オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

三者三様の面白さ~BS12(トゥエルビ)『アガサとイシュタルの呪い』『アガサと真夜中の殺人者』

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(第2エピソードの舞台となるバグダッド…From Pixabay)

  ヲタクが毎週楽しみにしていた、ミステリ作家アガサ・クリスティの実人生と殺人事件の謎解きを絡めた三部作がついに大団円を迎えましたぁ~❗(ぱちぱちぱち👏👏👏)第1話の『アガサと殺人の真相』については先日アップした記事で書きましたので、今日は第2話と第3話のお話しです😊

 

第2話『アガサとイシュタルの呪い』

  通常こういったシリーズものだと、主演は同じ俳優さんが務めるものですが、1話ごとに、アガサ・クリスティ本人をそれぞれ違う女優さんが演じているんですよね。エピソードの作風もそれぞれガラリと違っていて、見終わってみると、なかなか新しいアイデアで面白かったです😊もっとも、第1話で若々しくアクティブなイメージだったアガサが、第2話では、実際には数年のタイムラグだったのに、演じる女優さん(リンゼイ・マーシャル)が一気に老けた感じになっていたのにはちょっとビックリしましたけど(笑)…でも今振り返ってみると、イラクバグダッドに出かけた先で、ウル遺跡で発掘作業に携わっていた14才年下の考古学者マックス・マローワン(ジョナ・ハウワー・キング)と恋に落ち、ついには結婚するアガサ、彼女の当時の感情の揺れや不安、恋人の若い情熱に対する戸惑いなどを表現するにはピッタリなキャスティングだったのかなぁ…と。ウル遺跡周辺で起きる連続殺人の謎に挑む、アガサとマックス。中東を舞台にしたポワロもの『メソポタミア殺人事件』や『殺人は癖になる』、そしてメアリ・ウェストマコット名義で書いたロマンス小説『春にして君を離れ』を上手くミックスしたようなストーリー展開になっていましたね。再婚相手となるマックスのキャラが、若くてイケメン、考古学者なんでお勉強はできるんでしょうけど世間知らずのポンコツで、アガサがほっとけなくなっちゃう感じが微笑ましくてツボでした(笑)

 

第3話『アガサと真夜中の殺人者』

最終話は、ユーモアが散りばめられていた前2作とはうって変わって、ダークで陰鬱、殺人方法も残酷、ちょっとしたフィルム・ノワールイヤミスの味わい😅

 

  第二次世界大戦下のロンドン、アガサ(ヘレン・バクセンデイル)は新作のスパイ小説が出版差押えとなり、アメリカから印税は入らず破産寸前。背に腹は代えられず、用心棒トラヴィス(第1話で容疑者の1人として登場した)と共にとあるホテルにやって来ます。ポワロものの新作の版権を中国人実業家に売却する為でした。ところが実業家と交渉の最中、ロンドン大空襲が起こり、その時にホテルに滞在していた人々は全員、地下のシェルターに閉じ込められることに。そこで何者かにアガサの原稿が盗まれてしまいます。しかしその盗難事件は、一連の凄惨な連続殺人事件の、ほんの序章にしか過ぎなかったのです。

 

  アガサお得意の『クローズドサークル』ミステリ再び…です。第二次世界大戦が背景にあるせいか、人間の心の暗部に焦点を当てたストーリー展開ですね。結末も救いのない感じでしたが、ダークなミステリ愛好家にはおススメ😉

 

  小ネタとしては、出版禁止処分になったスパイ小説の話がちらっと出てきます。これは、平凡な夫婦トミーとタペンスがスパイ騒動に巻き込まれてしまう一連のシリーズ第3作目『NかMか』のこと。(第1作『秘密機関』第2作『おしどり探偵』)実際にアガサは、ブレッチリーパーク(戦時中ロンドンにあった暗号解読機関。アラン・チューリングがリーダー。ベネ様主演の『イミテーション・ゲーム』参照)から、ドイツのスパイ嫌疑をかけられたことがあったらしい😅その話は、第3話の重要な伏線にもなっています。

 

  トミーとタペンスシリーズはBBCで2度ドラマ化されていて、新しいほうは『トミーとタペンス~二人で探偵を』の邦題で放映されました。好奇心旺盛、向こう見ずな妻タペンスと、イヤだイヤだと言いながら妻の言いなりになって大事件に巻き込まれてしまう温厚な夫のトミー。二人の掛け合いが楽しい🎵英国の大人気番組『リトル・ブリテン』で有名な喜劇俳優のデヴィッド・ウォリアムズがトミー役を演じています。ヲタクはこのシリーズ、昔U-NEXTで見たのですが、さっき調べてみたら、今は配信中止になってるみたいですね😢それこそこの際、BS12(トゥエルビ)で放映してくれないものだろうか…アガサつながりで(笑)

 

アガサ・クリスティ社は一切関係していない」(笑)今回のシリーズ、小ネタ満載、クリスティの人生って著作に負けず劣らず波瀾万丈だったんだなぁ…と改めて再確認、ファンとしてはとっても楽しいシリーズでした♥️

 

横浜のキリスト教会~『コールドケース 3』第7話


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 今季ヲタクが一番ハマって見ているドラマといえば、度々ブログの記事にも取り上げているWOWWOWオリジナル『コールドケース 3』😊SNSで、「オリジナルを超えてる❗」なんて意見も散見してますね。海外ドラマの版権を買って日本で製作しているドラマの中には、舞台が日本だとどうにも設定その他が不自然で違和感を感じてしまうものもありますが、日本版『コールドケース』は、レギュラー陣のチームワーク、ゲストのキャスティング、舞台設定やストーリー構成…あらゆる面で光っているなぁ…と思います。換骨奪胎のお手本…みたいな❓😊

 

  その理由の1つとして、舞台が横浜…っていうのもあるかと。ヲタクはオリジナルのアメリカ版も大好きでシリーズ4くらいまでは見ているんですが、『コールドケース』オリジナルが扱う事件はその時代その時代のアメリカ社会の諸問題(例えば、貧困、格差、児童虐待、DV、若者の薬物摂取など)を如実に反映しています。そして、こういった問題に悩み苦しむ人たちのシェルター的な役割として度々キリスト教の教会が登場します。 日本版『コールドケース』もその設定は改変していませんが、長崎と同様、キリシタン禁制時代に命がけの布教が行われ、天主堂が設立されて以来キリスト教信仰が市民生活に身近なものになっている横浜が舞台なので、それがすんなり馴染んでいるのかなぁ…なんて思いながら見ています😊

 

 シリーズ1第9話のメイン舞台は山手の教会でしたし(シスター役が江波杏子)、今シリーズ3を見てみても、第5話で爆弾魔の仲村トオルが魂の救済を求めて逃げ込んだのが横浜の教会でした。そしてそして、直近のエピソード第7話は、過酷な運命に翻弄される女性・満智子(黒木華)とその幼い娘、彼女を陰で支える若い警察官(高杉真宙)の切ないストーリー(ヲタク的には、この胸の絞られ具合は、シリーズ1で、仲里依紗がゲストだった回に匹敵するかなぁ)。高杉くん演じる警察官は、キリスト教の関連団体に所属している設定。彼の大事にしていたペンダント(その団体のもの)が、ストーリー上重要な役割を果たします。そして、最後に追い詰められた満智子が身を切られるような悲しい決断をしたのがやはり教会の中においてでした。

 

…なーんて、今日のヲタクの呟きはハマッ子の手前味噌でしたねェ😅「ジモト愛が過ぎる」…ってことでご勘弁を(笑)

 

 

  

お久しぶりね🎵の金城武に癒された『恋するシェフの最強レシピ』

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  久しぶりにロマコメ見た~~❗U-NEXTで『恋するシェフの最強レシピ』(2017年・中国・香港合作~日本での公開は2018年3月)

 

  ヲタクはふだんそれほどロマコメ見ない人であるが、急に(ドリームの一杯詰まったロマコメ見て癒されたいっ❗)って気持ちになったところを見ると、昨今の緊急事態宣言、仕事の行き帰りや仕事先で神経張り詰めてて、知らないうちに心に疲れが溜まっているのかな😅

 

  ああでもこの映画見て大笑いして、気持ちがほっこり温かくなって、今はとってもリラックスしてるヲタク😊ロマコメの威力、おそるべし(笑)

 

  上海にあるホテルのレストランのシェフを務めるグー・ションナン(チョウ・ドンユィ…幼く見えるけど、29才の設定😅)は、料理の腕は超天才なれど、天才ゆえか少々性格はぶっ飛んでいて行動にも少々難アリ(笑)秘密の交際をしていたホテルの支配人にもフラれてしまう😅しかしションナンは、経営難に陥ったホテルを買収すべく乗り込んできた巨大コンツェルンの17歳年上冷血社長ルー・ジン(金城武)にその天才的な腕を見込まれて…。最初の出会いは超最悪、反発しあいながらも「食」を通じて少しずつ歩み寄っていく二人。年齢も趣味も生活環境もかけ離れた彼らの恋の行く末は…❗❔

 

  ヲタク的には超お久しぶりの金城武♥️3年前だから当時44歳だったはずだけど…。ヲタクが夢中で見てた数々の名作…『恋する惑星』『天使の涙』(ウォン・カーウァイ監督)『Lovers』(チャン・イーモウ監督)『レッドクリフ』(ジョン・ウー監督)に出演していた若く瑞々しい頃とちっとも変わってないぢゃん❗

マクベスの魔女の薬でも飲んでんのか❗❓

…いやむしろ、髭の似合うダンディな渋いイケオジになっていて、その深い魅力、ヲタク的には今の方が萌えるかも(笑)

 

  ロマコメ成功のカギは、王子様役の魅力はモチロン、観ている私たちが、ヒロインにどれだけ感情移入できるか…に左右されると思うんだけど、チョウ・ドンユィ演じるションナンはもう、共感度120%❗小柄で細くて少女というより少年ぽくて、「色気ゼロ」(笑)、誰よりもピュアなのに不器用で、それを表現できないヘソ曲がり😅『藍色夏恋』の時のグン・ルンメイ、思い出すわ。

 

  しっかしさ、支配人がションナンをふる時の言いぐさがヒドイのよぉ。

「君の体型がダメなんだ。俺はナスや瓜がいい。ところがどうだ、君はまるでニラだ。それも成長不良のニラ」

なんだとー💥🌋💣こっちから願い下げぢゃー、そんな男ぶん殴ってやれ❗これで一気にションナンは観ている女子たちを味方につけたわよね(笑)

 

  ションナンがその不器用な情熱で、社長の冷血で傲慢な仮面の下に潜む優しさや傷つきやすさを引き出していくステキなエピソードの積み重ね…ロマコメの醍醐味ですねェ😉29才と46才の恋愛なのに、ラブシーンは相合い傘で歩いたり、手を繋ぐだけ…っていう「オトナの純愛」っぽいとこも、疲れたヲタクにはちょうど良かった(笑)

 

  ションナンが作る眼にも鮮やかな数々のヌーベルキュイジーヌ、上海の港に沈む夕陽、煌やかな夜景…。金城武へのリスペクトからか、料理に抹茶が使われていて「一期一会」の精神を表しているだとか、社長の得意料理が「出前一丁」だとか…クスリと笑える小ネタも満載です😊

 

  

 


 

池田エライザ、Hニューグランドのナポリタンを食す~『名建築で昼食を』SP


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  あら、こんなステキな番組があったんだー😮

 

  BSテレ東で横浜の名建築を巡る番組が放映される…とどこかで読んで、録画しておきました。昨年7月に放送された、東京の名建築を巡る番組の、今回はスペシャル版だそうです😊

 

  ナビゲーターは池田エライザ田口トモロヲ。お二人は個人としてではなく、それぞれ、横浜に住むコピーライターの春野藤と、有名建築家を父に持つ植草千明という別人物を「演じ」ていて、建築巡りの合間に彼らの半生が語られるというドラマ仕立て。それが、他の旅番組とは一線を画しており、お二人の個性的なキャラとも相まって、何とも不思議な魅力を醸し出しております😊

 

  植草さん(田口トモロヲ)から藤さん(池田エライザ)への誘い文句が粋なんですねぇ。

横浜の太陽を満喫できる名建築へ行きませんか?

池田エライザ嬢はこの番組の田口トモロヲといいリリー・フランキー(NHK BS『The Covers』)といい、オジサマとのツーショットが似合いますね。実際の年齢より大人っぽくて落ち着きがあるし、なんというか…肝が据わってる感がある😊

 

  二人はまず、戦後の日本モダニズム建築の巨匠と言われる前川國男(ル・コルビュジェに師事)設計による神奈川県立図書館と県立音楽堂へ。ヲタクも何度も訪れたことのある場所ですが、いつも大勢の人がわらわら居る状態で見てるから…😅こうやって無人の状態で見てみると、改めてその光溢れる美しさに息を呑みます。音楽堂の床が、打ち出したコンクリートを磨きあげるという凝った手法で作られていたなんて、知らなかった…。  図書館の、光と空気を透すホロウブリック。一度光をスリットから通し、柔らかな光にして室内に注ぐよう設計されたものだそう。横浜の太陽光度が綿密に計算されているとか。

 

そして二人は、横浜市開港記念会館(通称ジャック)へ。なんと特別に螺旋階段を登っててっぺんの時計塔に行けることに❗(通常は立ち入り禁止です😅)紺碧の秋の空、遠くに山下公園と港を臨み、真下には日本大通りの色鮮やかな銀杏並木❗素晴らしい追体験です。

 

  10時?のお茶は、コーヒーの大学院(ルミエール・ド・パリ)で。春さんはここのスパゲッティミートソースがお好きとか。カレーやハンバーグも美味しいですよ。最近、同じ通りに生食パンのお店が出来て、この界隈、行列がスゴイことになってます😅

 

  そしてラスト、メインの目的であるホテルニューグランドへ。埋め立て地に「みなとみらいMM21」が出来るまでは、ハマっ子にとって「港ヨコハマ」といえば、山下公園氷川丸日本大通りホテルニューグランド界隈を指しました。今はみなとみらい線が開通して随分アクセスが良くなりましたけど、昔は桜木町からバスかタクシーしかなくて、横浜の奥座敷というか、静寂な雰囲気がありました。

 

  関東大震災や横浜大空襲(太平洋戦争)を生き延び、GHQの本拠地となった戦後ヨコハマの復興のシンボル、ホテルニューグランド。西洋建築に東洋の意匠、ニューグランドブルーと呼ばれる青色のイメージ、旧館はいつみてもため息が出るほど重厚で美しい。かつては新館に総ガラス張りの天空のプールがあり、横浜港を見下ろしながら泳げたんだけど…いつのまにかなくなっちゃった(笑)ヲタク的にはそれだけが残念😅

 

  1階のカフェで池田エライザが食すのはこのホテル発祥と言われるスパゲッティナポリタン❤️(相方の田口トモロヲさんはシーフードドリア)。ランチ…っていうのが肩に力入ってなくていいですよね🎵(もっとしっかり食べたい向きには、最上階に、海が一望に見渡せる『ル・ノルマンディ』というフレンチレストランがあります。クラシックなしっかりめのお味)

  サザンの『Love Affair~秘密のデート』に登場する『シーガーディアン』はニューグランドのバーです😊予約制ではないので、ヲタクが寄る時はいつも満杯、2度くらいしか入れたことがありません。メニューには、鮮やかなオレンジ色のカクテル、その名も「ヨコハマ」があります。

 

  地元の私でも、数々の新たな発見があった素敵な番組❤️「古き良きヨコハマ」を探訪する、あっという間の1時間でした。

 

遡って本編も見たいなぁ~😍探してみよ🎵

 

 

 

 
テレビ大阪開局40周年「名建築で昼食を 大阪編」 | TVO テレビ大阪

好きになってよかったね、千代ちゃん😊~『おちょやん』

  高城百合子(井川遥)が「太陽の女、カルメン」の撮影中、あまりにも村川茂監督(森準人)からネチネチダメ出しをされた為、とうとうプッツンしてしまい、トンでもない暴挙に出てしまいます。でもって、村川監督も一蓮托生で降板(出番少なかったなぁ…サヨナラ、愛しの村川監督😢)。結局映画はジョージ原田組で作り直すことに。千代ちゃん(杉咲花)は、カルメンとの不倫に走ってしまう夫にひたすらつくす若妻役に抜擢❗(後から、百合子の推薦であることがわかります)

 

  助監督の小暮さん(若葉竜也)に切ない片想い中の千代ちゃんは、振り向いてもらえなくても夫を愛し続ける若妻の気持ちに感情移入できず、原田監督にダメ出しをくらうばかり😅

 

  そんな千代ちゃんが変化したのは、高城百合子への恋心を監督業という仕事に昇華しようと努力し、たとえその気持ちは報われなくとも「(高城百合子を)好きになってよかった」と、静かに言い切る小暮さんの濁りのない眼を見たから。その時の花ちゃんの表情、凄かった。素晴らしい女優さんだと、改めて思った。ネットで、レストランで千代ちゃんが恋に落ちる瞬間が絶賛されてましたけど(その瞬間が花ちゃんの表情だけで「見えた」ってスゴイよね😮)、ステキなお芝居、今日もひけをとらなかったなぁ…うん。

 

  またねぇ、小暮助監督役の若葉竜也さんの受けのお芝居が絶品でございます。「好きになってよかった」っていう言葉が、最初小暮さんの口から出るっていうのが良かったね。粋な展開だったね😊今まで『葛城事件』『サラバ静寂』『ワンダーウォール劇場版』『コールドケース』『愛がなんだ』『生きちゃった』『AWAKE』…と変幻かつ緩急自在な彼の演技を見てきましたが、この小暮さん役でさらにブレイクして欲しいなー。もっともっと多彩な役に挑戦する姿を見てみたい役者さんの一人です。

 

  ラスト、あの父ちゃん(トータス松本)が鶴亀撮影所に現れて、何やらまた不穏な展開。『おちょやん』、ますます面白くなりそうです🎵

https://twitter.com/asadora_bk_nhk/status/1352395301810823175

https://twitter.com/asadora_bk_nhk/status/1352394796854374403

 

  

 

  

AXNミステリー『探偵ミス・スカーレット』シーズン2放映開始


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 大好きな英国ミステリー『探偵ミス・スカーレット』、早くも「AXNミステリーチャンネル」でシーズン2(シーズン1と同様、全6話)の放映が決定しました❗3月8日は国際女性デーということで、『探偵ミス・スカーレット』を含む、女性を主人公としたミステリードラマ4作の放映が決定したもよう。

 

  『探偵ミス・スカーレット』の舞台は、英国のヴィクトリア朝霧の都ロンドン、厚い雲が垂れ込め、光の差さない街の片隅に「切り裂きジャック」など、凶悪な殺人鬼が跋扈した時代。犯人を追うにも優雅に馬車で(笑)仲間と連絡をとろうにも電報しか手がないもどかしさ。指紋も、むろんDNA鑑定もないから、謎を解くには脳細胞をフルスロットルで回転させなきゃいけない。悪漢とのギリギリの頭脳戦。

ああ、いいなぁ、そのシチュエーション❗(笑)

シャーロック・ホームズも、だから余計ハマるんだよね。

 

  このドラマ、ヲタクの好きな設定だらけ。しかも主人公が女性だから、犯人を追う時に美しいドレスの裾が優雅に翻って、小さな帽子が風に舞って…めっちゃ美しい😍手袋をはめた手でピストルを構える姿も色っぽいことこの上なし(笑)レディな探偵…といえば、ヲタク的にはドラマ『エイリアニスト』のサラ・ハワード(ダコタ・ファニング)が思い浮かびますが、彼女に匹敵するくらいこのミス・スカーレットもチャーミングです。

 

  キャスティングも最高ですね。ヒロインのイライザ・スカーレットにケイト・フィリップス。え?誰?っていう方も、けっこうBBCの人気ドラマに重要な役柄で出演しているので、顔を見れば「ああ、あの人❗」ってわかるかも。『ピーキーブラインダーズ』何かと言うと聖書の言葉を持ち出してアーサー兄ちゃんを不安に陥れる奥さん、『戦争と平和』若くして逝ってしまうアンドレイの妻、『ダウントン・アビー』夫とのすれ違いに悩むメアリー王女…等々。最新作としては、映画『Benediction』で、我が熱烈推し、ジャック・ロウデン演じる詩人、ジークフリート・サスーンの妻役を演じています。

 

  しっかし、ヴィクトリア朝の英国で、女性が結婚せずに仕事をしようとしたら、こんなにも大変だったんですねぇ…😢イライザも、捜査をしようにも検死には立ち合わせてもらえないし、事情聴取をしたくても女人禁制のクラブには入れないわ…で、捜査もなかなか進展せずに四苦八苦。しかしイライザはそれに噛みついて女性の権利を声高に主張したりはしないんですよね。バディである幼なじみ、イケメン警部補のウィリアムに対しても、ここぞという時にははっきり自分を主張するんだけど、相手のプライドが傷つきそうだと見ると、さっと引く。まるで夫操縦術のお手本になりそうな見事なお手並み(笑)そんな粋でオトナの魅力に溢れたヒロインを、ケイト・フィリップスが生き生きと演じています。

 

  ストーリーはこれぞ英国正統派ミステリ…といった作り。最近猟奇的な殺人とか狂気のサイコパスを扱った刺激的なミステリが多いので、こういう正統派の探偵モノもかえって新鮮かも♥️バディのウィリアム警部補とも、付かず離れず、友人以上恋人以下…って感じの微妙な関係がステキ。シーズン2、めっちゃ楽しみ〜❗

 

※放映は4月22日(放送時間は未定)。第1・第2シーズン全12話、一挙放送予定のようです。

 

★ついしん

待望の第2シーズン、一挙放送されました❗(2023年4月)スカーレットは相変わらず、ロンドン初の女性探偵として男性社会で悪戦苦闘しています。女性文化協会の講演を頼まれれば、「あなたの顧客は男性探偵が相手にしない貧乏人ばかり」とディスられるし(^_^;)…でも、燃える闘魂は胸に秘め(笑)それを笑顔で乗り越えていくのが、ミス・スカーレットのミス・スカーレットたる所以。尋ね人や落とし物など、簡単に解決できるかと思われたものがじつは重大事件に繋がり、幼なじみのウィリアム警部補の追う事件と交差するストーリー展開はシーズン1と同様です。

 

 イライザとウィリアムの間に交わされるウィットに富んだ大人の会話やジェンダーについての議論、※19世紀英国の雰囲気満載の大人のミステリをぜひご覧下さい。

※ドレスの仮縫いをする時に、ミス・スカーレットが「(犯人を追いかけて)走ることもあるから、裾は少し短めに」ってそっと言うシーンがめっちゃ好き❗なんてエレガントなんでしょう……😍

 

 

 

 

黒革グローブの村川監督(森準人)が気になる、気になる~『おちょやん』

 浪花女の、人情からめた波乱万丈感動の一代記…と思いきや、突き抜けた明るさの抱腹絶倒コメディの様相を呈してきた『おちょやん』。個人的にそっちのほうがだんぜん好みなんで、最近ますますハマってきたヲタク(笑)

 

  こりゃ女芸人コンビの掛け合いか…❗?と見紛うほど息もピッタリな千代(杉咲花)と山村千鳥(若村麻由美)に大いに笑わせてもらっていたら、残念ながら一座はあえなく解散😢しかしそこから舞台は急展開、いよいよ千代ちゃん、京都は太秦…いやもとい、鶴亀撮影所の押しかけ女優に😅

 

  「撮影所の懲りない面々」がまた、サイコーなんですよ。アメリカ帰りのルー大柴みたいなジョージ原田監督(「ガッデム❗」=笑)とか、その妻のタカビー女優ミカ本田(ファーストサマーウィカ最高♥️バッグ振り回して人払い)。無声映画のスタァ、高瀬百々之助のモデルって「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助かいな?…とか、いろいろ考えると楽しくてたまらん(笑)

 

  撮影所はまたイケメン祭りで、千代ちゃんの初恋の人、濃すぎる撮影現場で唯一ジェントルマンな助監督の小暮さん(若葉竜也…ステキなステキな好青年。ブレイクの予感😍)や、再会した天海一平(成田凌…この方は憎めないだめんず演じさせたら天下一品ですね)はもちろんステキなんだけど、ヲタクいち推しはこの人❗ハイ、ふつうは監督とか女優とか一言だけテロップがつくのに、お一人だけ長々と

作るシャシンは全て当たるという鬼才映画監督    村川茂

というテロップが付いたお方😅

ご本人は「あれ?村川監督ひょっとして公式にいじられてる?」って仰っているけど、いやいや、なにげに公式さんのイチ推しってことなんじゃないかしら。

 

  大スタァの高城百合子(井川遥)に無表情に(しかも柔らかな口調)でダメ出しをし続けて涙目にさせるサド監督😅溝口健二黒澤明か。細身の長身に三つ揃いのストライプのスーツを身にまとい、赤いチーフに何故か手には黒革のグローヴ…。殺し屋かいっ❗(笑)…はたまた文ストの中原中也か。…それとも、同じ洋行帰りでも、原田監督がアメリカなら、村川監督は大英帝国とか?『エイジ・オブ・イノセンス』のダニエル・デイ・ルイスふう手袋?

 

  ネットで調べたら、森準人さん『アリバイ崩し承ります』に出演してる。あれ?第2話なら見たはずなのだが…。

あーーっ❗大学の研究室のオドオドした猫背の助手❗

思い出した…真逆の役ぢゃん😮全くわからなかったよ。

 

  ストーリーの展開上、もう出番はなさそうだなぁ…淋しい…くすん😢スピンオフとか作ってくれないかなー。

「なぜ村川監督は黒革のグローヴをはめているのか❗?」ミステリ仕立てでどうかしら?(ムリだろうな😅=笑)

村川監督の半生と私生活が気になって仕方のないヲタクなのであった、ぢゃん、ぢゃん❗

 

  

https://twitter.com/asadora_bk_nhk/status/1351741242703544320

赤楚衛二くんの意気や良し~『コールドケースⅢ』第6話


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  コールドケースⅢ、ⅠとⅡに引き続き毎週リアタイで楽しみに観ています😊ご存知の通り過去の未解決事件の捜査をテーマにしたミステリ。見所は、現時点の事件関係者には演技巧者のベテランの俳優さんが、そして過去の(事件発生時の)登場人物には若手で、しかも未来を嘱望されたライジングスターたちが配されていること❗特に若手のキャスティングが素晴らしく、ドラマウォッチャーとしては未来の大スターを先取りしているような気がして、楽しいことこの上ありません❤️過去のシリーズで強烈な印象を残したのは、吉沢亮岸井ゆきの中村倫也村上虹郎門脇麦吉村界人若葉竜也…今振り返って書いてみると、綺羅星の如きメンツですよねぇ😮

 

  さて、第6話に登場したライジングスターは赤楚衛二くん。彼の演技、ヲタクはお初なんですけど、ドラマウォッチャーの娘が「彼、将来絶対来るよ❗」って前から話していたからドラマの冒頭から興味シンシン😊娘曰く、彼は若手俳優の登竜門と言われる仮面ライダー出身で、娘は小学生の息子そっちのけで赤楚くん目当てにライダーを見ていたらしい😅

 

  今回のエピソード、見終わってヲタク、感心しました。何が?いや、今回のような役を引き受けた赤楚くんのいち演技者としての意気込みと本気度に…です。

 

  彼は1996年に横浜のとある大学構内で殺された被害者の学生役。ところがこの被害者の彼、育ちの良さとイケメンな外見をいいことに、女子学生をデートに誘っては途中から狼の牙を剥く…という、トンでもないサイコなクズ男なんですよ。夢見がちな若い女性の感情を逆手に取ってるところがよけいにタチが悪いわけですが、反対に言えば、一見白馬の王子様のビジュアルを持っていなければリアルじゃないわけで…。そういう意味では赤楚くんくらいカッコよくなければ説得力がない。それにしても、ひと昔前の若手イケメン俳優さんだったら絶対引き受けない役だよなぁ…とヲタクは、彼の演技の、ためらいのみじんもない吹っ切れ具合をしごく感心しながら見てました😅

 

  … うん、娘の言うとおり、きっと彼はこれから「来る」と思います😊え?もう来てるの?(笑)

最高に面白いパロディ❗~BS12トゥエルビ『アガサと殺人の真相』


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(ドラマの舞台となるイングランドの田園風景…From Pixabay)

いやー、面白かったなー❗アガサ・クリスティファンはもちろんのこと、英国ミステリファンはすべからく見るべし❗

 

  3話構成のシリーズもので、アガサ・クリスティ(ルース・ブラッドリー)の実人生のエピソードを絡めながら、アガサ自身がポワロ…いやミス・マープルよろしく殺人事件の謎を解いていく…という構成になっています。

 

  第1話は、かの有名な『アガサ謎の失踪事件』。1926年12月に彼女が11日間失踪し、スコットランドヤードあげての大騒動になりましたが、発見されたアガサは記憶喪失とされ、生涯1度も彼女自身がその件について口にすることはありませんでした。当時アガサは夫アーチボルドの不倫に悩んでおり、失踪後、アーチボルドがアガサを殺したのではと疑われ、取り調べを受けるという彼女のミステリさながらの展開になったようです😅この失踪事件はヴァネッサ・レッドグレーヴ主演の映画になっていて、失踪中にアメリカ人記者(ダスティン・ホフマン)と恋に落ちるっていうしっとりした大人のロマンス。あれはあれでステキだったけど、実際の発言やエピソードから想像されるアガサ・クリスティって機知とユーモアに溢れた女性…ってイメージだから、ヲタク的にはこのドラマのほうが断然好み🎵ドラマの冒頭、アガサがアーサー・コナン・ドイル(ホームズの作者)に人生相談をしに行く場面など、英国ミステリファンにはたまりません❤️

 

    第1話では、ある老婦人に頼み込まれ、6年前の未解決殺人事件の解明に乗り出すアガサ。変装して声音を変え(馴染みの郵便局員をまんまと騙して嬉しがるアガサがカワイイ😅)、遺産管理の代理人ウェストマコット(アガサがロマンス小説を書いた時の別名)女史に化けて容疑者たちを無人の大邸宅に集めます。いわゆる彼女お得意の「クローズドサークル」ミステリー設定のはずが、こと実際の事件となるとなかなか上手くいかないのがご愛嬌😅

 

  容疑者たちを集めた大邸宅で実際に殺人事件が起き、スコットランドヤードの警部が乗り込んで来るのですが、彼がまた人生酸いも甘いも噛み分けたイキで大人の紳士、アガサに協力して事件解決に乗り出します。その頃世間はアガサ捜索の大騒動、警部の「推理作家の捜索に五千人警官が動員されたからここに来れるのは僕だけ」とか、「コナン・ドイルが降霊術でクリスティの居場所を探そうとしてる」(コナン・ドイルは晩年心霊写真に傾倒し、霊の存在を証明しようと躍起になった)等々のセリフに思わず吹き出します(笑)

 

  アガサは結局失踪事件後にアーチボルドと離婚、中東に取材旅行に行った折りに知り合った14才年下の考古学者と恋に落ち、再婚します。「なぜそんな若い男性と結婚するのか」と問われたアガサ、「彼は考古学者だから古いものの価値がわかるのよ」と答えたそうですが、ウィットに溢れた切り返し、ヲタクますますアガサ・クリスティのファンになっちゃいました🎵

 

  本シリーズは製作者側が自分勝手に作った妄想?フィクションとのことで、わざわざ「本作はアガサ・クリスティ社とは一切関係ありません」というテロップが入りますが、ストーリー展開といいアガサのチャーミングなキャラといい、イメージアップの要素しかなかったけど…😅

 

  第2話「アガサとイシュタルの呪い」は、アガサ第2の人生の幕開けとなる中東が舞台。若い考古学者くんもご登場のようで、ますます楽しみです❗

『ブリジャートン家』を見て現実逃避するの巻😊

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(ブリジャートン家は子爵だからロンドンの小さなタウンハウスに住んでるけど、公爵のおうちはたしかこんな感じのお城=笑…From Pixabay)

 出ました❗『エミリー、パリへ行く』に引き続き、ネトフリの、イケメン&イケジョの大行進、ハーレクインロマンス的味付けながら、ふと考えるとけっこうシビアで人生の苦い皮肉が後味に残る、サクサク見れちゃう豪華絢爛一大エンターテイメント、じゃ~~ん❗ ステイホームで鬱々としている方はぜひ、見てみましょ🎵第1シリーズ8話だけど、あっという間に終わっちゃう。

 

  時は19世紀、英国は摂政時代。ブリジャートン子爵家の美貌の長女ダフネ(フィービー・ディネバー)がいよいよ社交界にデビューするところから物語は始まります。キレイなドレスに宝飾品、みんなの注目を浴びて社交界デビューなんて素敵😍憧れちゃうワ……

なーんて( ・ε・)ちっちっち、とんでもない❗(笑)

いみじくも当のダフネが口走るが如く「一瞬で人生が決まる」適齢期のレディはいつも土俵際、いかに血筋家筋財力胆力に長けたイケメンをたぶらかしてプロポーズに持ち込むか、それこそ血で血を洗う❓壮絶なるバトルの幕開けでございまする。その為にレディたちはごっつい拷問器具みたいなコルセットでカラダを縛り上げ、満足に息もできず背中は傷ついてズタズタになりながらも、何食わぬ顔で会話術や恋の手練手管を駆使し、いざとなったらライバルのスキャンダルをばらまいて相手を蹴落とすくらいは朝飯前😅

 

 ダフネはよりランクが上のお相手をゲットする為、レディやその母親たちからの猛烈アタックに辟易している快楽主義者兼独身主義者のセクシーイケメン公爵サイモン(レゲ・ジャン=ペイジ)と恋人のフリをする密約を結ぶが、ミイラとりがミイラになって…という予想通りの展開💕でもね、公爵とダフネの主役二人がもう、最高に魅力的なんで、あるあるの展開もオールオッケー😊

 

  公爵は心の傷を抱えた放蕩者(単なる放蕩者ぢゃないのね、ここが大事)で、事あるごとにミケランジェロダビデかと見紛うほどの古代ギリシャふう肉体美を惜しげもなく披露してくれる大盤振る舞い(なにせ趣味がボクシングですから😅)。このドラマで一躍人気者になったペイジくん、最近では次期ジェームズ・ボンドの候補にも挙げられているとか😮ううむ、褐色の肌のセクシーダイナマイト、おそるべし。

 

  相対するダフネがまた、清らかな白薔薇を彷彿とさせる美少女でありながら、社会の矛盾を認識しつつも自分らしく生きたいと模索する聡明さも持ち合わせているというキャラ設定。世界中で大ヒットしているそうですが、この二人の魅力に負うところが大きいでしょう😊女性が売り物のように品定めされる社会に真っ向から反発する次女エロイーズも、「若草物語」のジョーを彷彿とさせるキャラで、可愛いお顔にドスの効いたハスキーボイス(なにげにハリウッドアクトレスのトレンド❓スカヨハやフローレンス・ピューを思い出しますね)が超キュート😍

 

  グローバル展開とダイバーシティを主眼とするネトフリだけあって、19世紀の英国社交界を舞台にしながら、多数のアフリカ系の俳優さんたちを登用、そこがまたこのドラマに独自の魅力を与えています。中でもガーナ系のゴルダ・ロシェウヴィル(フローレンス・ピューの『レディ・マクベス』に出演してましたね)が演じるシャーロット王妃は、実際にアフリカ系だったという歴史的根拠もあるそうです。余談ですが、シェイクスピアの一連の史劇をドラマ化した『ホロウ・クラウン~嘆きの王冠』でヘンリー6世の妻、マーガレット・オブ・アンジューを演じたのは、ナイジェリア人の血を引くソフィー・オコネドーだったなぁ…。画期的なキャスティングでびっくりしたけど、あれも何か歴史的根拠があったんだろうか(-ω- ?)ちなみにこのマーガレット、気弱な夫のお尻を叩いて英国をあの薔薇戦争に引きずり込んだ烈女。『ゲースロ』のサーセイ・ラニスターのモデルだとも言われとります。

 

 アメリカで制作された英国の歴史ドラマなので、貴族の話と言っても『ダウントンアビー』のようなリアルさはないけれど、最近のような鬱々とした世相には、『ブリジャートン家』みたいなファンタジックな歴史モノがぴったりなのかも。爆発的ヒットを受けて、早々とシーズン2の制作が決定したもようです😉

板谷由夏さんおススメの『裏切りのサーカス』

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(MI6の本部があるロンドン。「サーカス」の呼び名の由来は、以前ケンブリッジサーカスに建物があったことから…From Pixabay)

WOWWOWオンデマンドが、 ミニシアター文化への感謝と応援の気持ちを込めてオススメ映画10作品を無料配信…という、何ともイキなはからい😊ラインナップの中に『裏切りのサーカス』を見つけて、これがブログを書かずにいられようか(笑)

 

板谷由夏さんのコメント…

静かで淡々とした男達の心の中を探りながら見ていると、結構いろいろなところにいろいろなことが隠されていて、それを探すのが面白い映画だと思います。

まさに、まさにその通りですっ❗

 

  好きな映画は数々あれど、ストーリーも場面展開もすっかりアタマの中に入っているのに、あのセリフを言う時のあの俳優の唇の歪み方が見たいとか、あの時の視線はじつはどこを向いていたのか、彼が彼に殴りかかった真意は怒りか嫉妬か…とか、些細なことが気になって繰り返し観たくなる映画があるもの。『裏切りのサーカス』もそんな映画の一つ。

 

  舞台は1970年代、米ソ冷戦時代の真っ只中。世界中のあらゆる場所にスパイが暗躍していた時代。この映画は、英国諜報部MI6の上司から特命を受け、重要な情報ごと西側に寝返りたいという東側のスパイと密会する為、ハンガリーブダペストへ出向く一人の工作員(マーク・ストロング)の姿をカメラが捉えるところから始まります。この特命はなぜかソ連側に漏れており、彼はブダペストの路上で撃たれ、計画は失敗に終わります。


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(「ドナウ川の真珠」と言われるブダペストの街並み…From Pixabay)

  この事件をきっかけに、どうもMI6の幹部の中にソ連と通じている二重スパイ(いわゆる「もぐら」)がいるらしい…という事実があきらかとなり、その隠密捜査の為に、一旦は引退した初老のスパイ、ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)がその任務に当たることになります。

 

  作者のジョン・ル・カレはMI6での勤務経験があり、恵まれない処遇の中、命を賭けて任務を遂行するスパイたちのリアルをその著作の中で時に冷徹な筆致で描き出しました。(去年12月に他界した…というニュースが入りましたね😢…合掌)

 

  スマイリーを演じるゲイリー・オールドマンがもう、その佇まいからお洒落の仕方からめちゃくちゃカッコよくて😍一見温厚な英国紳士に見えながら、MI6本部から重要書類を盗み出すよう部下のピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)に命じる時の非情さよ。かと思えば、上司のコントロール(ジョン・ハート)から絶大なる信頼を置かれていると自負していた彼が、ふとしたきっかけで自分すらも「もぐら」ではないかと疑われていたと知った時の表情❗無言のうちに静かな失望感とやりきれなさを滲ませて…秀逸です。ル・カレ原作のジョージ・スマイリーシリーズでは、スマイリーと敵国ソ連の伝説的スパイ、通称カーラとの頭脳戦と、男同士の奇妙な絆が描かれていますが、この映画の中でベネ様相手にカーラとの初めての出逢いを語る時のゲイリーの長いモノローグも必見❗この時アカデミー主演男優賞にノミネートされながら、惜しくも受賞を逃したゲイリー。この時獲らせてあげたかったよね…ゲイリー本人と認識できないチャーチル首相役よりもさ(笑)

 

  一方、「これから君を危険に晒すことになる。しかし失敗して捕らえられても、私の名前は絶対口にするな」とスマイリーに冷酷に言い放たれても、彼に心酔しているがゆえに何の疑念もなく危地に赴くピーター・ギラム役ベネ様のピュアな青さ、若さゆえの情熱😍あー、もうたまりましぇ~~ん(⬅️アホ😅)奇人変人の天才か、屈折した役柄が多い昨今のベネ様。彼の若き日の貴重な正統派イケメン演技と言えるでしょう。

 

  二人以外にも前述のマーク・ストロングコリン・ファースなど、渋い英国イケメン俳優総出演…といった趣。今や英国だけでなくハリウッドのトップ俳優に上り詰めたトム・ハーディが髪をキンパに染めて、MI6の下で汚れ仕事を請負う若い工作員役。東側スパイの内縁の妻と禁断の恋に落ちる熱い男を演じています。

 

監督はあの「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン。裏切りと駆け引き、陰謀渦巻くストーリー展開に反して、彼の描き出す真冬のロンドンやブダペストの街並みの映像はひたすら静謐な美しさに満ちています。

 

この名作をまたとない機会にぜひ❗

 

 

 

  

フィギュア選手にも愛される『誰も寝てはならぬ』~MET『トゥーランドット』

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  WOWWOWで録画しておいたMETライブビューイング『トゥーランドット』(プッチーニ・作)鑑賞。METライブビューイングとは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場が世界中のオペラファンの為に劇場プログラムを映画館に生配信してくれるという画期的な試み。日本の場合は時差の関係で生配信はムリだけど、私たちは映画館の高音質で、生で見たら五万円くらいする一流のオペラを楽しむことができる❗昨今のコロナ禍でメトロポリタン歌劇場も只今閉鎖中😢早く、安心して、素晴らしい芸術を楽しむことができる時が来ますように…。

 

  さて、『トゥーランドット』はオペラの大作曲家プッチーニの未完の大作で、ラストは他の作曲家が完成させたもの。『トゥーランドット』を観ずしてオペラを語るなかれ…とも言われるほど。エキゾティシズムに深い憧憬を抱いていたプッチーニ、この作品の舞台はなんと北京の紫禁城❗氷の心を持つ絶世の美女トゥーランドット姫には異国の王子たちの求婚が引きも切らない。ところが残忍な処女姫は王子たちに3つの謎をかけ、解けないと首斬り役人に処刑させてしまう😮なんちゅう…スフィンクスじゃあるまいし😅西太后か誰かのイメージなんですかね。トゥーランドットに扮するのはクリスティーン・ガーキー。トゥーランドットは高音域が続き、オーケストラや合唱(この作品はとにかく合唱が多い😅)をねじ伏せるかのような強さと美しさを併せ持つ難役。ガーキーはワーグナーブリュンヒルデが当たり役だけあって、なんと言うか、鋼鉄みたいな高音美声、サスガです。ちょっと人間離れしてる(笑)インタビューで、「ドイツオペラもベルカント唱法で歌う」って言ってました。

 

  そしてそして、トゥーランドット姫に一目惚れ、果敢に3つの謎に挑むダッタン国のカラフ王子に扮するのは当代きってのドラマティックテノール、ユシフ・エイヴァゾフ❗(大人気美貌のソプラノ歌手、アンナ・ネトレプコのダンナ様ですね😍)ルチアーノ・パヴァロッティに心酔する彼(このアリアはパヴァロッティのおハコ。じつはヲタクは、パヴァロッティよりも「黄金のトランペット」と言われたマリオ・デル・モナコの『誰も寝てはならぬ』が好きだったりするのですが😅)、上演前のインタビューで「このアリアはパヴァロッティに捧げます」と緊張の面持ちで語っていましたが、なんの、素晴らしく伸びやかな歌唱、最高のカラフ王子を見せてくれた❗カーテンコール、満場のスタンディングオーベーション、彼の目が潤んでいたように見えたのは気のせいでしょうか。

 

  テノール歌手の憧れと言われるアリア『誰も寝てはならぬ』。トリノ五輪のオープニング、パヴァロッティその人が歌ったアリア。彼の最後の舞台😢そして偶然にも、フィギュアスケート女子フリーで日本の至宝、荒川静香さんが選曲して見事金メダル❗宇野昌磨くん、銀メダルを獲得した平昌オリンピックでもこの曲で滑りましたね🎵カラフ王子がトゥーランドット姫との言わば「愛の戦い」において、どんなに相手が氷のように心を閉ざしていても、最後に愛は勝つのだと朗々と繰り返す「ヴィンチェロ(私は勝つ)」がクライマックスで、内容的にもファギュアのプログラムとしてピッタリなんですよね😊

 

METの『トゥーランドット』は特にフランコ・ゼフィレッリ演出版なので、もう目がチカチカするくらい衣装も舞台装置も豪華絢爛 、異国情緒たっぷりです。 不要不急の外出を控える毎日。METライブビューイングで別世界に飛翔しましょう❗😊

「お勉強させて頂きます」by 武井咲 in 『黒革の手帳 拐帯行』

  待ってました武井咲ちゃん、一世一代のはまり役『黒革の手帳』再び~~❗

元子ママ、前作から3年の刑期を終えてシャバに返り咲き🌹

 

  「稀代の悪女」って宣伝文句だけど、ヲタクに言わせてもらえば、悪女…って言うより、ここは法の壁を打ち破って弱きを助け強きを挫く、Vフォーヴェンデッタも真っ青のダークヒーローと呼ぶべきでしょう😊「お金に利用される人生なんか真っ平、目的を遂げる為にお金を利用してやるんだ」という金銭哲学は、映画『ダークナイト』で、命がけで強奪した札束の山に笑いながら火を放つジョーカーのニヒリズムをちらっと思い出させもする。

 

  武井咲もお母さんになって、そのせいもあるのかしらん、前回の連続ドラマに比べて、その迫力ある立ち姿の美しさ、良い意味のふてぶてしさがさらにパワーアップした気が…。彼女がキッと相手に睨みを利かせてタンカを切る度に、「いよっ、元子ママ❗」と大向こうならぬお茶の間から声を張り上げたくなる😊……ひょっとすると、『半沢直樹』より歌舞伎チックかも😅

 

  武井咲が悪い奴らに向かって

お勉強させて頂きます

って言う度にゾクゾクするわ😊

この言葉、流行って欲しいかも(笑)

 

  金沢のクラブで再起を賭ける元子。元子の人気に嫉妬していろいろ仕掛けるクラブのママ役に安達祐実。彼女から元子の居所を聞きつけ、昔のライバル仲里依紗が元子の前科をバラして恥をかかそうと金沢のクラブに殴り込み(笑)この二人、可愛らしいチーママ感満載、武井咲のド迫力と好対照でとってもイイ味出してます😊

 

  今回のSPでは、地元コンツェルンの悪どいオーナー(渡部篤郎)に実家の喫茶店を地上げされ、何もかも失った青年の復讐に手を貸す元子。ある事件がきっかけでまた、警察から追われる身となってしまいますが、最後にあっと驚くどんでん返し。見終わって、しごく爽快な後味だったのも◎❗

 

  最後の終わり方、どー考えても続編考えてるよね❓期待しちゃっていいのかな(笑)

ベネディクト・カンバーバッチの破滅的演技、リアルすぎ😅~『パトリック・メルローズ』第1話


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(パトリックがさ迷ったニューヨークの街…From Pixabay)

幼年期のトラウマに悩まされた末、薬物とアルコールに耽溺する破滅型の貴族の末裔パトリック・メルローズが主人公のドラマ。演じるのが、自虐とか自己破壊とかまるで縁のなさそうな英国紳士の典型、ベネさまだからこれは期待できそう。メルローズ…ステキな名前😍紅茶ブランドの創立者と同じね。あ、あっちはアンドリューだっけ🎵

 

  主人公(ベネさま)はどうも、幼年期に実の父親から性的虐待を受け続けていた…という設定らしい。父親役はヒューゴ・ウィーヴィング。彼と言えば『マトリックス』のエージェント・スミス役の印象が強烈ですが、こういう、冷血で非道な感じの人物はハマリ役ですね😅今回の父親役も、どこか人間的な情緒が欠落している人物として描写されています。

 

  パトリックの幼年期のトラウマは、彼の脳裏にフラッシュバックする断片的な記憶で「匂わせ」的に語られるのみなのですが、その代わり、彼の現在の悲惨な状況…注射の痕だらけの、血まみれの腕にヘロイン打ちながら、鎮静剤をアルコールで流し込むという姿がこれでもか、っていうくらいリアルに描写されます。そしてベネ様がもう、何かに取り憑かれたみたいにパトリックに「なりきって」いて、いやもう、恐ろしいのなんの…ヽ(;゚;Д;゚;; )(ベネ様はこの時の迫真の演技で英国アカデミー賞主演男優賞受賞)もしどこかに薬物に興味を持っているような青少年がいたら、抑止力としてこれ見せたらいいんじゃないかっていうくらい。ドキュメンタリーよりずっとドキュメンタリーっぽい😅特に旅先の真夜中のニューヨーク、ヘロインを求め喪服姿で場末の街を徘徊する姿は、まるでホラー

(;-ω-)ノ

 

あ、トリビアだけど、薬物の幻覚に悩まされるパトリックが、レストランで突然「アカバ、攻略❗」って、映画『アラビアのロレンス』(デヴィッド・リーン監督)T. E.ロレンス(演・ピーター・オトゥール)のセリフを叫ぶ場面。あの映画の大ファンであるヲタクは、ベネ様からそのセリフから聞けただけでニンマリ😊

 

  そして第1話のクライマックス、薬物を断ちたい、立ち直りたいと友人に「もう僕は薬物を止める」と、パトリックが電話で宣言する場面。友人に「……それで?薬止めてその後何するつもりなの」と聞かれ、ハッとして言葉に詰まって、ベネ様の顔が屈辱に紅潮して、ふっと自嘲の薄笑いを浮かべた次の瞬間、ばーっと涙が溢れてくる。ああ、何てこの人は凄い演技をするんだろうと、ゾクゾクする感覚が背筋を走る。ヲタクが、一人の役者にどうしようもなく「惚れちゃう」瞬間です😅

 

  第2話以降、パトリックの再起への苦闘が描かれるようですが、ベネ様の演技がリアルすぎてもはや他人事とは思えない(笑)どうか、彼の人生が少しでも幸せな方向に向かって、「やっぱり、生まれてきてよかった」と思えるようになって欲しい😢……祈るような気持ちのヲタクなのです。

 

※U-NEXTで配信開始。新作で、しかもこれだけの話題作で見放題です🎵

 

 

 

  

映画のパワー、再確認❗~『パブリック/図書館の奇跡』

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  こういう映画を見ると、映画の力、エンタメの力ってバカにできないよ、とつくづく思います。映画やドラマ、小説などエンターテイメントが、決して現実逃避の手段や単なる時間潰しではなく、ひょっとすると、観た人の価値観を揺るがすような、社会のしくみを変えるきっかけになりうるような潜在的な力を持っているのだと。以前、当ブログで取り上げたドイツの法廷小説『コリーニ事件』等はその代表的なものだけれど(この小説がきっかけになって、ドイツのある法律が改正された❗)、今回U-NEXTで鑑賞した映画『パブリック/図書館の奇跡』もそんな作品のひとつ。

 

  米オハイオ州シンシナティ公共図書館で働いている一見平凡なおじさん図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)。この図書館には行き場のないホームレスたちが厳寒の冬、暖を求めにやって来ます。(朝の図書館のトイレは、そんな彼らの朝の身繕いの場で、顔洗ったりひげ剃ったり😅)ある年の大晦日シンシナティには未曾有の大寒波が襲来、ホームレスの凍死が相ついでいました。閉館の時間になっても出ていこうとしないなじみのホームレスが、突然「ホームレスのシェルターはどこも満杯だ。俺たちは今夜出ていかない。図書館を占拠する❗これは公共のデモ行為である」と宣言。驚いたスチュワートが後ろを振り返ると、一夜の宿を求めてやって来た大勢のホームレスたちが…。

 

  最初はホームレスの占拠騒動に巻き込まれた形のスチュワートが、次第にホームレスたちに肩入れし、社会の不条理に憤って、彼らと共闘していく過程が泣かせます(そこには、彼自身のそれまでの半生が深く関わって来るのですが…)

 

  彼らが起こした騒動が、自分の売名の為に彼らを利用しようとする狡猾な市長候補(お久しぶりね、のクリスチャン・スレーター)や、視聴率アップを狙ってフェイクニュースをでっち上げようとするビッチなニュースキャスターによって、あれよあれよという間に驚きの展開を見せ、ついには機動隊が出動することに。強行突破しようとする警察に対して、スチュワートやホームレスたちがとった行動は……❗❓

 

  ハリウッドの名バイプレーヤー、エミリオ・エステベスが、制作・脚本・監督・主演と、八面六臂の大活躍😊実話を基に11年にわたり構想を練ったというだけあって、所々に皮肉とユーモアを交えながら、正義とは何か、人権の尊重とは何か、真のデモンストレーションとは何か…様々な問題を提起する作品となっています。エミリオ・エステベスといえばトム・クルーズと共にかつて数多くの青春映画(『セントエルメスファイアー』など)に出演、ブラットパックの一員だったけど、当時は一番地味な存在😅しかも私生活でもお父さんはマーティン・シーンで弟はチャーリー・シーンだからなんだか可哀想なことに…😅でも今こうしてみると、彼が一番良い年の取り方してる。今まで誠実に人生を歩んで来たんだろうなぁ…ということが、顔に滲み出てるよ、うん。こういう、「アメリカの良心」を代表するような役者さん、とても貴重な存在だから、これからも頑張ってほしい😊

 

  最初はスチュワートたちの行動に懐疑的だった図書館長が、警察権力の横暴さに耐えかね、「図書館は全ての人を公平に受け入れる場所だ❗民主主義の最後の砦なんだ。お前らの思うようにはさせないぞ」とタンカを切る場面は、アメリカン・ヒューマニズムここにあり、って感じでスカッとしましたね😊

 

 邦題にあるように、この映画の中にはさまざまな「奇跡」が散りばめられていると思うのですが、その見方・捉え方は人によって違うと思います。なかなか外出が難しい昨今、家族で見て、感想を話し合ってみるのも楽しいかもしれません😊