オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

日本人ならよくわかる……A24 『パストライブス/再会』


f:id:rie4771:20240407155605j:image

 桜木町駅前のシネコン「ブルグ13」にて、『パストライブス/再会』鑑賞。

 

 韓国ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは、テストの成績を競い合うライバルであり、同時に、お互い淡い恋心を抱いていました。しかしノラの両親は映画監督と画家で、海外進出の第一歩として※カナダへ移住することを決意、2人はある日突然離ればなれになることに。そして12年後、24歳となったノラ(グレタ・リー)はニューヨークに単身住み、若き舞台脚本家として頭角を現していました。一方、ヘソン(ユ・テオ)は自宅からソウルの大学に通う学生。偶然にもSNSで再会した2人は懐かしさから度々Skypeで会話をするように。しかしヘソンは、若く有望なアーティストの為の研修講座に受かったノラから「しばらく距離を置きたい」と告げられ、再び2人の距離は遠のいてしまいます。さらに12年が経ち、36歳となった2人。ヘソンは恋人との別れを経て、企業に勤めるサラリーマン。ノラは既にユダヤアメリカ人作家のアーサーと結婚していました。そんなある日、突然ヘソンから「会社の休みを利用してニューヨークに行く」という知らせを受け取ったノラは、彼の真意を計りかねて戸惑いますが……。

※ノラの両親も職業柄本当はアメリカ、特にニューヨークに移住したかったと思うんですが、ご存知の通りグリーンカード取得は(ビザでさえ)至難の業。それに比べるとカナダの永住権を取得するのは割と容易なので、こういう決断になったかと思われます。

 

 祖国を出てアメリカに暮らすアジア人の複雑な感情を描いた作品としては同じA24の『フェアウェル』があるんですけど、『フェアウェル』のヒロイン(オークワフィナ)は2世で、中国人の顔はしていても中身は完璧アメリカ人、12歳の多感な時期に海外移住したノラとはちょっと違いますね。ノラは夫から「君の寝言は今も韓国語ばかり。英語は聞いたことない」と言われるくらい、アメリカと韓国の間で揺れ動いているところがあって、より切ない。ひたすら初恋の少女を追い求めるヘソンとは違って、彼女のヘソンに対する感情は、言わば生まれた国に対する望郷の念とミックスして、もっと複雑なんですよね。しかも彼女にはニューヨークで舞台脚本家として成功したいという野心があって、アーサーとの結婚を急いだ一因も、早くグリーンカードを取得したかったからというところにあるし。前出の『フェアウェル』や、同じくA24の作品で、昨年度のアカデミー賞を総ナメにした『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と同様に、アメリカにおけるアジア系の移民事情が透けて見えて興味深かったな。

 

 題名にもなっている「Past Lives(前世)」。今生で巡り合う為には八千層の前世の縁が存在する……という韓国の言い伝えからとったもののようです。この仏教的な「輪廻転生」説は、樋口一葉の小説の一文「袖すり合ふも他生の縁(道ですれ違い袖をすり合っただけの人でも、前世では深いご縁があったのだ)と聞くを、仮初(かりそめ)ながら十日ごしも見馴れては他処の人とは思はれぬに」にもあるように、私たち日本人にはとても馴染みの深いものですが、欧米の人たちから見ればエキゾチックで物珍しく感じられるのかもしれませんね。

 

 個人的には、24才の時のノラの韓国語が、「ちょっとおかしい」ってヘソンに指摘される場面。ノラが「だってしょうがないよ。家族としか韓国語喋れないんだから」って答えるんですけど、それにヲタク、ぎくっとしました。ヲタクは夫の仕事の都合で娘2人が2歳と4歳の時にベルギーに移住して、丸5年間暮らした経験があります。彼女たちは現地の小学校(公用語オランダ語)に通っていたのですが、3年、4年と経つうちに彼女たちの言葉がオランダ語と日本語ミックスの妙な言葉になってきて…。(彼女たちはいったい、日本語とオランダ語のどちらをベースにものを考えているんだろう?)と思ったら空恐ろしくなってきて、赴任期間はまだ継続する筈でしたが、強硬に会社側と掛け合って私たち母娘は一足先に日本に帰国させてもらいました。日本人は英語が不得意だから早期教育を……って説もありますが、経験上絶対反対です。……って、何の話してたんだっけ(笑)

 

 ヘソンを通して、祖国に恋慕の情を抱きながらも、改めて自らの意志で、アメリカの地で生きることを選ぶノラ。彼女の想いを受け入れて、別れを告げるヘソン。そんな2人の想いが観ている私たちの胸に刺さる。

 

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と切り口は全く違うけど、下馬評通り来年のアカデミー賞、けっこういいとこ行くかもね♬

 

★今日の小ネタ…グレタ・リー&アンドリュー・スコット

f:id:rie4771:20240407180443j:image

 以前当ブログで掲載した写真、使い回し〜〜(笑)昨年度ゴールデン・グローブ賞アフターパーティ時のグレタ・リー(左…顔見えないけど 笑)と、我が熱烈推しアンドリュー・スコット(最近Netflixでミニシリーズ『リプリー』が配信開始となり、特に熱が上昇中)のツーショ。確か2人、共演経験ないはずだけど…久しぶりに会った旧友って感じね。ご両人とも、ホワイトの装いがステキ。

 

 

 

 

大人の為の大人による大人のロマコメ〜『ブルックリンでオペラを』


f:id:rie4771:20240407091321j:image

 桜木町駅前の「ブルグ13」にて、『ブルックリンでオペラを』鑑賞。

 

 予告編によれば、舘ひろし柴田恭兵の『あぶデカ』が久しぶりに帰って来るとか。なんと「ブルグ13」が入っているビル・コレットマーレ爆破計画が持ち上がり、2人がそれを阻止する為に大暴れ……ってストーリーらしい。今は刑事を引退して探偵稼業らしいので、正しくは『あぶデカ』ならぬ『あぶタン』かな?(^_^;)昨年の映画『TOKYO MER〜走る緊急救命室』ではランドマークタワーが爆破されてたし、みなとみらいも近頃物騒でございます(笑)。

 

閑話休題

 

 『ブルックリンでオペラを』。ニューヨークでオペラ…というと、ヲタク的にはどうしてもメトロポリタン歌劇場のあるアッパーサイド界隈を想像して、(ブルックリン?随分かけ離れてるなぁ……。ブルックリン出身でオペラを目指す人の話?)と思ったんだけど、原題は『She Came To Me(彼女が僕のもとに降りてきた)』で、ヲタクが勝手に想像していた、『テノール!人生はハーモニー』や『ふたりのマエストロ』のようないわゆる「音楽モノ」ではなかったんでした。

 

 主人公は、才能に恵まれながらも神経がデリケートすぎて不安神経症に悩まされ、5年間どスランプ、全く新作が書けていないオペラ作曲家のスティーブ(ピーター・ディングレイジ)。彼は、美しくしかも家事能力も完璧な精神科医の妻パトリシア(アン・ハサウェイ)と、優秀で性格も良いイケメンの継子ジュリアン(エバン・エリソン)と何不自由ない3人暮らしでしたが、その「完全無欠さ」がかえって彼の創作意欲を減退させているようにもみえます。そんなある日、彼は立ち寄ったバーで、「曳き船」の船長をしているカテリーナ(マリサ・トメイ)と知り合い、一夜を共にします。性格も境遇も育ちも全く自分とはかけ離れた彼女でしたが、その日を境にスティーブの人生は激変して……!


f:id:rie4771:20240407124933j:image

※ヲタク的には『ゲースロ』以来のピーター・ディングレイジ(左)。スティーブは、並外れた知力と財力でサバイバルする逞しいティリオン・ラニスターとは真逆のキャラですが、そのセクシーな魅力は健在!妻であるパトリシアが彼に対して既に恋愛感情がなくなっていても母性本能をくすぐられて放っておけないのも納得。

 

 甘くてほろ苦い、大人の為のロマンティックな寓話という感じ。スティーブをはじめとして、登場人物たちは皆、世間的には一応成功した部類に入っているのですが、それぞれ、過去の失敗やその時感じたトラウマを心の奥底に抱えて、前に進めないでいる設定。それが、ある出来事をきっかけに自らの来し方行く末を見つめ直し、大人たちが勇気を持って新たな人生へ踏み出していくストーリー。そのきっかけになるのが、スティーブの継子ジュリアンとGF(ハーロウ・ジェーン)の若く真剣な恋を応援する……というところにあるので、とても胸アツ、爽やかな後味です。しかし、過去にとらわれて右往左往している大人たちより、若い2人のほうがよほど冷静で客観的……というところが、ちょっぴり皮肉でスパイスが効いてます。脚本兼監督のレベッカ・ミラー(父親はあのアーサー・ミラー!)の手腕かな?

 

 そして、1番の見所は、キャスティングの妙味。男の色気に溢れつつどこか甘えん坊で母性本能をくすぐる主人公にピーター・ディングレイジ。彼を巡る両極端の女性2人……何もかもパーフェクト、超潔癖症が高じて修道院生活に憧れるようになるパトリシアに、まるでAIみたいな美貌(注・褒めてます 笑)のアン・ハサウェイを、そして一見「どこにでもいるフツーのオバサン」ふうでありながら、愛と生への意欲に溢れたエネルギッシュな魅力を持つカテリーナにマリサ・トメイを配したのはまさにグッジョブ!でありました。


f:id:rie4771:20240407151551j:image

※まさに「降って湧いたように」スティーブのミューズとなるカテリーナ(右…マリサ・トメイ)。ヲタク世代だと、何と言っても『いとこのビニー』や『忘れられない人』(1993年)だよねぇ。若い人だったらスパイダーマンのメイおばさん…と言えば通りがいいかな?断続的にキャリアにブランクがある人だけど、気さくで人懐こいイタリア系女性の魅力は相変わらず。これからもどんどん活躍してほしい。

 

 日本だとロマコメって若い人たちの専売特許で、40代の女優さんたちってとかく回ってくる役がお母さんや叔母さんばかりになっちゃうけど、こういう「大人たちが主役のロマコメ」が日本でも生まれるといいよね。

 

 

アンドリュー・スコットの演技力に驚嘆〜Netflix『リプリー』

 
f:id:rie4771:20240405094446j:image

 待望のアンスコさま主演『リプリー』がNetflixでついに配信開始!期待に違わぬ出来で、ヲタク、ストーリーは既に知っているというのに、エピソード(1〜8)が進む間中ドキドキが止まらなくて、結局昨夜は夜中までイッキ見し、今朝は廃人同様…トホホ。まっ、今日は仕事休みだからいいけど(笑)

 

 時は1960年代。職業も住所も経歴もわからない謎の男、トム・リプリーアンドリュー・スコット)。彼はニューヨークの片隅で、身分証明書や公証人刻印、信用状の偽造等で日銭を稼いでいる小悪党。そんな彼に「まともな」大仕事が舞い込みます。造船会社を経営する富豪のグリーンリーフが、「画家を目指す」との触れ込みでイタリアのリゾート地・アトラーニに行ったまま帰らず、彼の財産を食い潰している息子のディッキー(ジョニー・フリン)を連れ戻して欲しい、連れ戻してくれるなら金に糸目はつけないと。二つ返事で引き受けたリプリーは、初めて乗るオリエント急行、贅沢な食事、海辺のリゾート地に心躍らせるのでしたが、初めて出会ったディッキーは、才能もないくせに画家を自称し、作家を目指す美女マージ(ダコタ・ファニング)を恋人にし、「慈善行為」とうそぶいて詐欺師の女に大金を巻き上げられてしまうような放蕩息子の典型でした。彼の邸宅に居候するようになったリプリーは、特権階級の豪奢な生活を何の努力もせずに享受しているディッキーに対して次第に侮蔑と憎悪の感情を募らせていき……!
f:id:rie4771:20240405084522j:image

※恋人ディッキー(ジョニー・フリン)がリプリーアンドリュー・スコット)に取り込まれるのを恐れ、リプリーを密かに憎むマージ(ダコタ・ファニング)。奇妙な三角関係が形成されていきますが…。


 とにもかくにも、アンドリュー・スコットの演技が圧倒的!冒頭の、オドオドして、いつも人の顔色を上目遣いに窺っているような※卑屈な態度から、取り返しのつかない犯罪に一旦手を染めるや、自信とカリスマ的魅力に満ちた、ミーナ・マッツィーニの気怠いカンツォーネや年代物のワイン、フェラガモの靴やロレックスの時計が似合うセレブな男に劇的に変化する、そのギャップが凄すぎる。

※アンスコさまって、人間のコンプレックスの表出をコミカルに演じるのがめっちゃ上手い٩(♡ε♡ )۶『リプリー』では、初めてディッキーに会うシーン。ディッキーとマージが海に遊びに行ったと聞いて、急いでリプリーが街の店で水着を買うんだけど、ぴっちぴちのブリーフしかなくて(^_^;)ブリーフ姿に皮靴っていう珍妙な姿で海辺に行くと、当のディッキーはラフなシャツ姿で砂浜に寝転んでるの。この時のアンスコさまの絶妙な表情に注目!

 リプリーは天性の詐欺師。アンスコさまがジョニー・フリン演じるディッキーを仕草から声色から英語のイントネーションから完コピする場面は、素晴らしすぎて寒気がした(笑)。この場面を見た時、監督のスティーブ・ザイリアンが何でわざわざ、アメリカ人であるリプリーに英国人(厳密に言えばアイルランド人だけど)のアンドリュー・スコットをキャスティングしたのか、理解できた気がしたわ。英国舞台の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞を2度も受賞し、ハムレットチェーホフノエル・カワードユージン・オニールも何でもござれのカメレオン俳優、アンドリュー・スコット。まさにリプリーは彼のためにあるような役だった!

 

 リプリー海上のボートの上でディッキーを殺害するシーン。リアルに凄惨で、怖くて目を逸らしたくなったけど、アンスコさまの演技で、不謹慎にも時々吹き出してしまいました(^_^;)人間って、追い詰められた時思わぬ行動をとるでしょ?それをはたから見てるとどこか滑稽に見えるという…。その塩梅が彼、もう絶妙なんです。

 f:id:rie4771:20240405084446j:image

※ストーリーが進むにつれ、ダークヒーロー化していくリプリー。特に後半、彼の犯罪を執拗に追うローマ警察の敏腕刑事ラビーニが登場してからは、まるで「ルパン VS. ホームズ」みたいな展開に(^_^;)この2人の熾烈な心理戦には、手に汗握ります。

 

 リプリーは人間には興味を持たないようですが、絵画や彫像などの芸術にはかなり反応します。特に彼が心奪われたのが、ナポリの教会に飾られたイタリアン・ルネサンスの画家カラヴァッジオの「七つの慈悲の行い」。殺人者で詐欺師のリプリーが「慈悲の行い」って何の冗談かと思いますけどね(笑)しかし、ディッキーが冒頭リプリーに話して聞かせるカラヴァッジオの波乱の生涯(モデルにした娼婦の客引きを殺し、マルタやパレルモへ逃亡しながら絵を描き続け、結局客引きの仲間に捕まって顔を殴られ続けた末、死に至った)が、まるで彼らの行く末を暗示する前奏曲のようで、いかにも不吉でした。

 

 「リプリーは同性愛者なのでは?」という「匂わせ」は度々出てきます。原作者のパトリシア・ハイスミスもそうですし、ゲイであることを公表しているアンスコさまが主役を務めていることからしてそれは間違いないことだと思いますが、一方でリプリーとディッキーの間に果たしてそういった関係があったのか?となると想像の域を出ません。ただ、カラヴァッジオの作品「ダヴィデとゴリアテ」の解釈〜殺人する側と殺害される側は実は一体である〜を聞いた時のリプリーの動揺ぶりを見ると、彼のディッキーへの感情は、愛と憎悪、憧憬と侮蔑、様々な感情が絡み合った非常に複雑なものであったことが、想像に難くありません。


f:id:rie4771:20240404190036j:image

カラヴァッジオ作『七つの慈悲の行い』


f:id:rie4771:20240405132126j:image

カラヴァッジオ作『ゴリアテの頭を持つダヴィデ』

勝利の美酒に酔いしれて良い筈のダヴィデがなぜ、苦悶の表情を浮かべているのか……?

 

 アンスコさまはインタビューの中で

リプリーを単なる悪役と呼ぶのは安易ではないでしょうか。間違いなく、彼はアンチヒーローですよね。この物語と脚本の偉大な功績は、視聴者が必ずしも応援すべきではない誰かを応援してしまうことだと思うんです。ほとんどの視聴者は、彼に逃げ切ってほしいはずです。

と語り、作品のテーマについては、彼がかつてウエストエンドで演じ、絶賛を浴びたシェイクスピアの『ハムレット』の台詞を引用して次のように語っています。

コミュニティにおける特定の要因を排除したら、デンマークに何かよくないこと(=腐敗)が起こるのだ。

 

 『リプリー』は、彼が造型した魅力的なアンチヒーローの姿を通して、1960年代を舞台にしていながら、富者と貧者の二極化、マイノリティ差別と社会の分断、特権階級の腐敗など、現代においても私たちが抱える様々な問題を提示する上質なサスペンスだと言えるでしょう。

 

★今日の小ネタ

①メソッド演技

 アンスコさまは「リプリーは魅力的な役柄だけど、彼の生き方やイデオロギーは自分と全く違うから、演じるのに非常に苦労したよ。僕はメソッド演技はしないからね」と語っています。メソッド演技とは、俳優が疑似体験によって役柄を理解し、完璧に没入してしまう演技法。メソッド法の実践者であるアンドリュー・ガーフィールドが映画『沈黙 サイレンス』で鎖国時代の日本に来たキリスト教の宣教師を演じた際、役に近づく為一定期間完全なる禁欲生活を送ったと告白して、ドリュー・バリモアに「信じられなーい。ホントに禁欲ですって?彼、大丈夫?」と、さんざんネタにされたのも記憶に新しいですが(^_^;)同じアンドリューでも演技のスタイルはずいぶんと違うようです(笑)

②エリオット・サムナー

ディッキーの親友で、リプリーによるディッキー殺害に勘付いた為、リプリーの第2の犠牲者となってしまうフレディ・マイルズ。演じているのはエリオット・サムナーという歌手で、なんと女性。しかもあのスティングの愛娘です。エリオットはアンドリュー・スコット同様、同性愛者であることを公表しています。

 原作者のパトリシア・ハイスミスも同性愛者で、原作の舞台ともなっている60年代当時、アメリカでは同性愛が犯罪視されていたために随分苦しんだようですが、ドラマにも同性愛のイマージュが散見されますね。


f:id:rie4771:20240406061057j:image

 

★おススメ度……★★★★☆

リプリーの結婚詐欺に引っ掛かって地獄を見てみたい(⇐アブナイ人 笑)

 

 

Number_iは三位一体である

 
f:id:rie4771:20240405071654j:image

 「With Music」、「CDTVライブ!ライブ!」と続けて供給されたNumber_iの『GOAT』と新曲『Blow Your Cover』の素晴らしいパフォーマンス、そして彼らの「いま」を深堀りしてくれたインタビューは、現在の日本、いや海外も含めて、Number_iというグループがいかに稀有な存在であるかを如実に物語ってくれた!!

 

 韓国のボーイズグループが世界的に人気を博したことで、多人数による一糸乱れぬダンスやキャッチーで耳障りの良いメロディラインが音楽シーンの大勢を占めているように感じられる今日この頃。そんな中、Number_iが3人体制という少数精鋭で、デビュー曲は全編ゴリゴリラップ、ダンスも予定調和を打ち破る個性重視(あえて揃えない)、「鯉の滝登り」の如く世の趨勢に逆らって、既成の体制に殴り込みをかけた感があって、ロック世代のヲタクとしては嬉しい限り。「ニッポン男児ここにあり!」

 

 BYCのダンスを見てもわかるように、Number_iの御三方は可動域が物凄く広くて一つ一つの動きがダイナミックだから、3人でもTVの画面がめっちゃ狭く感じる。(ヲタクの動体視力では、『GOAT』は動きが速すぎて、彼らの超人的な可動域に気付くことができなかったのです ^^;)女性のダンスボーカルグループは、パフュームをはじめとして幾つか名前が上がるけど、男性の場合、世界を見渡しても思いつかない。あらゆる意味でNumber_iは革命的なグループだと思う。

 

 だいたいからして「3」って強い力を秘めた数字だからね。建築学的には、外力を加えた場合曲げモーメントは発生せず軸力しか発生しないため、ピラミッドに見られるように他の多角形に比較してトラス構造が最大限に強くなると言われているのは周知の通り。宗教学的にもキリスト教には「神と子と精霊の聖名において」の「三位一体説」が存在するし、「衣・食・住」「心・技・体」「政・官・民」など3つ揃って初めて完璧になる……という意味の単語も多い。

 

 岸優太、平野紫耀神宮寺勇太という「3人揃って初めて完璧となる」煌やかなトリニティが、音楽シーンにおいてこれからますます強大さを増していくのは間違いないでしょう。

 

 

 

 

アリ・アスターが好きそうだよね〜A 24ホラー『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』


f:id:rie4771:20240402204929j:image

 オーストラリアの双子のYouTuber、フィリッポウ兄弟の長編映画第一作。サンダンス映画祭でかなり話題になった作品ですよね。

 

f:id:rie4771:20240403083501j:image

※素晴らしかったヒロイン役のソフィー・ワイルド。この作品の演技で彼女は、AACTA(オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞)主演女優賞受賞、BAFTA(英国アカデミー賞ライジングスター賞ノミネート。

 

 母を亡くしたばかりの高校生ミア(ソフィー・ワイルド)は、母の死が睡眠薬の飲み過ぎによる自殺なのか、事故死なのか、はたまた一緒にいた父が実は母の死に関わっているのか、真相が知りたくても叶わないまま、鬱々とした日々を送っていました。人付き合いが苦手で、パーティでも1人浮いてしまうタイプの彼女は、たった1人の友人ジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)に依存気味で、彼女の家に入り浸っていますが、ジェイドにもBFができてあまり構ってくれなくなったため、寂しさを持て余していました。そんな時、ひょんなことからSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」(昔の19世紀末に欧米で流行った「降霊会」ですよね?)に参加することに。ルールはしごくお手軽で、セラミック製の小道具である「手」を握り、「Talk to me」「Let me in」と唱えると、一瞬で手を握った人に霊が憑依する……というもの。ただし注意点は、必ず90秒以内に「手」を離すこと。 90秒以上手を離さないでいると、霊が憑依したまま体外に出ていかない、それは本人が死ぬまで続く……というのです。麻薬にも似たハイなトリップ体験は若者たちをトリコにし、彼らはスリルを求めて何度も憑依チャレンジを繰り返しますが、ある夜、想像を絶するリアルな恐怖体験が彼らを襲い……!


f:id:rie4771:20240402221915j:image 

※ヒロイン・ミアとは対象的な、家族思いのしっかり者ジェイドを演じたアレクサンドラ・ジェンセン。この時の好演により、AACTA助演女優賞にノミネートされました。

 

 アリ・アスターがこの映画を絶賛したらしいけど、(あー、わかるわかる)って感じ。だって、ヒロインであるミアの、対人恐怖と表裏一体になっているみたいな関係依存症、承認欲求の強さ、自己肯定感の低さがまるで『ミッド・サマー』のヒロイン(フローレンス・ピュー)の裏バージョンみたいだから(笑)何をやっても精神的に負のループに入って堂々巡り、それじゃもう、詐欺にも引っ掛かるし、カルト信仰にもつけこまれるし、霊にも取り憑かれるわよ(ジェイドのママの発言で、ミアはかつて麻薬にハマっていたことがほのめかされています。元々依存症体質だし、洗脳されやすいタイプなわけ)

 

 友情も恋愛もSNSで手軽に始められる現代、生死を扱う事柄すらもハッシュタグつき……っていうね。人気YouTuberのフィリッポウ兄弟だけあって、(果たして本当に霊が取り憑いているのか?はたまたメンヘラヒロインの妄想の所産なのか?)というホラーの王道はきっちり押さえつつも、現代の世相を鮮やかに切り取る手法は斬新で、「新感覚ホラー」って銘打つだけあるかも。あのA24の製作だしね。

 

 PG12なんですよね、これ。描写はかな〜りグロテスクで残酷、流血の惨事。ホントにPG12で大丈夫かなぁ……おばさん心配だよ、ぶつぶつ。良い子はあまり見ないほうがいいかも(笑)

 

★おまけ

 ヒロインを演じたソフィー・ワイルド、めっちゃ美人だし演技上手いし、今度は血と涙でぐちゃぐちゃのホラーじゃなくて、別の作品で見たいわ……と思ったら、あらら別の話題でごく最近ネットを賑わしてたんですね。『アスター・サン』の好演で日本でも認知度が高まったポール・メスカルとの交際報道が!(おや、素敵なカップル💑)と思いきや、今度はポールくん、NY大卒の知的美女、アヨ・エデビリと恋のウワサが……。

おいポール、どっちかはっきりしなさいっ(笑)


f:id:rie4771:20240402215935j:image

※ポール・メスカル(中央)を挟んで、どちらが本命?なソフィー・ワイルド(左)とアヨ・エビデリ(右)。

 

 

 

 

 

Number_i〜「Blow Your Cover」 in 『CDTVライブ!ライブ!』(2024.4.1)

 昨夜の「CDTVライブ!ライブ!」TV初披露のNumber_i『Blow Your Cover』。

 

 うわー、ヤバかったね、ヤバかったね(語彙力が……^^;)『To Heroes』のBYCもヤバかったけど、今回は一人ひとりの表情が克明に見えるぶん、沼の深みが底しれなくて、翌日仕事で早く寝なくちゃいけないのに、廃人になるってわかってるのに、際限なくリピしてしまった……トホホ。

 

   「この曲は表情が大事」「すっごく繊細」(神宮寺)、「切なくなってくる。曲がそうさせてくれる」(平野)、「力を溜め込んで」(岸)、「……でもそれを出しすぎない」(神宮寺)と、打ち合わせの時からすでに曲に憑依されちゃってる?3人でしたから、本番はもう……言わずもがな。インスタの平野くんじゃないけど、ええええもう、見てるこっちは溶かされましたよ、ドロドロに溶けて跡形もないわ(笑)


f:id:rie4771:20240402143815j:image

 岸くんって、こういう表情するんだねぇ……。ハイ、まんまとヤられていっちょ上がり!(笑)沈むシーツに昨夜の情景を追い求めても、「愛させて Once Again」と呟いても、空っぽの部屋に虚しく響くだけ。「耐える」イケメンはセクシーだし、苦悶の表情がよく似合う。

うん!これぞまさしく「大人のうー」に違いない(笑)

 

 どうにもならない辛さを全て飲み込んで、耐えて、微かに微笑んでみせるのがオトナの男の恋なら、『CDTVライブ!ライブ!』のNumber_iは、曲の世界観を余す所なく表現してみせたと言っても過言ではありますまい。

 

 ……しかしあれだね、「BYC」って、エロ切ないオトナの恋を表現する代名詞になりそうじゃない?

「俺と彼女との距離……?まだBYC」とか?(笑)


f:id:rie4771:20240402145618j:image

※BYCのMV、きっとドラマチックな内容になるんだろうなぁ٩(♡ε♡ )۶『GOAT』に引き続き、めっちゃ中毒性のある作品になりそう。

 

 

 

 

 

 

  

 

アイルランドに行きたい〜〜っ!!〜Netflix『アイリッシュ・ウィッシュ』


f:id:rie4771:20240331161811j:image

 Netflixの新作『アイリッシュ・ウィッシュ』鑑賞。主演はリンジー・ローハン

 

 いつの頃からかアイルランド大好き❤(昔はエール共和国って言われてました)念願叶ってアイルランドに1週間旅行した時には、見るもの聞くもの夢のように素晴らしくて、きっとじぶんは前世アイルランド人じゃないかと思ったほど(⇐アブナイ人^^;)アイルランドが舞台の映画やドラマ…と聞けば内容はどうあれ、絶対に観るヲタク。昨年観た『イニシェリン島の精霊』は確かにオールアイルランドロケで、風景は綺麗だった筈……なのに、何しろ登場人物の憎しみや侮蔑、差別などマイナス感情が怒涛のように渦巻く作品で、景色を楽しむ余裕がなかった(笑)その点今回は王道のロマコメなので、アイルランドの溜息が出るような美しい風景が堪能できました!


f:id:rie4771:20240331163311j:image

※雨が降ったかと思えば一瞬のうちに晴れるアイルランドの気候。そのため木々の緑が美しく、「エメラルドの島」の異名をとります。

 

 売れっ子ロマンス作家のポール・ケネディ(アレクサンダー・グラホス)の優秀な編集者マディ(リンジー・ローハン)。じつは彼の新作は殆どが彼女のアイデアによるものでした。割に合わないゴーストライターを務めているのも、彼を密かに愛していたからこそ。ところがポールは彼女の親友エマ(エリザベス・タン)に一目惚れ、あれよという間に電撃結婚へ怒涛の展開。式はポールの故郷であるアイルランドのウィックローで行われることになり、傷心のままブライズメイドとして彼らに同行することになったマディですが、ある日景勝地のテイ湖のほとりで願い事を叶える超能力があるらしい?不思議な女性に出逢います。思わず「ポールと結婚したい」と呟くマディ。しかしさあ大変、彼女が願いの言葉を口にした途端、嵐が巻き起こり…!!


f:id:rie4771:20240331163418j:image

※マディの憧れの地、モハーの断崖

 

 アイルランドを舞台にした、「ロマコメ時々ファンタジー」なストーリー(笑)でも、アイルランドだからこそ成立した作品だったと思うんですね。アイルランドって、田舎に行けば行くほど、土着の妖精信仰や言い伝えがまだ息づいているような国だから……。


f:id:rie4771:20240331171745j:image

※マディが不思議な女性に出逢ったテイ湖(グレンダーロッホ)。

 

 マディが野性的な「モハーの断崖」の光景が好きで、本当はそこで結婚式をあげたいのに都会派のポールに合わせてキライなふりをしていたり、愛読書は皮肉と風刺満載のジェームズ・ジョイスなのに正統派のディケンズが好きと言ったり、自転車を飛ばすアウトドアな彼をフラつきながら必死で追いかけたり……と、好きな相手に過剰適応しまくってて、恋愛真っ最中の女子なら身につまされることでしょう。

 

 お騒がせいろいろで一時芸能活動から遠ざかっていたリンジー・ローハン。2年前のやはりNetflix作品『フォーリング・フォア・クリスマス』で久々にリンジー復活!って感じでした。今作品もその延長線上といったところ。『フォーリング〜』では実際の彼女に寄せたセレブの役どころでしたが、今回は昔から本の虫で運動オンチ、ダンスも踊れないガリ勉の設定(^_^;)『ミーン・ガールズ』の「ジングルベル・ロック」、セクシーダンスを覚えている世代としては、ちょっとギャップ大きめ(笑)典型的なアメリカン・ガールから一転、大人の魅力を纏って、帰ってきたリンジー。落ち着いた、きめ細やかな演技が素敵なので、これからも頑張ってほしいな♬

 

 ……ただ、ポールの実家であるケネディ邸がダブリン(アイルランド東部)の近くなわけでしょ。そこから最西端のモハーの断崖まではいくら時速100キロくらいでぶっ飛ばしても日帰りはできないと思うのだが……。


f:id:rie4771:20240331181725j:image

まっ、細かいことは言わないことにしよう(笑)

 

 

 

Number_i in『With Music』(2024.3.30)

 
f:id:rie4771:20240331065913j:image

 Number_ iの記念すべき民放初出演となった『With Music』。制作側が、Number_i という稀有なユニットがいかに誕生したのか丁寧にトレースした上で、彼らの「今」、彼らが打ち出したいコンセプトをしっかり取材してくれてた。日テレさんに改めて感謝、感謝。

 

 MCの有働由美子さんと松下洸平さんが的確に引き出して下さったように、切っても切れない「熱い絆」があり、互いに深い尊敬の念を持っていて、コンサートの後でも反省会が必要ないくらいの関係性である彼ら。一方で、インタビューを受ける時はそれぞれ役割分担が阿吽の呼吸で決まっている感じなのも見ていて楽しい♬ユニットのスポークスマンであり、切り込み隊長の平野くん、それにボケをかます超天然岸くん、2人の発言を上手く拾って回収する神宮寺くん……というふうに。


f:id:rie4771:20240331070031j:image

※Xでどなたかがおっしゃっていたけど、今年の流行語大賞は「GOAT筋」で決まり!(笑)

 

『GOAT』の……

タクシー乗るにも一苦労なArtist

で、普段ホワホワ天然な岸くんが突如として異次元に行っちゃったみたいにぶっちぎるくだり、後ろで平野くんと神宮寺くんが目を丸くしていますが、あれは演出なんかじゃない、本当に心から驚いてるんだ……っていうのがね、胸アツだったよね。んで、あれだけの驚異的パフォーマンスを見せておきながら、お兄ちゃんに対する弟2人の尊敬の眼差しを「え?全然わかんない」岸くんも、らしくていい(笑)

 

そしてそして……

 彼らを語る時に「グローバル」「世界を目指す」って言葉が度々使われるけど、今回3人の発言を聞くと、3人のマインドは既にグローバル化していることがよくわかる。


f:id:rie4771:20240331070127j:image

『GOAT』、あなたたちも確実に「製作側」に居たのね!


f:id:rie4771:20240331070336j:image

 誰に強制されたのでもない、自らの意志で、クリエイティブに携わっていける環境にしたのね!「した」のね!(⇐しつこい^^;)……だから当然、「いつだって楽しい」。MVの撮影が延々と長期に渡っても辛くなんてない。コンサートの前だって全然緊張しない。不安もない。よしんば世の趨勢に逆らって批判されたところで、それがどうした?自分自身で選んだ道だから。他の誰かが作り上げた虚構の世界で生きているわけじゃないから。自分たちで作り上げた世界観には絶対に自信があるから。

 

 Artistという言葉が日本語の芸術家と同義語だとしたら(芸術家は意識の中では、お金を稼ぐことは二の次で、いかに自分の作品で人々や社会に影響を及ぼせるかを考える傾向にある)、これからもNumber_ iの御三方には、堂々とArtistの王道を突き進んで行って欲しいものです。

 

★おまけ

『With Music』で、『GOAT』ダンスのコレオ、あえて揃えていない…と言われてましたが、一人でも欠けたら成り立たない三位一体感を醸し出しつつ、その一方でそれぞれの個性も名前の通り唯一無二で、際立っているのがNumber_iの魅力でしょうか?『GOAT』とはまたがらっと趣きの違うミディアムナンバー『Blow Your Cover』がシングル・カットされるとの発表がありましたが、この曲、ヲタクの中では主人公は神宮寺くんなんだよねぇ。ラジオで計らずもご本人が口にしたという「エロ切ない」。神宮寺くんはまんまそれだわ……(うっとり)。平野くんは帝王感溢れる『FUJI』のイメージ。ギリシャ彫刻みたいな綺麗なお顔立ちなのに、内面は漢気に溢れていて、それでいて硬質な少年っぽさも感じさせる。『GOAT』ではもう、岸くんの存在感が圧倒的すぎて……。スティーブ・ロジャースがはじめてキャプテン・アメリカに変身した時の衝撃を思い出した。

 

……って、脳内妄想が止まらなくなってきたので、このへんでやめときます(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Number_i〜平野紫耀 in YSL Beauty公式動画


f:id:rie4771:20240329055405j:image

 イブ・サンローランのアジア・アンバサダーとして、「YSL LOVESHINE リップスティック」の誕生イベント(2024年3月25日、パリ)に参加した平野紫耀くん。YSL Beauty公式Instagramがアンバサダーたちが共演する動画を公開したというので、早速見に行ってみたら……。

 

あまりの凄すぎるメンツにヲタク、のけぞりました。

 

 K-POPのファンやヨーロッパの音楽好きの方々はまた感じるところが別なんだろうけど、じぶんは映画オタクなので、ツボにはまった点を語りますね。デュア・リパとのツーショにも大コーフンだったけど、な、なんと今回の動画では、

 

アデル・エグザルホプロス、ミレナ・スミットと共演してるじゃないですか!

……いやマジで震えたよ。


f:id:rie4771:20240329070108j:image

 

★アデル・エグザルホプロス(フランス)


f:id:rie4771:20240329062423j:image

 出逢った瞬間、青い髪の画家エマ(レア・セドゥ…右)と激しい恋に落ちる高校生、アデル(アデル・エグザルホプロス…左)を描いた『アデル、ブルーは熱い色』(2014…フランス)。同年のカンヌ国際映画祭の話題を席巻、監督賞だけでなく、主演のレア・セドゥとアデル・エグザルホプロスにも特別にパルムドールが贈られるという異例の事態に。映画史に残るアノシーン、衝撃が強すぎて映画館の座席から立ち上がれなかった人も多かったはず。カンヌ国際映画祭撮影時アデルはわずか18才、今回のYSLの動画では、27才になった彼女が成熟した女性の魅力を振りまいていますが、平野くんと同い年……って知って2度ビックリ(^_^;)


f:id:rie4771:20240329065747j:image

※YSLアンバサダーとしてのアデル・エグザルホプロス。10代から20代に至る女性の変化って……凄い。

 

★ミレナ・スミット(スペイン)

 同じ日に出産した2人のシングルマザーの過酷な人生を描いた『パラレル・マザーズ』(2021年…ペドロ・アルモドバル監督)。監督のミューズでもあるペネロペ・クルスがその鬼気迫る演技で、第78回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞しましたが、もう一人の母親役を演じたのがミレナ・スミット。あのペネロペとがっつり組んで、引けを取らない熱演だったとヲタクは思います。


f:id:rie4771:20240329071733j:image

★『パラレル・マザーズ』のミレナ・スミット(右)。ナイーブな役柄に寄せたビジュを作り込んでいた彼女でしたが、YSLアンバサダーの彼女はこの通り、時代の最先端を行くモードな美女に。↓


f:id:rie4771:20240329072753j:image

 ……してみると、この動画を撮るにも、入念なメークを施した世界中の美女を向こうに回し、内面から滲み出るナチュラルな美とオーラでパリを席巻した平野紫耀くんは、改めて凄い人なんだと認識した次第であります。

 

 

 


平野紫耀がパリのイヴ・サンローランイベントに参加!NewJeansダニエルら世界的スターと出演のキュートな動画が公開 – THE FIRST TIMES

ゼンデイヤ✕マイク・ファイスト✕ジョシュ・オコナー〜『チャレンジャーズ』プレスツァー開始!


f:id:rie4771:20240328060950j:image

 待ちに待った『チャレンジャーズ』(ルカ・グァダニーノ監督)がいよいよ公開!今回のオーストラリアを皮切りにプレスツァーが始まりました!スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』のリフを見た瞬間、「マイク・ファイスト沼」に真っ逆さまに落ちたヲタク、どんなにこの日を待っていたことか。自身のブログを紐解いてみれば、「マイクがルカ・グァダニーノ監督の新作に出演決定〜〜!」って狂喜乱舞してたのがちょうど2年前ですねぇ……(遠い眼)。その後はしばらくチラホラこの作品に関する記事は出てたけど、それもやがては立ち消え……。その間マイクはインディーズ映画に出演したみたいだけど日本には入って来ず(ToT)、ブロードウェイで舞台『ブロークバック・マウンテン』の主演を張ったけど当然ヲタクは観に行けず、昨年のヴェネツィア国際映画祭でプレミア公開されるって情報が出回ったけどなぜかそれも中止……。長かったわ…ホントに長かったわ…。


f:id:rie4771:20240328062903j:image

LOEWEと協賛してるのかな?3人とも衣装はLOEWEみたい。ジョシュ・オコナーはアンバサダーらしいけど…。LOEWEのサイトになぜかマイクの写真を1枚発見したけど、アンバサダー就任のニュースは無いから…。あれは一体何だったのかしら(謎)

 

 さて、どなたかゼンデイヤのファンの方が「Golden Trio」って呼んでたけど、まさに、まさに!……でも3人が3人とも圧倒的オーラを放つセレブリティだっていうのに、ワチャワチャ冗談言い合っててハイスクールの仲良しグループみたい(笑)そこがまたギャップ萌え٩(♡ε♡ )۶

 

 そんな「仲良し3人組」、オーストラリアの朝の番組「7:30」に揃って登場、インタビュアーの女性に「この番組のインタビューで、3人一緒にお相手するのは初めての経験だわ」って言われてました(笑)

 

 『チャレンジャーズ』は、怪我でテニス・チャンピオンの夢を断たれたタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)が、試合に出ると負けのテニス選手の夫(マイク・ファイスト)を何とかチャンピオンに押し上げようと奮闘しますが、なんとその対戦相手が自分の元カレ(ジョシュ・オコナー)で……というロマコメらしい。でも、早々に+18認定されてるし、オフィシャル・トレイラーでもベッドの上で3人で3№£&¢#◑℃……な場面があったりして、今からドキドキ。インタビュアーも「かなり際どいシーンがあるようですが?」と水を向けていましたが、ジョシュ・オコナーが「テニスの話だからね。愛憎劇もセックスの火花も全てテニスコートにあるんだよ」って上手く逃げられてましたね(笑)


f:id:rie4771:20240328065844j:image

 撮影に際し、テニスのハードトレーニングは6週間にも及んだそう。3人一緒にトレーニングして、1日の終わりには必ずミーティング…って毎日を6週間続けたら、そりゃ仲良しにもなるわな(笑)。フェミニストなマイクは「ゼンデイヤは素晴らしかったよ。テニス選手に転身してもいいんじゃないかな」って話してたけど、すかさずゼンデイヤとジョシュに「そんなことないでしょ!マイクには到底敵わない、彼は特別」って切り返されてた。うん、ヲタクもそう思う。彼の役への入り込み方、そのストイックさ、ハンパじゃない。「ウエスト・サイド・ストーリー」の時も、1950年当時ニューヨークの不良少年になりきるため、どんどん体重落としていって、ついにはスピルバーグ監督に「それ以上やったら死んじゃう。止めてくれ」って言われたくらいだもん。団結を高めるため、ジェッツのメンバーとも合宿して、そこから撮影所に通ってたくらいだし(笑)

 

 ゼンデイヤは今回演じたタシ・ダンカンが「絶対に自分の非を認めない」しかも平然と他人を繰る強烈な自我の持ち主で、あまりにも自分とかけ離れたキャラであるため、演じるのにとても苦労したそう。インタビュアーが「マイクはどう?」と水を向けるとマイクは、「うーん。僕は、共通点を探すことから役に入り込んでいくんだ。それが、自分の演じる役の理解にも繋がっていくから。だからそれほど苦労はなかったかな」と、俳優というよりまるで大学の片隅にいる文学青年みたいに物静かに語っていました。トレイラーで見るマイクのテニスプレイヤーぶりは本物顔負けで、「ウエスト・サイド・ストーリー」の時のキレッキレなダンスもそうだけど、スクリーン上の彼と普段の柔らかな雰囲気の彼とのギャップが凄すぎる。インタビュー見て、ますます沼ってしまった(笑)

 

 「あなたに憧れて、あなたみたいになりたいって思っている若い女性に一言」と言われ、ビックリして「えっ?私に憧れてる?私もまだ自分自身を確立しようと努力している最中よ。」と真摯に答えるゼンデイヤに好感持っちゃったなぁ。また最後に、「(私が)ジョシュで、(ジョシュが)マイク、(マイクが)ゼンデイヤでした〜!」って言うところも、とってもチャーミング。人としても魅力的な3人が演じるロマコメ『チャレンジャーズ』、日本公開早くPlease!!


f:id:rie4771:20240328072743j:image

※以前のインタビューで、「ルカ(グァダニーノ監督)が興味を持っているのは、肉体と汗…かな?」と語っていたマイク。なるほど、だからこんなシーンが…。大歓迎よ(笑)

 

ボブ・ディランになりきるティモシー・シャラメ〜『A Complete Unknown』

 「プリンス・オブ・ハリウッド」ティモシー・シャラメが伝説のシンガー、ボブ・ディランを演じる『A Complete Unknown』。セットの写真がSNS でかなり出回っているので、撮影は順調のようですね。

 

 ヲタクがブログで「プリプロ始まったよ〜!」って皆さんにお知らせしたのがちょうど1年前。でも作品の制作が発表されたのは遡ること3年前で、その後コロナ禍その他の理由で予定は延びに延び、一時は「もしかして製作中止!?」なんてウワサされていた曰くつきの作品。無事に撮影にこぎつけて、良かった、良かった。

 

題名の『A complete unknown』は、ディランの曲の中でも最も有名な『Like a rolling stone』の中の一節から採ったもののようです。

 

How does it feel
How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone?

どんな気がする?

帰る家もなく独りぼっち

どんな気がする?

転がる石のように

誰からも相手にされないって

f:id:rie4771:20240325141047j:image

※ブラッシングしないライオンみたいな髪、コーデュロイのジャケットにジーンズ、猫背でトボトボ歩いているとこなんて、ディラン以上にディランしてる?ティモシー・シャラメ

 

 ディランはもはや音楽界のアイコン、スーパースターだというのに普段から挙動不審なのか、はたまオーラが無いのか(笑)女性警官から職質を受けて本人と信じてもらえなかったとか、自分のコンサート会場に入れてもらえなかったとか、けっこう情けないエピソードがあるんですよね(^_^;)…で、そういう時には決まって「Like a complete unknown」の歌詞を引き合いに出されてマスコミにいぢられるという……笑。

 

 煌やかなカリスマの代名詞みたいなティモシー・シャラメが、「Like a complete unknown」スターらしくないスター、ボブ・ディランをどう演じるのかが作品の最大の見所になるでしょう。今から公開が楽しみ!


f:id:rie4771:20240325142800j:image

ボブ・ディランに多大な影響を与えたという反戦歌手のピート・シーガー役にはエドワード・ノートンノートンは知る人ぞ知る「憑依型俳優」ですが、写真を見る限り、すでに憑依しちゃってるね(笑)


f:id:rie4771:20240325144430j:image

※シャラメをめぐる女性キャストも超豪華!ディランが20代の頃激しい恋に落ちたお相手、「フォークの女神」「反戦歌の女王」ジョーン・バエズにモニカ・バルバロ(左)、1960年前半にディランの恋人だったという学生アーティスト、シルヴィ・ルッソにエル・ファニング(右)。ティモシー・シャラメエル・ファニングは『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』以来の再共演。『レイニーデイ』では、美男美女のお似合いカップルなのに価値観がすれ違い、ギクシャクして、結局破綻してしまうほろ苦い結末でしたが、さて今回はどんな素敵な恋模様を見せてくれるのでしょうか。


f:id:rie4771:20240410173829j:image

※撮影現場でのティモシー・シャラメエル・ファニング。二人共60年代っぽい(笑)

 

★オースティン・バトラーがエルヴィス役でカメオ出演!?


f:id:rie4771:20240325145055j:image

『DUNE砂の惑星 2』での共演ですっかり意気投合したオースティン・バトラー(左)とシャラメ。シャラメはオースティンがエルヴィス・プレスリーとしてこの映画に出演してくれることを熱望してるそう。バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』の公開当時、映画館で何度もリピしたヲタクとしては、ぜひ実現してもらいたい!


f:id:rie4771:20240325145747j:image

※『エルヴィス』の神演技で映画賞を総ナメにしたオースティン・バトラー。彼がまたエルヴィスとしてスクリーンに戻って来るかもしれないなんて…。考えるだけでドキドキしちゃう٩(♡ε♡ )۶

 

 

「なぜ殺されたかって?女の子だからよ!」〜『12日の殺人』


f:id:rie4771:20240324124507j:image

 フランス映画『12日の殺人』鑑賞。一応「サスペンス映画」に分類されていますが、ヲタクが直近で観た『落下の解剖学』同様、殺人事件が起きて、頭脳明晰な刑事(または探偵)が登場、見事に謎を解決してめでたしめでたし……なお話ではありません(^_^;)もう冒頭から

仏警察が捜査する殺人事件は年間800件以上。そのうち未解決事件は約20%。これはそのうちの1件だ」

ってテロップが出て来ますから、こっちも覚悟して観なくちゃいけません(笑)

 

 舞台はフランスの地方都市グルノーブル。そう、かつて冬季オリンピックが開かれたあのグルノーブルです。スクリーンの背景にちらっとスキー場のリフトらしきものが映ってましたが、オリンピックの会場の他にも、小さなスキー場が点在しているので、そのうちの1つなのかな……と思います。ヨーロッパに住んでいた頃、冬休みにそういった小さなスキー場のロッジを1週間ほど借りたことがありますが、舗装されてない道を延々と車で登っていく感じで、スキー場以外は何も無い…みたいな(^_^;)そう言えば『落下の解剖学』も舞台がグルノーブルだったんですよね。お互い全員が顔見知りの閉鎖的な社会で、だからゆえに避けられなかった惨劇。

 

 そんな山奥の小さな村で、ある日21才の女性の焼死体が発見されます。名前はクララ。前日の真夜中、友人の家から帰宅途中に突然顔にガソリンをかけられ、生きたまま焼かれてしまったのです。若く美しい女性の、あまりにも惨たらしい死に様に、前任者の定年で新たに班長となったヨアン(バスティアン・ブイヨン)をはじめとする捜査班は早速捜査に乗り出します。捜査を進めるうちに、クララが恋愛依存症ぎみで、多数の男たちと関係があったことがわかってきます。言わばクララと関係した男たち全員に殺人の動機があったわけです。ヨアンたちは昼夜を問わず聞き込みや被疑者の尋問を繰り返しますがどれも確証は得られず、捜査は混迷を極めていき……!

 

 クララが付き合っていた男たちがまあ、揃いも揃ってミソジニストやらDV男やらマチズモ野郎やらで……。狭い村だから、クララが誰と関係していたか男たちの間でも筒抜け……っていう最悪な状況。捜査が進むうちに、担当の刑事たちが次第にクララに対して侮蔑の感情を募らせていって、ついには「これは魔女狩りだよ」とうそぶき、もとはといえば、多情なクララ自身が招いたことなんだと言わんばかりになっていくのが、なんだかやり切れなかった(ToT)1人の刑事なんて、奥さんに恋人ができて離婚を切り出されたのをクララの事件に重ね合わせて自暴自棄になっちゃうし……。

 

もう、しっかりしてくれよ!(笑)

 

 暗澹としたストーリー展開のなか、唯一の救いはやっぱり主人公のヨアンかなぁ……。彼は泊まりに来た同僚に「トイレはちゃんと座ってやれよ」っていうような人で。でもそんな彼も捜査状況が袋小路に入っていくなか、部下たちの「魔女狩り」思想に心が揺らぎ始めます。その時、クララの親友から

彼女がいろんな人と寝ていたから何だっていうの。本人のことを何も聞かず、なぜ寝た相手のことばかり知りたがるの。

なぜクララが殺されたかって?彼女が女の子だからよ!

とズバリ真実を突かれてハッとする場面は良かった…。

 

 事件が迷宮入りして3年後、ヨアンは判事に呼び出され、事件の再捜査を命じられます。その頃にはヨアンを取り巻く環境もずいぶん様変わりしており、男ばかりだったヨアンの班にも、警察学校を首席で卒業した若い女性刑事が配属されています。(彼を呼び出した判事も女性だしね)彼が判事や女性の部下にとる態度を見ていると、3年前のクララの親友の言葉はちゃんとヨアンの心に刺さっているんだな…とわかってね。ちょっとうるっときましたね。

 

 あらゆる点で『落下の解剖学』と対をなす作品だと思います。しかし、絶望に満ちた『落下の〜』のラストと違って、3年後のヨアンの変化の中に、彼のような男性がもっと増えてくればきっと社会も変わってくるはず……という監督のメッセージが透けて見えて……

 

と女の間には深くて暗い河がある

(『落下の解剖学』からの使い回し 笑)

 

しかし、微かな希望が仄見えた結末だったように思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VOGUEが描き出すアンドリュー・スコットの肖像


f:id:rie4771:20240324080958j:image

※VOGUEより。シャツ…ラルフ・ローレンジーンズ…リーバイス

 

 VOGUE(2024.3.24)に掲載されたアンドリュー・スコットのインタビュー。テート・ギャラリーでインタビュアーのジン・ツェン氏と待ち合わせして、テムズ川のほとりを歩きながらインタビューに応じたアンドリュー。こんなところも日頃散歩を愛する彼らしいね。『異人たち』のキャンペーンも、ポール・メスカルとロンドン中を徒歩で動きながら行ったそうで(ビックリ)、途中自転車に乗った少年たちに追いかけられたエピソードなどを今回のインタビューで語っています。

 

 昨年公開された『異人たち』(日本では来月4月に公開)の名演が評判を呼び(英国アカデミー賞受賞、ゴールデングローブ賞ノミネート)、最近は本国英国だけでなく、ハリウッドでも引っ張りだこのアンドリュー・スコット。でもご本人はそれにだいぶ戸惑いがあるようで、「あまり(名声については)考えたくないな。ちょっと怖いような気がするから」だそうです。個人的には、もっと大手を振って名声を享受してもいいと思うけどなぁ。だってだってアンスコさまは、英国舞台の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞をなんと2度も受賞し、ハムレットチェーホフノエル・カワードユージン・オニールも何でもござれのカメレオン俳優で、ブロードウェイの舞台『Vertical Hour』(2006)で共演したジュリアン・ムーアからは「アンドリューに会ったその瞬間から、彼が並外れた才能を持っていることはすぐにわかったわ!」って評されたくらいなんだから……。


f:id:rie4771:20240324091426j:image

※VOGUEより。コート…オフィチーネ・ジェネラル

 

 一方アイルランド人であるアンドリューは、シャイである一方で、気さくで陽気な面を持ち合わせているようで、前出のジュリアン・ムーアは「彼はとても愉快な人で、舞台上でもプライベートでも素晴らしいパートナーだったわ」と語っているし、『フリーバッグ』(アンドリューはヒロイン・フリーバッグと禁断の恋に落ちる神父「ホットプリースト」役)で制作・脚本・監督を務めた英国一の才女、フィービー・ウォーラー=ブリッジは「彼はまるでいたずら好きの妖精ね。でも私は、彼のそんなやんちゃなところが大好き。彼は、会った瞬間にこちらを和ませてくれる魔法みたいな力を身につけているの」と大絶賛。

 

 俳優として、また1人の人間としても魅力的なアンドリュー・スコットが今回挑戦するのが、これまでアラン・ドロンマット・デイモンジョン・マルコビッチといった名だたる名優たちが演じてきたダークヒーロー、リプリー。ミステリ作家パトリシア・ハイスミスが造型したこの特異な人物を、アンドリューは「単にソシオパスであるとか、サイコキラーであるとか、類型的な呼び名をつけることはしません。あまりにも彼は心の奥に複雑なものを秘めているからです。人よりも美を愛する彼は、貧困から這い上がるため、戦いを挑んでいるのです」と語っています。あの『シャーロック』、その不気味で抑圧された、しかしどうしようもなく魅力的なモリアーティを演じた彼のこと、きっと今回も新たなトム・リプリー像を造型して、私たちを魅了してくれるに違いありません。

 

★おまけ…平野紫耀 VS. アンドリュー・スコット

 2024年新年早々パリで開催されたルイ・ヴィトンのショウで、平野くんの隣の隣に座っていたのがアンスコちゃん。初体験だというのに堂々として、スタァのオーラに耀いていた平野くんと対象的に、「ボク、ここにいていいのかな?」ふうで落ち着かなさげだったアンスコちゃん。どっちも「らしく」て可愛かった٩(♡ε♡ )۶

 

 

 

 

 

Number_iは推し活革命を起こす!?


f:id:rie4771:20240324044330j:image

 Genius Japanによると、Number_iの『FUJI』が『GOAT』に代わって総合チャート1位になったそうだ。ヲタクはこの結果を見て、少なからず衝撃を受けた。いやだって、あの『GOAT』よりさらにゴリゴリなヒップホップでヘヴィな『FUJI』よ?さらに驚いたのが、『FUJI』に続いて人気があるのが、キンプリ時代には考えられなかったであろうセクシャルなミディアムナンバー『Blow Your Cover』だってこと。プロデューサーとしてもマーケターとしても優れている彼らは、傾向が様々に異なる同時配信全6曲で、市場が、世間が自分たちに何を求めているか、探っていた面もあると思うけど。

 

 ヲタク自身は元旦に『GOAT』のMVを見ていきなり沼った人間なので、彼ら3人の歴史を知るべく、遅ればせながらキンプリ時代のMVをYou-tubeで見直してる。ヲタク的には、『Magic Touch』や『ICHIBAN』によって彼らが新たな可能性を探り始めたちょうどその頃に、「あなたたちの行くべき道はこっちでしょ!原点を忘れないで!」とばかりに(⇐あくまでもヲタクの想像です 笑)、結成5周年記念の『シンデレラガール 2023』がどかんと投下されてるのがかなり興味深かった。まさにこれが旧ジャニーズ事務所のアイドル(虚像)の王道。アイドルは夢の王子様、ファンは王女様で、そこにドロドロしたリアルさはなく、30代になっても40代になってもアイドルは、少年のような容姿を保ちつつ夢の王子様を演じ続けなくてはならない。彼らの辞書に「成熟」という文字は存在しないのです。

 

 そんなキラキラ王子様の衣装を脱ぎ捨てたNumber_iは、しょっぱなから『GOAT』で、従来からのファンに対して踏み絵を突きつけてきた。オマエは間違いだらけの世界に生きてる。俺らについてくりゃ見せてやるぜNew World。「君に見てほしいんだ、マジぶっちぎるShooting Star」と誘いをかけつつも、「間違いじゃない、これが俺のAnswer」。もはや彼らの答えは出ちゃってるわけだから(笑)私たちはもはや、彼らについていくかいかないか二者択一するのみ。

 

 その結果(つまり自ら選択した結果)、作られたアイドルではない、ストリート系ファッションに身を固め、曲の制作にもガンガン関わっていく生身の男性である彼らを選択したファンは、世のしがらみや様々な軛、毀誉褒貶と闘いつつ世界を目指すNumber_iのいわば運命共同体。アーティストのてっぺんに彼らを押し上げるという現実的で明確な目標がそこには存在する。

 

 「辛い現実を推しによっていっときでも忘れることができる」という虚の世界から、理想を目指して共闘するリアルワールドへ。もしかしたらNumber_iは、イマドキの、自立した女性による新しい推し活の道を指し示してくれる存在なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お子ちゃまは見ちゃダメよ♬〜R18『哀れなるものたち』


f:id:rie4771:20240322092237j:image

 エマ・ストーンが見事2度目のオスカー、主演女優賞を射止めた『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督…彼自身も監督賞を受賞)。ヨルゴス・ランティモス監督とのタッグでオスカーにノミネートされたのは、『女王陛下のお気に入り』(2018年)以来2度目。あの時はレイチェル・ワイズ助演女優賞にWノミネートされました。ヲタクは2人とも好きな女優さんだし、『女王陛下の〜』演技も甲乙つけ難かったから、発表まで凄くソワソワしたのを覚えてる。だって…だって…どちらが受賞してもショックじゃない?本人たちも気まずいと思う。結果的に2人で落選でかえってホッとした。同じ作品から同じ賞に2人ノミネートするなんて、今後は止めて欲しいわ。

 

 ……とまあ、前置きはこのくらいにして(笑)

 

 時代は19世紀ヨーロッパもしくはそのパラレルワールド(……たぶん^^;)世に絶望し、橋から身を投げた妊娠中の女性(エマ・ストーン)。遺体はマッド・サイエンティスト、ゴッドウィン・バクスター博士(ウィレム・デフォー)に拾われ、胎児の脳を移植するという人体実験を施されます。彼女はバクスターにベラ・バクスターと名付けられ、ロンドンのバクスター宅で同居するようになります。博士の教え子マックス・マッキャンドルズ(ラミー・ユセフ)が彼女の成長を記録するという役目を与えられ、バクスター宅を訪れた時には2歳児程度の知能と行動しか示さなかったベラですが、みるみるうちに目覚ましい成長をとげます。性の目覚めと共に自我も覚醒めたベラは、彼女に性の愉楽を教え込んだ遊び人ダンカン(マーク・ラファロ)の誘われるままに、バクスターやマックスが止めるのも聞かず、ポルトガルやエジプト、フランス…と、彼女の言うところの「冒険旅行」に出かけます。彼女は旅先で新たな知己に出逢い、様々に刺激的な体験をしますが、さて、その旅の果てに、彼女が得たものとは……!?


f:id:rie4771:20240322145207j:image

※それぞれの形でベラを愛するゴッドウィン博士(右…ウィレム・デフォー)とマックス(ラミー・ユセフ)ですが、2人ともベラの知的能力を軽視し、愛情=自分の保護下に置くこと……と勘違いした為に彼女の反発を招き……!

 上流社会ではホンネと建前が大きく違うこと、男性の「愛してる」は欲望を達成するために口にされることが多いこと、自分はふかふかのベッドで寝ているが、一歩外に出れば、食物がないために次々と乳幼児が死んでいく世界があること(エジプト篇)など、ベラは現実世界の厳しさを実証学的に学んでいき、さらには、ベラに初めて読書の楽しさ(おススメはエマーソン)を読むことを教えた老齢の女性マーサ(ハンナ・シグラ)や、「人間は所詮残酷な獣性の生き物」とうそぶく虚無主義の若者ハリー(ジェロッド・カーマイケル)、娼婦としての稼ぎを社会主義運動につぎ込む黒人女性……等、様々な出逢いを通してベラは自力で知的能力を深めていきます。サイレント映画メトロポリス』でロボトミーを受けたヒロイン・マリアは男性たちの玩具に成り果てましたが、イマドキのマリアはそうは問屋がおろさない(笑)


f:id:rie4771:20240322142717j:image

※ベラに最初の「知」を授けるマーサ役には、『マリア・ブラウンの結婚』のハンナ・シグラ。サスガの貫禄。

 

 

 ……とまあ、ストーリーだけ読むとドイツ文学のおカタいビルディングスロマンみたいですが、いやいやいや(笑)ギリシャ出身のランティモス監督、1人の女性の自我の目覚めと成長ストーリーに、文学で言えば『ボッカチオ』やその名も『艶笑滑稽譚』(バルザック)や、映画で言えば『日曜はダメよ』の艶笑喜劇の味わいを見事にミックスしてみせた!…え?艶笑喜劇って何?ですって?エッチなコメディってことっす(笑)女性蔑視の時代や社会をおちょくるには、艶笑喜劇は最適な武器なのです。エマ・ストーンの緩急自在、巧みな演技も相まってヲタク、全編を通じて笑った、笑った。またね、ハルク・ザ・ヒーローとは似ても似つかない情けないクズ男マーク・ラファロがめっちゃイイ味出してました!

 

 ギリシャ中流家庭出身のランティモス監督、ギリシャの経済危機をきっかけにロンドンに移り住んだそうですが、いろいろご苦労があったんでしょうかね。映画を観てると、階級格差社会や英国人気質へのディスリが度々出てきて興味深い(^_^;)

 

 結論としては…

とにもかくにもエマ・ストーン

後にも先にもエマ・ストーン

ですね!(なんのこっちゃ^^;)

アメイジングスパイダーマン』シリーズでグウェン・ステイシーを演じていた頃、誰が今日の彼女を想像できたでしょうか?

 

 

ギリシャ移民のはなし

 夫の仕事の都合でベルギーに赴任した時、最初に住んだアパートの下に住んでいたのが、ニコさんというギリシャ移民2世の青年でした。子どもたちが騒いだので謝りに行くと、「全然気にならないよ。元気でいいね」と言ってくれた気さくな青年でしたが、移民出身なりの色々なご苦労があったようです。

 夏休み明け、6歳の長女が学校でアタマジラミをうつされてしまい、急いでホームドクターのところへ行くと、「夏休み明けはシラミの相談が急に増えるんだよ。ギリシャとかポルトガルとか、南方の実家に帰った人たちが持って帰ってくるんだ……まったくね!」吐き捨てるように言うドクターの顔に、親切なニコさんが2重写しになり、ひどく心が痛んだのを今でも覚えています。