オタクの迷宮

海外記事を元ネタにエンタメ情報を発信したり、映画・舞台・ライブの感想、推し活のつれづれなどを呟く気ままなブログ。

カタルシスはいずこ〜IMAXで観る「グラディエーターII」

  
f:id:rie4771:20241119181901j:image

 桜木町駅前のシネコン、ブルグ13にて、「グラディエーターII」(IMAX版)鑑賞。

 

 やっと観れたよ〜〜❗️ホントは公開初日に観たかったけど、仕事で……😭公開5日めでやっと観れた❗️

 

 なぜこんなに思い入れが激しいのかと言うと、先月有明コロシアムで行われたこの作品のレッドカーペットイベントに参加したから。しかも1番若い番号のAブロック最前列❗️あの時至近距離で撮影して、言葉を交わした(20秒くらいだけど(^^ゞ)キャストの方々がIMAXの大画面に躍動しているんだと思うと、仕事をしてても気もそぞろ……。

 

 さてさてそんなドキドキの中始まった「グラディエーターII」。オープニングから、ローマ帝国ナミビアの大合戦シーンにド肝を抜かれます。(前作の主人公マキシマスの息子である本作の主人公ルシウス(ポール・メスカル)は、追手を逃れてナミビアに流れ着き、愛する女性に巡り合って家庭を持っている設定)戦いに敗れてローマ帝国の奴隷となったルシウス(ナミビア名はハンノ)が、当初は愛する妻をローマ帝国に殺されたという憎しみだけで凝り固まっていたのを、グラディエーターとして戦い、さらには生みのは母ルシッラ(コニー・ニールセン)との再会を通じて、賢帝マルクス・アウレリウスの孫としての使命に目覚め、時の双子皇帝ゲタ(ジョセフ・クィン)とカラカラ(フレッド・ヘッキンジャー)の暴政に立ち向かっていくさまが描かれます。


f:id:rie4771:20241119223720j:image

ナミビアを征服したアキシウス将軍(ペドロ・パスカル)とハンノの一騎打ち。まさに肉弾相打つ……といった感じのド迫力。

 

 この作品を観て、なぜポール・メスカルが主役に選ばれたか納得がいった❗️ラッセル・クロウは直情径行型の、どちらかと言えば陽キャであるのに対し、ポール演じるハンノは、父に死なれ、母に捨てられ(……と、彼は信じ込んでいる(^^)、流れ着いたナミビアの平和な生活も長くは続かず……と、どこか世の無常を悟ったような陰キャとして登場します。生みの母であるルシッラとの再会シーン、心では母の愛を渇望しながら表面では激しく拒否、しかし眼は口ほどに物を言い……😢「アフター・サン」や「異人たち」で観ている者の涙を絞ったポールの面目躍如でございます。

 

 この作品の鍵を握るのは、双子のおバカ皇帝を蔭で繰り、最終的には副執政官にまでのし上がる奴隷商人役のデンゼル・ワシントンシェイクスピアの「オセロ」でタイトルロールを演じ、喝采を浴びた彼だけど、今回はオセロの敵役イアーゴーのような奸智に長けたイヤーなヤツ(笑)……しかしその策略の巡らし方が、(現代でもいるよね、あーゆー政治家)って感じで興味深く、それを巧妙に演じるデンゼルはやはりデンゼルでございました。彼が演じるマクリヌス、最後の最後までその真意がわからず謎のまま、イヤなヤツなんだけどひょっとしてハンノの味方なの❓️って匂わせる場面も多々あり、デンゼルのサスガの演技に終始翻弄されてしまった2時間半……(笑)

 

 

 そしてそして、レカペイベントであまりのキュートさにヲタクすっかり沼落ちしたフレッド・ヘッキンジャーくん。今回は白塗りビジュアルのサイコパス皇帝の役で、可愛い素顔が全くわからず残念だったけど、これから必ず来ますよ、彼は❗️(断言)とりあえずはマーベルの「クレイヴン・ザ・ハンター」(主演 アーロン・テイラー=ジョンソン)楽しみだわ。どんな役かは不明だけど、白塗りヴィランだけはカンベン(笑)


f:id:rie4771:20241119182851j:image

※同一人物とは思えないでしょ❓️素顔のフレッド君は、謙虚でシャイで……とにかく可愛かったの(笑)

 

 ラスト、祖父の遺志を継ぎ、共和政ローマを取り戻すべく、兵士たちを前に熱弁を奮うハンノ……いや、ルシウス。しかしヲタク的にいまいちカタルシスを感じることができなかったのは、史上最悪の暴君と言われたカラカラは暗殺されたものの、結局ローマはルシウスが願ったような共和政を2度と取り戻すことはできず、約150年後には東西に分裂し、それからは衰退の一途を辿るという史実を知っているから。カラカラの後継者を自認して皇帝の位についたヘリオガバルスも、客人を大量の薔薇に投げ込んで窒息死させるようなとんでもない変態男だったし……。(結局、暴政は続くのです😢)

 

 ローマ帝国を描いた「グラディエーターII」ですが、その世界観は、アメリカという大国の「いま」を象徴しているかのよう。もしかしてリドリー・スコット監督、ローマ帝国に擬えて、現在のアメリカが抱える混沌を描こうとしたんじゃないか……とさえ思えてきます。

 

 第二次大戦直後半世紀に渡り、世界における正義のリーダーをもって任じて来たアメリカ。しかしベトナム戦争以降その威信は消え去り、社会の分断は深まり、混沌とした状況が続いているかのように見えます。そんなアメリカの「今」を象徴するかのようにハンノは最後まで、どこか暗い蔭を引き摺るヒーローなのです。これからのハリウッド映画にはもう、「ベン・ハー」のように、強く正しく誠実な、悪く言えば単細胞なヒーロー中のヒーローは登場しないのかもしれませんね。