オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

『ボイリングポイント 沸騰』~疾走するワンカット


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有楽町のヒューマントラストシネマで、『ボイリング・ポイント /沸騰』を観賞。

 

  Boiling Pointの訳語は、正確には「沸点」。舞台は英国のとあるレストラン、主人公であるシェフのアンディは、なぜか住む場所を失い、ここ2ヶ月レストランの事務所に寝泊まりしているもよう。(その理由は、後からおいおいわかってきます)

 

  疲れきった様子で通りを歩く一人の中年男(スティーヴン・グレアム)。レストランのシェフである彼、アンディが開店時間ギリギリに店に飛び込むと、そこには衛生局の職員が抜き打ち検査に来ており、これまでの5点評価から2点も下がった3点評価というショッキングな結果が。その大きな理由は、アンディが必要書類の記入を怠ったため。その他にも彼は、料理の素材の仕入れを失念したり、喉が乾くのか水筒に入った謎の液体❓を度々口にするわ……で、いつも心ここにあらず、どこかフツーぢゃない。

 

  そんなアンディと、女性マネージャー(オーナーである父親から店を任せられている彼女は、功を焦り、SNSに依存してスタッフとの意志疎通がいまいち上手くいかず、空回り気味)、アンディのミスの尻拭いにいい加減飽き飽きしている料理人たちや、リスカの跡を制服の長い袖で隠した若いわけありパティシエ、ヘロイン中毒の厨房係、ダブルワークで腰掛け気分のホールスタッフ……等々の、愚痴や不満、怒り、嫉妬……様々な負の感情が狭いレストランの奥に渦巻き、それらがボイリング・ポイント(沸点)に達した時、どこか人生に疲れてなげやりになっているアンディは、否応なくその大きな渦に巻き込まれていきます。そしてその先には、避けられない大きなカタストロフィーの落とし穴が……❗

 

この作品、いわゆる「ワンカット映画」です。そう、例の『カメラを止めるな❗』、『1917』、『バードマン』で有名になった、長回しで一気に撮るやつ。今回の『ボイリング・ポイント』、上記の3作品みたいにストーリー性やエンターテイメントの要素はほとんどなく、どこの職場でもあるあるのエピソードの積み重ねなんだけど、なんでこうサスペンスフルで、90分間ハラハラドキドキしちゃったんだろう😅「ワンカット映画」のマジックだろうか❓……まるで「人生はそれ自体がサスペンスだ❗」と感想を呟きたくなるような映画でしたね。

 

……それにしてもワンカット映画って、見終わった後めちゃくちゃ疲れる😅心身の調子がいい時に観賞をおススメします(笑)