オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

映画『アンタッチャブル』~エリオット・ネスのその後(ネタバレあり)


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  映画『アンタッチャブル』が近日WOWWOWで放映決定❗という記事を先日UPしました。ブライアン・デ・パルマ監督による、有名な「禁酒法時代の暗黒街の帝王 アル・カポネVS エリオット・ネス捜査官」の闘いを、実話に基づいて描いたもの。

 

  今日は、エリオット・ネス捜査官の実人生についてひとくさり。映画の中にも、『ネスのその後』を暗示するようなシーンがチラチラ出てきますので…。ただ、これから初めて映画を見る予定の方で、純粋にフィクションとしてケヴィン・コスナーのヒーローぶりを楽しみたい❗…という方は、ネタばれありなのでここで読むのを止めて下さい(^_^;)

 

  映画の中で、暗黒街のモンスター、アル・カポネに文字通り命がけの闘いを挑んだネスと三人の仲間たち。ネスは映画の中では妻と二人の子どもを愛する良きパパとして描かれていますが、実際はあまりのワーカホリックぶりに妻との間に亀裂が入り、結局離婚して、アルコール依存症になります。禁酒法時代に酒の密輸を巡ってアル・カポネと血で血を洗う闘いを繰り広げたネスが、晩年アルコール依存症に苦しんだとは何とも皮肉……。映画のラスト、アル・カポネも脱税の罪で逮捕され、「禁酒法も解除されると言われてますが、そうなったらどうします❓」と質問する新聞記者に、「飲むよ」とひと言、爽やかに答えるエリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)。その後の彼の人生を知って見ると、一抹の苦さを感じさせるラストです。

 

  また、映画の途中で長男が生まれるのですが、ファーストネームをジョンとつけたネス。ミドルネームは❓と聞かれたネスが、「エドガーがいい」って答えるシーンもジワるところ。ネスは実はFBIの初代長官、ジョン・エドガー・フーヴァーの崇拝者で、アル・カポネの逮捕後FBI入局を熱望したのですが、なぜかフーヴァー長官に嫌われ、それは果たせず終わります。ネスの、カポネ逮捕の功績と世間の好感度?にフーヴァーが嫉妬した…という説もありますが、定かではありません。そんな事実を知って見ると、「エドガー…」って呟く時の、ネスの表情にこれまた心を絞られます。

 

  諸行無常は人の世の常なれど、それに翻弄される人々の姿もまた、哀しく、愛しい。一見、勧善懲悪&ヒロイズムに見える中にも、その底流に人生の哀切さを感じさせるこの映画。名作です。

 

(おまけ)

 本文で取り上げたフーヴァー長官。クリント・イーストウッドが、その毀誉褒貶激しい謎に包まれた生涯を映画にしてます。(『J.エドガー』2011年 )長官役にレオナルド・ディカプリオ、生涯を通じての友人にして腹心の部下にアーミー・ハマー。レオ様やイーストウッド監督の代表作としてはあまり題名が上がりませんが。長官の幼少期の体験を深く掘り下げていて、ヲタク的には好きな作品です。

まんまと『いいね❗光源氏くん』に癒される😅

 右を向いても左を向いてもTVをつけてもコロナの昨今、

千葉雄大、『いいね!光源氏くん』が春ドラマ1位の満足度を記録。 “あざと可愛い”魅力で視聴者の心いやす」とのネット記事が…。

 

  はいはい、ヲタクもまんまとNHK千葉雄大くんの術中にハマって、見るたびにニヤけてる一人っす~😅

 

  まずもって平安時代からタイムスリップしてきた光源氏役に千葉くんを持ってきた、っていうところがキャスティングの妙。源氏は魅力的な『悪いオトコ』、という固定観念しょっぱなから裏切られたところが◎❗ヲタクは『帝一の國』の記事で、「自分の立ち位置を知り抜いて行動する、なんて頭のいい人なんだろう」って書いたことがあるんですが、ますます磨きがかかってますねぇ、昨今のばーちーさん。1種のアイコン化してると言ってもいいくらい。一方で、ドラマ『盤上の向日葵』(NHKBSプレミアム)や『高嶺の花』など、柚木裕子や野島伸司の暗くエキセントリックな世界観にもピタリとハマる演技力。…凄い俳優さんだと思います😆

 

  途中から頭中将(桐山 漣 )が登場するんだけど、こっちのほうがお色気ムンムンで光源氏っぽい😅原作での中将は、『夕顔』の章なんか読むとフツーの男のイメージで、ドラマでは源氏と中将のイメージをわざと(❓)真逆にしてるとこが新鮮🎵桐山 漣くんというとドラマ『ロストデイズ』(フジテレビ)のメンヘラお兄ちゃんのイメージが強烈だったけど、この役で新境地開いたんじゃないでしょうか。ひょんなことから売れっ子ホスト『マロ』になっちゃうくだりが笑えます😅

 

  遠い時代の、しかも虚構の世界からやって来た光源氏くんに仄かな想いを寄せるヒロインに伊藤沙莉。ネトフリの『全裸監督』、村西組の一員として男世界の紅一点、体を張って頑張るジュンコ役で好演してましたね。彼女が独り暮らしのこじらせOLをリアルに演じてるから(ドスが利いたハスキーボイスがイイ😊)、荒唐無稽の設定でもすんなり入り込めちゃうし、ますますばーちーさんの魅力も際立つというしくみ(笑)

 

  8話完結…って決まってるから、残すところあと2話なんだけど、誰もヤなヤツが出て来なくてそれぞれキャラが立ってるから、お別れするのがツライ…😢

 

NHKさん、  続編ってムリなんでしょうか?全裸監督もPart2決まったことですし(関係ないけど=笑)

 

 

  

尾上松也氏 絶賛❗~映画『アンタッチャブル』WOWWOW放映決定


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  『アンタッチャブル』WOWWOWプライム

5/22(金)午後2:20~、WOWWOWライブ5/28(木)深夜3:58~にて放映決定❗懐かしや、ケヴィン・コスナー出世作。世界情勢も複雑になった昨今、トレンドは『カメレオン俳優』一癖も二癖もある演技派。しかしかつてのハリウッド映画を振り返れば、演技力で魅せる、というよりは、その人の持つ圧倒的な人間的魅力で押しまくる、っていう俳優さんたちが何人もいました。古き良きアメリカ、イケメンマッチョで誠実で正義感に溢れたヒーローが良く似合う人。『スミス都へ行く』の記事でもちょっと触れましたが、それこそ『スミス~』主演のジェームズ・スチュワート、『真昼の決闘』のゲーリー・クーパー、西部劇のジョン・ウェイン、『風と共に去りぬ』のクラーク・ゲーブル…。ベトナム戦争を契機に、大国アメリカの、世界のリーダーとしての地位に翳りが見え始めたのに時を同じくして、彼らの時代も終焉を迎えるわけですが、ケヴィン・コスナーはそんなザ・アメリカンな俳優たちの最後の砦のような気がします。

 

  時は禁酒法時代のシカゴ。一見合法的な企業経営の裏で、酒の密売、売春、敵に対する数々の残虐な粛清を行い、警察や役所、果ては裁判所まで買収して闇の帝国を築き上げ、そこに君臨する悪名高きギャング、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)。そこに一人、勝ち目の見えない戦いを挑んだ財務省の役人エリオット・ネス(コスナー)の、実録を基にした映画です。

 

  (中央政府のひ弱な役人に何ができる)と冷たい視線を浴び、シカゴ警察の内部で孤立無援のネスは、血で血を洗う命がけの戦いに向かう為、一人一人仲間を募って行きます。その結果、集まった仲間たちは、ある意味ハグレ者の集まり(笑)

 

  正義感は人一倍だが、かえってそのために腐敗蔓延る当時のシカゴ市警では認められず、パトロール巡査に甘んじているマローン(ショーン・コネリー)、ネスと同じ役人畑で経理担当、カポネの裏金の流れに執念を燃やすウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)、射撃の名手で無口だがすぐキレる😅警官ストーン(アンディ・ガルシア)の四人。彼らが集まってくる過程がね、黒澤明の『七人の侍』にそっくりで…。どこにも話題に上ってないんですけど、ヲタクは自分勝手に、監督ブライアン・デ・パルマの、偉大なる巨匠、世界のクロサワに対するオマージュに思えて仕方ないんだけど…😅深読みしすぎかな(汗)

 

 オマージュと言えば、結末近く、シカゴのユニオンステーションでの銃撃戦のシーンで、有名な旧ソ連サイレント映画戦艦ポチョムキン』の、手に汗握るオマージュが登場します😊(これはいろいろな人が話題にしているので、確かな話だと思います。)『アンタッチャブル』の公開当時、それを知ったヲタクはTSUTAYAで早速借りてきて見ました、『戦艦ポチョムキン』。この映画も、先日ご紹介したサイレント映画メトロポリス』同様、映画史に残る古典です。松也さんもこのシーン、お気に入りだそう。カッコいいんですよ。コスナーとアンディ・ガルシアの共闘の時の目線の合わせ方、男同士の阿吽の呼吸…。アクションも素晴らしい😊この映画から始まって、『ゴッドファーザー』や『ブラックレイン』と、引き続きガルシアにハマったヲタクとしては、松也さんが彼の演技を絶賛してくれているのがめっちゃ嬉しい😍

 

 そしてそして、アル・カポネ役のロバート・デ・ニーロ❗魅力的なアクション映画、ヒーロー映画には魅力的なヒール、これ、鉄則。登場シーンは少ないけど、登場したとたんにその場を席巻しちゃうのはサスガのサスガ。また、ショーン・コネリーがね…。アイルランドの移民で、パトロール巡査のまま平凡に人生を終わろうとしていた初老の男がネスに見込まれ、男の人生の花道を飾ろうとする…切なくて胸を打たれます😢彼はこのマローン役で、見事第60回アカデミー賞助演男優賞を受賞。

 

  この映画の監督、ブライアン・デ・パルマと言えば、自らヒッチコックの後継者を以て任じていることも知られています。この映画もどちらかと言えばアクション映画の分類なんですが、例えば、ショーン・コネリーがカポネの差し向けた殺し屋に自宅で狙われるシーンなど、殺し屋の目線で、カメラがずっと長回しで不気味に動いていくんですよね。ここらへんはパルマ監督お得意のスリラー映画の雰囲気もあり、後々の『殺しのドレス』や『ボディダブル』を彷彿とさせて興味深いです。

 

  最後に、松也さんが「映画の中の、スーツの下にベストを着込む当時のファッションがめちゃくちゃカッコいい」って仰ってましたけど、激しく同感❗カジュアルなインナーを合わせる、今ドキの着崩し方もいいけど、やっぱりベストはクラシックな色気があります😍スーツの上着を脱いで、男性の体の線が、ぴったりしたベストで露わになるあの瞬間…(笑)衣装担当は、ジョルジオ・アルマーニですから特に…ね😉

 

  男の仕事、生きざま、友情、ファッション…全てがカッコいい❗全てが凝縮された、映画のお手本のような作品です😊

 

 

 

 

フィルムノワール最高峰❗~『L.A.コンフィデンシャル 』


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いつも楽しみにしている映画.Comさんの新作映画評論ですが、このご時世新作はしばらくお預け…ということで、しばらくは『映画.Com ALL TIME BEST』に選ばれた映画の評論を再掲載して下さるそう😆まずは『L.A.コンフィデンシャル』❗嬉しいですねぇ、しょっぱなから(笑)ミステリー作家ジェームズ・エルロイの『ロス4部作』のうち、3番目を映画化したもの。Los Angeles(天使の棲む街)に潜む悪徳と退廃を、スピード感溢れる展開で描き出します。

 

  これ、前評判は高かったんですが、アカデミー賞レースでは殆どあの大作『タイタニック』に持って行かれて、脚色賞と助演女優賞のみに留まりました。『タイタニック』、大変よく出来た作品で、レオ様が信じられないくらいキレイで大好きなんですが、純粋に一本の映画として見るとこちらのほうが…#@*¥Ψゐ!#…(笑)…ってゆーか、単にヲタク好みの映画ってことです、要するに😅

 

  スミマセン、つい当時の悔しさを思い出しちゃって😅賞レースの結果はともかく、映画.Comさんがおっしゃるように、この映画がハリウッド史上燦然と耀く名作であることに異を唱える人はいないでしょう。

 

  舞台は1950年代のロサンゼルス。冒頭、当時のロスのプロパガンダ~「ロスは夢と希望が叶う街」「輝く太陽の下、誰もが幸せに暮らす」「あなたも成功できる、スターになれる」~等々、延々と流れるのですが、映画ではそれとは程遠い現実が描かれます。主人公は殉職した父親を越えようと野心に燃える若い刑事エド(ガイ・ピアース)と、幼い頃母親を父親に撲殺された悲しい過去を持ち、暴力を激しく憎むバド(ラッセル・クロウ)。性格も仕事のやり方も真逆で反発し合う2人は、警官を含む男女6人がレストランで何者かに虐殺された『ナイトアウル事件』の真相を追ううちに、ロス市警に巣くう腐敗に迫っていくのですが、彼らそれぞれの正義の行き着く先は…❗❓

 

 何しろガイ・ピアーズと、これがハリウッドデビュー作となったラッセル・クロウの二人が若いこと、若いこと(笑)ガイ・ピアースは昨年『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』でエリザベス1世の腹心ウィリアム・セシル卿を演じて、渋いイケオジの魅力を振りまいていましたが…いや…ヲタクも年を取るはずだわ、うん(笑)

 

  事件の謎を追うスリリングなミステリーであると同時に、当時のロスの風俗と、アメリカンドリームを求めてやって来たのに叶えられず、無惨な結末を迎える人たちの悲哀に満ちた人生が、ストーリーに深みを与えています。

 

  特に、ラッセル・クロウ演じるバドに一目惚れされる娼婦のリンを演じたキム・ベイジンガーは、一世一代の名演技でしたねぇ…。リンが働く娼館がまたね、女優志望の若い女の子たちを食い物にして、有名女優に似た顔に整形させて客をとらせるような悪徳の館なんですよね😢リンも、アリゾナの田舎から出て来て、ゴージャスに着飾ってはいても心は少女のまま。いつかは故郷に戻って洋服の店を出すのが夢。高級娼婦としてではなく、一人の女性として大事にしてくれる、乱暴だけど一本気なバドにほだされていく過程がね、哀愁があって…。ゴールデングローブ賞アカデミー賞、2つのビッグタイトルで助演女優賞に輝いたのも納得の演技です😊映画の中で、彼女はハリウッドのフィルムノワールでヒロインを演じたヴェロニカ・レイクに似ている…という設定。ヴェロニカがアラン・ラッドと共演した映画(たぶん『ブルー・ダリア』?)をリンが見て仕草を研究してるシーンもあります。でも、彼女がバドとのデートで見るのは『ローマの休日』だったりして、そのキャラ設定も心憎い😊

 

  後年『メンタリスト』で大ブレークのサイモン・ベイカーが、スターを夢見てロスに来たものの、周囲にいいように利用され、最後は悲劇に見舞われる気弱な青年を演じて秀逸。

 

  正義と野心に命を賭ける男たち、それに翻弄され、人生の流転を余儀なくされる女たち…。暗く、洗練された映像美に酔うフィルム・ノワールの傑作❗


L.A.コンフィデンシャル : 映画評論・批評 - 映画.com

 

刺すような視線の先、あなたは何を見つめる~UPLINKオンライン『サーミの血』


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(From Pixabay)

 UPLINKオンラインにて『サーミの血』観賞。サーミとは何か?ちょっと長いけど、ウィキの説明を引用させていただきます😊

サーミ人サーミじん、北部サーミ語:Sápmi)は、スカンジナビア半島北部ラップランド及びロシア北部コラ半島に居住する先住民族。フィン・ウゴル系のうちフィン・サーミ諸語(英語版)に属するサーミ語を話すが、ほとんどがスウェーデン語、フィンランド語、ロシア語、ノルウェー語なども話すバイリンガルである。ちなみにラップランドとは辺境の地を呼んだ蔑称であり、彼ら自身は、サーミ、あるいはサーメと自称している。北方少数民族として、アイヌ民族などとの交流もある。錫を使った手工芸細工が有名である。

 

 ラップランドって差別用語なんだね、知らなかった…😮

古くは、我が敬愛する漫画家、大島弓子の『いちご物語』。サーミ人の血を引く少女いちごが日本に来て騒動を巻き起こすお話。サーミ=ピュアでイノセント、日本人=穢れた文明のシンボル…みたいに図式化されていて、彼女のアルカディア思想が最も顕著な作品だと思います。直近では、『ジュディ~虹の彼方に』アカデミー主演女優賞レニー・ゼルヴィガー。サーミの血を引く彼女、一時顔が激変して話題になったけど、あの目元の切れ上がった特徴的な顔のせいで役柄が限定されると思い込み、整形に走ったのでは?…ってウワサされてました。

 

閑話休題

 

  サーミ人のエレ・マリャはサーミの出自を捨て、スウェーデン人として年老いた。反対にサーミとして生き、サーミとして逝った妹のお葬式。息子と孫と共にやって来たものの、頑なに心を閉ざすエレ。ヘリコプターで親族がトナカイのマーキングに行くというので息子は楽しそうだが、エレ一人ホテルに残ることに…。

 

  時は遡って1930年代❓スウェーデン山間部でトナカイを追って暮らすサーミの子どもたちはある一定期間、寄宿舎に入ってスウェーデン語を学ぶ。文化と知識に憧れるエレは「高校に進学したい」と女性教師に訴えるのですが、教師は「あなたたちの脳は文明についていけない」と残酷な言葉を言い放ちます。近所の男の子たちから押さえつけられ、トナカイのマーキングみたいに耳を切られるショッキングなシーンもあるんですが、しかしそんなことにエレの自我は傷つけられたりしない。

 

  ヲタク的に一番憤懣やるかたないシーン。それは、政府高官の夫婦が寄宿舎を訪ねてきて、子どもたちの体の隅々を計測し、挙げ句の果てに全員裸にして写真を撮るところ。こういうことが日常行われていたとしたら、これはスウェーデンの歴史上最大の汚点でしょう。人類学的な調査材料として人間を扱うわけですから。ナチスアウシュビッツで行っていたことと思考回路は基本、同じだとヲタクは思う😢

 

  その時からエレの『闘い』が始まります。寄宿舎の教師は、「サーミの伝統を守ることがあなたの役目」って言うけど、彼女のルーツである『サーミの血』を守るか否かは個人の自由。人間として生まれて来た以上、自分の人生は自分で決める。それが人権ということなんだ、ってきっと聡明なエレは早くから気づいてた。

 

  寄宿舎を出奔したエレは、幼い知恵をふり絞ってひとりの人間としての自由を手中にしようと全力で闘い抜きます。何より、少女時代のエレを演じたレーネ・セシリア・スパルロクが最高に素晴らしい❗彼女はノルウェーサーミで、実際にトナカイの放牧もされている方のようです。この映画がサーミの枠を軽々と飛び越え、普遍的な物語になっているのは、彼女の真っ直ぐで鋭い、過去も未来も見通すかのような眼差しがあればこそ。

 

  心痛む場面も沢山あるけれど、観終わった後はとても爽やかな気持ちになる映画。最後、エレがあれほど嫌っていた自らの出自を受容するシーンも静かな感動を呼びます。

 

名画です。この機会にぜひ❗

 

 

 

  

鳴らせ、闘いの音楽を❗~ドキュメンタリー『白い暴動』


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  1970年代後半のイギリス。大英帝国の栄光今いずこ、経済破綻に瀕する国家の常として、移民排斥、ヘイト主義が横行。国民戦線(British National Front=通称NF)と呼ばれる白人至上主義の極右政党が不気味に勢力を伸ばしはじめていました。NFのイヤらしい所は、大学や高校で『布教活動』をし、若者の閉塞感や不満を煽ってシンパを増やす作戦に出たこと。それは警察権力を巻き込み、国会議員までもが「移民たちを拘束して母国に追い返してやる。18世紀の流刑みたいにね。そのほうが彼らも喜ぶだろ」と、TVのインタビューで公言するような由々しい事態に。

 

しかし、英国に根付くリベラリズムはそれに飲み込まれ、沈んでしまうことはなかった❗初めはほんの一握りの若者たちが、音楽やポップカルチャーの発信を通じて立ち上げた、人種差別撤廃を主張する運動“ロック・アゲインスト・レイシズム” 略称: RAR) 。それはやがて英国全土の若者たちを巻き込み、一大ムーブメントとなって1978年4月30日、約10万人による世紀の大行進、圧巻の音楽フェスティバルへと繋がっていきます。

 

  当時のリーダーの言葉「初めは自分自身の心の中にも、自分たちの豊かさの為には、植民地から搾取しても仕方がないという帝国主義が存在していた。RARの運動は、そんな自分たち自身に対する暴動でもあるんだ」が胸に刺さります。

 

  RARの活動の素晴らしいところは、当時黒人と見ると「暴動を意図した悪意ある徘徊」として無差別に逮捕し、たとえ無罪になっても何年も拘留するような国家権力の横暴に対して暴力で反撃するのではなく、音楽や文化を武器にして戦ったところ。パンクロックバンドやレゲエミュージシャンに声をかけ、繰り返しライブを開催、そこに人種差別や移民排斥撤廃のポスターを貼り、小冊子を置いて、若者の賛同者を徐々に増やしていったのです。クラッシュも伝説の10万人ライブの前に、NFの本部の前でプラカード持って抗議行動に出るんだけど、「手に持って上に上げるとカッコ悪いから、下に下げとく」って言って地面に下ろして持ってるとこが…なんか、可愛いかった(笑)

 

時に命の危険に晒されながらも、リベラリズムの為に立ち上がったきら星のごときミュージシャンたち…トム・ロビンソン、エイリアンカルチャー、シャム69、ミスティインルーツ、スティール・パルス❗そしてこのドキュメンタリーは、先に述べた10万人ライブ、当時セックス・ピストルズと並ぶパンクロックの雄、ザ・クラッシュの登場によって最高潮に達します。不揃いな歯並を剥き出しにして歌い、叫び、跳ぶジョー・ストラマー

権力はすべて金持ちの奴らの手の内

臆病で 挑戦することさえできずに

俺たちが通りを歩いてる間

それを買う金を持ってる奴だけが権力を握る

(ザ・クラッシュ~白い暴動)

 

 混沌とした世の中でこそ、自身で考え、声をあげることの大切さを知ってもらいたい。たとえ自分一人だったとしても、声をあげることで仲間を見つることが出来る。共に行動し、乗り越えられるから

                               (監督・ルビカ・シャー)

監督のコメントが全てを物語る、BFIロンドン映画祭2019 で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞、第 70 回ベルリン国際映画祭「ジェネレーション部門14plus」で、スペシャルメンション賞準グランプリを受賞した秀作です😊

 

 

 

 

U-NEXT『東京空撮夜景』クルージング🚁~そして『ロスト・イン・トランスレーション』

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(From Pixabay ☝️内容とは直接関係ありません😅)

  ヲタクの最近の夜の楽しみはコレ❗U-NEXTで見つけたドキュメンタリー『東京空撮夜景』。

 

  ヘリコプターで黄昏時の東京を飛び立ち、品川インターシティ、東京タワー、東京ミッドタウン六本木ヒルズ、西新宿を巡り、東京スカイツリーの真上スレスレを飛行しながら、さらには隅田川、銀座、丸の内、レインボーブリッジを通ってパレットタウンへ。  我が街横浜の夜景も大好きだけど、圧倒的な煌びやかさ、ゴージャスさはやはり東京ならでは。

 

  バーチャル夜景クルージングで西新宿を通った時思い出したのが、ソフィア・コッポラ監督の映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2004年)。新宿のホテル『パークハイアット東京』を舞台に、CM撮影で東京に来て、仕事上のカルチャーショックで落ち込むハリウッド俳優(ビル・マーレイ)と、夫の出張について来たものの、右も左もわからない異国でホテルの一室に引きこもる若妻(スカーレット・ヨハンソン)の、淡い心の交流を描いたお話し。コッポラ監督の描く東京は、私たち日本人の馴染みの東京ではない、まるで彼女が作り上げた新しいポップな街、異国の『トーキョー』でした😊夫は仕事で日本全国を飛び回り、若い妻はいつもホテルの一室に置いてきぼり。言葉もわからない孤独感に涙ぐみながら、部屋の窓辺で新宿の夜景を見下ろすスカヨハが強烈な印象を残します。今では押しも押されもせぬ大女優のオーラムンムンですが、この時は若干19才❗今より線が細くて、ガーリーなファッションがよく似合う、初々しい魅力に溢れていましたね🎵


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(From Pixabay)

 

  さて『東京空撮夜景』、BGMは、オリジナルのジャジーな雰囲気の音楽。見てるとやっぱりお酒が飲みたくなりまして😅知人から頂いた『鳳来山~完熟梅の梅酒』を強炭酸で割って飲んどります🍸  約一時間のクルージングを終えると、ヘリコプターは徐々に高度を下げていき、ヘリポートに着陸。ね、心憎い演出でしょう❓😉

 

  クルージングのお相手は今宵は吉沢亮さん、明日は宮本浩次さん、明後日はジャック・ロウデン(笑)バーチャルなら何でもアリ❗…って、夜な夜なアブナイ人になっていくヲタクなのでした~~😅、ぢゃん、ぢゃん❗

 



「オペラ座の怪人」上演25周年記念公演 in ロイヤルアルバートホール

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(From Pixabay)

  「キャッツ」「エビータ」「ジーザス・クライスト・スーパースター」など、数多くの名作ミュージカルを作曲したアンドリュー・ロイド・ウェバーが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて外出自粛中のミュージカルファンの為に❗YouTubeチャンネル「The Shows Must Go On!」を開設してくれました😢このご時世、なんてゴージャスなプレゼント😍今週は昨日18日(土)午前3時から48時間限定で、『オペラ座の怪人』を配信中です💓

 

  この作品は10年くらい前にロンドンのウェストエンドで観ました。あの有名なシャンデリアのシーンを初め、舞台装置はその時も十分にゴージャスでしたが、今回25周年記念だけあって、場所がロイヤルアルバートホール😊(ヴィクトリア女王の夫君アルバート公に因んで建てられた劇場。毎年英国アカデミー賞の会場になることでも知られています)。冒頭、オペラ『ハンニバル』のリハーサルをしている場面でも出演者が本物のオペラ歌手さながらだし、バレエダンサーの踊りの技術もプリンシパル級でスゴイんですけど😮

 

  オペラ座の地下深く、地下の王国を作り、その地底から黄金の声を響かせ、歌姫クリスティーヌを洗脳する怪人エリック。醜悪な素顔を仮面で隠し、貴公子ラウルと愛を誓ったクリスティーヌへの愛憎に身悶える姿がセクシー😅

 

  ウェバーの作品の中で、ヲタク的にはNo.1のこの作品。ヒロインのクリスティーヌに対する怪人の心情はどう考えても愛というより支配欲だし、オペラ座地下の怪人の王国に連れて行かれたクリスティーヌが、モーツァルトのオペラ『魔笛』の夜の女王のアリアよろしく、怪人から高音の限界まで歌わされてついには失神するシーンなんてSMだし😅(怪人が何度もSing!Sing!Sing for me!って叫ぶところがサディスティックかつエロい)

 

  まっしかし、かように『悪い男』とは古今東西魅力的なものでして。誠実で優しくてイケメンのラウルから愛を告白されても、なかなか怪人への気持ち(一種の愛なのか憐みなのか、それとも洗脳なのか❓)が捨てきれず、揺れ動くクリスティーヌの気持ちもわかりますね、うん。(怪人の、愛憎相反するクリスティーヌへの心情、醜悪な顔を持ったゆえの圧倒的な孤独感と社会への憎しみが、最後の場面で、真実の愛に昇華していくのがクライマックスになっています)

 

  映画版の怪人、ジェラルド・バトラーは、醜い顔の半分を不気味なマスクで隠していてもセクシーな男臭さムンムンでしたが、今回の25周年公演のラミン・カリムルー(イラン生まれのカナダ人俳優。英国を中心に活躍)、歌声は神業だし、セクシーさでも負けちゃいません😉ラウル役のハドリー・フレイザーの伸びやかな美声、クリスティーヌ役のシェラ・ボーゲスの、サラ・ブライトマン顔負けの音域の広さも素晴らしい❗

 

大歓声とスタンディングオーベーションに沸き立つアルバートホール。  この記念すべき『オペラ座の怪人』、本物中の本物を家にいながらにして堪能できる得難い体験。舞台の最後に御大ウェバーご本人が登場、五歳の時にベートーベン交響楽第三番を聴いた憧れの劇場で自分の作品が上演されるなんて夢みたいと感謝を述べます😆そしてそして、ウェバーの元奥様にして本作品のミューズ、サラ・ブライトマンと歴代ファントム役の面々との夢の競演のサプライズが❗

 

  まだ間に合います、この機会にぜひ❗


名作ミュージカルが毎週末、無料配信!第3回は「オペラ座の怪人」|シネマトゥデイ

宮本浩次さんはジャック・パーセルがお好き😍そして今宵は『The Covers』❗

 宮本さんインスタの写真日記、久しぶりの更新❗

前回からすでにひと月以上間があきました。

もはや"日記"と呼ぶのがはづかしいほどです。

…と、ファンの気持ちを思いやる中に、いつもの、そこはかとない含羞が伺えて、ちょっとうるっとくる(笑)「元気で良かった❗」「安心しました❗」というコメントが溢れ、まるで離れて住む親の生存確認状態(笑)それに答える宮本さんの、文字もイラストも、えもいわれぬ独特の味がございます。

 

  宮本さんは、連日スタジオに籠って作業中。コンヴァースのジャック・パーセルをご愛用とか❗(嬉)ヲタクも昔からコンヴァースですっ❗ヲタクはスタン・スミス(白+緑ぢゃなくて黒いやつ)ですけど(…って全く不要な情報スミマセン😅だいたい誰に訴えかけているのだ=笑)「紐が長いけど…」って照れくさそうな宮本さん😊いやいや、キメすぎないとこが宮本さんらしくて素敵です。それをまた恥ずかしそうに呟く宮本さんも(笑)

 

  そしてそして今日4月19日は待望の『The Covers』(NHKBSプレミアム 22:50~)❗今日19日と来週の26日2週に渡って、松田聖子ちゃんの名曲の数多くを手掛けた作詞家・松本隆さん大特集🎵我らが宮本浩次は、今宵第1夜にご登場。

 

松本隆さんは、以前同番組でエレカシが歌った『赤いスイートピー』を評して…

「このパフォーマンスはレジェンド。想像もしなかった、革命的な形で歌い継いでくれて、うれしい」と語った。

レジェンド🙌レジェンドですって❗革命的ですって❗これ以上の賛辞があるでしょうか❓ヲタクからすると、ご本人は女性の目線で歌っているんでしょうけど、『付き合って半年経つのに手も握らない』とか、気が弱いけど素敵な人とか、二人でいるとふいに気まずくなるとか、この男性像が宮本さんを彷彿とさせるところがむちゃくちゃツボなんである😉

 

  そして今宵、宮本さんが私たちへ届けてくれるのは、『白いパラソル』🏖️しかもアコギ爪弾く弾き語り❗

宮本のパフォーマンスを目の当たりにした松本は、「いいよね・・・この人(宮本)の歌は、やさしいんだね」としみじみと語った。

 

  『赤いスイートピー』同様、もう1つのレジェンドが生まれる予感😍リアタイでその誕生の瞬間を体験しましょう🎵

 

『アメリカの良心』はいずこ~映画『スミス都に行く』

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(Washington from Pixabay)

 吉沢亮さんの今年のカレンダー(2020年4月~2021年3月)は、ニューヨークを舞台にした映画のオマージュ。5月のテーマは、アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』。足にケガしたカメラマンが、裏のアパートをこっそりパパラッチしているうちに、恐ろしい事件に巻き込まれていくサスペンス。(裏面では、バッキバキのセクシー吉沢さんが拝めます。ちっちゃいですけど=笑)

 

  『裏窓』で主演を務めていたのが、ジェームズ・スチュワート。この人はスゴイお方で、名門プリンストン大学を卒業後第二次世界大戦中はB29に搭乗、飛行時間は1800時間に及び、ハリウッドの俳優としては最高位の海軍少将にまで上り詰めました。ハリウッド俳優にしては珍しくスキャンダルに無縁、生涯お一人の奥様と添い遂げ(笑)誠実な人柄から、『アメリカの良心』と呼ばれました。

 

  そんなジェームズ・スチュワートが、そのキャラを遺憾なく発揮したのが、『スミス都に行く』ある州の上院議員が急死し、指名されたのはなぜかボーイスカウト団の団長スミス(ジェームズ・スチュワート)。実は州のフィクサーと州出身の上院議員たちの間でダムの建設を巡り巨大な汚職が進行していて、政治にはドシロウト、ただ誠実で愚直なだけのスミスなら容易に取り込めるだろうとタカをくくっていたのです。ところが政治家としての理想に燃えるスミスは、彼らの目論みに気付き、粉骨砕身努力して法案作成を学び、汚職に立ち向かおうとしますが…。

 

  これはジェームズ・スチュワートが演じたからこそ成立した映画❗他の俳優だったらウソくさくてシラケるようなセリフも、彼が演じるからこそ納得できるし、こちらも素直な感動の涙を流せる(笑)

 

  昔のハリウッドには、その内側から滲み出る人間性で役柄にリアリティを持たせるような俳優たちがいました。ジェームズ・スチュワートを筆頭に、彼の無二の親友だったゲーリー・クーパーグレゴリー・ペックなど。彼らの前では、生半可な演技術や、『演技派』という言葉すらも、色褪せて見えたほど。日本で言うなら、小津安二郎監督作品の常連だった笠智衆さん、黒澤明監督に見込まれて『七人の侍』で剣術の心得もないのに剣豪役に抜擢された宮口精二さんなどでしょうか❓

 

  折しもトランプ大統領がWHOへの資金援助からの撤退を表明。映画の中、歴代大統領の像の前で「大義に生きるのが政治家の務め」と、あくまで巨大な悪と闘う決意を固めたスミス。それは第二次世界大戦中、自らパイロットに志願し、自らの信じる大義の為に命を賭けて戦ったジェームズ・スチュワート自身とオーバーラップしました。

 

アメリカの良心』は、遠い空の上から、今このアメリカの現状をどんな想いで見つめているのでしょうか。

クイーンと映画『メトロポリス』


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  先日も記事にした、たまアリ『クイーン+アダム・ランバート』ライブ(WOWWOW)大好きな『レディオ・ガガ』歌ってくれて嬉しかった!遅咲きのヒットメーカー、ロジャー・テイラー(ドラム)の曲。この曲のMVは、博物館で展示してもいいくらいの映画創成期の名作中の名作サイレント映画、『メトロポリス』のオマージュであることは有名な話。たまアリの舞台でも、アダム・ランバートの背景にしっかり映してくれていたので、ヲタクの中に久方ぶりに『メトロポリス』熱が沸き起こり、屋根裏部屋からDVD引っ張り出して夜中に観てしまった…。

 

 この作品は諸々の事情で長さもさまざまなバージョンが存在するのですが、ヲタクがヘビロテしているのは、イタリアの作曲家・音楽プロデューサー、ジョルジオ・モロダーが自ら作曲したロック音楽を散りばめて新たに製作し直した1984年の作品。唯一、モロダーの曲以外で使われているのが、フレディ・マーキュリーの『ラヴ・キルズ』なんですね。

 

  映画『メトロポリス』。SF映画の最初の大作にして最高傑作と称されるこの作品。労働者たちは地下牢のような工場に押し込められて終日働き、それを搾取する支配者階級は天上の楽園で日毎パーティーに興じています。資本家の息子フレーダーは労働者の娘マリアと恋に落ち、彼女を通じて労働者たちの悲惨な生活を知り、その分断を埋めようと考え始めます。折しも労働者たちの間にストライキの機運が高まり、それを抑圧しようとするフレーダーの父親は、科学者ロトワングに命じ、マリアと瓜二つのアンドロイドを製作し、労働者たちを撹乱しようとしますが…。

 

 MVでオマージュされているのは、時計の針を人間が動かしている場面と、鋼鉄のアンドロイドに電流が流れて、次第に生けるマリアに変わっていく有名な場面。MVでは、後者の場面がフレディの顔になっちゃうんで、ヲタク的にはちょっと笑っちゃうんですけど。

 

  アンドロイドのマリアがですね、清純な人間のマリアと真逆の、まるでジキルとハイドのハイド、まるでオデットとオディールのオディールみたいなファム・ファタールビアズリーサロメもかくや、と思われる超セクシャルな衣装で踊りまくり、男性たちを虜にするわけですが、この映画の製作年度は今からおよそ100年前。映倫どころの話ぢゃないんだけど、これ、大丈夫だったんだろうか…。フレディの『ラヴ・キルズ』、アンドロイドに男たちが群がる背徳のバビロンに死神が鎌を打ち下ろす、七つの大罪の場面で使用されて物凄いインパクトです(^_^;)

愛は約束されたりしない
フェアな取引もない
いいかい?
愛は正当性を与えぬまま
刃物で突き刺すのさ

 

 

また、このロトワングって科学者がその性格といいヴィジュアルといい、その後の映画(例えば『博士の異常な愛情』、例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』)におけるマッドサイエンティスト像そのまんまなんですね。映画ファンなら、押さえておきたい名画のひとつでしょう。

 

   ツイッターでモロダーとレディオ・ガガ、『メトロポリス』と『ラヴ・キルズ』のうらばなしを発見!なかなか面白かったので、リツイ&ブログにUPさせてもらいました。

「クイーンは家族なんだ❗」by フレディ・マーキュリー~そしてアダム・ランバートも❤️


アダム・ランバート、クイーンと8年間ツアーをして“自分が変わった点”とは? ブライアンとロジャーへの愛も語る (2020/04/13) 洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

  先日WOWWOWで、以前たまアリで開催された『アダム・ランバート +クイーン』のライブを見た。フレディ・マーキュリーに勝るとも劣らないアダムの神がかったヴォーカルにももちろん感動したんだけど、何より胸アツだったのは、ブライアン・メイのアダムを見る優しい、優しい眼差し…😢かつてフレディを見守っていた眼差しと全く同じだよ…って思ったら、わけもなく目頭が熱くなってきた(笑)

 

  一昨年、映画各賞を総ナメにし、日本でも一種の社会現象を巻き起こした『ボヘミアン・ラプソディー』。音楽映画としても、レミ・マレックの神がかった演技ももちろん素晴らしかったけど、何よりヲタクの胸を抉ったのは、ペルシャ系移民出身(しかもゾロアスター教徒❗)の青年ファルーク・バルサラが、社会的にはマイノリティゆえの差別を受け、家庭ではバンドに傾倒している為にお父さんには否定され続けながらも、至高の音楽性を求め続ける魂の彷徨。クイーンとして成功し、富と名声を手中にした後も、フレディはその性的嗜好の為に、世間の好奇と冷たい視線に晒され続け、ついにはエイズに倒れます。そんな彼を生涯支え続けたのが、クイーンのメンバーたち。映画の中でフレディは、「クイーンは、俺たちは家族だろ❓違うの❓」と、ブライアンたちに問いかけ続けます。

 

  クイーンのギタリスト、ブライアン・メイは宇宙工学の博士号を持つ、音楽界では異色の知性派。映画の中でも、天才肌で奔放かつ繊細、時に情緒不安定に陥るフレディに振り回されながら、常に彼を理解しようと努力し、精神的な支柱となる、まるで兄のような存在のブライアンの姿が描かれています😊

 

  たまアリのライブを見た時、(アダム・ランバートは、もはやクイーンの家族。まるで息子のように受け入れられているんだなぁ…。)と強く感じて、心の奥がね、ギュッとしたんですね。

 

  今回のROCKIN'ONのインタビューでは、アダムがブライアンやロジャーへの愛を語ってくれるとか😍

 

めちゃくちゃ楽しみっす❗

 

  

マインド・ファック・ムービー❗~U-NEXT『ピエロがお前を嘲笑う』


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 マインド・ファック(Mind Fuck)とは…固定観念を覆すようなショッキングで頭から離れないような経験

まさに❗ 『女神は二度微笑む』(インド)に引き続き、「固定観念を覆すようなショッキングな映画」第2弾❗

 

  これ、ドイツ映画です。生真面目でスクェアなイメージのあるドイツ人が、こんな柔軟なアイデア満載、斬新な映画が作れるなんて…ちょっとビックリです😮あっでも、新型コロナに対するメルケル首相の柔軟なアプローチ、心温まるスピーチを聴くと、それも頷けるかも😊

 

  主人公はスーパーヒーローに憧れる冴えないオタクのベンヤミン(演じるは、作品によってヴィジュアルそのものを変えて登場するドイツの『カメレオン俳優』トム・シリング…スパイダーマンに憧れてる設定だけあって、今回はトビー・マグワイアトム・ホランドを足して2で割ったようなヴィジュアルになっております😅)。好きな女の子マリにもろくに話しかけられず、ピザの宅配バイトをすればクレームをつけられて代金ももらえない始末。しかし彼は、天才ハッカーという裏の顔を持っていました。

 

  ひょんなきっかけからイケイケパリピのマックスと知り合い、マックスの友人シュテファンとパウルと共にハッカー集団CLAYを結成、さまざまなシステムに侵入して破壊行為を繰り返します。最初はほんの悪戯のつもりが、ハッカー界の帝王MRXに張り合おうと、ベンヤミンが流した情報をきっかけに殺人事件が起こり、CLAYの四人は濡れ衣を着せられユーロポールに追われる身に。

責任を感じたベンヤミンは自ら警察に出頭しますが、サイバー犯罪捜査官から尋問を受ける彼を見ているうちに、私たち観客は、思考の迷路に入り込んでしまいます。彼の話は事実なのか?それとも彼の妄想?いみじくも映画の原題は"Who am I?"…この二転三転のストーリーの行き着く先は?

 

  ヲタク的にこの映画がすごく好きなのは、自分の言いたいことが半分も言えないいじめられっこのベンヤミンと、一見イケイケの自信家に見えながらじつは不安定でかまってちゃんのマックスの、成長物語としても見れること。『IT~それが見えたら終わり』がホラー映画の『スタンドバイミー』なら、これはサイバー映画の『スタンドバイミー』❗(笑)

 

  ハッキング…って言っても、CLAYがやってることと言ったら、ネオナチ団体の集会に潜り込んでWifi乗っ取り、ヒットラーのおちょくり動画流すとか、ドイツ連邦情報局のシステムに侵入してプリンターを暴走させ、🤡の絵を24時間印刷し続けるとか😅、まあ、言ってみればお子ちゃまの自己アピール犯罪(笑)それが殺人事件という残酷なリアルに直面し、青春の大命題『自分とは何か?~Who am I?』を初めて自分自身に問いかける。サイバー世界に生きてきた彼らが、やっぱりトモダチっていいよね、現実世界にも根を張って生きていこう、って少しずつ気付いていく過程が爽やかなんです😆

 

  あんまり話ちゃうとネタバレになっちゃうからこのへんで(笑)観た後の感覚は、同じように、サイバー世界と現実を描いた『レディプレイヤー1』にも似てるかな~。痛快な後味ですよ😉サイバー世界のコミュニケーションを地下鉄に見立てて描いているんですけど、こういう手法、今では当たり前になってるけど、当時はめちゃくちゃ斬新だったような記憶があります😆

  
映画『ピエロがお前を嘲笑う』公式サイト

ジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』


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 U-NEXTでジム・ジャームッシュ監督の『ストレンジャー・イン・パラダイス』鑑賞。

 

僕はキャリア・アスピレーション(出世)を目指している人の映画を撮ることにまったく興味がない。僕のどの映画にもテーマとしてあるのが、そうしたキャリア・ハッスル(出世主義)の外側にいる人たちなんだ。

…と語るジャームッシュ監督の面目躍如たる1本。そう言われてみれば、監督の作品の中に登場するのは、社会に存在していても周囲にそこはかとない違和感を抱え、心はストレンジャー(異邦人)な人たち。

 

  本編の主人公、ハンガリー移民のウィリーもまさにそんな一人。憧れのニューヨークに来てアメリカン・イングリッシュを身につけても定職につかず、いかさまの賭けポーカーや競馬で食いつなぎ、ぺラペラの肉が入った『TVディナー』をつつく日々。彼の本名はベラなのですが、アメリカ人になりきりたい彼は自分でウィリーと改名したのです。

 

  ベラといえば、ヲタク的には昔むかしのハリウッドのドラキュラ俳優、ハンガリー出身のベラ・ルゴシですね❗(『魔人ドラキュラ』、エキゾチックな風貌がクリストファー・リーと双璧。

 

雑学に長けたジャームッシュ監督の作品には、古い映画の小ネタがちょこちょこ出て来て楽しい😊ウィリーがマブダチのエディと競馬でどの馬に賭けるか話している時、その競馬馬の名前が『東京物語』と『晩春』❗二作とも、監督が敬愛する日本の名監督小津安二郎の名作です😊小津監督の作品は、市井の人々の日常をユーモアを混じえて淡々と綴る作風で知られていますが、確かにジャームッシュ監督が影響を受けているのがわかりますね。

 

  吉沢さんがセレクトした映画の数々を見ると、『ウェストサイド物語』はヒスパニック系とポーランド系移民の不良少年たちの話だし、『タクシードライバー』の主人公は社会から疎外されたイタリア移民(彼は誰も自分を認めてくれない社会への鬱屈した怒りを、銃によって爆発させます)。『レオン』の、ジャン・レノ扮する殺し屋も、社会の片隅で息を潜めて生きるイタリア系の移民ですね。富と自由を求めて海を越えて来た人たちが、アメリカの現実に直面して感じる挫折と絶望感…。

 

  今ニューヨークは新型コロナウィルスで大変な事態となっていますが、亡くなる方たちの多くは、貧しいがゆえに治療が受けられない黒人やヒスパニック系とか…。

 

今の世情にも十分通じるジャームッシュ監督の名作です。

 

『女神は二度微笑む』Netflix~どんでん返しがスゴイ❗


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(Kolkata from Pixabay)

 映画館は軒並み閉館、チケット購入していた宮本浩次さんのライブやセルゲイ・ポルーニン様のサクレは延期…😭毎日自宅で蟄居生活を送るヲタクの日々の友は、WOWWOWと各種動画配信サイト(笑)

 

  そんなある日、ヲタクはNetflixで見つけた、インド映画『女神は二度微笑む』が配信されているのを❗(…倒置法になっているのは特に意味はありません=笑)

 

  これね、ヲタク映画館で見て、『ユージュアル・サスペクツ』『セブン』『アイデンティティー』『ピエロがお前を嘲笑う』と並んで、いやそれ以上に衝撃を受けた作品です❗

…で、その後伏線を拾いながら見直してみたくなり、動画配信サイトで探してみたけど見つからず😢やっとTSUTAYAの片隅に1本だけ見つけた時は嬉しかったなぁ…。

 

  冒頭、どこかの研究所。毒ガスの実験でガラスケースの中で次々と死んでいくマウス。一転して、人々ですし詰めのインドの地下鉄。なんとその中で毒ガスがばらまかれ、アウシュビッツを思い出させるような、折り重なって倒れた人々の屍の山。背筋が凍るような光景です。この短い冒頭の数分間が最重要な伏線なんです。

 

  そして2年後、インドの民族衣装に身を包み、ロンドンからコルカタ(ベンガル地方最大の都市)の空港に降り立ったヴィディヤ(ヴィディヤ・バラン)。彼女はインドへ行ったまま行方不明となった夫のアルナブを捜すためにコルカタにやって来たのです。臨月に近い大きなお腹を抱えながら…😢しかし、宿泊先にも勤務先にもアルナブが存在していた痕跡はありません。ヴィディヤは、地元の新米巡査ラナ(パランブラト・チャテルジー)の協力を得て、夫の行方を捜そうとしますが…。

 

  こちらの予想を裏切る二転三転のストーリー展開、全く予想できなかった驚愕のラスト❗何よりクヤシイのは、私たちが持っているステロタイプのインドの女性像(大好きな映画の数々…『マダム・イン・ニューヨーク』や『シークレットスーパースター』などで形作られたもの)を逆手に取られ、まんまとイメージ操作のワナにハマっちゃったことですかね~😅

 

  ヒロインを演じるヴィディヤ・バラン。ムンバイ大学で社会学を修めた才媛らしい。文字通りの才色兼備ってやつですね😉ボリウッドの女神シュリデヴィ亡き後😢インド映画界を牽引してほしいものです。

 

  物語のクライマックスはベンガル地方最大の祭、『ドゥルガー女神祭祀の日』にやって来ます。ヒンドゥー教の優美な女神、ドゥルガー。姿はたおやかで美しいがその内面は…。女神の本質そのものが少々ネタバレを含みますから、Wikiで調べるのは映画を見た後のほうがいいかも(笑)

 

  一時ハリウッドでリメイクの話が出ていたようですが、ドゥルガー女神信仰にしろ、本名と愛称の2つの呼び名があるというコルカタの特殊な風習にしろ、これはボリウッドでこそ成立する映画です❗(断言)

  

https://www.netflix.com/title/70236020?s=a&trkid=13747225&t=cp