AXNミステリーチャンネルで度々不定期に放映されている『フランス絶景ミステリー』。ドローン技術を駆使した各地の絶景が溜め息のでるほど美しく、フランス旅行に行った気分で毎回楽しんでます😊一昨日放映されたのが、「ブロセリアンドの森」編❗アーサー王の騎士伝説で有名なブルターニュ地方のブロセリアンドの森。この森に迷い込んだ少女が、炭化した焼死体を発見したところからストーリーが始まります。木の陰から事件の一部始終を見ていたらしい一人の少年。しかし唯一の目撃者の彼は、恐ろしい光景を見たショックで言葉も記憶も失っていた……。
(Broceliande from Pixabay)
ここには魔法使いマーリンのお墓と妖精ヴィヴィアンヌ(騎士ランスロットの育ての親)が住んでいたというコンペール城があります。事件を目撃した少年の悪夢に度々現れる火を噴くドラゴンは、騎士ランスロットがこの森で退治したという伝説が基になっていますし、事件を解くきっかけとなるトレセソン城の「白い貴婦人(ダム・ブランシュ)」の幽霊も、伝説のメタファです。
まっしかし、幻想的な雰囲気で始まり、アーサー王伝説のメタファがそこかしこに散りばめられているにしては(もちろん森の風景はひたすら美しい😊)、犯人と事件の真相はきわめて人間くさかったですが(笑)先日、同じく森を舞台にしたミステリー『ダブリン 悪意の森』について記事を書きましたが、こちらは今回のフランスミステリーとは展開が真逆、きわめて卑近な事件の展開かと思いきや、最後の最後の落とし所が「現代に至っても妖精の存在を信じている人たちがいる」というアイルランドの面目躍如で、見ているこっちは唖然としてしまいました😅しかしストーリー展開は違っても、同じケルトの源流を持ち独自の文化を発達させたアイルランド人とブルターニュ人、相通じる点が多々ありそうです😊
(Broceliande from Pixabay)
ヨーロッパにおいて森のイメージは、キリスト生誕前後ではガラリと変わります。特に中世では、神の目が届く範囲は、教会が支配する都市や農村に限られ、森は一転して邪悪な悪魔や狼のような恐ろしい野獣が棲む異端の世界と見なされるようになりました。いずれは神の御名のもとに征服されるべき深い闇と化したのです。そういえば、赤ずきんちゃんのおばあさんに化けた狼が住んでいるのも、ヘンゼルとグレーテルの意地悪な継母が二人を捨てたのも、森の奥深く…😅
日本の森の雰囲気とは全く違う、カシとカイガンマツが黒い蔭を作り、エリカ、ハリエニシダ、エニシダの低木が点在する鬱蒼とした荒れ地。
ブロセリアンドの森、深い闇の世界へようこそ🌲