オタクの迷宮

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ベン・ウィショーの演説シーン❤〜『英国スキャンダル〜セックスと陰謀のソープ事件』


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 U-NEXTで、ドラマ『英国スキャンダル〜セックスと陰謀のソープ事件』(エピソード1〜3)配信開始〜〜❗

 

 1979年5月。英国犯罪史上最もスキャンダラスと言われる事件が判決を待つばかりとなっていました。被告人はなんと、現職の下院議員で元自由党党首のジェレミー・ソープ(ヒュー・グラント)。彼はかつての恋人ノーマン・スコット(ベン・ウィショー)への殺人示唆で訴えられていたのです。

 

 ことの始まりは、1965年。ソープは後援者宅で住み込みの馬丁として働いていた美青年ノーマンを一目で気に入り、ナンパします(^_^;)目と目があったその日から……ってヤツですね。「ロンドンに来る時があったら、僕を訪ねてきて」と、名刺を渡すソープ。そんなある日、雇い主のパワハラ(セクハラ?^^;)に耐え切れず逃げ出してきたノーマンが、ソープのところに鞄ひとつで押しかけてきます。住む所もなく、※ナショナル・インシュアランス・カード(NIカード)を雇い主の家に忘れてきたので、まともな仕事にもつけない…と訴えるノーマンにソープは部屋を借りてやり、彼をいわゆる「囲い者」にします。

※英国では、NIカードに記載される個人番号により、HMRC (Her Majesty Revenue & Custom)と呼ばれるイギリスの関税庁が、税金や保険料などを管理する際、個人を識別するために使用します。


 しかし、まだ同性愛が違法だった時代、社会的地位を守るため結婚する決意をしたソープは、このままノーマンとの関係を続ければ自分の政治生命が危うくなると、一方的に彼に別れを告げます。突然の別れに激怒したノーマンは、なんと警察に駆け込み、ソープとの関係を暴露して彼を自分ともども逮捕してほしいと訴えます。これが二人の、滑稽かつ悲劇的な、長い長い愛憎劇の幕開けでした……❗

 まあ、ヒュー・グラント演じるソープが、英国紳士の皮を被った、中身は差別と自己保身と権力欲のカタマリみたいなトンデモ男(笑)そんなソープが、長年の友人議員(アレックス・ジェニングス)にノーマン殺害を相談した直後、国会で英国の平和政策について一席ぶつシーンなんぞは、英国ドラマならではの痛烈な皮肉が利いています。……ただ、演じているのが何せヒュー・グラントだから、どこか愛嬌があって憎めない(^_^;)ラスト近く、友人の弁護士に「なぜノーマンだったんだ?」と聞かれ、ノーマンへのそこはかとない愛情と未練を匂わせるとこなんぞは、やっぱりサスガです。

 

 また、相対するベン・ウィショーの演技が凄すぎ❗😲ソープに出会った当初は、お金も教養もない自分に自信がなく、気弱でおどおどしていて、ソープに「ウサギちゃん」と言われるほどだった彼が、ソープの指示で殺されかけてから一転し、法廷で

お金が欲しくてこんなことをしているのではない!自分のような(同性愛者が)、汚いもののように扱われ、まるで存在していないかのように、歴史からも追放されるのはうんざりだ!

は人々に見えるように、聞こえるように声を上げる。

あなた達に僕を黙らせることなんて絶対にさせない!

……と証言するシーン、ヲタク思わず「いいぞ、頑張れ❗」と拍手喝采。ヲタクは以前「映画の名演説シーン」って記事書いたことあるんですが、あの時このドラマ見てたら、絶対ベスト3に入れてたね。

ウィショーはこのドラマでの演技により、第76回ゴールデングローブ賞及び第71回プライムタイム・エミー賞のドラマ部門助演男優賞を受賞しています。

 

 原題は『A Very English Scandal』。あまりにも英国的なスキャンダル…って意味なんですが、どの点が「あまりにも英国的」だったのでしょう?ソープという男が、上品かつソフトな笑顔やハイトーンなクイーンズイングリッシュで代表される「英国紳士」という、もはや死語になりつつある仮面劇を演じ続けたせいなのか?はたまた18〜24歳の若者のうち49%が、「自分にもゲイの要素がある」と回答するゲイ大国英国で起きたスキャンダルだから?

 当時の裁判官が、権力者ソープへの忖度し、同性愛者に対する差別発言で陪審員を誘導したせいで、結果的にソープ一味は無罪を勝ち取ります。(最もその裁判官は後々、「最も差別的な審判を下した歳版」として、さんざん英国民の笑い者になったそうですが ^^;)もしアメリカなら、弱い者が権力に屈したような事件をわざわざドラマにしないよねぇ。そんなスキャンダルの(しかも議員の)顛末を、自虐と皮肉を込めてドラマにするなんて、やっぱり「あまりにも英国的」なんじゃないかと、ヲタクは思うわけです。

 

 関係者は殆ど鬼籍に入っていますが、唯一ノーマンさんはご健在。11匹のワンちゃんと悠々自適の暮らしのように見えましたが、ラスト、「彼はいまだに国民保険証は持っていない」というテロップが出て、その「あまりにも英国的な」シニカルなユーモアに、ヲタクは再度大爆笑しましたとさ、ぢゃん、ぢゃん❗