オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

Number_i in『HIGHSNOBIETY』

  
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 奇しくもAmazonプライム『TOBE To Heroes』全世界配信の前日に届いた『HIGHSNOBIETY』。

 

 GUCCIやVUITTON、BURBERRYなど、世界の名だたるハイブラを身にまとった3人の男たちの肖像はため息が出るほど美しいけど、何よりヲタクの眼を引いたのは、そのインタビューの内容の濃さ!

 

 先日とべばん特別篇『サシで仲良くなってもらっていいですか?〜平野紫耀✕大東立樹』を見た時、今まで勝手に抱いていた平野くんのキラキラ王子様イメージが(良い意味で)崩れて、いたく驚いたヲタク。

「プライベートは何をしているのか?」という問いに答えられなかった平野くん。プライベートを充実させたい……なんて考えは今の彼にはとんと持てないらしく、

(曲作りにおいても)俺らは積極的にクリエイティブな所に入ってやってるから

幾多の打ち合わせにも参加するし、実際にはスタジオに籠もって音作りをしていることも多く、自分の時間はほぼない……的な話をしてた。ええ!?まんまアーティストの日常じゃん!

 

 今回の『HIGSNOBIETY』のインタビューは計らずもそれをさらに深めた内容になっていて、

 

 僕達でスタジオにこもって、「ここのハイハットはこの数にしてほしい」とか、「ここの8小節なくしてここだけにしてほしい」とか、「ここは逆にこういう音を入れてほしい」など、意見を言いながら作り上げていきました。

 打ち合わせして、動画のサンプルをピックアップできたりするものは自分たちで事前に探して、また監督にお会いしたときに「こういう感じがいいんですとお見せした感じです」(平野)

 

 そうだったんだ……!!ヲタクは(ハイハットって何!?)のレベルだから、ネットで調べたよ(笑)あのMVは単なるプロモーションのツールなんかじゃない、監督やスタッフ、Number_i全員が骨身を削って作り上げた、いわば芸術作品なんだね(驚)ヲタクは『GOAT』のMV観てカミナリに打たれたみたいになって、いきなり沼った人間だけど、元はと言えば児玉監督の映像作品のファンで、(……あ、またMV手掛けたんだ、児玉さん。ところでNumber_iって誰!?)って感じだったから…。こんな素晴らしいアーティスト3人に巡り合わせてくれた不思議なご縁に感謝、感謝。

 

 次々と斬新なアイデアを繰り出す天才肌で完璧主義者の平野くん、それを咀嚼してリアリティを持たせ、最終的には当初のアイデアを超えてくる努力型の岸くん、そして皆の士気を常に鼓舞し(1番年下であるにもかかわらず 笑)ムードメーカーの役割を果しているのが神宮寺くん……という印象。温厚で物静かなイメージの神宮寺くんの発言の数々が意外にも「超アゲアゲ」、攻めの一手なのにはビックリ(笑)でもそれもきっと、グループの精神的支柱だという自覚があるからなんだろうな。

 

 「世界を目指す」っていう文言がまるで1つの接頭語みたいについて回ってる今の彼らだけど、彼らが目指しているのは他者(日本でも海外でも)の評価というよりもむしろ、まずは自分自身が納得できる作品作りやパフォーマンス、そしてそれらが昨日よりも今日、今日よりも明日とアップグレードし続けていくことなんだ……と感じた。彼らが対峙しているのはあくまでも自らの裡に在る理想形なんだね。

 

いい意味で需要と供給を裏切ることも必要だよね(平野)

 

 おおー、さらっとそこまで言うか。頼もしいことこの上ないな。彼らはクリエイターであると同時に、優れたプロデューサーでもあると見た。……ついでにマーケターの才能もアリだよね(笑)

 

 この3人を信じてついて行けば、今まで見たこともない壮大なパノラマを見せてもらえる。

 

 それはもう、揺るぎない事実だ。

Number_i〜生きざまがロックな彼ら


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 3月14日〜17日にかけて開催されているTOBEファーストコン『To Heroes』(オーラスはAmazonプライムで世界同時配信)。な、なんと時間限定で動画撮影&SNS拡散おっけーという、タッキー社長の太っ腹具合がエグすぎて、Xは毎日お祭り状態。

 

 我らがNumber_iの撮影許可シーンは、『FUJI』〜〜〜!!FUJIFUJIFUJIFUJIFUJI(⇐うるさい(^_^;)ヲタクは参戦した皆さんの短い動画見るだけでも過呼吸になりそうだってのに、花道の真下で紫耀くんのLVグラサン外すシーン撮ってくださった方、無事に帰れましたか?(笑)

 

 最初『FUJI』聴いた時、『GOAT』よりさらにゴリゴリなヒップホップに驚いて、しかも和テイストも入ってたから「桜吹雪の中、和装で踊りまくるNumber_i」を脳内妄想していたヲタクでしたが、見事に外れた!(笑)もちろん『GOAT』もそうだけど、「いい意味で予想を裏切っていきたい」という紫耀くんの日頃の発言が、はっきりした形になったようなステージで、感動(ToT)!!明日のAmazonプライム配信、スマートTVの前で正座して待つわ(笑)

 

 天井から、圧倒的オーラを放ちながら降りて来る3人。まさに神々の降臨、リヒャルト・ワーグナー。BGM『ワルキューレの騎行』でもよかったんじゃない?っていう(笑)所狭しと置いてあるのはバンドの楽器?もしかして3人、ロック・アーティストな設定?

 

それってアリかも!!っていうか、そうあってほしい(笑)

 

 体制に阿ることをよしとせず、自らをがんじがらめにする軛を引きちぎって、全てを捨て、あえて獣道を行く彼らの生き方はまんまロック・スピリットだもん!……やっぱりヲタクは年代的に、ヒップホップよりロックのほうが燃えるんだわ(笑)

 

……ヲタク的に、ジンくんはその紳士的で知的な佇まいからクイーンのブライアン・メイ、紫耀くんは「ロック界の黄金(ブロンド)美神」レッド・ツェッペリンロバート・プラント、そしてそして岸くんは(以前このブログでも書いたように)5オクターブの音階を持つ美声の持ち主、ガンズ・アンド・ローゼズアクセル・ローズぢゃ!

(……あ、あくまでも全盛期の若い頃ね 笑)


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※左から若き日のブライアン・メイロバート・プラントアクセル・ローズ。Number_iは全盛期の彼らよりイケメンだわ!(断言)

 

 紫耀くんのコーデは全身ヴィトンだったらしいけど、そもそもヴィトンそのものが、老舗と言いつつ、その伝統にあぐらをかくことを潔しとせず、生き馬の目を抜くフランスのファッション界で、様々な新しい試みを重ねて戦い続けてきた「挑戦者」だからね。


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※紫耀くんのヤバすぎるビジュアル。

 

 それとあの舞台装置、断続的に火吹くやつ!あれがさ、『マッドマックス 怒りのデスロード』の、あの「火炎放射ギターマン」の世界線なんですけど!!!


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 タッキー社長ってマッドマックスのファンなの?……まさかね(笑)

 

 

 

 

 

 

今、『光る君へ』が面白い!②〜見る女・紫式部

 
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 10話まで見て、すっかり『光る君へ』にどハマリ中のヲタク。五節の舞や打毬(だきゅう…平安時代馬術競技)シーンなど、当時の宮廷行事も度々登場、それだけでもめっちゃ楽しい。NHKはさすがおカネがあるから、衣装もセットもモノホン感ハンパないしね(笑)。

 

 ヒロイン・まひろ(吉高由里子)が後々、自らの宮廷での体験を基にして『源氏物語』を書いたものと考えれば、これからドラマのほうにも、物語中に描かれる平安時代の様々な名シーンが登場するのでしょうか。つらつら思いつくだけでも、「藤の花宴」(右大臣家の姫君と一夜を共にし、名を告げることなく扇を交換する…『朧月夜』)や賀茂祭(源氏の正妻・葵の上と愛人である六条御息所が鉢合わせ)、月見の宴(京を追われた源氏が須磨で明石の上と月を愛でる)等など枚挙にいとまがありませんが、ヲタク的に1番映像化してほしいのは、やはりあの、光源氏と頭中将が、唐から伝わった二人舞の青海波(せいがいは)を披露する場面かしら……。٩(♡ε♡ )۶源氏があまりにも人間離れした美しさであったため、「不吉過ぎる美しさだ。こんなに美しい人は神隠しにあうのでは」などという口さがない噂が出るほどでしたよね。打毬(だきゅう)より、青海波プリーズ!!(笑)

 

 ……って、結局何が言いたかったんだっけ(^_^;)……あっ、そうそう、宮廷の人々と交わりはじめたヒロイン・まひろの周りでは、良しきにつけ悪きにつけ実に様々な出来事が起こりますが、脚本家の大石静氏は、まひろを徹頭徹尾、知性の勝った客観的な観察者として描いているところが上手いな、と思います。私たち視聴者も、まひろの視点を通して、当時の貴族社会をそっと覗き見しているような気になる。それも対象はやんごとなき天皇様や、歴史物語や和歌集に登場する貴人たちよ?そんな方々が繰り広げる愛憎ドロドロ……それを黙ってじっと観察するまひろと私たち。まあなんて淫靡な楽しみ方なんでしょう(笑)

 
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※ヒロイン・まひろ(後の紫式部)を演じるのは、吉高由里子。この方のふだんのキャラからいくと、源倫子(黒木華)の不思議ちゃんキャラのほうが適役なのでは…?なんて当初は思っていましたが、まひろの鋭く、硬質な感じを巧みに表現していて、素晴らしいです。

 

 「見る女」、「観察者」まひろの面目躍如だったのが、第10回、藤原道長柄本佑)と初めて契りを結ぶシーン。政治のドロドロ派閥争いに嫌気がさした道長が、まひろに駆け落ちを持ちかけますが、彼女は即座に「あなたが今、政(まつりごと)から逃げたら、この世を正す人がいなくなる。私はあなたが世を変えていくさまを見ていたいのです。」と切って捨てます(笑)。カッコよかったよね、まひろ。自分自身の特性を早くから見抜いて我が道を行く、ブレない女。彼女は、生まれながらの名評論家といえるのではないでしょうか。この夜のシーン、演じるのが稀代のラブシーンの名手、吉高由里子柄本佑なんで絵面はめっちゃエロいんですが、まひろの台詞をよくよく聞いてみると、かなりバッサリ切られてるよね、道長(笑)。

 

 そんな彼女の批評眼に、これからどんな景色が映っていくのか。私たち視聴者もまた、息を潜めて成り行きを見守ることといたしましょう。

今、『光る君へ』が面白い!①〜麗しき女人たち


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 ヲタクが今ハマってるのは、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』!うん、いいですよね。汗臭く泥だらけの合戦モノから華やかな宮廷絵巻へ。脚本も演出も主役も女性が深く関わっている。こういう大河ドラマが見たかったのよ!……あ、男臭い時代劇を否定するわけじゃ、ありませんよ。たまには…たまには、ね?こういうのもいいよね、新鮮で。

 

 『源氏物語』は、男女の愛憎が濃密に描かれていて、男性に選ばれ、通われなければ価値を為さないかのような当時の貴族社会の女性の、恋愛や結婚生活での悲哀や懊悩や怨念が溢れ返っていて、時に息苦しいほどでしたが、『光る君へ』に登場する女性たちは皆賢く、ヒロインのまひろ(吉高由里子)をはじめとして、男たちの野心や権力争いに翻弄されつつも、運命に抗い、それを乗り越えようと奮闘します。NHK大河史上初の「女縁のドラマ」と言っても過言ではありますまい。

 

 『源氏物語』には魅力的な女性たちが登場しますが(ヲタクは個人的に、光源氏狂言回しの役割で、主役は彼が恋するあまたの女性たちだと思っております)、『光る君へ』を見ていると、(あっ、この人はきっとあの人がモデルなのね)という場面が度々出てきて小ネタ満載、何とも面白いです♬

 

★『光る君へ』を彩る麗しき女人たち


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※ヒロインまひろ(後の紫式部吉高由里子)が五節の舞姫を務めるシーン。『源氏物語』にも、源氏がかつて五節の舞姫を務めた「筑紫五節の姫君」(父親が筑紫太宰府の役人だった)に懸想するくだりが出てきますよね。

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円融天皇に入内し、たった1人の皇子を産んだにも関わらず、天皇に疎まれ、憎まれ、孤独を深めていく藤原詮子(吉田羊)。弘徽殿女御か光源氏の最初の正妻・葵の上のモデルかしら。ヲタクも若い頃は源氏の寵愛を受けた紫の上や明石の上に憧れていたけど、年取ってからは、身分が高くても愛を得られず、孤独に苦しむ女人たちに心惹かれるようになりました。

 

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※後に藤原道長柄本佑)の妻となる源倫子(黒木華)。春風のようにたおやかかと思いきや、笑いに包んで鋭いホンネをかましてくる、どこかとらえどころのない、しかしめっちゃ魅力的な女性。彼女の猫好きエピソードは、光源氏最後の正妻、女三の宮を思い起こさせます。女三の宮もふわふわした不思議ちゃんだもんね(笑)


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※ヲタクイチ推しはこの人!当代随一の教養人にして女流歌人赤染衛門(凰稀 かなめ)。迸る知性と凛とした佇まい……。お慕いしておりまする〜(笑)

 

 健気で辛抱強く、魅力キラキラな女性たちに引き比べて、男性のキャラはどこか頼りなく、権力争いに汲々とするさまはどこか滑稽です。自分の出世の為なら天皇にさえ毒を盛る冷酷非道な陰謀家であるかと思えば、悪夢にうなされて妾の藤原 寧子(『蜻蛉日記』の作者・財前直見)に(ボクチン、コワイ)とばかりにすがりつく藤原兼家段田安則)や、おカネのためには何でもしがちな?安倍晴明ユースケ・サンタマリア……晴明よ、オマエもか。なんでこんなに堕落しちゃったんじゃ〜(ToT)『陰陽師ゼロ』の山崎賢人くんがこうなっちゃうのね……笑)、愛妻・忯子(井上咲楽)がいないとなーんもできん花山天皇(本多奏多……『キングダム』同様、上手いなぁ狂える貴公子が 笑)、仕事のグチを延々と話すものだから、妻から「私に話さないで日記にでもかけば!」と言われちゃう藤原実資ロバート秋山)……etc.etc.マトモなのは藤原道長柄本佑)とまひろの父・藤原為時岸谷五朗)くらいかしら(^_^;)

 

 しっかし、町田啓太や本多奏多など当代きってのイケメン俳優を揃えたはずが、演じる若い公達(きんだち)、ゲスばっか。イケメン俳優の無駄遣い…(^_^;)まあ彼らも厳しい身分制度でがんじがらめにされ、当時の貴族社会のシステムの中で右往左往しているだけなんで、現代人のヲタクが文句つけてもしょうがないんだけどね。

 

 若い公達と言えば、『源氏物語』の帚木の章、あの有名な「雨夜の品定め」を想い起こさせるこんな場面も。

 

 平安京いちのモテ男、左大臣の息子・藤原公任(町田啓太)は宮廷の若い女房たちから数え切れないほど恋文をもらってるらしく、「字は上手いが顔が悪くて」「たまに(貰った文を)便所に落としちゃう」など、言いたい放題(^_^;)それを受ける藤原斉信(はんにゃ・金田哲)も「そりゃ運が悪い」だって。全くねぇ……。


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※政(まつりごと)そっちのけで女性の品定めに興じる若い公達たち。軽いなー、軽すぎるよ、君たち(笑)大河出演2回目の町田啓太くん、『青天を衝け』あの凛々しい土方歳三今いずこ……(泣)

 

 この場面は昔も今も変わらぬ若者のありがちなエロトークなんですが、公任たちの軽々しいトークを、

※「雨夜の品定め」に昇華させるなんて、さすが稀代の天才ストーリーテラー紫式部

※この時、光源氏は義母である藤壺女御と許されぬ恋の真っ最中、しかもその後、会話の相手の頭中将の昔の愛人・夕顔となさぬ仲になる……という展開でかなりドロドロしております。


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※何もかも捨てて駆け落ちしようと迫る道長に、「それはなりませぬ。あなたは良き政を為すために生まれて来た。私はそんなあなたを死ぬまで見つめ続けます」と言い切るまひろがカッコよすぎて泣いた…… 。

 

 先日の第7話で紫式部のライバル、清少納言ファーストサマーウイカ)も初登場したことだし、これからますます面白くなってきそうな予感!!

٩(♡ε♡ )۶

 

 

神に息を吹き込まれた男、神宮寺勇太(Number_i)


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 急な仕事が入って聴くことができなかった昨日(2024.3.9)のTOKYO FM「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」。今や破竹の勢いのNumber_iの御三方が生出演……ということで、放送されるやたちまちXトレンド1位になったそう。

 

 内容をファンの皆さんの怒涛のポストやらネット記事で拾い読みしているヲタクですが、1番ビックリしたのがこれ!!

 

 リスナーからのメールで、「お互いにリスペクトしているところ」を問われた3人。「恥ずかしい」と照れつつ、それぞれがリスペクトしている部分を伝えていく流れになった。

平野について、岸が「クリエイティブ性がもともとあるなと思ってたんですけど、ここにきてこんな引き出しのアイデアもあるんだなって驚きました」と言えば、神宮寺は「ダンスもパフォーマンスもすべて。昔からそれはずっと尊敬してます」と吐露。続いて岸について、神宮寺は「奇想天外。最近になってますます違う顔を見せてくれるところがかっこいい」と語り、平野も「俺らが予想できない表情、動きを見せてくれる」と同調した。

最後に神宮寺について、岸は「いろんな曲によってそれぞれの顔がある。この人何個顔あるんだろってくらい」とその表現力をたたえ、平野も「曲に乗っ取られたように表現するから、それが素晴らしい。世界観に入り込む」と称賛。それぞれの真剣な思いを聞いた平野は「お昼から赤くなっちゃう」と赤面し、神宮寺も「3日前から(世界観に)入ります」と冗談を交えて頬を緩ませた。

 

 いやね、メンバーによる平野評、岸評はわかるのよ〜。「さもありなん、さもありなん」と激しく首を縦に振ったわ。ヲタクも2人についてはだいたい想像はできた。しかし驚いてのけ反ったのは神宮寺くんですよ!

「この人何個顔があるんだろ」 by 岸優太

怪人二十面相か……(^_^;)

「曲に乗っ取られたように表現する。世界観に入り込む」by 平野紫耀

 

 す、凄くないですか!?神宮寺くん。曲に(人格を?)乗っ取られるですって?(゚д゚)今までヲタクが彼に対して抱いていたイメージは、いつも客観的且つ冷静沈着、物事を俯瞰して見ることができる知性派……って感じだから意外だった。むろん、『GOAT』のMVや先日のNHKでのライブでも驚くほど多彩な表情を見せてくれた神宮寺くんですが、それはてっきり、彼の緻密な計算あってのことだと……。

 

 演技の世界では「憑依型俳優」って呼び名がありますが、演技の場合、例えば舞台なら2〜3時間の間に徐々に戯曲の台詞や共演者たちにインスパイアされて、その世界観に入っていくわけじゃないですか。それなのに神宮寺くんの場合はたかだか2、3分しかない楽曲の間に、(しかもあんな激しいパフォーマンスを繰り広げながら)「世界観に入り込む」ですとぉぉぉ!?神宮寺くんのインスピレーションって、ハンパないんだね Σ(゚Д゚)

 

 でも考えてみれば、「inspire /インスパイア」の語源は、ラテン語 in-(中に・イン)+spiro(息を吹き込む・スピロ)。もちろん主語は「神」です。だから昔のヨーロッパの人々は、例えばモーツァルトみたいな音楽の天才が次々と名曲を繰り出すと、彼に神が降りてきたとか、彼は神の息を吹き込まれたんだという捉え方をしたんですね。……神宮寺くんの場合、何やら彼に神のような存在が憑依したと考えれば、その超人的な瞬発力にも説明がつく。シャーマン神宮寺(^_^;)果たして彼に憑依しているのはどんな神さま?ミューズ?サラスヴァティ?はたまた弁財天?……って、考えてみれば全員女神様だね。神さまに憑依された、というより、神さまに愛された男と言うべきか。女神さまに息を吹き込まれたとなると……。いかん、妄想の方向性がズレてきた(笑)

 

 しっかしNumber_iって、全員天才肌のアーティスト集団だとは思ってましたが、神宮寺くんが……あのジェントルマンな神宮寺くんが……なんというか……いちばんヤバくないですか?^^;

 

おそるべし、神宮寺勇太

 

 

必殺仕事人〜Number_i平野紫耀


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 午前中仕事だったから、JA 全農CDJは聴けなかった……(ちーん)。(ふだんは休みなのにさ、今日に限ってなんでよ…)って、ちょっとヤサグレて帰ってきたら思わぬプレゼントが!!……もしかしてTOBE、いろんな事情で聴けなかった人のためにこれを⇑?いや、そうに違いない(断言)!きめ細やかな事務所だなぁ…。

 

 育ちの良さを感じさせる、しかしシンは筋の通ってそうなリッキーこと大東立樹くんと、侠気(おとこぎ)溢れる平野パイセン。平野くんはヲタクのような中高年層にも人気だって聞いたけど、わかるわー。石原裕次郎とか渡哲也の匂いがするのよ(⇐たとえが古すぎる…^^;)

 

 お題は「サシで仲良くなってもらっていいですか?」なんだけど、あにはからんや、TOBEという事務所が、単なる仲良しこよしグループではなく、才能に溢れる者同士が切磋琢磨しながら火花を散らす、プロフェッショナルなアーティスト集団なのだということを改めて観ている私たちに認識させる結果となりました。

 

 「プライベートは何をしているのか?」という問いに答えられない平野くん。ヲタク的に1番ツボだったのは、曲作りにおいても

俺らは積極的にクリエイティブな所に入ってやってるから

という彼の言葉を聞けたこと。プロデュース面に3人でガッツリ入り込んでるってことだね!!(喜)だから当然、幾多の打ち合わせにも参加するし、実際にはスタジオに籠もって音作りをしていることも多いそう。思わず「憧れる〜〜!」とホンネを出すリッキー。それに対して「やればいいじゃん!大人の人たちに頼んでさ」と背中を押す平野くん。いいですねぇ、このへん。まんまデジハリ(笑)

 

 必殺仕事人である平野くんから見れば、まだグループデビューもしておらず、曲も持っていないリッキーが果たして3月17日にどんなパフォーマンスを目指しているのか、強いて言えば一個のアーティストとして将来的にどんなヴィジョンを描いているのかが1番気になるようです。(ホントにいい先輩だ……)でも、平野くんが投げかけた質問に対するリッキーの答えが意外でびっくり。深謀遠慮の人、リッキー。「それは新しいね!」と意表をつかれたように眼を丸くして、「やりなよやりなよ、頑張れ!」と再び背中を押してくれる平野パイセン٩(♡ε♡ )۶

 

 アイドルとアーティストの違いを考えた時、自分個人を輝かせるために自己プロデュースに徹するのがアイドル、一方、自分はあくまでも作品を形成するひとつのパートであると自覚し、より完成度の高い作品を世に出すために全体を俯瞰して行動できる人がアーティストだとヲタクは思っていて。センターは存在しない、と言い切るNumber_iの3人。平野くんも岸くんも神宮寺くんも真の意味のアーティストなんだろうなぁ……。しかもしかも彼らは同時に、キラッキラアイドルのカリスマ性も身につけている。鬼に金棒ってやつだよね、まさに。平野くんに対する憧れで目を輝かせるリッキーに、「オレのこと、ぜんぶ肯定してくれるんだね、ありがと」って照れまくる平野くんですが、リッキーが熱烈崇拝したくなるのも、むべなるかな。

 

 平野くんやリッキーをはじめとして、自らの明確なヴィジョンを描いて挑戦し続ける男たちが大集結する『To HEROes  TOBE 1 st Super Live』。ワクワクが止まらない!

Number_i〜選ばれし者の宿命


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 最近Number_iの活躍が目覚ましいですね。久々に現れた、老若男女をトリコにする国民的アーティストって気がします。彼らがどこまで高みに上っていくのか、もはや想像もつかなくなってきました。またね、彼らを支えるファンの方たちの、3人に対する想いが深いこと、健気なこと!最近は、ファンの方たちの、愛と悦び溢れる応援ポストの数々を読むのがヲタクの密かな楽しみです。ヲタクは元旦に『GOAT』のMV見て沼オチした新参者だけど、SNSに満ちる皆さんの熱量にはとてもかなわないなぁ。一生懸命「イイネ」ポチしてはしてるけど(笑)

 

 イマドキ、ゴリゴリなラップはダサい……って風潮のある中、あえて第1弾を『GOAT』でブチ上げ、さらにシングルカット第2弾が『FUJI』ってことで、いかに彼らが攻めの体勢に入っているかがわかります。昨今の彼らを見ていて、ふと思い出したのが、キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリー。極貧の幼少期、黒人街で育ったプレスリーにとって、音楽のルーツは黒人たちが教会で歌い上げるゴスペル。黒人社会からは「物好きな白人」と奇異な眼で見られ、白人社会からは「白い顔の黒人」と揶揄される中、彼は独自の音楽を築き上げていきました。いわばルーツを「超えた」んですね。Number_iもまた、今回同時発売されたEP全6曲を聴いていると、これまで3人に影響を与えてきた様々な人々、多彩な経験や事象を全て吸収して、咀嚼して、彼らにしか出せないオリジナリティを確立しようと格闘している気がします。

 

 さて、不世出のキング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーにも長い低迷期がありました。それがちょうど、長年の恋人プリシラと結婚して、愛娘のリサ・マリーが生まれ、成長していく時期と被るんですね。長いスランプを経てプレスリーはラスベガスで開催されたコンサートで奇跡の大復活を遂げるんですが(その模様は映画化され、日本でも大ヒットしました)、まさにその初日のコンサート後、舞台袖に押し寄せるファンを次々と抱きしめ、キスをするプレスリーの姿は、2022年に公開された映画『エルヴィス』(監督/バズ・ラーマン)で克明に描かれています。一部始終を見ていた当時のマネージャーが、その夜は招待者席にいた妻のプリシラを見て、こう呟くんですね。

 

彼女は今、真実を知ってしまった。

自分がエルヴィスに与えられる愛は到底、ファンたちが彼に注ぐ愛には叶わないのだと。

 

 そう、その時のプリシラの、悲しみと絶望に満ちた、何とも言えない表情にヲタクは心抉られましたよ(ToT)……そして同時にプリシラはその時、悟ってしまったんですね。最愛の夫エルヴィスは、自分や娘との平穏な生活では到底満足できない、華やかなスポットライトや怒涛のような歓声、ファンから浴びる熱視線でしか、エクスタシーを感じることのできない人間だったということを。その夜以降、エルヴィスとプリシラの結婚生活は、一気に崩壊へと転がり始めます。

 

 奇しくも『GOAT』のティザーでギリシャの神々に模されたように、Number_iの御三方はこれからますます注目を浴び、万人から愛され情熱を注がれる、音楽界のアイコンとなっていくでしょう。しかしそれには悲しい哉、それ相応の大きな代償が伴います。プレスリーの悲劇を見てもわかるように、時代の象徴であるべきアイコンが、我々市井の人間でも持てるようなささやかな幸せや温もりを求めた時、それまで見る者の欲望を引き摺り出し、火を付け、狂おしい気持ちにさせてきたカリスマ性は一瞬のうちに霧散してしまう。……ひどく残酷のようですが、それが事実なのです。一世を風靡したトップアイドル、山口百恵さんは世界的な写真家である篠山紀信氏から「時代と寝た女」という最上級の賛辞を贈られましたが、自身のアーティストとしてのカリスマ性よりも「家庭の温かいぬくもり」を求めた彼女は、結婚と同時に潔く引退しました。アイドルのカリスマ性は市井の幸福とは相容れないことを、彼女は生来の賢さでとうの昔に悟っていたのでしょう。

 

 これまで築き上げた数々の名声も、あまたある名曲の権利も全てなげうち、真の「スタァ」になるために新たな道を歩み始めたNumber_i。百恵さん同様クレバーな彼らのこと、そんなことは百も承知かもしれません。彼らの日頃の言動、とりわけファンの方々に対する振る舞いを見てもそれは明らかです。

 

 『GOAT』MVのラストで描かれたように、これから3人は今まで誰も到達し得なかった高みへと上り詰めていくに違いありません。彼らこそが、「令和という時代と寝る」男たちなのです。

 

 

 ………しかしそれでもなお、華やかなスポットライトを浴びて満面の笑みを浮かべる彼らの表情のなかに、時折ふと、生身の、血の通った青年の孤独と寂寥感が滲みます。『GOAT』と『FUJI』が華やかなアイコンが放つ光の象徴ならば、『Is it me?』と『Blow your cover』は生身の彼ら自身が抱える翳を表現したもののような……。そんな彼らの二面性を見た我々は、さらにさらにNumber_iの底無し沼にズブズブとはまっていくしくみ(笑)

 

 

 

 

 

 

 

アンドリュー・スコット、Netflixミニシリーズ『Ripley』主演!


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 アンスコさまことアンドリュー・スコットの新作情報キタ〜〜〜!!

 

Netflixの新作ドラマ『Ripley』で、タイトル・ロールを演じることに決定〜〜!!(ぱちぱちぱちぱち)ヲタクの場合、何せ推しがマイナーな人たちなんで(^_^;)ご紹介する新作情報があんまりないんだけど、アンスコさまはアンドリュー・ヘイ監督の『異人たち』(日本では4月公開)の神憑り演技で世界の名だたる映画賞にノミネートされ、すっかり売れっ子に。新作が目白押し(喜)

 

『Ripley』の作者は、アメリカの作家パトリシア・ハイスミス。第1作目は何度も映画化されているので、ご存知の方も多いのでは?古くはルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい』(主演/アラン・ドロン)から、アンソニー・ミンゲラ監督の『リプリー』(1999年…主演/マット・デイモン)、直近ではエメラルド・フェネル監督の『ソルトバーン』(主演/バリー・コーガン)など、名だたる俳優たちがトム・リプリーを演じてきましたが、複雑なコンプレックスと心の闇を抱えたリプリー役には、アラン・ドロンは美しく堂々とし過ぎていたし、マット・デイモンはふだんの優等生キャラが隠しきれていなかった。『リプリー』シリーズ、原作は全部で5作あるんですが、映画化されたのは全て第1作のみ。主人公リプリーが富豪の息子ディッキー・グリーンリーフを連れ戻すという仕事を請け負い、イタリアへ飛ぶのですが、思わぬ成り行きから殺人を犯してしまい、逃亡を続けるうち、さらにさまざまな罪を重ね、次第にダークヒーロー化していきます。今回のドラマでは全5作のストーリーが全て描かれるということで、アンスコさまはリプリー役に最適任だと思われる。ダークヒーローと言えば、何と言ってもあの『シャーロック』、すっかり主役のベネさまを食っちゃったモリアーティですよねぇ。ヲタクが「アンスコ沼」にどっぷりハマった記念すべきキャラ、モリアーティ教授٩(♡ε♡ )۶アンスコ版ダークヒーローよ、もう一度!(本人はいっとき「もう悪役はしばらくいいよー」って言ってたけどね^^;)

 

共演はNetflix『エイリアニスト』のダコタ・ファニング。こちらも楽しみ!

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Netflixオフィシャルサイトには、逃亡したリプリーを追う刑事たち、イタリア?の街角で話しかけてきた少年に虚無的な眼差しを向けるアンスコさまの、美しいモノクロ映像が公開されています。

 

 

 

Number_i『FUJI』〜ストンプのリズムが欲望を刺激する


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はいっ、Number-iの『GOAT』初回限定盤無事届きました❗(ぱちぱちぱち)

 

 元旦に偶然YouTubeで『GOAT』のMVを見て雷に打たれたようになり、(これは神の啓示か?)とファンクラブに入会して早や2ヶ月。いやホントにね。ヲタクなんて年寄りだから妙齢のお嬢さんたちに比べて応援できる時間が少ないから1日1日が大事よ(^_^;)……しかし2ヶ月とはいえ、なんと密度の濃い日々だっただろうか。

 

 先日のVenue101の彼らの生パフォーマンスを見て、(こんな神業、実際にパフォーマンスできる生身の人間が存在するんだ…。)と、改めて唸ったヲタク。専門的な解析が欲しくて色んなリアクション動画見たけど、みんな「うげー、スゲー」とか「ヤバいヤバい」って叫んでるだけで……(笑)でも、彼らの気持ちもわかる。だってだって、あのパフォーマンスを編集とか撮り直しとか一切なく、生で披露できるアーティストって日本にいる?観ている我々も感動し過ぎて語彙力失っちゃったよね。

 

 『GOAT』についてお正月に記事を書いた時、3人が醸成する強烈なエネルギーが『Stomp the Yard』(2007年アメリカ映画……貧困と暴力から這い上がる為、クランプのダンスバトルに熱中する黒人青年の青春を描いた)を思い出させる……ってヲタクは呟いたんですが、今回『FUJI』を聴いて、またまたあの時の感動を思い出しちゃった。ブルースやジャズ、ヒップホップって、古くはアメリカ南部の、その後はハーレムの黒人文化と密接に関係していて、彼ら以外がチャレンジすると、どこか(……ちょっと違うんじゃない?)って眼を向けられるケースがいまだに多い気がするけど……。でもそんな中、あえてNumber_iは、『GOAT』と『FUJI』で日本独自のヒップホップの確立に果敢に挑戦してみせた。彼ららしいしなやかな、しかもどこかシャイで謙虚なジャパニーズスタイルで。その意気や良し!!そしてさらに凄いのは、彼らの想いはそこに留まらないということ。歌詞を読むと、革命を起こす、日本から発信した歌を世界の隅々へ届けたいと熱く語っている。富士の山から届け、世界へ!彼らの歌声よ。

 

 『FUJI』の、人間の持つ生来の欲望を刺激するようなストンプのリズム、地響きのような重低音の歌声。……しかしそれはニューヨークのブロンクスのような乾いたそれではなく、和太鼓の伴奏が似合う、湿った和の情緒を纏っている。

 

 『FUJI』を何度も何度もリピートしながら、ヲタクの脳内には、桜吹雪の中、水も滴る美男な3人がなぜか若武者姿でクランプを踊りまくるというトンデモない妄想が、ぐるぐると駆け巡るのであった……!!

 

★ついしん

『Is it me?』の色っぽさにもゾクゾクしたわ。こういうメロディアスなナンバーからゴリゴリラップやヒップホップまで、Number_iって変幻自在だね、ビックリ。カメレオン俳優……って括りはあるけど、カメレオン・アーティストって名称は無いのかしら?……唐突だけど、昭和の歌謡曲みたいなのも聴いてみたい。聴いてるヲタクの妄想をあることないこと掻き立てるなんて、それだけ彼らが無限の可能性を秘めてるってことだよなぁ。

 

……しっかし岸くんって音域が広いんだね。彼の声聴いてると、高音も低音も、なんだろう……身体が痺れてくる。(笑)めっちゃセクシーだよね、彼。(昔からのファンの方々からしたら当然の話なんだろうけど、何せニワカファンなので、いちいちいろんなことに驚いたり感動したりしている今日このごろ^^;)ガンズ・アンド・ローゼズアクセル・ローズみたいだわ、岸くんって。٩(♡ε♡ )۶あっでも、岸くんはとても真面目で誠実な青年みたいで、アクセルみたいな破天荒オラオラ系じゃないけど^^;


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※ロック界のイケメン王子の名をほしいままにしたガンズのボーカル、アクセル・ローズの若い頃。5オクターブ以上の音階を持つと言われてましたね。岸くん見てるとこの人を思い出しちゃう。そしてアクセルにハマってた大昔のじぶんをね(笑)

今ふたたびのサム・ロックウェル祭りぢゃ〜〜っ!〜『ARGYLLE/アーガイル』


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 『キングスマン』シリーズで知られるマシュー・ヴォーン監督の新作『ARGYLLE/アーガイル』鑑賞。

 

 スゴ腕エージェント・アーガイル(ヘンリー・カヴィル)が世界を股にかけ、強大な諜報機関の裏に潜む巨悪を暴く、その名も『アーガイル』シリーズで一躍超人気作家となったエリー・コンウェイブライス・ダラス・ハワードロン・ハワード監督のお嬢さんらしい。ビックリ)。ハードボイルドな筆致が人気を博していますが、素顔の彼女はシャイで猫のアルフィーが唯一の話し相手、しかも飛行機恐怖症で不安神経症という、自身が創り出したヒーロー、アーガイルとは似ても似つかぬ平穏な生活を送っていました。しかし、次に出版する最終巻の結末がどうしても思いつかず、エリーは気分転換にとアムトラック(全米鉄道)に乗って実家に遊びに行くことに。途中で向かいに乗り込んできた、エイダンと名乗る怪しい風体の中年男(サム・ロックウェル……初登場シーンのサムは1970年代のヒッピーみたい 笑)がいきなり「君の本のファンなんだ」と話しかけてきます。いかにも胡散臭いエイダンに露骨に引くエリーですが、男はそんなエリーの様子にはお構いなしで「……じつはね、こう見えてもオレ本物のスパイなんだぜ」などと言い出したので、エリーが(…この人頭おかしいんじゃ(?_?)とさらにドン引きしているとさぁ大変、通りがかった男がいきなりエイダンに切りつけてきて、それを合図に続々と車両内に刺客が現れ、エイダンと死闘を繰り広げます!まるでブラピの『ブレット・トレイン』みたい(笑)あまりのトンデモ展開に心臓が止まりそうになるエリーですが、「あいつらの狙いは君なんだぞ!」というエイダンの叫び声と共に腕を掴まれ、高架鉄道を走るアムトラックから命がけのダイブをするはめに……!


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※のっけからヘンリー・カヴィルにリフトされるデュア・リパ。セクシー・ディーヴァ、ついに銀幕に見・参!

 

Q1 エリーが命を狙われる理由ははたして何ゆえなのか?

Q2 本当にエイダンはスパイ?

Q3 エリーの想像上の産物である筈のエージェント・アーガイル(ヘンリー・カヴィル)。しかしてその実体は?

Q4 デュア・リパ、ソフィア・ブテラ、サミュエル L ジャクソン、アリアナ・デボーズ……と、ハリウッドの綺羅星の如きスタァたちが次々と登場!……でも一体、誰が敵で誰が味方?

Q5 スタイリッシュなスパイの設定アーガイル、なんで角刈りにマオカラーのスーツなんて妙ちくりんなカッコしてるん?

 ……とまあ疑問は次々と湧いてきて、カオスなマインドファック状態のヲタクはアタマくるくる〜(^_^;)どんでん返しに次ぐどんでん返しで最後まで気が抜けない、ジェットコースタースパイムービーとでも申せましょうか(笑)  

 

 しっかしねぇ、この映画……

 

何はなくともサム・ロックウェルよぉぉぉ〜〜

٩(♡ε♡ )۶

 

 ポスターではアーガイル役のヘンリー・カヴィルが中央にいて、サムはその横の横に猫背でショボクレて写ってるから、(どーせさー、蓋を開けたらスパイを気取る誇大妄想狂のチョイ役だったってゆうオチなんじゃないの?)なんてヤサグレてたヲタク。ところがどっこい$@&5¢€℃……(これ以上言うとネタバレになっちゃうからやめときます 笑)後から考えたら、このポスターの並び順も、観ている側をミスリードするためのある種のトリックと言えなくもないんだよね。
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※どの記事読んでも「冴えないスパイ役サム・ロックウェル」って書いてあるわ。どこが冴えないのよ〜。こんなにカッコいいのに……。

 

 お題を「今ふたたびのサム・ロックウェル祭りぢゃ〜っ!」にしたのは、以前『ジョジョ・ラビット』の感想文を書いた時に『サム・ロックウェル祭りぢゃ〜っ!』ってお題だったから(^_^;)あの時も配信開始されてから早送りして、サムの登場場面だけ何度もリピしてたっけ。悲しいかな、合計15分くらいだったけど…(笑)今回は全編ほぼ出ずっぱりだから嬉しいな(≧∇≦)bレンタルぢゃなくって購入しちゃおっかなー(*˘︶˘*).。.:*♡


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※あらゆる面で『キングスマン』シリーズとクロスオーバーしている本作。『キングスマン』で、あの義足の殺し屋ガゼルを演じたソフィア・ブテラカメオ出演しております。

 

懐かしの『ジョジョ・ラビット』キャプテンK

ナチスのくせにヒットラーが嫌いで強いかと思えばジョジョのママ(スカヨハ)にはあっという間にシバかれちゃった右目義眼のゲイの将校(なんのこっちゃ 笑)キャプテンK。

サムは「ナチスに幻滅したゲイの将校を演じた。ビル・マーレイの演技をパクってね(笑)」って言ってたそう(^_^;)

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めっちゃ面白かったけど?〜SSU『マダム・ウェブ』


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 オープニングは1970年代ペルーの熱帯雨林アメリカ人女性コンスタンスは臨月近い身重の身でありながら学者たちのチームと共に、人間の細胞を活性化させる毒を持つという希少種の蜘蛛を探していました。しかし彼女はその希少な蜘蛛「ラス・アラニャス」を発見して歓喜したのも束の間、チームの一員で蜘蛛の持つパワーを独占しようとしたエゼキエル(タハール・ラヒム)から拳銃で撃たれてしまいます。その様子を見ていた密林に住む種族が、陣痛の始まった彼女から女児を取り上げますが、コンスタンスはそのまま息絶えてしまいました。

 

 場面は変わって2003年のニューヨーク。救急救命士のキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)は同僚のベン・パーカー(アダム・スコット…ハイ!ご存知『スパイダーマン』のベンおじさんの若い頃)と共に、一人でも多くの命を救うため日夜奮闘を続けていました。ある日、キャシーは救命作業中に事故に巻き込まれ、ハドソン川に投げ出されてしまいます。息もできない水の中で何故かキャシーは意識を取り戻すのですが、目の前には一面、蜘蛛の糸が張り巡らされた光景が広がっていました。その後キャシーはベンから救い出されたものの心停止していたようで、(あの光景は臨死体験だったのか?)と疑います。それからというものキャシーは、ふとした瞬間に近未来がフラッシュバックのように襲ってくるという体験をするようになり、次第に混乱をきたし、恐怖に見舞われるようになります。そんなある日、地下鉄に乗ったキャシーは、壁を高速で這い回る黒い蜘蛛男が、乗り合わせた3人の少女たち…ジュリア・コーンウォールシドニー・スウィーニー)、アーニャ・コラソン(イザベラ・メルセド)、マティ・フランクリン(セレステ・オコナー)を次々と殺していく場面を予見し、彼女たちに声をかけて無理やり地下鉄から連れ出します。しかし彼女たちの眼の前にはキャシーが予知した通りの黒い蜘蛛男が立ちはだかり……!

 

 MCU初のサスペンスと銘打つだけあって、予知能力だけを頼りにモンスターから少女たちを守ろうと奮闘するキャシーにめっちゃハラハラドキドキ感情移入しちゃうし、その健気さに泣けてくる。・゚・(ノ∀`)・゚・。観てるうちに画面に乗り込んでって角材でも振り回したくなったよ(笑)加勢したくなるヒーローって、アメコミ映画史上お初じゃなかろうか。

 

 「駄作だ」「ガッカリだ」って騒いでる人たちの意見を総合してみると、アクション場面が少ない、キャシーがMCUヒーローのクセに弱っちい……っていうのが大半かな。でもさ、演じてるのがあのダコタ・ジョンソンだよ?たおやかで優美で、どんなにセクシャルな役柄を演じても決して上品さを失わないダコタだよ?ブリー・ラーソンやフローレンス・ピューみたいに男顔負けのバイオレンスアクション期待するほうが無理だっつーの!!(ヲタクは何を隠そう、ダコタの大ファンなのだ。イチャモンつけるヤツは許さないわよ 笑)それにコミックのマダム・ウェブは筋無力症の設定で、もともと車椅子なんだよねぇ。それに比較すれば映画のマダム・ウェブは母親がキャシーを出産した時にラス・アラニャスに咬まれたせいで健康体で生まれ、しかもドライビングテクニックは超一流。じゅうぶん現代的解釈が加えられていると思うけどなー。


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※ワールドプレミアでのダコタ・ジョンソン。こんなドレスで下品にならないのはダコタ・ジョンソンだけ!(断言)

 

 ラスト、メアリー・パーカーがピーターを出産する場面が出てきて感激(≧∇≦)b『スパイダーマン・ゼロ』的な雰囲気です。今後スパイダーマンとヴェノムとモービウスがクロスオーバーする世界観SSU(ソニースパイダーマン・ユニバース)が展開すると言われていますが、『マダム・ウェブ』も勿論その一環。キャシーのアパートの駐車場にしっかりビヨンセの看板立ってたしね(笑)「マダム・ウェブ軍団」の今後の活躍が楽しみです!


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 前列3人は……

(左)スパイダーウーマン、マティ・フランクリンを演じるセレステ・オコナー。

(中)スパイダーガール(スパイダーウーマンの妹分)アーニャ・コラソンを演じるイザベラ・メルセド。
(右)スパイダーウーマン、ジュリア・コーンウォールを演じるシドニー・スウィーニー。

 

 

 

 

 

 

 

 

映画『落下の解剖学』に鳴り響く50Centの『P.I.M.P』


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 舞台はフランスのグルノーブル近く、雪に埋もれた山荘。ベストセラー作家のサンドラ(サンドラ・フュラー)は、彼女のファンである女子大生にインタビューを受けていましたが、階上にいる夫サミュエルが大音量で音楽をかけ始めた為、それまで上機嫌でインタビューを受けていたサンドラは少し眉を顰め、「……これじゃ話もできないわね」と苦笑いし、女子大生は困惑し、渋々帰っていきます。

 

 ……そして1時間余。

 

 盲導犬スヌープと共に近所に散歩に出かけていた視覚障害の息子ダニエル(11才…ミロ・マシャド・グラネール)は、異変を感じたスヌープに導かれ、雪を血に染めて倒れている父親を発見します。息子の悲痛な叫び声に駆けつけたサンドラ。しかし既に夫はこと切れていました。当初は単なる事故死と目されましたが、その後の警察の調べにより、前日に夫婦は激しい言い争いをしており、しかも夫はその一部始終を密かに録音していたことが判明します。ついにサンドラは夫殺しの罪で告訴され、法廷で彼女を待ち受けていたのは、彼女が1番恐れていた展開(4才の時の事故が元で視力を失った息子の為に仲睦まじい夫婦を装ってきた夫婦の仮面が、傍聴席に座っている当の息子の前で剥がされていく)だったのです。夫の死の前日に起きた夫妻の激しい口論と暴力の内容とは?それは果たして夫の死に関係しているのか?数々の謎を孕んだまま、苛烈な法廷闘争が幕を開けますが……。

 

 結論から言うと、これはサスペンスでもミステリーでもないので、ラスト、真実が明らかになってカタルシスを感じられる映画ではありません。不透明な部分は不透明なままで終わります(^_^;)それよりもこの映画は法廷で露わになっていく一組の夫婦の関係を通じて、社会の歪みと分断を描こうとしたのでは?と思います。

 

 個人的には、「男女平等」「女性が力を発揮できる社会の実現」なんて言葉が昨今そこかしこで軽々しく口にされるけど、所詮男性のDNAの中には、妻や恋人のキャリア、社会的成功を心から喜べない「本能」とも言うべきものが組み込まれているのではないか?という疑問が心の中にムクムク湧いてきちゃったわけですよ。これね、日本ならさもありなんと思うの。残念ながら日本は、いちおう先進国と呼ばれる国々の中でもダントツ女性蔑視の国だからさ。……でもね、フランスでこれ?っていう絶望感ね。映画の中に登場する検察や警察側の男性陣(しかも若い)がサンドラを追い詰めていくその奥底に、「社会で成功した女性」に対する憎悪と嫉妬がチラチラ垣間見れると思ったのはヲタクだけ?「私は無実なのよ!」と叫ぶ彼女に、彼女の古い友人で弁護を引き受けた弁護士のヴァンサン(スワン・アルロー)ですら、「この際真実は関係ない。世間にとって、君のような社会的に成功をおさめた著名な女性が実は夫殺しだったというほうが面白いんだよ」って言い放つんですから……。

 

 しかしもう1つ、ヒロインのサンドラは特異な条件下に置かれています。彼女は女性であるだけでなくドイツ人で、ロンドンで結婚して出産したのですが、息子の事故後の治療費で経済的に逼迫、夫の故郷であるグルノーブルに帰ってきた設定なんですね。故郷のドイツを嫌ってイギリスに渡った彼女は、フランスに住むようになってからも夫や息子と英語で話しているんです。女性でありしかもドイツ人……っていう。裁判が進むにつれ、それがさらに彼女を不利な立場に追い込んでいきます。フランス語が不得意な彼女は、陳述をする場合もデリケートな部分の説明ができません。二言目には「英語で話していい?」と言う彼女に、人々は冷たい視線を投げかけます。息子を守るためにこれまで夫婦で守り続けてきたお互いの秘密や恥部を次々と暴露されていく恐怖。もし自分が彼女の立場だったら……と思うと、背筋が寒くなりました。  

 

 そもそも冒頭、夫のサミュエルが大音量でかけてる曲がこともあろうに50Centの「P.I.M.P」なんですよねぇ。夫はこの時はまだ画面に登場していないんだけど、階下で妻が仕事中だと言うのに、この曲をガンガンかけてるってだけで彼の人物像が想像できる。監督がこの曲をしょっぱなから使ったことで、テーマはすでに明らかですよね(^_^;)

 

 法廷ドラマの形を借りて、社会に今も根強く残る差別と分断の問題、結婚や子育てというある種の「システム」が孕む様々な矛盾と危険性、さらには十分な証拠が揃っていなくても「有罪か無罪か」を決定しなくてはならない裁判制度の限界……等々を鋭く抉ってみせたこの作品。監督はフランス出身のジュスティーヌ・トリエ。2006年の学生運動を追った「Sur place」(07)や仏大統領選挙の日々を記録した「Solférino」(09) などのドキュメンタリー映画を制作して注目を集めた社会派監督のようですね。『落下の解剖学』は、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で女性監督として史上3人目となる最高賞パルムドールを受賞、ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞にも輝きました。第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞編集賞の5部門にノミネートされています。「パルムドールって私が3人目?たったの?」と驚き、「自分にとって、今までモデルになる女性の監督はいなかった」と威勢のいい発言が印象的な彼女、これからもその鋭い視点で問題作を繰り出していってほしいものです。

 

・おススメ度……★★★★☆

「男と女の間には深くて暗い河がある」

個人的には四ツ星だけど、男性の感想はきっと全く違うだろうなぁ。ヲタクは少なくとも夫とこの映画を観る勇気はない(笑)

 

ソーダバーグのブラックジョークサクレツ!〜『ザ・ランドロマット パナマ文書流出』

 
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 Netflix『ザ・ランドロマット パナマ文書流出』鑑賞。

 

 オープニング、原始人たちが狩りの獲物を頬張っているところに、真っ白なスーツに身を固めたスタイリッシュなイケおじ2人(ゲイリー・オールドマンアントニオ・バンデラス!)が出てきて「カネのない時代は物々交換だった。自分の持っているものを欲しいものと交換してた。ところがカネが生まれてからというもの、モノを持ち歩く必要がなくなった。それどころか未来を買うこともできる。債権、ファンド、ローン、デリバティブ空売り、株……」と、おカネの話を滔々とし始めます(え?これ何の話だったっけ?)って頭ぐるぐるしてると、場面は突如変わってある老夫婦の話に。


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※悪徳弁護士を演じるゲイリー・オールドマン(左)とアントニオ・バンデラス(右)

 

 ジョー・マーティンは、妻エレン(メリル・ストリープ)と共に、結婚40周年記念の旅行に出かけようとしていました。老いて足元も覚束ないジョーを支えながら、遊覧船に乗り込みます。隣の客と会話を楽しみながら景色を眺めていた2人ですが、それも束の間、突然高波が起こり、船は転覆、乗客は次々と湖に投げ出されます。エレンはやっとの思いで泳いで助かりましたが、ジョーはそのまま帰らぬ人に。結果的に21名が死亡する大惨事となりました。エレンはあまりのことに呆然としますが、早速弁護士が家にやって来て、訴訟などは起こさず、船会社が保険に入っている筈で、賠償金が出るからそれで示談するように話し、エレンはそれを呑みますが、実際の賠償金の額の少なさに愕然とします。船会社が契約していた保険会社は、西インド諸島にある「ユナイテッド再保険」を再保険契約を結んでいたため、賠償額に納得のいかないエレンは「ユナイテッド再保険」を訪ねて直接交渉を行おうと決意、はるばる西インド諸島に飛びます。ところがところが、メモした住所を尋ねると、そこはなんと郵便局でした。「ユナイテッド再保険」は、じつは富裕層が税金逃れのために立ち上げたペーパー・カンパニーで、その種のオフショア企業の登録案件を一手に取り仕切っているのがパナマにある「モサク・フォンセカ」という弁護士事務所だったのです。共同経営者がモサク(ゲイリー・オールドマン)とフォンセカ(アントニオ・バンデラス)というわけ。


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※金融業界の闇に気付いて調査を開始するにわか主婦探偵エレンを演じるのは、ご存知名女優のメリル・ストリープ。実は彼女、この作品では二役を演じていて、ラストの種明かしでビックリ仰天(゚Д゚)お楽しみに。

 

 この2人の悪徳弁護士の悪事がバラされる顛末と、その顧客たちの、※色と欲にまみれたエピソードが、監督のスティーブン・ソーダバーグのブラックジョーク満載で、次々と(しかもどこかスタイリッシュに)展開していきます。

※娘の親友との不倫現場を娘に目撃された実業家が口封じのため2000万ドルの無記名株を譲渡するものの、果たしてその株の現在の価値は……!?といった話や、英国人実業家とペーパーカンパニーの取引をしていた政府権力者の妻が、政府当局にバレそうになったため、その英国人に殺鼠剤を飲ませる話など。

 

 モデルになった「モサク・フォンセカ」はこの件が明るみになったおかげで解散に追い込まれましたが、さらにNetflixを「本作は極めて中傷的な内容である」と、名誉毀損および商標権侵害で提訴しているようですね。評論家や一般の映画ファンの間でも評価は真っ二つ、賛否両論のもよう。

 

 ヲタクの場合は……

 

 先日観た『ダム$マネー ウォール街を狙え!』は株式市場の「闇」を正攻法で、しごく真っ当に描いていたから、観終わってからも(何よ、株式市場も結局一握りの金持ちにいいように牛耳られてるんじゃない!)って憤懣やる方なかったんだけど、今作ではおカネの亡者化した富裕層と、それに取り入って甘い汁を吸おうとするワルのえげつなさと滑稽さをソーダバーグが思い切りふざけ散らかして描いているもんだから、(こんな生き方するくらいなら、よぶんなおカネなんていらないや。コツコツ働いて真面目に生きていこう)って思っちゃったんだよねー。

 

 ……ん?これってヲタク、まんまとソーダバーグの術中にハマっちゃったってこと!?(笑)

 

・おススメ度…★★★☆☆

評判通り、評価が分かれる作品かも。それにしてもメリル・ストリープがダサい中年のオバサン、ゲイリー・オールドマンアントニオ・バンデラスがチンケな小悪党をノリノリで演じてる。(しかも3人とも群像劇のOne of Themで、演技力の発揮どころは少なし^^;)こんな贅沢なキャスティングはソーダバーグならでは。

 

 ……それにしても題名のランドロマット(コインランドリー)、作品の内容とどう繋がるの?ソーダバーグさん、おせーて!

 

 

 

 

 

『アクアマン/失われた王国』プレミアム配信開始〜BGMはステッペンウルフ

 
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 単独の『アクアマン』シリーズ待望第二弾『失われた王国』が早くもプレミアム配信開始〜〜〜ぱちぱちぱち。ヲタクはスマートTVのプレステからAppleTVで観ました。やっぱり解像度が違う!キレイだわ〜。


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 前作では仲良しゲンカばかりしていたアクアマンことアーサー・カリー(ジェイソン・モモア)とメラ(アンバー・ハード)ですが、いつのまにやら結婚して赤ちゃんができてたのにはびっくり。やるな、アクアマン(笑)赤ちゃんのアーサー・ジュニアがまた可愛くて可愛くて…٩(♡ε♡ )۶夜泣きが酷くてもオムツ替えの時オシッコひっかけられてもアーサーはジュニアにメロメロ、子育てがんばってます(笑)シングルファザーばりにジュニアの世話を1人で背負ってるふうのアーサー。アトランティス王国の王妃でもあるメラはアクアマンのママ、元アトランティス王妃のアトランナ(ニコール・キッドマン)と同様、海底に常住しているのかと思いきや、突如人間のカッコしてジュニアとアーサーのところに現れたりして、いまいち設定がナゾ(笑)例のジョニデとの泥沼法廷闘争でその渦中にいたアンバー・ハード、極力出番を減らされたらしいけど、その影響もあるのかな。


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※ジョニデとの泥沼離婚裁判で、出演時間を20分以下に減らされちゃったらしいアンバー・ハード。メラ役にぴったりだったんだけどなぁ……残念!

 

さて、本題。

 

 もともと「海底王国の王さまなんてガラじゃないや、ぼくちん」ってヤサグレてたアーサーなので、「地球の温暖化により災害が多発、海底でも謎の疫病が流行り始めた、どうするべきか?」という大事な議題を海底諸国評議会で話し合っている途中も居眠りしてメラにドツカレる始末(^_^;)ジュニアのお世話でいつも寝不足だからしょうがないよね…。

 

 さてそんな中、温室効果ガスを大量に放出する危険物質オリカルクムがアトランティスの保管倉庫から盗まれる事件が発生、それを防ごうとしたメラは返り討ちにあって重傷を負ってしまいます。犯人は、極悪海賊の首領だった父を殺された恨みから逆ギレして、地の果て……いやもとい海の果てまでアクアマンを追いかけ、彼を殺す機会を伺っている超粘着質なブラックマンタ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)。そんなブラックマンタが、かつて地上と海底征服を狙い、南極氷河の奥深くに封印されていた「失われた王国」を蘇らせ、世界を滅亡に導く危険な古代兵器ブラック・トライデント(邪悪な矛)を手にしてしまったものだからさあ大変。かつてないほどの危機に直面したアトランティスですが、アクアマンが真っ先に考えついたアイデアが、自ら王位を剥奪して幽閉した弟のオーシャンマスターことオーム(パトリック・ウィルソン)を解放して協力してもらおう……というのだから、ママのアトランナをはじめ周囲はビックリ(^_^;)さすがアクアマン、性善主義すぎるし楽天家すぎる(笑)しかし対するオームも、MCUのロキ(トム・ヒドルストン)なんかと違ってひどく真面目なカタブツキャラなんで、観ているこっちも(コイツどっかで裏切るんじゃないか!?)ってハラハラ感がなくて良き。また、幽閉中のオームが、ギリギリ生きられるだけの水を与えられ、妖怪みたいなおっかない兵士たちに殴られ蹴られ……の過酷な毎日を過ごしていた描写を事前に入れて、その後のオームの活躍を、観ている側がすんなり応援できるように持っていったのは、上手いなぁと思います。勧善懲悪のヒーローものには、こういうとこはちゃんと押さえて欲しいんだよね。さすが『ワイスピ』のジェームズ・ワン監督、人間模様もキッチリ押さえる職人肌。

 

 ……でも、「助けに来たぞー」って牢に飛び込んできたアクアマンに、「元はと言えばオマエが幽閉したんだろっ!」ってオームが突っ込み入れるシーンには思わず吹いちゃったけど(笑)幽閉されてる間にヒョロヒョロガリガリになってしまったオーム。(え?いつまでこのビジュアル?)って思ったヲタクでしたが、海水浴びたとたん、アクアマンにも負けないくらいバッキバキの元のオーム復活!(MCUキャプテン・アメリカの変身シーン思い出した)心配してソンした(笑)。その後も、ブラックマンタの海底要塞にオリカルクムを取り戻しに行くまでの2人の珍道中がめちゃくちゃ面白くて最高!
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※前作では敵同士でしたが、今作ではアトランティス最大の危機に力を合わせて立ち上がる兄アクアマン(右)と弟オーム(左)。

 

 息もつかせぬ高速アクションのド迫力(IMAX4Kで観たかったなー)、そしてクジラやシャチの超音波を利用して応戦するアイデアがアクアマンらしくて◎!またアーサー・ジュニアよろしく気に入らないとオシッコひっかけるタコちゃんキャラ「トポ」(注・意外にも表情が愛くるしい。フィギュア売ってるのかな。けっこう欲しいかも、トポフィギュア 笑)や、巨大なタツノオトシゴライダーら海洋生物総動員での大決戦シーンなど見どころ満載の『失われた王国』は、2013年から続いてきたDCUのラスト(2022年にジェームズ・ガンが新CEOに就任、向こう8年間の新たな制作方針が発表されたため)を飾るにふさわしい作品と言えるでしょう。2m近いムキムキ偉丈夫で、大学では海洋学を学んだという、まさに「アクアマン」そのものだったジェイソン・モモア。DCUで彼に(たぶん)もう会えないと思うとめっちゃ哀しいけど(;_;)/、諸行無常は世の常。『ジャスティス・リーグ』の仲間たちに目を向けても、新作に向けて準備万端だったガル・ガドットは『ワンダーウーマン3』の制作中止を突如として言い渡され、ヘンリー・カヴィルもまた『ウィッチャー』シリーズを降板してまでスーパーマン復帰に賭けたというのに、別俳優がキャスティングされたり……と、みんなかなり酷い目にあっているので、こんな素敵な作品でアクアマン卒業?の花道を飾れたのは、良しとしなくてはいけないのカモ……ですね。


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※アクアマンが乗ると「ひひ〜〜ん」って鳴いてハイスピードで泳ぎ出すタツノオトシゴタツノオトシゴがひひ〜〜んって…。わけわかんなくて最高!!(笑)

 

 個人的にはラストにステッペンウルフの『Born to be Wild(ワイルドで行こう!)』(映画『イージー★ライダー』(1969)のオープニングで使われた曲) が突如流れたのにめっちゃコーフンしたなぁ。MCUマイティ・ソー バトル・ロイヤル』で『移民の歌』(レッド・ツェッペリン)が流れた時と同じ症状(笑)。

 

 前作『アクアマン』を遥かに超えるスケールと面白さの『失われた王国』。家族皆で楽しめる良作です。(まだ映画館で上映している所もあるようです)


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※1970年代、全盛期のステッペンウルフ。カッコよかったなぁ……(*˘︶˘*).。.:*♡

・おススメ度……★★★★☆

現DCUラストを飾る超大作!

 

 

 

 

 

女性の解放とコルセット〜『ピアノ・レッスン』4Kデジタルリマスター版

 
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 ジェーン・カンピオン監督の名作『ピアノ・レッスン』が「公開30周年」の今年、4Kデジタル・リマスター版で再上映されるという嬉しいニュースが飛び込んできました!30年ぶりの上映とのこと。あれからもう30年経ったのかぁ……(遠い眼)。男性優位の社会に様々な面で抑圧されている女性が、性の愉悦を通じて心身共に開放されていくストーリーは、まあ『チャタレイ夫人の恋人』の二番煎じ……と言えなくもないんだけど、『チャタレイ夫人〜』の場合、原作者のD. H.ローレンスも男性だし、何度も映画化されてるけど監督も皆男性……ってことで、ヲタクからすると(ヲタクもいちおう女性のハシクレ)(なんかそこ、違うんだよなぁ〜)ってところがちょこちょこあったわけ。その点カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』はまんま女性の観点から描かれていて、鮮烈でしたよね。当時かなり衝撃を受けたことを覚えています。


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※ヒロインが抱える様々な葛藤を、主として眼の表情だけで表現し尽くしたホリー・ハンター(左)は各映画賞の主演女優賞を総ナメ。一世一代の名演技でした。女性として目覚めていく母親を複雑な思いで見つめる思春期手前の娘フローラを演じたアンナ・パキン(右……当時なんと11才!)も素晴らしかった。

 

 時は19世紀末。スコットランドから、幼い娘フローラ(アンナ・パキン)を連れ、遠くニュージーランドに嫁いで来たエイダ(ホリー・ハンター)。口がきけない彼女の、唯一の感情表現はピアノを弾くこと。砕け散る高波の中、命の次に大事なピアノと共に海辺へ辿り着いたエイダとフローラでしたが、入植者である夫ジョージ(サム・ニール)は、その時海辺へ迎えに来てはいませんでした。満潮で荷物が流される中、一晩肩を寄せ合って真っ暗な海辺で過ごす母娘。あくる朝迎えに来たジョージは、湿地帯の中ピアノを家に運び込むのは大変だからと、なんと現地語の通訳を務めるベインズ(ハーヴェイ・カイテル)が所有する土地と物々交換することをアイダ本人に相談もせず独断で決めてしまいます。絶望するエイダ。一方、ふとしたきっかけから、自分が譲り受けたピアノが彼女にとって命にも代えがたいものだと知ったベインズは、「自分にピアノのレッスンをしてほしい」と願い出ます。それは単なる名目で、アイダに自由にピアノを弾かせ、彼女が奏でる音楽にうっとりと耳を傾けるベインズ。彼にとって、それは生まれて初めての体験でした。読み書きも満足にできず、原住民のマウリ族に馴染むために顔にイレズミを入れている無骨なベインズを当初は軽蔑していたエイダでしたが、彼の不器用な性格に隠れた優しさに触れるうち、次第に心を開くようになります。そして、運命の日が訪れて……!


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※無学だが、ヒロインに不器用で純粋な愛情を注ぐベインズを演じたハーヴェイ・カイテル。どんな女性の中にもおそらく、「男権社会から自由になりたい。一個人として自立したい」という欲求と、「女性として崇拝されたい、愛されたい」という感情のせめぎ合いが存在すると思うんですが、カンピオン監督はやはりそのへんの複雑な女性の感情を巧みに描いていたように思います。ベインズの人物像にもそれがよく現れていたような……。

 

 心の内奥に強烈な自我を秘めながら、ピアノという唯一の自己表現手段を奪われ、圧倒的な孤独感と様々な抑圧の下で生きるエイダ。そんな彼女がベインズによってはじめて本来の自分を認められ、ついに最後には笑顔を取り戻すプロセスは感動的。作品の中で、エイダを強烈に縛っている様々な軛(くびき)の象徴とも言うべきものが、当時の女性の身だしなみに必須であった「コルセット」。エイダを演じるホリー・ハンター、(もしかしてウェスト40センチ代じゃないの?)っていうくらい物凄い柳腰でね。カンピオン監督、彼女の後ろから何度も撮って、その細さを強調してましたよね。コルセットで上半身を締め上げて息もできないとか、失神しそうになる場面って、古くは『風と共に去りぬ』とか、新しいところだと昨年公開の映画『エリザベート1878』にも登場していました。『1878』のエリザベート皇后は※自分に押し付けられるルッキズムに反抗して、まるで鎧のようなコルセットを自ら脱ぎ捨てていましたが、エイダの場合は、生涯はじめて心を通わせた、そして自分を理解してくれた男性に「裸になってくれ」って懇願されてコルセットを脱ぎ捨てることで、本来の自分自身を取り戻すことができた……というね。

ウーマン・リブの黎明期には、女性解放の象徴としてブラジャーをつけない「ノーブラ運動」なんてのもあったんですよ(^_^;)今考えればウソみたいな話だけど(笑)


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※妻と恋人の愛の交歓を覗き見するジョージ(サム・ニール)。こういう、一見紳士面してじつはゴリゴリの男尊女卑主義者っていう役、サム・ニール上手いよねぇ。『それでも夜は明ける』のベネさまの嫌らしさと双璧(笑)

 

 観る側が男性か女性かによって評価が分かれるかも^^; あなたが女性だったら、かなり刺さるかも。4Kデジタルリマスターの美しい映像で、3月22日より全国ロードショー公開です。

 

・おススメ度……★★★★☆

ニュージーランド海辺の映像美と、全編を彩るマイケル・ナイマンの流麗な音楽で★1つ追加!(笑)