海~Pixabay)

 

 

  日頃のストレスが溜まって、リセットしたい時はこの映画をどうぞ❗『ガーンジー島の読書会の秘密』(2018年・英仏合作)。第二次世界大戦直後のイギリス。ヒロインは作家のジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ)。敏腕編集者(マシュー・グード)の力もあり、売れっ子の彼女は、金持ちのアメリカ人マークから熱烈なプロポーズを受けており、毎日がファンの集いとゴージャスなドレスとロンドン社交界の集まり。まるで(リリーの演じた)『シンデレラその後』状態😅(彼女のロンドンのアパートは、彼から贈られた真っ赤な薔薇で埋め尽くされている=笑)。同性から見てもあらゆる幸せを手中にしているかのように見えるジュリエットですが、彼女自身はそれに違和感を感じていて、あまりハッピーではなさそう。そんな彼女はある日、イギリス海峡にある小さな島、ガーンジー島の豚飼いドーシーから1通の手紙を受けとります。戦争中生活の為にジュリエットが手放したチャールズ・ラムの名著『エリア随筆』が、ドーシーの手に渡っていたのです。それがきっかけでドーシーと文通を始めたジュリエットは、ガーンジー島そのものに魅力を感じ、何かに導かれるように島を訪れます。ドーシーは、戦中から近所の仲間たちと読書会を開いているのですが、そのメンバーたちはそれぞれ大きな秘密を抱えており、しかも以前メンバーだったエリザベスは、行方不明になっていたのです…。

 

  ガーンジー島第二次世界大戦中、英国で唯一、ナチスドイツの占領下にあった島。占領下で島民たちは唯一の産業である養豚も禁じられ、ジャガイモの皮だけで作ったパイを日常食にするような生活を強いられたのでした。映画の原題『ガーンジー島のポテトピールパイ読書会~Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society』は、ここに由来しています。

 

  エリザベスはなぜ、島からいなくなってしまったのか❓そして彼女は今どこにいるのか❓ストーリーはミステリアスに進んで行き、ジュリエットがその謎を一つ一つ解いていくにつれ、観ているこちらはもう、涙、涙😢なぜならその謎をとく鍵は、隣人愛であり、未来への希望であり、思い遣りだから。謎解きが進むにつれ、ジュリエットもまた、「自分は何者なのか❓本当は何を望んでいるのか❓」に、少しずつ気づいていくのです。

 

  キャストがまた、『ダウントン・アビー』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のファンならこたえられませんゾ😉まず『ダウントンアビー』からは、ストーリー展開のカギを握るエリザベス役にジェシカ・ブラウン・フィンドレイ(はい、あのレディ・シビルですね)、メンバーの一人で最初はジュリエットを敵視するかのようなアメリアにペネロープ・ウィルトン(メアリーの最初の夫マシューのお母さん)、そして忘れちゃいけません、英国の歩くイケメン彫刻マシュー・グードが、ジュリエットを理解し支える編集者役です。(ダウントンアビーでは、メアリーの2番目の夫役)そして、ジュリエットがガーンジー島に訪れるきっかけとなるドーシー役に、ゲースロからマイケル・ユイスマン❗マッチョで権謀術数に長け、ついにはデナーリス・ターガリアンの愛人にまで上り詰めるダーリオ・ナハーリス役を演じたマイケル。この映画では無口で純朴な農夫という、真逆の役柄を演じています。

 

  感動的なストーリーに加え、イングランドの穏やかな田園風景とは全く違う、ガーンジー島の紺碧の空と海、粗削りな大自然に目を奪われます。

 

心が洗われるような、清々しい涙を流したい時には、この映画をぜひ😍

 

 

 

『宮本茶』を嗜む~そぞろ寒きに。


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 昨日今日と、5月らしからぬ底冷えが続いています。そろそろ洗濯機で丸洗いしようとしていた厚手の蒲団を、昨夜はまた引っ張り出して被ったヲタク😅

 

  こんな日は、先日、宮本浩次さんのライブ『宮本、独歩。』のツアーグッズの1つとして届いた『宮本茶』を。折しも、夫の出身地である浜松より、学生時代の友人の方から宮本茶に相応しいお菓子『布橋の雪』が届きました😆

 

  箱に書いてある口上をそのまま書いてみますと…。

~御用菓子 布橋の雪~(浜松では一二を争う有名和菓子店、田町梅月の作)

 「御用菓子 布橋の雪」は、昭和三十二年、浜松に昭和天皇両陛下の折、陛下に献上するために創作致しました。

そして東京への帰途、両陛下よりさらなる御所望を賜り、弊社初代が沼津までお届けに上がった栄養ある和菓子でございます。

…とあります。

 

『宮本茶』は、宮本さんがいくつもの銘柄の中から選んだ備前屋さんの「霞野」(なんて素敵なネーミング😍)を、オリジナル缶のパッケージにして下さったそう。公式Twitterを拝見すると、パッケージの隅々にまでこだわりが満載❗…そしてそして、心遣いの人宮本さんらしく、中には自筆の一筆箋がぁぁぁ~~😂

 

  「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でトドメさす」と言われるそうですが、確かに、味が濃厚でした。甘みと仄かな渋みのバランスが絶妙。美味しい❗それに…宇治茶のお株を奪うほど、香りも凄い😮ふわっと匂い立つ感じ。さらりとした舌触りの『布橋の雪』(水羊羹と小倉カステラに淡雪がサンドされている)には、いつもの掛川茶よりぴったりかもしれない😊

 

  献上菓子…と言えば、ヲタク的に真っ先に頭に浮かぶのは、北鎌倉駅近く、松花堂のあがり羊羮。あちらもさらっと上品な味わい。

 

  緊急事態宣言が解かれたら、鎌倉に出かけてあがり羊羮を買ってこよう。

 

  そしてまた、『宮本茶』と一緒に、おうち時間を楽しむんだ(笑)

 

 

 

 

  

 

 

ロマン・デュリス懐かしの名作~映画『タイピスト!』

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 緊急事態宣言が解除され、日常を取り戻す街が増えつつある中、ヲタクが暮らすこの辺りでは継続の気配。そのせいか、はたまた先日『ジュディ 虹の彼方に』を観賞して少々ツラくなった反動なのか😅今日ご紹介したい映画は、『タイピスト❗』(2012年 フランス)。

 

  時は1950年代。フランスのド田舎、雑貨店を営む父と二人暮らしのローズ・パンフィル(デボラ・フランソワ)は、父が強引に進める縁談を逃れる為、独学で覚えた早打ちタイプを武器❓に、保険代理店を経営するルイ(ロマン・デュリス)の秘書として採用されます。ところがこのローズ、重要書類をシュレッダーにかけ、それをムリヤリ引っ張った為に機械を壊したり、電話をとるのにメモが見つからず社長のルイの手のひらに書いちゃったり…と、秘書としてはさんざんのていたらく(笑)ルイは「秘書には向いていない」とクビにしようとしますが、「村に帰ったら、気の進まない縁談を受け入れるしかない」とローズに泣きつかれ(フランスでも50年代はこんな感じだったのね😅)、彼女を田舎に帰さない為の苦肉の策『タイプ早打ち大会』優勝を目指して、彼女を特訓するハメになり…というおはなし😊

 

  …はてさて、このストーリー展開と映画のキャッチフレーズのかずかず…「マドモアゼルのド根性見せてあげる」「素敵な上司は鬼コーチ」どこかで見たことある、聞いたことあるゾ😅…そう❗まんま『アラベスク』(山岸凉子)、『エースをねらえ❗』(山本鈴美香)ですよねぇ。イケメンでクールなコーチがいて、『ドジで、ノロマなカメ』(あ、このフレーズは少女漫画じゃなくて、堀ちえみ風間杜夫ね😅ドラマ『スチュワーデス物語』)な私を、栄光の極みに導いてくれる…っていう少女の夢のキラキラ世界✨💍✨

 

  鬼コーチ…って言ってるけど、行動を観察しただけで(お前ホントはめちゃくちゃ優しいだろーーっ)って突っ込み入れたくなるのも、やっぱり少女漫画の世界(笑)

 

  映画でのローズの特訓の様子なんて見ると、走ったり跳んだり自転車こいだり、まんまスポ根。手動タイプってホントに体力勝負。5本指で打つ場合、普段使わない薬指や小指にかなり負担が来るから、肩から二の腕も一緒に鍛えなくちゃいけない。ヲタクも大学時代に「レポートは全て英文タイプで提出のこと。手書きは不可」って、あるイギリス人の教授に宣告され、(オニ~~😈)って呪いながらタイプ学校の門を叩きましたっけ。ローズの場合と違って、教授はおじいちゃんだし、カトリックの神父さまだから、ヲタク妄想の余地もなくてつまんなかったけど(笑)

 

閑話休題

 

  ストーリーはまんまスポ根でも、そこはそれフランス映画、おシャレで可愛くてキッチュでポップな作品に仕上がっているところがお国柄❤️カラフルなオープニングがまず必見🎵ローズのブロンドのポニーテール姿を初めとして、登場する女性たちの50年代ファッション、画面の色彩感覚に酔いしれ、映画の中のセリフ…「アメリカ人はビジネスを、フランス人は愛を」に象徴されるフランス的流儀を堪能あれ❗

 

  ローズは当時のハリウッドスタァに憧れている設定で、オードリー・ヘップバーンマリリン・モンローのピンナップを部屋に貼っています。主役のデボラ嬢はタイピングと同時に、50年代の女性の所作や立ち振舞いを学ぶために、オードリーの映画を見て勉強したそう😊

 

  ローズのあるエピソードが、ゴルフボールみたいに印字がくるくる回る電動タイプライターの発明のもとになった…っていうオチもなかなかヒネリが効いてて楽しかった。

 

  恋も仕事も人生もみーんな欲張って楽しんじゃう❗フランス女性のサクセスストーリーで『おうち時間を楽しく』(笑)