オタクの迷宮

変わり者よと言われても 今日もオタクで生きてゆく

ジェラール・フィリップ生誕100年祭~至高なる陰翳の美よ

f:id:rie4771:20221126213211j:image

  映画史上に輝き続けるフランスの俳優 ジェラール・フィリップが早や生誕100年を迎えました❗

 

  彼の映画の特集「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」が、11月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ヒューマントラストシネマ渋谷、その他全国で順次公開されるそうです。ヲタク、12月に入ってから横浜みなとみらいで開催される「フランス映画祭」に行くので、直前のこの時期東京まではちょっと足を運べないけど……。(横浜の田舎から連日上京するのはちとしんどい😅)

横浜にも来てくれるよね?きっと。(淡い期待  笑)

 

ヲタク密かに、ジェラール・フィリップのことを「陰翳の美の帝王」と呼んどりまっす。1950年代のフランスの美のシンボルと言われた彼😍彼の、彫りの深さが際立つ彫刻のような美貌は、モノクロ映画のほうが、より真価を発揮するのでは?と個人的には思っています。……なので今日は、彼の陰翳の美が際立つモノクロ作品をご紹介しましょう。

 

  フランスの名匠ルネ・クレールゲーテの『ファウスト』を独自のアイデアで映画化した『悪魔の美しさ』。年老いたファウスト博士(ミッシェル・シモン)がメフィストフェレス(ジェラール・フィリップ)と血の契約を交わして若く蘇った後の姿がジェラール・フィリップ(二役)なんですけど、もうその美しさときたら圧倒的で、(こんな姿になれるなら、悪魔に魂を売り渡したくなっちゃうよねぇ…)って納得しちゃいましたよ(笑)ゲーテの原作では、あらゆる学問を極め尽くしたファウスト博士が、それでも尚満足せず、肥大する「知識欲」の虜となり、悪魔と契約することによって尊大にも神の領域に手をかけようとする…という、極めてゲルマン的?な展開になっていますが、一方このフランス映画では、若返って比類なき美しさを得、真に愛する女性と巡り合う…というストーリー展開。ドイツとフランス、国民性の違いかしら?面白いですよね😊原題は『La  Bote du Diable~ラ・ボーテ・デュ・ディアーブル』なんて綺麗なフランス語の響き❗以前フィンランド大使館の外交官が、「フィンランド語は子音がキツくて、残念ながら恋を語るには向いていないんです。何と言ってもフランス語ですね」と仰っていたのを思い出しました。なるほどねぇ……(笑)


f:id:rie4771:20221126211830j:image

※「悪魔の美しさ」(1950年)

 

  スタンダール原作の『パルムの僧院』や『赤と黒』(こちらはカラー作品)など文芸大作の彼も、舞台出身だけあって、堂々としていてそれは素敵ですけど、じつは、『花咲ける騎士道』(調子の良いプレイボーイだけど、どこか愛嬌があって憎めないファンファン・ラ・テューリップ)や『夜ごとの美女』(何をやっても上手くいかず、毎夜夢の中で美女とのロマンスを妄想するオタク音楽家)のような、コメディタッチの軽妙な演技こそ、彼の本領が発揮されたのでは…?と思うのはヲタクだけでしょうか。



f:id:rie4771:20221126214253j:image
※『花咲ける騎士道』(1952年)

 

  36才の若さで逝った彼😢(美人薄命ってホントね……)

  才能を世に認められず、貧困の中で路上死した画家モディリアーニの悲惨な晩年をリアルに、冷徹に描いた『モンパルナスの灯』。ガス灯に滲むように浮かび上がるパリの街。そして、どんなにやつれて無精髭姿でも、衣装はボロボロでも、隠しきれないジェジェ(ジェラール・フィリップの幼少期の愛称)の美貌。愛する夫が道端に倒れたのも知らず、絵が売れたことを早く知らせたいと、アパルトマンで嬉々として彼を待つ妻(アニー・ジラルド)。残酷で非情なラストシーンと共に、脳裏に焼き付いて離れません。


f:id:rie4771:20221126212607j:image

※『モンパルナスの灯』(1958年)

35才で逝ったモディリアーニジェラール・フィリップもまた36才で天に召されたことを考えると、何か哀しい因縁を感じずにはいれません😢

 

 遺作はピエール・ショデルロ・ド・ラクロ原作の『危険な関係』。富と名声と美貌に恵まれたセレブ夫婦(ジェラール・フィリップジャンヌ・モロー)がお互いに不倫をして、それぞれの相手を破滅に追い込む恋愛ゲームに興じる…というアンモラルな内容から、フランス国内で上映禁止になった曰く付きの作品。監督が、自分の奥さんを映画の主役にして、しかもばんばん脱がせちゃうっていう趣味のロジェ・バディムだから背徳的なのはしょーがないか…😅でもそんな映画でもジェジェは、彼自身のクリーンで誠実な人柄を滲ませた演技。それまで背徳的な人生を送ってきた男性が、真実の愛に目覚めて変化していく過程を繊細に演じてサスガでした。


f:id:rie4771:20221126212928j:image

※『危険な関係』(1959年)

 

  あまりに美しく才能に溢れ、あまりにピュアで誠実な人柄であったが故に神に愛され、早く天国に召されてしまったジェジェ。彼の名前すらも聞いたことがない……という若いか方たちもぜひ、この機会に触れてみて下さい。宝石のような美貌と繊細な演技に。

 

(おまけ)

 『危険な関係』のテーマ曲、「危険な関係のブルース」(アート・ブレイキー &ジャズ・メッセンジャーズ)はジャズのスタンダードナンバーとなりました。

  しっかし、映画『死刑台のエレベーター』のマイルス・デイヴィスといい、この映画といい、フランスのモノクロ映画にジャズはよく似合う😊