オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

『エターナルズ』~新たな叙事詩の始まり


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   世界を消滅させることで、新たなユートピアを作ろうとしたラスボス、サノスの野望は潰えて、平和が戻ったかにみえた現代世界。ところがそこに、人類の新たな脅威として、デヴィアンツが立ちはだかります。彼らはじつは、紀元前5000年のメソポタミアの時代から存在していた原初的なヴィランであり、それ以来何千年もかけて、エターナルズと呼ばれた不老不死の戦士たちが彼らと戦い続け、ついには絶滅させた筈でした。デヴィアンツはなぜ生き返り、さらに強大な力を持ち始めたのか?有史以来未曾有の戦いの前にして、エターナルズのリーダー格であるイカリス(リチャード・マッデン)とセルシ(ジェンマ・チャン)は、今はそれぞれが一人の人間として暮らしている昔の仲間たちを訪ね歩き、再集結して共に戦おうと説得しますが…。

 

  彼らエターナルズは、太古の昔にはその超能力ゆえに人間たちから神とも崇め奉られたわけですが、科学の発達とともに人類は彼らに匹敵する力を持ち始めます。だとすれば、彼らの存在意義はどこにあるのか?彼らのアイデンティティとは何なのか?新たな戦いの火蓋が切られた時エターナルズは、彼らの存在意義を根底から揺さぶられるような衝撃の事実を知らされることになるのでした……❗

 

  これ以上語るとネタバレになっちゃうので、ストーリーに関してはこれくらいにするとして😅

 

  DCコミックス(スーパーマンバットマン)や、マーベルの中でもアベンジャーズのメンバーのようなスーパーヒーローものとは違って、どちらかと言えば「ロード・オブ・ザ・リング」のようなファンタジーギリシャ北欧神話アーサー王伝説のような味わい。コミカルなキャラも、ボリウッドで活躍してるエターナルのキンゴ(クメイル・ナンジアニ)が孤軍奮闘(笑)全体的にダークなトーンで、あまりアメコミっぽくない(主要な男性キャストも英国系だし)、ストーリーが宿命論とか世界終末説(ラグナログ)に基づいているから、好き嫌いは分かれるかも。(ラグナログ、といえばマイティ・ソーだけど、ほら、ソーの場合は本人がおバカキャラだから  笑)口コミも賛否両論真っ二つ…ですよね😅個人的にはめっちゃ好みですが。

 

  私たちの暮らす現代社会がこう多様化し、複雑になってくると、フィクションの中で、ヒーローもヴィランも金太郎飴みたいにどこ切っても善と悪…という単純な勧善懲悪の世界を描くことはなかなか難しいのかもしれない…と、一抹の寂しさを胸に、ヲタクは一人呟いてみるのです。

 

  しかし一方で作品のテイストは違っても、『アベンジャーズ』同様、一人一人のキャラ立ちがスゴくて、それぞれが主役を張れるくらいめっちゃ魅力的なのは『エターナルズ』も全く同じ❗

  

  エターナルズたちは、そのキャラ造型の際、それぞれ相応しいネーミングをされています。まずはヲタクいち推し、ドルイグくん。演じるはバリー・コーガン♥️『聖なる鹿殺し』の怖~いサイコパス、『ダンケルク』のヒーローに憧れながら叶わず、悲劇的な最期を遂げる少年…等々、一癖も二癖もあるキャラを演じ分ける若き演技派。余談だけど、ヲタクの推し、ジャック・ロウデンのマブダチで、彼のこと「カレシ」呼ばわりするくらい仲がいいんだよね😍今作では、人をマインドコントロールする超能力を持ち、人類を平和にしたい気持ちが暴走して、アマゾンの密林に擬似宗教的なコミュニティを作って立て籠ってしまうナゾのエターナル役。バリーが演じるからにはさぞかし拗れ男子かと思いきや…

めっちゃええ子やん❗\(^o^)/

(あっ、これもちょっとネタバレ❓😅)

ドルイグ(Druig)はドルイド(Druide)のモジリだよね❓たぶん。

ドルイド教は古代アイルランドケルト族の宗教だから、アイリッシュのバリーが演じるのも、むべなるかな。キャスティングもちょこちょこ小ワザが効いてる。自由自在の飛翔能力を持つイカリスはギリシャ神話のイカロス(「イカリスなのに翼がないね」ってセリフも😅)、ギルガメシュは世界最古と言われる叙事詩そのまま、また、最強の女戦士セナ(Thena…アンジェリーナ・ジョリー)も、「アテナ(Athena…ギリシャローマ神話の知恵と戦いの女神)からAとっただけ」ってじぶんで言ってたし。

 

  他にも、なんでこんなにヲタク好みの俳優さんたちが揃っているのか❓って感じで。創造主から託された使命と、ヒロインであるセルシ(ジェンマ・チャン)への愛に引き裂かれる憂愁のヒーロー、イカリスにリチャード・マッデン。冷たさの中にも哀しみを湛えた瞳、鼻にかかったセクシーな声。戦場でのPTSDに苦しみながら愛する人を守り抜くSP役を演じた、あのBBCの名作ドラマ『ボディーガード~守るべきもの』思い出すわ…😍セルシを巡る三角関係、イカリスの恋敵❓役にキット・ハリントン❗そうこのツーショット、『ゲースロ』ファンならこたえられないでしょう❓

 

  ヲタク贔屓のマ・ドンソク(アメリカ名はドン・リー)兄ィは、「気は優しくて力持ち」なギルガメシュ役でマブリーな魅力大爆発♥️

(可愛いエプロンつけてパイ作りに励む、お約束のサービスシーンもアリ)

 

  お久しぶりねのアンジェリーナ・ジョリー、さすがのオーラむんむんで、『アクアマン』のニコール・キッドマンや『マイティソー』のケイト・ブランシェットに負けじと、まるでバレエのような華麗なるアクションを披露してくれます(うっとり)ニコール&ケイトのお二人さんはあまりにもオニ強くてビビったけど😅アンジーのセナは精神的な病を抱え、脆さを併せ持つ存在として描かれており、役柄に深みを持たせています。

 

  エンドクレジットの後に次作の予告編が流れるのはマーベル映画のお約束ですが、今回は顔見世興行的だったキット・ハリントンが、エクスカリバーみたいな先祖伝来の劍を持ち出し、これからキーパーソンとしてストーリーにガチで絡んできそうな気配。そしてそしてラスト、酒飲みのエルフみたいなキャラ引き連れて、ハリー・スタイルズがまさかの☆@/.#〈〉$の弟役でご登場❗

 

  最後に"Eternals will return."って出たけど、ヲタク的には"Please return ASAP❗"ってキモチよ😊

 

  

 

 

 

  

 

 

  

Netflix『DEADWIND ~刑事ソフィア・カルピSeason 3 』予告編解禁❗


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もい❗(フィンランド語でこんにちは)

北欧ミステリー好きのヲタクです。

 

  ついにキタ~♥️

Netflixフィンランドサスペンスドラマ『Deadwind~刑事ソフィア・カルピ』シーズン3のTrailer解禁~❗フィンランド語なんで、もちろんちんぷんかんぷんなんだけど、今の時点では英語字幕はついてます😊

 

  ネタバレになっちゃうんで理由は言えないけど、シーズン2の最後で、停職処分になっちゃったヒロインのソフィア・カルピ刑事。ワーカホリックでコワモテなカルピ(ピヒラ・ヴィータラ…何しろ逃げる犯人追いかけるのに、一般人を拳銃で恫喝して車奪っちゃうんだから、『孤狼の血』かっつーの😅)と、料理男子でオシャレな家に住んでる優しいイケメン、ヌルミ刑事(ラウリ・ティルカネン)の、キャラが男女入れ替わったようなコンビが注目のこのドラマ。でもヴィジュアルは二人ともめっちゃイケメン・イケジョなんだよね😍北欧ミステリのドラマや映画って、たいがい主人公はフツーのオジサンオバサンが多いんですよー。まあ、それだけリアリティを大事にしてることに繋がるんだけど。だからそんな意味でも貴重なドラマです😊

 

  シーズン1では、ヌルミはカルピとはソリが合わずイガミ合ってばかり、おまけにヌルミが元カノとよりを戻したりで、ロマンスのロの字もありませんでした。ところがシーズン2になると、(おや❓)というシーンがいきなりあって(その直後、また元の二人に戻っちゃうんだけどね😅)、シーズン3ではもはや疑うべくもなく…&/[:#$〉〈☆@(ちょっと暗くてよく見えなかったけど  笑)まっ、二人の恋模様に関しては本編で乞うご期待♥️といったところでしょうか。お、予告編見るとヌルミさん、シーズン1,2と違ってお髭たくわえていますね。精悍なカンジでス・テ・キ。

 

  予告編によれば、廃墟となった動物病院で檻に繋がれた女性の遺体が発見され、停職処分になっていたカルピ刑事が署に呼び戻されるところから物語は始まるもよう。このブログでもヲタクさんざん話してますが、北欧では、ミステリーと言えば様々な社会問題を世に示すための一手段になっているみたいで。このドラマもシーズン1,2を通じて、一見サイコパスによる猟奇殺人と思われたものが、その裏に権力者の陰謀が潜んでいるのが暴かれたり、離婚率の高さによる青少年への精神的影響、社会に広がる薬物汚染…等々、(ひょっとしたら実在のモデルがいるの?)と思わせるような、社会派ドラマとしての側面もありましたよね。

 

  YouTubeのコメント欄には

「Can't  wait(待ちきれないワ~)」

「Seems like its gonna be more intense than S1and S2. also the kiss(シーズン1、2に比べてハラハラ感増したみたいね。それにキスも)」

なーんて、配信開始を待ちきれない数少ない?😅しかし熱狂的なファンのコメントが書き込まれています。

 

 

 


DEADWIND Season 3 Trailer - YouTube

 

★ラウリが、ヌルミ刑事とは全く違うキャラを演じている映画『トム・オブ・フィンランド』についての記事はコチラ⏬⏬⏬

彼はフィンランドでは人気の若手演技派。『ソフィア・カルピ』シリーズで日本での認知度が上がって、公開される映画が増えればいいな😊

 

『モーリタニアン 黒塗りの記録』~真実の重さ

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  最近、ベネディクト・カンバーバッチ出演の映画公開が目白押し。ヲタクの内部でも『シャーロック』以来の、かなり強力な「ベネさま熱」が再燃しつつある昨今ですが、驚きなのは、どれもが重要で、且つ物凄くエネルギーを消耗するような役どころであること。名家の生まれで、何不自由ない環境に育ちながら、こと演技となると、その貪欲さときたら凄まじいばかり。ヲタク的には、映画界七不思議の一つです😮

 

  さて、今回の作品は、あの9.11同時多発テロに関わった容疑で逮捕されたモーリタニア出身の青年モハメドゥ(タハール・ラヒム)が、キューバにある米軍の悪名高きグアンタナモ収容キャンプに収監され、冤罪であるにもかかわらず(いやそもそも裁判すらも行われないまま)、結果4年間も拘束された(釈放されたのはなんとそれからさらに10年後😢)実話に基づいています。長い収監期間に生きる希望も失いかけた時、彼の親族が依頼した弁護士ナンシー・モーガン(ジョディ・フォスター)が彼を訪れます。モハメドゥに面会して彼を弁護する決意を固めた彼女は、アメリカの正義の遂行者として立ち上がりますが、それは二人の果てしない苦闘の始まりでした……。彼女と、後輩の弁護士テリー(シェイリーン・ウッドリー…『ビッグリトルライズ』のシングルマザー役が印象的)が初めてグアンタナモ収容所を訪れる場面は、その収容所内部の、どこか得体の知れない恐ろしさに身がすくみます。

 

  何が恐ろしいかって、「テロを撲滅する」という大義名分のもとに、故なき拷問や強制自白や証拠の隠滅が平然と行われたこと。(拷問のシーンは極めてリアルに描かれており、しかも長い😢気の弱い方は注意❗)「世界の守護神」を以て任じるアメリカの暗部が余すところなく描かれていました。(グアンタナモ収容所は合衆国の司法が及ばない軍の施設であり、9・11直後、アメリカ国民の間に膨れ上がった、ある意味ヒステリックな「対テロ臨戦体勢」の一つのシンボルだった…という事実は留意しておいたほうがいいかも)

 

  しかしそういう非人道的行為が行われていた一方で、それを白日の下に晒す役割として、ジョディ・フォスター演じる弁護士のように、権力に屈しない「アメリカの正義、アメリカの良心」を代表するような人物も確かに存在したわけで…。そしてその経緯もうやむやにはされず、ちゃんと明らかにされ、さらにはそれが映画になって、永久に人々の心に残る……っていうね。目的の為には手段を選ばない怖さと、嘘偽りを許さないピューリタニズム。この矛盾、このパラドックスこそが、じつは真のアメリカの姿なのか…❓と思わせるような映画でしたね。

 

  我らがベネ様は、親友が9・11のハイジャックで殺害された飛行機の副操縦士…という耐え難い経験をし、テロリストを激しく憎むようになった軍属の弁護士、スチュワート中佐。そんな彼に、軍の上層部からモハメドゥを「死刑に処すために」裁判所への立件を命じられるスチュワート。しかし彼は敬虔なクリスチャンとして、また一人の法律家として、確たる証拠もなしに人を裁くのは潔しとしない。大きな陰謀が蠢いているのを感知しながらも、なかなか真実に辿り着けずに懊悩します。派手な見せ場はありませんが、その抑圧された演技、静かな怒りの表現等々は、さすがベネさまでございました😊また、ベネさまの、ちょっと籠り気味のアメリカンイングリッシュがまた、セクシーなんですよね♥️

 

  立場は真逆で対立関係にあるとは言え、「同じ真実」を模索するうち、ナンシーとスチュワートの間には、次第に同士的な感情が育まれて行き、さらにはナンシーとモハメドゥの間にも、それこそ人種や国籍、宗教を越えた強固な友情が培われていく過程に胸打たれます。正義感溢れる、法の女神ともいうべき「鉄の女」ジョディ・フォスターはまさにはまり役❗長い年月を経て顔に刻まれた皺やシルバーヘアさえも、なんと美しいことよ。(彼女はこの作品でゴールデングローブ賞主演女優賞受賞)

 

  モハメドゥの、過酷な年月を乗り越えた末の達観とユーモア。裁判の場面、「私の宗教では「許し」と「自由」は同義語。だから、この裁判で自由になれるなら、私に対して行われたことは、許します」という彼の言葉に、ヲタクを含め、回りで見ていた人たちは皆涙を拭っていました。

 

  冒頭に写し出される、「This is a true story.」という言葉。これは真実そのものだと言い切っている。実話を題材にした映画でよく使われる「This is based on a true story.」ではないんですよね。製作者側の怒りとプロテストが、この一文だけでよくわかります。

 

  真実がずっしりと重い、しかしラストに登場するご本人の明るい笑顔によって、一筋の希望のひかりを感じさせてくれる、そんな映画だと思います。

 

  

 

  

 

 

ジャック・ロウデンの美しすぎる横顔~『Benediction』


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  ジャクロくんの最新作『Benediction』のポスターがヤバいです、美しすぎて😍睫毛の翳と、顎の窪み…@☆〈〉#$&/[:(…バッタリ⬅️ヲタク、倒れる)

 

  『Benediction(祝祷)』(巨匠テレンス・デイヴィス監督)は、第一次世界大戦に従軍して戦功を立てたものの、戦場での心的外傷から精神を病み、反戦詩人として知られたジークフリード・サスーンの人生を描いた作品。サスーンは同性愛者で、同じく反戦詩人として名を馳せたウィルフレッド・オーウェンとの関係が有名なのですが、今作ではどうもオーウェンは出てこないみたいで😅若き日の、アイヴァー・ノヴェロ(当時英国で絶大な人気を誇ったという超イケメン俳優・歌手…演じるのはジェレミー・アーヴァイン)との交流が描かれるもよう。

 

  ジャクロくん、なにげにLGBTの役が多いですよね(『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』、『最悪の選択』『イングランドイズマイン』など)。ご本人も、シアーシャとお付き合いを始める前は、あまりにも女性とのウワサがなくて、もしかして…なんて言われてましたっけ😅

 

  ヲタク的には、ヘテロだろうとLGBTだろうと、推しのセクシュアリティに基本興味はないのでどっちでもいいんだけど(笑)銀幕で良い演技さえ見せてくれれば、それでいい。まっ、シアーシャ・ローナンとの交際は、演技への取り組みかたや自然愛好家ぶり、郷土愛等々、二人の人間性があまりにもステキなんで、密かに応援はしてますけれども。

 

  映画評に、ジャクロくんのサスーン役について「激しい鼓動が伝わってくるような、容赦のないトラウマの表現。しかしそれは穏やかであり、同時に心臓を抉るようでもある」とありますから、かなり迫真の演技を見せてくれてるみたいですね。英国アカデミー賞主演男優賞に輝いた『最悪の選択』(Netflix)を思い出すなぁ…。

 

  動画配信ぢゃなくって、ぜひとも映画館で見たいものです。(⬅️切実😞💦)

 

  

  

https://twitter.com/JALowden/status/1450500920047976450

『ライトハウス』(A24)ロバート・パティンソンと神話


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 黄金町のミニシアター「ジャック&べティ横濱」で『ライトハウス』観賞。つい昨日までレイトだったけど、今日から朝イチの回に変わったので早速行って参りました🎵朝の黄金町は夜の貌とうって変わって一種の廃墟感が漂い、「ツワモノどもが夢の跡…」とか呟きながら、映画館までの道を歩くヲタク(笑)

 

ライトハウス』は、良作・問題作を近来次々と世に送り出している映画プロダクション「A24」の製作によるもの。ここが製作した映画だと聞けば、ヲタクほとんど見に行ってますが、9割がたハズレがないもんね~🎵この信頼度はスゴいことだよ、うん😊今回の『ライトハウス』も、ただのスリラー映画ぢゃない、見るうちに人間の心の深淵を覗きこむ恐ろしさに戦慄し、古典や神話、聖書等の目眩くようなメタファに魅了される。さすがA24❗な1作であります。

 

  19世紀末、ニューイングランド沖の孤島にある灯台(ライトハウス)に灯台守として赴任した二人の男。灯台の主のようなトーマス(ウィレム・デフォー)に、無口な新人イーフレイム(ロバート・パティンソン)は奴隷のようにこき使われ、彼の心にトーマスへの憎悪が膨れ上がり、それが極限に達しようとした時、孤島は嵐に見舞われ、二人は恐るべき運命に見舞われることになります。

 

  モノクローム画面の凄絶な美しさ。映画『サイコ』や『めまい』を想起させる、神経に触るような禍々しい音楽をバックに、ロバート・パティンソンを乗せた船が荒れ狂う海を越えて島に近づいていくシーンは、まるであのサイレント映画吸血鬼ノスフェラトゥ』(ムルナウ)で、吸血鬼の城に馬車で近づいていくシーンのよう。…と思ったら、映画を見た後で読んだロバート・エガース監督のインタビューで、『ノスフェラトゥ』を好きなスリラー映画No.1に挙げていて、納得😅その後も、パティンソンの長い影が壁に映るシーンがあり、ムルナウの影響が大きいことを窺わせます。…そう言えば、彼の出世作は吸血鬼役だったっけ。大昔のことのように思える…(遠い眼)

 

  パティンソン演じるイーフレイム・ウィンスローは、絶対的な権力を振るうトーマスの前に、次第に常軌を逸していき、度々悪夢や幻覚を見るようになるのですが、そこには、彼自身が過去に犯した罪に苛まれているという心理的背景があるわけです。舞台がニューイングランド沖の孤島…というのが気になるな。ニューイングランドはメイフラワー号で清教徒(ピューリタン)の一団がアメリカ大陸に最初に入植した場所。ピューリタンは清貧を旨とし、厳格な戒律で知られます。容赦なき神の代理人の役割を、トーマスが担っていると感じるのはヲタクだけ❓😅

 

  一方、聖書における罪の概念に現代的な味付けもなされていて、彼の見る悪夢の内容は、フロイトの言うリビドーを表しているような気がしますし、トーマスの絶対的父権に対する憎しみと去勢恐怖はフロイト的なオイディプス・コンプレックスそのものでしょう。

 

  トーマスは、汚れ仕事は全てイーフレイムにさせ、「灯台の灯りを守るのは自分だけ」と言い捨て、灯台の最上部の小部屋(灯がくるくると回転している場所)から決して出ようとはしません。イーフレイムが暴力で脅そうと、膝まづいて哀願しようと。その後の恐るべき展開は、プロメテウス神話を思わせるものですが、ヲタクの想像は、美と恐怖が融合したおぞましきラストシーンの衝撃で決定的なものとなりました。この映画では、サイレント期からトーキーに移行する時期に流行したという正方形の画面が使用されていて、モノクロの魅力が最大限に生かされていますし、度々繰り返される絵画的な美しいシーンにもぴったりハマっています。

 

 そしてそして、何と言ってもロバート・パティンソン❗ 『トワイライト』シリーズで一世を風靡し、若くして億万長者になった時は、このままイケイケのイケメンアイドル路線で行くのかと思いきや、ネームバリューもイケメンイメージもなげうって、主役脇役チョイ役何でもござれの演技派に成長♥️特に最近では、Netflix『悪魔はいつもそこに』(トム・ホランド主演)の外道の牧師役や、同じくNetflix『キング』(ティモシー・シャラメ主演)の尊大な小心者王太子ルイ(シャラメに決闘でメッタメタにされるカッコ悪い役😅)等々で、出番は少ないけど強烈な印象を残しました。今作でも、大ベテランのウィレム・デフォーを向こうに回し、堂々たる演技を見せてくれます。この二人の熾烈な演技合戦も見所のひとつ。

 

  今回の難役を演じるにあたり、監督のエガースと納得がいくまで話し合ったというパティンソン。DCユニバースでバットマンを演じることが発表されましたが、闇深く、正義と悪の間で綱渡りを続けるダークヒーローにはぴったり❗クリスチャン・ベールの跡目を継ぐのは彼しかいないでしょう😊

 

  黒澤明など日本映画の影響も大いに受けているというロバート・エガース監督の『ライトハウス』。A24がまたもや世に問う衝撃作です。

ポーランドミステリー~Netflix『ヒヤシンスの血』

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  Netflixの新作スリラー『ヒヤシンスの血』(ポーランド)。北欧サスペンスと同様、東欧サスペンスもまた、ただただ謎解きをマニアックに楽しむよりは、その底に、社会的な諸問題や、歴史の暗部を摘発する意図がある場合が多い。この映画も、同じNetflixのサスペンスドラマ『泥の沼』等と同様、ポーランド共産主義時代、つまりソ連の巨大な力に飲み込まれ、厳しい言論統制が敷かれていた1980年代が舞台になっています。

 

  当時のポーランドでは同性愛者たちは厳しい弾圧を受けていましたが、題名のヒヤシンスとは、1985~87年にポーランドで秘密警察により実際に行われた「ヒヤシンス作戦」のこと。同性愛者たちの溜まり場やパーティーに手当たり次第に踏み込み、彼らを検挙して留置し、強制的に「同性愛者証明書」に署名させます。その目的が全国の同性愛者とその接触者のデータベースを作成するため……って言うんですから、恐ろしすぎる……((( ;゚Д゚)))当時1万5000人ものデータが実際に収集されたようです。

 

 〈あらすじ〉

  主人公のロベルト(トマス・ジェンテク)は秘密警察の大物を父に持つ巡査部長。親から認められたフィアンセも女性警官で、端からは恵まれた境涯に思われながら、自らを縛る様々な軛(くびき)や圧にどこか鬱々と楽しめない日々。そんなある日、男性の売春組織を経営したと言われていた男が、ゲイたちの溜まり場である公衆トイレで惨殺死体となって発見された。(ヨーロッパで公衆トイレといえば今でも…😅)警察上層部はこの事件を単なるゲイ同士の内輪もめとして早急に幕引きを図ろうとするが、ロベルトはその裏に何か大きな陰謀が蠢いているのを感じ、秘密裏に捜査を継続する…。

 

  ゲイ・コミュニティに潜入捜査をする過程でロベルトは、自分とは真逆の、何にも囚われない柔軟な自由人、大学生のアレク(フベルト・ミウコフスキ)と知り合います。彼は捜査を通じて、アレクの生き方に強烈に惹かれていきます。事件の謎解きと並行して、ロベルトの、本来の自分、そして自らのセクシュアリティに目覚めていく過程が描かれている点がもうひとつの見所になっています。

 

  北欧や東欧のサスペンスってなぜか、ヲタクみたいな中年のオバサンオジサンが主人公の場合が多くて、大方生活に疲れてるんですよね😅こんな、まるでアラン・ドロン二世みたいな若いイケメンが主人公って珍しいから、正直言ってコーフンしました(笑)彼のお相手のアレクも金髪巻き毛の美少年で……眼福です。ヲタクはどちらかといえばプラトニックなブロマンス愛好家ですが、今作の場合は、二人がひたすら美しいので許容範囲(笑)

 

  1980年代、厚い雲垂れ籠める、暗い冬のポーランドに起きた陰惨な殺人事件。弾圧を受けながらも、仲間同士身を寄せ合うように生きるマイノリティの人々。(彼らが秘密裏に催したパーティーで歌い踊るさまは、可笑しくて、どこか切なく、哀しい)……そんな中で密やかに育まれる禁断の愛。

 

  「……僕は、周囲の人々を騙して生きてきたんだ」と絶望するロベルトに、母親がかける言葉「だけど、自分自身には嘘はついていないでしょう?」が胸に染み入ります。

 

  イヤミスの範疇に入るのかもしれませんが、後味は悪くないのは、迷い悩みながらも自己確立するに至ったロベルトの、ラストの静謐な表情のせいでしょうか❓

 

  

  

 

  

 

  

 

  

アナ・デ・アルマス as マリリン・モンロー~Netflix『ブロンド』


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 ヲタク、つい最近観た映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』のアナ・デ・アルマス嬢があまりにも魅力的だったものですから、ブログの記事で思わずこう、呟きました。

今までヲタク、「ピュアな可愛さ + セクシーさ」が共存する存在は、後にも先にもマリリン・モンローただ一人、とずっと思っていたけれど、前言撤回だわ(笑)

銀幕においてマリリン・モンローの跡目を継ぐのはアナ嬢しかいない❗…って強く思ったのだけれど、『People』の記事読んでビックリ👀、彼女、実際にマリリン・モンローの伝記映画を撮影してたのね。知らなかった…。

 

  『People』誌の記事を読むと、肉体改造から様々な色調の金髪のカツラ合わせ(マリリン=ブロンドのイメージだけど、彼女の地毛は実は赤毛で、その時々によってゴールドからプラチナまでブロンドの色調が違う)から、はたまた英語のアクセントの特訓(アナはキューバ出身で、かなり強いスペイン語訛りがある)まで、準備から撮影まで過酷を極めたようです。

 

  予定では今年中に公開予定だったようですが、来年に延期されたとか。その理由がかなりヤバいらしい(あっ、このことは『People』誌には書いてありません、念のため  笑)マリリン・モンロー、銀幕ではあどけない、ピュアな笑顔を振りまいていますが、少女時代のレイプ事件をはじめとして、数限りないラブアフェア、最後は睡眠薬による自死(ケネディ大統領の愛人だった彼女、最近では、大統領との寝物語に重大な国家機密を知ってしまった為の暗殺説が囁かれていますが…)など、プライベートはスキャンダルにまみれており、言わばかつての「魔界ハリウッド」の闇を象徴するような人物なわけです。そんな彼女の私生活のエピソードを赤裸々に描いているため、R18指定でもなかなかGoサインが出なかった…とか何とか(笑)

 

  マリリン・モンローが登場する映画と言えば、ヲタク的にはすぐ『マリリン7日間の恋』(2011年)が頭に浮かぶんだけど、あれはマリリンがサー・ローレンス・オリヴィエ共演の『王子と踊り子』撮影のために英国を訪れた時の、若い助監督(エディ・レッドメイン)との淡いラブストーリーだったから、全く趣が違いますね。今回はかなーり、生々しい内容になりそうだなぁ。

 

  でもマリリン・モンローって、実人生が毀誉褒貶、いくらスキャンダラスであっても、銀幕ではひたすら美しく清純で、その瞳には哀愁の翳が宿る……そんなところにヲタクは惹かれてやまないので、アナ・デ・アルマスならそんなマリリンのアンビバレントな魅力を余すところなく表現してくれるのではないかと期待しています❗

 

  

 

  

『DUNE/デューン 砂の惑星』ティモシー・シャラメの美が砂漠に映える

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  新しくオープンした横浜の駅ビル、「JR横浜タワー」。その8~10Fを占めるシネコン、Tジョイ横浜でドルビー・アトモス(立体音響)版『DUNE/デューン 砂の惑星』観賞。  横浜界隈の映画館って、駅から離れた場所にあることが多いので、映画が見たくなる悪天候の日には多少不便😅いやーイイですよね~、駅ビルに映画館って🎵これから結構通っちゃいそう。職場からも近いし😊珍しいのは、開場までの間、時間を潰せるガラス張りのラウンジがあるところ。こんな細かい配慮も◎❗今日は駆け足でTジョイに直行直帰だったけど、各階ゆったりスペースが取られていて、ステキなお店がいっぱい♥️

 

  …というわけで、SF超大作『DUNE/デューン 砂の惑星』公開初日。主役は今をときめくプリンス・オブ・ハリウッド、ティモシー・シャラメですが、もう1つの主役は違うことなく「砂漠」❗ヲタク的には、同じく全編が砂漠の光景で彩られたデヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』以来久方ぶりに、「ただ観賞するだけの映画ではなく、体感する、その世界に没入できる映画に出逢えた❗」という、何とも言い難い快感を感じました。自分自身がこう……映画の1ピースになったかのような、不可思議な感じ。

 

アラビアのロレンス』ではアラビアの砂漠に大々的なロケを決行し、全編映し出される砂漠の光景に観客が異様な喉の渇きを覚え、休憩時間に飲みものを求めて売店に殺到した…という逸話が残っています。(いわゆるサブリミナル効果ってヤツです)あの時も「体感する映画」だって評判になりましたっけ。

 

  一方、今作のドゥニ・ヴィルヌーブ監督は、実際のレバノンでの砂漠のロケ(グリーンバックを使用したのは僅か2シーンという監督のこだわりは凄い👀)と最新技術の粋を組み合わせた「今」ならではの手法で、灼熱地獄の昼間から夜は氷の冷たさに豹変する砂漠の表情、全てを飲み込む巨大な砂嵐、ひと粒ひと粒飛び散る砂の粒子等々……をあたかも現実の出来事のように表現して見せ、私たちはシャラメと共に、圧倒的な映像美と、体に直接響くような音楽(ハンス・ジマー)が鳴り響く唯一無二の世界に飲み込まれていくのです。

 

  時は西暦10190年。人類はそれぞれあまたの惑星に移住し、大領家となって、皇帝の強大な権力の元に宇宙帝国を築いていました。(なぜかぐるっと回って徹底的な階級制度が敷かれてる…😅)皇帝の命により、長寿の香料「スパイス」が生産される砂の惑星デューンを統治することになったアトレイデス家。公爵(オスカー・アイザック)の一人息子ポール(ティモシー・シャラメ)は、巫女である母ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)から密かに超能力の特訓を受け、強大な何かに「覚醒」し始めていました。しかしある日、香料の採掘権を持つハルコンネン家が皇帝と謀り、アトレイデス公爵は暗殺されてしまいます。母と共に追われる身となったポールは、広大な砂漠に身を投じますが、果たして彼は一体何者なのか❓そして、彼に与えられた宿命とは…❗❓

 

  トマス・エドワード・ロレンス(アラビアのロレンス)は「砂漠のどこに牽かれるのか」と問われて「清潔だから」と答えたそうですが、その清潔な魅力を湛えた砂漠に佇むティモシー・シャラメの、神秘的で高貴な、唯一無二の美しさよ😍ハル王子(ヘンリー六世の青年時代)に扮した『キング』(Netflix)でも然りでしたが、泥の中に突き落とされても、砂嵐にまみれても、微塵も損なわれることのない圧倒的な美しさ❗

 

  ヲタクごひいき、肉体派俳優ジェイソン・モモア(『アクアマン』『ゲーム・オブ・スローンズ)が、命を賭けてポールを守る側近の役でご登場❗彼が久方ぶりに会ったポールを軽々と抱き上げる場面なんざ、ブロマンス愛好家はヤられますわ~~。モモアの、(シャラメに向かって)「…大きくなったな」とか低い声で呟く時の萌え感ときたら(笑)一方、シャラメくんもただ守られているだけぢゃござんせん、特訓に特訓を重ねたという華麗なナイフアクションを披露してくれます。

 

  帝国軍に命を狙われるポールと母のジェシカが砂漠の民フレメンの集落に逃げ込み、予知能力のあるポールが、これまで繰り返し夢に見ていた運命の女性チャニ(ゼンデイヤ)とついに巡り合うラスト。

 

ドゥニ監督、近々続編作ってくれるのよね❗❓

スターウォーズ』で、ハン・ソロが冷凍にされちゃった時くらい続きが気になるんですけど😅

 

  共演者もこれでもか❗っていうくらい超豪華。ジェシカの超能力の師匠にシャーロット・ランプリング(最初から最後まで厚いベールで顔覆ってるのに登場したとたんに一発でわかるって、さすがのオーラです 笑)、公爵の腹心の部下にジョシュ・ブローリン(ハイ、ご存じ指ぱっちんのサノスさん)、砂漠の民フレメンの長にハヴィエル・バルデム

 

  あらゆる意味で、「今年、映画館で見るべき1本」であることに、間違いはありません😊

 

  

 

  

 

  

 

  

ジャック・ロウデンNEWS📰~弟カルムくんとBAFTAスコットランド


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「ジャクロくん、BAFTAスコットランドノミネート❗」

 英国アカデミー賞スコットランド候補には常連のジャック。今年は、あのスティーブ・マックイーン監督(映画『それでも夜は明ける』)のTVミニシリーズ『Small axe(小さな斧)』の演技により、ジェームズ・マカヴォイやピーター・ミュランなど、そうそうたるメンバーと共にノミネート❗

 

ジャクロくんが出演したのは『Small axe』のうちの1作『Mangrove』。1970年を舞台に、反人種差別を掲げる黒人運動家団体「マングローブ9」、そして同じく運動家であるフランク・クリッチロウの姿を描く実話です。主演は『ブラックパンサー』(2018)のレティーシャ・ライト。ジャクロくんの役柄は不明ですが、白人だからきっとヒール役かな(笑)

 

ジャクロくんが友人と立ち上げた映画製作会社による初めての作品『Kindred』の主演女優タマラ・ローレンスもノミネートされてますね❗プロデューサーであるジャクロくんとしては、自分が俳優としてノミネートされる以上に嬉しいんじゃないでしょうか😊

https://twitter.com/JALowden/status/1448225349335195654

 

「弟カルムくん、スウェーデン王立バレエ団のプリンシパルに❗」

 めちゃくちゃ弟思いのお兄ちゃんジャクロくん。弟のカルムくんはスコットランドから遠く離れたスウェーデンで、王立バレエ団のファーストソリストとして修行に励んでいたわけですが、このたび最高位のプリンシパルに就任とのニュースが❗

 

  ジャック&カルム、まるで双子のように仲の良い兄弟。幼少期にはジャクロくんもバレリーノを目指したものの早々に自らの才能に見切りをつけ、俳優業に転身しました。その後も変わらず弟くんを全身全霊で応援し続けるジャクロくんの姿にはいつも、胸打たれるものがあります。

 

  スウェーデン王立バレエ団といえば、我が日本の誇るプリマ、佐々晴香さんが数年前にプリンシパルに就任したことで話題になった、ヨーロッパでも5本の指に入る由緒あるバレエ団。折しもこれからバレエ界はクリスマス時期、「くるみ割り人形」の季節到来❗きっと、カルムくんと佐々さんのペアが見れることでしょう🎵

 

ジャクロくんはストックホルムに公演を観に行くのかな❓きっとシアーシャといっしょね、フフ♥️

 

https://twitter.com/JALowden/status/1447815125046644737

(BBCのニュースでも取り上げられたみたいですね。ジャクロくんが住んでいるのは、スコットランドのボーダーズ地方。なので、「ボーダーズ村からスウェーデンへ」という見出しになってます😅)

 

 

 

長谷川博己 in ドラマ『獄門島』~スタイリッシュな狂気

 

原作も読んで、ドラマでも映画でも何度も見て、ストーリーは既にアタマに叩きこまれている横溝正史の『獄門島』。

 

  そんな『獄門島』映像化作品の中でも、スタイリッシュで画面が美しくて、虚無と狂気を孕んだ斬新な金田一耕助像が見事に造型されたヲタクいち押しと言えばこれ❗2016年に放送されたNHKのドラマ『獄門島』が、本日再放送されました。

 

  太平洋戦争を生き延び、過酷な戦場体験によって生きる目的を失い、虚無感に苛まれながらも、「新しい生を生き抜くために」凄惨な事件の謎解きにのめり込んでいく新たな金田一耕助像を見事に作り上げたのが、長谷川博己

 

  ラスト、犯人と対峙するハセヒロの、謎解きへの狂気めいた激情から、「生きることの哀しみ」へと転化し、一筋の涙が頬を伝う演技は見ものですぞ、各々がた😊

(犯人役の役者さんの演技も素晴らしいので、圧倒的な演技合戦の様相を呈しておりまする)

 

  横溝正史江戸川乱歩と言えば、古い因習の中に潜むおどろおどろしさや、恐怖と耽美の融合とも言える描写が特徴とされていますが、その根底には、戦争の残酷さに対するプロテストが流れているような気がしてなりません。

(戦争で四肢を失った男の悲劇『芋虫』(江戸川乱歩)や、重要なモチーフとして復員兵が登場する『獄門島』『犬神家の一族』(横溝正史)など、戦争の傷痕が題材になっている作品は多い)

そんな底流のテーマを、鮮やかに演出してみせたのはまさにお見事❗

 

  そして、敗戦直後の昭和レトロな衣装や美術を忠実に再現していながら、テーマ曲にマリリン・マンソンの『Killing Strangers』(ベトナム戦争をテーマにした曲)を持ってくるあたり、ニクイよね、センスいいよね😉NHKのドラマって、なにげに斬新🎵ヲタク的には、映画『帝一の國』(旧制高校を思わせるような、やはり昭和レトロな世界が舞台でした)のオープニングで、ヘヴィメタが大音量で流れ出した時と同じような衝撃でした。なんかこう…背中のザワザワが止まらない…みたいな。

 

これ、NHKオンデマンドで見れるんでしょうか❓見れるようでしたら、皆さんぜひ❗

(ツイッターで、来週までNHKプラスで見ることができると教えて頂きました😊)

 

 

『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』~ごひいきQ(ベン・ウィショー)大活躍の巻


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  遅いぜ~~、ジェームズ・ボンド❗いつまで待たせんだよ(笑)……というわけで、ほぼ1年遅れで公開の007。

 

  ダニエル・クレイグがボンドを演じるのもこれが最後、というのは公開前から周知の事実だったから、映画もこういうラストになるだろうな…とは想像してたけど、やっぱり……いざとなると凄く淋しい。見終わった後で、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』という題名があらためて胸に突き刺さります😢

 

  ダニエル登場前の007といえば、反骨精神に溢れた、時折毒のあるユーモアを吐くスタイリッシュなイケメンスパイのイメージでした。ヲタク的には、以前のジェームズ・ボンドって、ちょっとシャーロック・ホームズにカブる感じかな。超然としていて、常人とは違う……みたいな。しかし、ダニエル・クレイグ版007は、そんなイメージを見事に覆してくれました。人間離れしたヒーローではなく、心が傷つけばカッとしてとんでもない行動に走ったり、時には昔のトラウマがフラッシュバックして、かまってちゃんになっちゃうさびしんぼう…しごく人間くさく熱いボンド像を作り上げたのです。最初はその変貌ぶりに少々戸惑ったヲタクでしたが、『カジノ・ロワイヤル』、『慰めの報酬』と見続けるうちに、すっかり新たなボンドのトリコに(笑)

 

  考えてみればダニエル・クレイグもおん年なんと53才❗15年もの長きに渡ってボンド役を務めたんですよね。初登場の時とちっとも変わらない鍛えぬいたカラダと超絶アクションを今作品でも惜しげなく披露していますが、その状態を保つための凄絶な努力とストイシズムを考えると、言葉もありません😢本当に今までありがとう、お疲れさまでしたと言いたい。

 

  ダニエル・クレイグの最後の花道を飾る本作、共演陣も物凄くゴージャス🎵長年のボンドの宿敵であったスペクターは、本作においてついに終焉を迎えますが、それに代わって世界の覇者になろうと暗躍するサフィン役にラミ・マレック。素顔はユーモア溢れる好青年、エディ・レッドメインとの対談なんて見るとかわゆさ大爆発💣⚡なんですが、そこはそれ、あのフレディ・マーキュリーをパーフェクトに演じきった憑依型俳優ラミちゃんのこと、冷酷さの中に得体の知れない不気味さを漂わせて、秀逸。前作に引き続き、ボンドの人生に至上の喜びをもたらす最愛の女性マドレーヌ・スワンに、フランスの演技派女優レア・セドゥ。キューバで開催されるスペクターのパーティに潜入して、ボンドと共闘するCIAエージェントのパロマ役にアナ・デ・アルマス。

もうね、このアナ嬢がもう最高❗

今までヲタク、「ピュアな可愛さ + セクシーさ」が共存する存在は、後にも先にもマリリン・モンローただ一人、とずっと思っていたけれど、前言撤回だわ(笑)あどけない顔してマティーニをイッキ飲み(すごい酒豪)、ブラックドレスの裾翻して敵を回し蹴り、二丁拳銃で悪人どもをメッタ切り😅もー、その破壊力ハンパないのよ。アナ・デ・アルマスとダニエル・クレイグは以前、映画『ナイヴズアウト』で純朴な看護師(お化粧っ気もなくて、本作とはまるで別人)とおマヌケ探偵の役で共演しています。見比べてみると面白いかも😉

 

  そしてそして、ヲタクご贔屓のQことベン・ウィショーくん♥️(どーせ、いつもみたいにトータル出演時間10分くらいのチョイ役でしょー)なんてタカをくくっていたけど、なんのなんの。今回、敵との闘いが最新の技術を駆使した頭脳戦になるわけですが、そこで力を発揮するのが天才科学者のQ❗いやー、もう、サプライズプレゼントを貰ったきぶん。おまけにボンドとマネペニーがQのおうちに突撃訪問するシーンもあって、ウハウハでございます(笑)おしなべてシリアスなシーンが多い本作で、ベン・ウィショーくんとアナ・デ・アルマス嬢が笑いと癒しをくれました😍

 

  胸に痛いラストシーンにしゅーんとしていたけれど、最後「James Bond will return」の一言でキモチを奮い立たせたヲタク。

 

  歴代の魅力的な俳優たちに引き継がれてきた永遠のヒーロー、007。

  あのお馴染みのテーマ曲を聞くだけでワクワクが止まらない007。

 

  あなたの帰りを待ってる、いつまでも❗

 

  

 

  

 

  

 

 

Netflix『チェスナットマン』~北欧ミステリーの醍醐味


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『The Killing/キリング』、『ザ・ブリッジ』に引き続き、北欧ミステリードラマの骨太な名作が誕生しました❗いやー、スリリングで面白かった❗謎解きもガッツリ王道で、納得のいく結末だし😊

(見終わってすぐブログを書いているので、やや興奮ぎみです、念のため  笑)

  調べてみたら、あの北欧ミステリードラマの名作『The Killing/キリング』のオリジナル脚本を手がけたセーアン・スヴァイストロプのデビュー小説だとか。それじゃあ、面白くないわきゃないね(笑)

 

「あらすじ」

  デンマークコペンハーゲン郊外の森で、若い母親の、手首のない惨殺死体が発見された。それは世間を震撼させる連続殺人事件に発展していき、殺人現場には必ず栗で作った人形(チェスナットマン)が残されていた。そして驚くべきことに、その栗人形には、1年前に誘拐され、第一容疑者の自白により遺体未発見のまま殺害されたとして捜査が打ち切られていた社会福祉大臣のローザ・ハルトゥンクの娘の指紋が検出され、警察内部は未曾有の大混乱に……❗

 

  腕利きの優秀な刑事トゥーリン(ダニカ・クルチッチ)は、思春期を迎えつつある娘との関係に悩むシングルマザー。娘と過ごす時間を増やすためにサイバー課に移転願いを出している彼女が、殺人課最後の事件として担当したのは、稀に見る難事件でした。彼女は、ユーロポールから左遷❓されてきた優秀だが変人のマーク・ヘス(ミケル・ボー・フォルスゴー)と共に自身最後の殺人事件に挑むのですが……❗❓ このヘス役の俳優さん、ヲタクお初ですが、あの「北欧の至宝」マッツ・ミケルセンに似てますねぇ~🎵どっちが高身長❓どっちが鼻高い❓…っていうくらいの典型的な北欧系イケメンです♥️北欧ミステリードラマに登場する男性は、大体お腹の出た中年のオジサンが多いんですが(暴言、お許し下さい 笑)今作品ではヒロインの相棒が若いイケメンなんで、そっちもお楽しみに(笑)

 

  また、北欧でミステリーと言えば、謎解きの面白さやスリリングな展開を楽しむほかに、社会に潜む様々な問題を提起する役割があるんですよね。日本で言えば松本清張といったところでしょうか❓北欧ミステリードラマを見ていつも感じることは、テーマとなる犯罪のルーツが過去の幼少期にある場合が多いこと。毒親からの虐待やニグレクトにより受けた幼少期のトラウマが、犯罪動機になるケースですね。ですから犯人像も生まれながらの猟奇的なサイコパス…といったものはあまり見られない。真の意味で犯罪を無くすためには、家族の絆の大切さや少年期の教育が大事なのだ…といった不変的なテーマが存在している気がします。

 

北欧…というと、私たち日本人から見ると、手厚い福祉制度、目に沁みるような美しい自然、カラフルで綺麗なおうち、国民の幸福度が高い…と、ザッツ・パラダイス🎵的なイメージが先行しちゃうけど、こういうドラマを見ると、そんなパラダイスに潜む闇…少年犯罪や幼児虐待、アルコールや薬物依存等の問題を、北欧諸国は抱えていることがわかります。日本は様々な面で欧米の10年後を追っかけてる……と以前から言われていますから、他人事ではないですね。まっでも、ドラマの中で、トゥーリンは警察内部で性差なんて意識せずのびのびと仕事してるし、ドラマの中で第2のヒロインとも言える社会福祉大臣のローザも、総理大臣も女性。これは実際の北欧での女性の社会進出の凄さが垣間見れて……正直言って羨ましい😅

 

  また、北欧ミステリーというと後味があまりよくない結末で、イヤミス的な要素が多いんですが、今作品、ラストはほのぼの、親子の情愛が強調されているし、スリリングなアクションシーンとも相まって、良い意味でハリウッド映画的な要素が加味されているような感じがしました😊

 

  ひと昔前までは、海外の映画やドラマと言えばご存じの通りアメリカやイギリス、フランスが主流でした。北欧や東欧、アジアのミステリーと言えば映画なら単館上映、ドラマだとAXNミステリーチャンネルが細々と放送しているくらい。ところがNetflixが私たちマイナー志向のヲタクたちに救いの手を差しのべてくれた(笑)

 

これからもどんどん「隠れた名作」を放送していってほしいものです😊

Netflix『マーダーミステリー』~アジアンクイーン・忽那汐里

 
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2019年に配信開始された時点で、Netflix史上最高の週末成績を達成したというミステリーコメディ『マーダーミステリー』を観賞。ロッテントマト等では必ずしも評価が高くはなかったようですが…。

 

確実に面白いです❗

 

和洋問わず、コメディって、「重厚な大作」「エッジーで難解なアート作品」に比べると必ずしも正当な評価を与えられていない気がするのはヲタクだけ❓

 

…まっ、小難しい批評は評論家さんたちにお任せするとして(笑)

 

 

美容師として働くオードリー(ジェニファー・アニストン)と警察官のニック(アダム・サンドラー)、倦怠期の中年夫婦が、15年目のハネムーンで訪れたヨーロッパでひょんなことから英国貴族チャールズ・キャベンディッシュ(名前からして胡散臭いな😅…ちょっと怪しいイケメンを演じたら右に出る者はいないルーク・エヴァンス)と知り合い、地中海の豪華ヨットクルーズに誘われるところから物語は始まります。 豪華ヨットの中では(勿論乗客は超一流のセレブばかり)、折しもゴージャスなパーティーの真っ最中。タキシードや豪奢なドレスに囲まれてもお得意のウィットとユーモアを武器にセレブと丁々発止の二人。そんな時、ヨットのオーナーである億万長者のマルコム・クインス(なんとテレンス・スタンプ❗)が、オリエンタル美女スージー(忽那汐里)を伴って登場。巨額の遺産を若い妻のスージーに全額譲ると発表、その場に居合わせた人々が驚く中、突然電気が消え、再び明るくなった時には、マルコムが血だらけになって床に倒れていました。そして、彼の胸には装飾品として飾られていた宝剣が…❗

 

  セレブにまつわる愛憎、巨万の遺産争い。結果起きる殺人事件。ゴージャスなヨットが舞台のクローズドサークルミステリー。ラストで明らかになりますが、これはアガサ・クリスティのコメディ版です。往年の名優テレンス・スタンプルーク・エヴァンスをはじめ、オラフル・ダッリ・オラフソン(Netflix『トラップ』映画『LIFE❗』)、デヴィッド・ウォリアムズ(英国では超人気だったコメディ番組『リトル・ブリテン』を制作主演した才人)、ジョン・カニ(マーベル『ブラックパンサー』の暗殺されちゃったパパ)など、出演者が超豪華なのも要注目😊テレンス・スタンプやデヴィッド・ウォリアムズのような大物があっという間にいなくなっちゃって、こんな贅沢な使い方していいの?って感じ😅

 

過去にも共演経験があり、息もぴったりのジェニファー・アニストンアダム・サンドラー宮川大助・花子顔負けのアメリカン夫婦漫才で大いに笑わせてくれます。サンドラーの出演作だけあって、下ネタも満載ですが(笑)

 

  そして、ヲタク的に一番のツボは何と言っても、億万長者マルコムの若く美しい妻スージーを演じている忽那汐里ルーク・エヴァンスをフッてテレンス・スタンプと結婚したファムファタールの役で、ミステリアスな魅力を振りまいています。彼女くらい語学力があると、純粋な日本人の役だけでなく、今回のように日系アメリカ人やチャイニーズも演じることができるから、ずいぶん役柄が広がるんじゃないのかなぁ。『デッドプール2』で証明したようにアクションも上手だし😊工藤夕貴菊地凛子に続いて、そのオリエンタルな魅力で、海の向こうの男たちをノックアウトしてちょーだい❗(笑)

 

  今日は台風の影響でなかなか外にも出づらいので、こんな軽~いコメディタッチのミステリーでもいかがでしょうか❓

 

 

 

『クーリエ : 最高機密の運び屋』~ベネディクト・カンバーバッチの役者根性を見よ!

 

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 時は1960年代前半。旧ソ連フルシチョフ第一書記は、米国の喉元とも言えるキューバに秘密の核ミサイル基地建設に着手、核兵器による第三次世界大戦の危機が一気に高まりました。それを阻止するため、ソ連の核ミサイルの機密情報を米国側に流すという前代未聞のスパイ行為を開始した、旧ソ連軍の英雄オレグ・ペコンフスキー大佐(ジョージア(グルジア)の俳優メラーブ・ニニッゼ…静かな中に鉄の意志を秘めた演技が素晴らしい❗)。彼が政府の中枢から盗んだ機密情報を西側に持ち帰る「クーリエ(運び屋)」として、MI6が白羽の矢を立てたのは、一介の平凡なセールスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)でした。

 

  命を賭けたスパイ行為を共に協力して行ううちに、ウィンとペコンフスキーの間には、国籍も人種も思想も越えた熱い友情が芽生えていきます。CIAとMI6から、ソ連本国でペコンフスキーがKGBから監視対象になったことを知ったウィンは、危険を承知で再びソ連に戻っていきます。しかし、そこで彼を待ち受けていたものは……❗❓

 

  この作品の素晴らしいところは、第三次大戦の脅威から世界を救った名も無き英雄のストーリーをヒロイックに描くよりもむしろ、敵対する2つの国に生まれた二人の友情物語として描いている点でしょう。友情…というより、ブロマンスっぽい匂いまでする  笑。自らの命や地位や社会的名声をもなげうって核戦争を阻止しようとするペコンフスキーに、ウィンが次第に強烈に曳かれていくのと比例して、どんどん危険なワナに巻き込まれていく経緯がスリリング極まりない。

 

  そして、当初は自分のビジネスと家族との平和な生活だけを望む(フツーそうだよね 笑)平凡な一市民だったウィンが、重大な任務を負って次第に変貌を遂げていくさまに戸惑い、不安に駆られる妻に、前回の当ブログ記事でも取り上げたジェシー・バックリー❗彼女、ヲタクの中では今大注目の女優さんです。やさぐれたシングルマザー(『ワイルドローズ』)からシュールな不思議ちゃん(『もう終わりにしよう』)、冷静なキャリアウーマン(『ジュディ~虹の彼方に』)など何でもござれの演技派で、今秋にはあのエディ・レッドメインとウェストエンドでミュージカルの主役を張るそう(『キャバレー』)。本作品でも、ベネさま相手に、一歩もひかぬ堂々たる演技。ウィンがソ連の収容所に収監され、鉄格子越しに夫婦が再会する場面は、二人の名演技も相まって、涙、涙…😭

 

  

 

 そしてそして、何と言ってもベネさまですよ❗ 英国で名だたる名家に生まれ、溢れるほどの名声と富と、美しく知性的な奥さまに子宝にも恵まれ、人生の幸福を世界中の誰よりも享受しているかのように見える彼。今回のような作品を見る度に、そんな彼が、なぜ命を削るような演技をし続けるのだろうか…と思います。まるで「役者の業(ごう)」とでも言いたいくらいの捨て身の演技なんですもん。

 

  初登場のシーン、「(接待の)お酒と美食ですっかり太ってしまった中年男」から、ソ連の収容所に拘束されて2年弱、冗談じゃなく、体が半分の極細になってる…😭「コロナ禍において、人は誰でも困難を乗り越えることができるというメッセージを送りたかった」と語るベネさま。彼の、求道的とも言える役者人生には、そんな熱いヒューマニズムが流れているんですね。

 

  時に辛すぎて目を背けたくなるような場面もありますが、ラストに、収容所から解放されて英国に帰還した時の実際のウィン氏のインタビューが流れ、あれほど悲惨な体験をしながらなお、淡々とユーモアを滲ませた英国紳士ぶりに救われるような思いがしました😊

 

  私たちが学びたいことはみな、歴史が教えてくれる。事実は小説より奇なり。ベネさまの言うとおり、困難を乗り越える勇気をくれる作品です❗

ロンドン秋の舞台はゴージャス❗~『マクベス』(シアーシャ・ローナン)『キャバレー』(エディ・レッドメイン)


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(From Pixabay)

シアーシャ・ローナンマクベス夫人

  ジャクロくんのツイッターに、ちょっと刺激的な1枚の写真。このたびジャクロくんのGFシアーシャ・ローナンが、10月からあのマクベス夫人をロンドンのアルメイダ劇場で演じるということで(なんと彼女、ロンドンの舞台に立つのは初めてらしい。ビックリ👀❗)プロモーション用の写真なんだと思うんですが、マクベス役のジェームズ・マッカードルが背後から彼女を抱き締めています。しかも二人は衣服をつけているようには見えません😅いや~、二人のド迫力にたじろぎます(笑)シアーシャちゃん、スッピンだしね。

 

  通常の感覚だと、彼女がこんな写真を撮ること自体心穏やかではいられないと思うんですが…。ジャクロくんの場合、シアーシャのことは、一人の女性としてばかりでなく、一人の優れた女優として心からリスペクトしている様子がひしひしと伝わってきます😊このカップル、いつもヲタクが心から応援したい❗と思うのは、二人が英国演劇界振興のため、あらゆる努力を惜しまず、お互いに切磋琢磨しているところ。そういう「同志感」がうかがえるところがすごく素敵♥️

 

  マクベス役のジェームズ・マッカードルは、共にスコットランド演劇界を牽引する、ジャクロくんとは盟友の間柄。『ふたりの女王~メアリーとエリザベス』でシアーシャはスコットランドのメアリー女王を、ジャクロくんはメアリーの最初の夫であるダーンリー卿(トンでもないクズ男の役でしたよね😅)を、マッカードルさんはメアリー女王の義兄マリ伯を演じました。ジャクロくんは当時のインタビューの中で、二人の演技についてこう語っています。

 

「この作品の中で、最もエキサイティングなラブストーリーは、メアリー女王(シアーシャ・ローナン)とマリ伯(ジェームズ・マッカードル)の関係だったと思うんだよね」

ヲタクから見ると、あの二人の関係をラブストーリーと捉えるジャクロくんのユニークな感性のほうがエキサイティングだよ~😍

 

  確かに、二人の演技と関係性はあの映画に厚みを加えていました。特にマリ伯の、スコットランド王位を奪った憎い対象であり、同時に愛しい妹でもあるメアリーに対する、愛憎絡み合う複雑な感情。結果的にマリ伯は反対勢力と結託してメアリーを裏切り、しかもメアリーの一人息子(のちのジェームズ1世)を人質にしてスコットランド王位に返り咲こうとします。あの時のマッカードルさんの演技は圧巻でしたねぇ…。

 

今回の『マクベス』は、夫人に同等の比重が置かれたフェミニズムバージョンとのことです😊

 

エディ・レッドメインの『キャバレー』

 続いて11月には、エディ・レッドメインがプレイハウスの『キャバレー』でウェストエンドに復帰するというビッグニュースが❗エディはもはや超ビッグネームだし(『レ・ミゼラブル』での歌声ステキすぎた…😍)、『キャバレー』も有名すぎる作品ですが、今回ヲタクが取り上げてみたいのは、サリー・ボウルズ役のジェシー・バックリー❗

 

  ヲタクは、映画『ワイルドローズ』で、シングルマザーのカントリー歌手を演じた彼女の、もう圧倒的な歌声に打ちのめされるような衝撃を受けたので、今回のサリー役は、「来るべきものが来た❗」ってカンジですね。ジェシー・バックリー、シアーシャと同じアイルランド出身。英国ではすでにトップ女優ですが(BBC戦争と平和』ジャクロくん演じるニコライの妻役、Netflix『もう終わりにしよう』)、レニー・ゼルヴィガーがジュディ・ガーランドを演じてアカデミー主演女優賞を受賞した『虹の彼方に』で、ハリウッドにも進出しました。(ジュディがロンドンに滞在した時の秘書の役でしたね😊)『キャバレー』のサリーといえば、ヲタク的には映画のライザ・ミネリの印象が強烈ですが、ライザ・ミネリジュディ・ガーランドの娘。…なんだかちょっと、不思議な縁、みたいなものを感じてしまうヲタクです😊

 

  見たいなぁ、この2つの舞台。コロナ禍じゃなければ、ロンドンに飛んでいくのに✈️

Netflix等、いくら動画配信技術が進んでも、こればっかりは…ね(笑)