オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・コンサート鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログです。

何げに英国イケメンコレクションだったBBCミステリー『無実はさいなむ』


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U-NEXTで、BBCのミステリードラマ『無実はさいなむ』(アガサ・クリスティ原作)鑑賞。3話完結のミニシリーズです。

 英国イングランドの森の奥深くに佇む豪奢なカントリーハウス。資産家の女主人レイチェル・アーガイル(アナ・チャンセラー)がある夜、自室で後頭部を殴られ、殺害されます。その時館に居たのは、レイチェルの夫レオ(黒澤明監督作品のリメイク『生きる』で、初の主演男優賞にノミネートされたビル・ナイ)、子供のいない彼女が養子にした5人の子供たち…ジャック(アンソニー・ボイル)、メアリー、ヘスター(エラ・パーネル)、ミッキー(クリスチャン・クック)、ティナ(クリスタル・クラーク)、そしてメアリーの夫フィリップ(マシュー・グード)、使用人のカーステン(モーヴェン・クリスティ)、秘書のグウェンダ(アリス・イヴ)。閉鎖的な空間で殺人事件が起こり、犯人は必ずその中にいる…という、アガサ・クリスティお得意のクローズド・サークル・ミステリー。

 

 粗暴で反抗的、日頃から数々の奇行を繰り返し、家族の中で1番レイチェルを憎んでいたかのように見えたジャックに疑いの目が向けられ、凶器に彼の指紋が付いていたことから、彼の犯行は決定的になりました。彼は自らの無実を最後まで訴えましたが、その甲斐もなく、囚人同士のケンカに巻き込まれて裁判を待たずに獄死してしまいます。…そして1年以上が経った頃、アーガイル家に一人の青年が訪ねてきます。物理学者だと自称する青年の名はアーサー・カルガリー。なんと彼は、殺害推定時刻にはジャックと一緒にいた……というのです。研究の為北極に滞在していたので、名乗り出るのが遅れた……と。彼の言うことには怪しい点が多々あり、当初、遺族たちは(また世間の注目を惹きたい為の詐欺師の出現か)と相手にしませんでしたが、諦めず近くの村の宿屋に居座り続ける彼の存在は、アーガイル家の人々の心に次第に疑心暗鬼を巻き起こします。そして……❗

 

 愛し合い、労り合う理想の夫婦に見えたアーガイル夫妻が実は仮面夫婦で、レオは秘書のグウェンダと長い間不倫関係にあったことが示唆され、生前、世間ではその慈愛に溢れた資産家の女主人として称賛されていたレイチェルが、裏では養子たちに虐待と過剰干渉を繰り返し行っていたことが明らかになり、ストーリーが進むにつれて、現場にいた全ての人間にレイチェル殺害の動機があったのでは…?との疑惑が出てきます。

 

 しかしアガサ・クリスティってズバリ、イヤミスの元祖だよねー。特に色と欲に絡んで人間のどす黒い欲望が剥き出しになり、それが犯罪に結びつく……ってストーリーが多いような気がする(^_^;)ヒロインに愛を囁く誠実そうなイケメンはたいていクズだし(笑)アガサ自身、結婚生活には恵まれず、最初の夫は家を出て愛人の元に走り、ショックを受けた彼女はあの有名な失踪事件を起こしているし、再婚相手の年下の夫、考古学者のマックス・マローワンも若い秘書と長い間不倫関係にあった。(アガサが亡くなった翌年、マローワンは不倫相手と再婚)今作でも、ビル・ナイ扮する夫のレオは、親子とも歳の違う秘書のグウェンダとレイチェルの死後すぐに再婚します。レオは無職で妻の資産頼みの生活、しかも趣味は考古学……ってまんまマローワンやん(笑)(あなたは黙ってるけど、私は全部知ってるわよ…)っていうアガサの囁きが聞こえてきそうでコワイ(^_^;)自分の死後の夫の行動についてもズバリ言い当ててるしね。

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※殺害されたレイチェルの養子たち。彼らの心にはそれぞれ複雑な感情が渦巻いて…。

 

 登場人物全員に、人に知られたくない(自分でも認めたくない)暗い秘密がある。そして、彼らの持つ愛や憎悪、妄執が交錯し、その緊張感が極限に達した時、惨劇が引き起こされる……。謎解きと共に、人の心の深淵を探っていくような心理スリラーの趣きもあります。「世の中で1番怖いのは人間よ……」っていうアガサの声が、どこからか聞こえてきそう(笑)

 

それにしても、因果は巡るよメリーゴーラウンド、恐ろしい結末に背筋が凍る。

 

★今日のオマケ

無実はさいなむ』に見る

ヲタクの英国イケメンコレクション
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※言わずとしれた、英国で1、2を争うイケメン・オブ・イケメン、マシュー・グード❗戦争中は空軍の大尉だった、長女メアリーの夫フィリップ役。空の英雄が一転、不慮の事故で下半身不随となり、痛み止めのモルヒネが手放せない身に。理不尽な人生への焦燥とやり場のない怒り、そして、家族の中に真犯人がいると知った時、恐怖が次第に狂気に変化していく過程の心理表現がサスガです。誠実な爽やか青年からサイコパスまで、何でもござれがこの人の強味。


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※養母殺害の罪を着せられたまま獄死するジャック(アンソニー・ボイル)。『ゲースロ』に出演していたようなのですが、印象に残ってない…(汗)しかし今回は、愛に餓え、欲望や暴力衝動を抑えられない若者を好演して鮮烈。


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※ジャックの獄死から18ヶ月、犯行時刻にはジャックと一緒にいたと突然名乗り出る謎めいた青年アーサー。真実を知ったが故に、真犯人から命を狙われる羽目に……。演じるのはルーク・トレッドソン。(『ホロウ・クラウン 嘆きの王冠』薔薇戦争終結させたヘンリー7世役❗出番はちょっぴりだったけど、印象に残ってる😍)

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※ヲタクの熱烈推し、トム・ヒューズの出世作『セメタリー・ジャンクション』で、お人好しの気弱な青年を演じていたクリスチャン・クック。今作では、虚勢を張り、すぐキレる一方で、出自にコンプレックスを抱き、自傷行為を繰り返す屈折した青年ミッキー役。