オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

オタクのNumber_i論[14]〜 『With Music』(2024.3.30)

 
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 Number_ iの記念すべき民放初出演となった『With Music』。制作側が、Number_i という稀有なユニットがいかに誕生したのか丁寧にトレースした上で、彼らの「今」、彼らが打ち出したいコンセプトをしっかり取材してくれてた。日テレさんに改めて感謝、感謝。

 

 MCの有働由美子さんと松下洸平さんが的確に引き出して下さったように、切っても切れない「熱い絆」があり、互いに深い尊敬の念を持っていて、コンサートの後でも反省会が必要ないくらいの関係性である彼ら。一方で、インタビューを受ける時はそれぞれ役割分担が阿吽の呼吸で決まっている感じなのも見ていて楽しい♬ユニットのスポークスマンであり、切り込み隊長の平野くん、それにボケをかます超天然岸くん、2人の発言を上手く拾って回収する神宮寺くん……というふうに。


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※Xでどなたかがおっしゃっていたけど、今年の流行語大賞は「GOAT筋」で決まり!(笑)

 

『GOAT』の……

タクシー乗るにも一苦労なArtist

で、普段ホワホワ天然な岸くんが突如として異次元に行っちゃったみたいにぶっちぎるくだり、後ろで平野くんと神宮寺くんが目を丸くしていますが、あれは演出なんかじゃない、本当に心から驚いてるんだ……っていうのがね、胸アツだったよね。んで、あれだけの驚異的パフォーマンスを見せておきながら、お兄ちゃんに対する弟2人の尊敬の眼差しを「え?全然わかんない」岸くんも、らしくていい(笑)

 

そしてそして……

 彼らを語る時に「グローバル」「世界を目指す」って言葉が度々使われるけど、今回3人の発言を聞くと、3人のマインドは既にグローバル化していることがよくわかる。


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『GOAT』、あなたたちも確実に「製作側」に居たのね!


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 誰に強制されたのでもない、自らの意志で、クリエイティブに携わっていける環境にしたのね!「した」のね!(⇐しつこい^^;)……だから当然、「いつだって楽しい」。MVの撮影が延々と長期に渡っても辛くなんてない。コンサートの前だって全然緊張しない。不安もない。よしんば世の趨勢に逆らって批判されたところで、それがどうした?自分自身で選んだ道だから。他の誰かが作り上げた虚構の世界で生きているわけじゃないから。自分たちで作り上げた世界観には絶対に自信があるから。

 

 Artistという言葉が日本語の芸術家と同義語だとしたら(芸術家は意識の中では、お金を稼ぐことは二の次で、いかに自分の作品で人々や社会に影響を及ぼせるかを考える傾向にある)、これからもNumber_ iの御三方には、堂々とArtistの王道を突き進んで行って欲しいものです。

 

★おまけ

『With Music』で、『GOAT』ダンスのコレオ、あえて揃えていない…と言われてましたが、一人でも欠けたら成り立たない三位一体感を醸し出しつつ、その一方でそれぞれの個性も名前の通り唯一無二で、際立っているのがNumber_iの魅力でしょうか?『GOAT』とはまたがらっと趣きの違うミディアムナンバー『Blow Your Cover』がシングル・カットされるとの発表がありましたが、この曲、ヲタクの中では主人公は神宮寺くんなんだよねぇ。ラジオで計らずもご本人が口にしたという「エロ切ない」。神宮寺くんはまんまそれだわ……(うっとり)。平野くんは帝王感溢れる『FUJI』のイメージ。ギリシャ彫刻みたいな綺麗なお顔立ちなのに、内面は漢気に溢れていて、それでいて硬質な少年っぽさも感じさせる。『GOAT』ではもう、岸くんの存在感が圧倒的すぎて……。スティーブ・ロジャースがはじめてキャプテン・アメリカに変身した時の衝撃を思い出した。

 

……って、脳内妄想が止まらなくなってきたので、このへんでやめときます(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オタクのNumber_i論[13]〜平野紫耀 in YSL Beauty公式動画


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 イブ・サンローランのアジア・アンバサダーとして、「YSL LOVESHINE リップスティック」の誕生イベント(2024年3月25日、パリ)に参加した平野紫耀くん。YSL Beauty公式Instagramがアンバサダーたちが共演する動画を公開したというので、早速見に行ってみたら……。

 

あまりの凄すぎるメンツにヲタク、のけぞりました。

 

 K-POPのファンやヨーロッパの音楽好きの方々はまた感じるところが別なんだろうけど、じぶんは映画オタクなので、ツボにはまった点を語りますね。デュア・リパとのツーショにも大コーフンだったけど、な、なんと今回の動画では、

 

アデル・エグザルホプロス、ミレナ・スミットと共演してるじゃないですか!

……いやマジで震えたよ。


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★アデル・エグザルホプロス(フランス)


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 出逢った瞬間、青い髪の画家エマ(レア・セドゥ…右)と激しい恋に落ちる高校生、アデル(アデル・エグザルホプロス…左)を描いた『アデル、ブルーは熱い色』(2014…フランス)。同年のカンヌ国際映画祭の話題を席巻、監督賞だけでなく、主演のレア・セドゥとアデル・エグザルホプロスにも特別にパルムドールが贈られるという異例の事態に。映画史に残るアノシーン、衝撃が強すぎて映画館の座席から立ち上がれなかった人も多かったはず。カンヌ国際映画祭撮影時アデルはわずか18才、今回のYSLの動画では、27才になった彼女が成熟した女性の魅力を振りまいていますが、平野くんと同い年……って知って2度ビックリ(^_^;)


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※YSLアンバサダーとしてのアデル・エグザルホプロス。10代から20代に至る女性の変化って……凄い。

 

★ミレナ・スミット(スペイン)

 同じ日に出産した2人のシングルマザーの過酷な人生を描いた『パラレル・マザーズ』(2021年…ペドロ・アルモドバル監督)。監督のミューズでもあるペネロペ・クルスがその鬼気迫る演技で、第78回ベネチア国際映画祭でボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞しましたが、もう一人の母親役を演じたのがミレナ・スミット。あのペネロペとがっつり組んで、引けを取らない熱演だったとヲタクは思います。


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★『パラレル・マザーズ』のミレナ・スミット(右)。ナイーブな役柄に寄せたビジュを作り込んでいた彼女でしたが、YSLアンバサダーの彼女はこの通り、時代の最先端を行くモードな美女に。↓


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 ……してみると、この動画を撮るにも、入念なメークを施した世界中の美女を向こうに回し、内面から滲み出るナチュラルな美とオーラでパリを席巻した平野紫耀くんは、改めて凄い人なんだと認識した次第であります。

 

 

 


平野紫耀がパリのイヴ・サンローランイベントに参加!NewJeansダニエルら世界的スターと出演のキュートな動画が公開 – THE FIRST TIMES

ゼンデイヤ✕マイク・ファイスト✕ジョシュ・オコナー〜『チャレンジャーズ』プレスツァー開始!


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 待ちに待った『チャレンジャーズ』(ルカ・グァダニーノ監督)がいよいよ公開!今回のオーストラリアを皮切りにプレスツァーが始まりました!スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』のリフを見た瞬間、「マイク・ファイスト沼」に真っ逆さまに落ちたヲタク、どんなにこの日を待っていたことか。自身のブログを紐解いてみれば、「マイクがルカ・グァダニーノ監督の新作に出演決定〜〜!」って狂喜乱舞してたのがちょうど2年前ですねぇ……(遠い眼)。その後はしばらくチラホラこの作品に関する記事は出てたけど、それもやがては立ち消え……。その間マイクはインディーズ映画に出演したみたいだけど日本には入って来ず(ToT)、ブロードウェイで舞台『ブロークバック・マウンテン』の主演を張ったけど当然ヲタクは観に行けず、昨年のヴェネツィア国際映画祭でプレミア公開されるって情報が出回ったけどなぜかそれも中止……。長かったわ…ホントに長かったわ…。


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LOEWEと協賛してるのかな?3人とも衣装はLOEWEみたい。ジョシュ・オコナーはアンバサダーらしいけど…。LOEWEのサイトになぜかマイクの写真を1枚発見したけど、アンバサダー就任のニュースは無いから…。あれは一体何だったのかしら(謎)

 

 さて、どなたかゼンデイヤのファンの方が「Golden Trio」って呼んでたけど、まさに、まさに!……でも3人が3人とも圧倒的オーラを放つセレブリティだっていうのに、ワチャワチャ冗談言い合っててハイスクールの仲良しグループみたい(笑)そこがまたギャップ萌え٩(♡ε♡ )۶

 

 そんな「仲良し3人組」、オーストラリアの朝の番組「7:30」に揃って登場、インタビュアーの女性に「この番組のインタビューで、3人一緒にお相手するのは初めての経験だわ」って言われてました(笑)

 

 『チャレンジャーズ』は、怪我でテニス・チャンピオンの夢を断たれたタシ・ダンカン(ゼンデイヤ)が、試合に出ると負けのテニス選手の夫(マイク・ファイスト)を何とかチャンピオンに押し上げようと奮闘しますが、なんとその対戦相手が自分の元カレ(ジョシュ・オコナー)で……というロマコメらしい。でも、早々に+18認定されてるし、オフィシャル・トレイラーでもベッドの上で3人で3№£&¢#◑℃……な場面があったりして、今からドキドキ。インタビュアーも「かなり際どいシーンがあるようですが?」と水を向けていましたが、ジョシュ・オコナーが「テニスの話だからね。愛憎劇もセックスの火花も全てテニスコートにあるんだよ」って上手く逃げられてましたね(笑)


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 撮影に際し、テニスのハードトレーニングは6週間にも及んだそう。3人一緒にトレーニングして、1日の終わりには必ずミーティング…って毎日を6週間続けたら、そりゃ仲良しにもなるわな(笑)。フェミニストなマイクは「ゼンデイヤは素晴らしかったよ。テニス選手に転身してもいいんじゃないかな」って話してたけど、すかさずゼンデイヤとジョシュに「そんなことないでしょ!マイクには到底敵わない、彼は特別」って切り返されてた。うん、ヲタクもそう思う。彼の役への入り込み方、そのストイックさ、ハンパじゃない。「ウエスト・サイド・ストーリー」の時も、1950年当時ニューヨークの不良少年になりきるため、どんどん体重落としていって、ついにはスピルバーグ監督に「それ以上やったら死んじゃう。止めてくれ」って言われたくらいだもん。団結を高めるため、ジェッツのメンバーとも合宿して、そこから撮影所に通ってたくらいだし(笑)

 

 ゼンデイヤは今回演じたタシ・ダンカンが「絶対に自分の非を認めない」しかも平然と他人を繰る強烈な自我の持ち主で、あまりにも自分とかけ離れたキャラであるため、演じるのにとても苦労したそう。インタビュアーが「マイクはどう?」と水を向けるとマイクは、「うーん。僕は、共通点を探すことから役に入り込んでいくんだ。それが、自分の演じる役の理解にも繋がっていくから。だからそれほど苦労はなかったかな」と、俳優というよりまるで大学の片隅にいる文学青年みたいに物静かに語っていました。トレイラーで見るマイクのテニスプレイヤーぶりは本物顔負けで、「ウエスト・サイド・ストーリー」の時のキレッキレなダンスもそうだけど、スクリーン上の彼と普段の柔らかな雰囲気の彼とのギャップが凄すぎる。インタビュー見て、ますます沼ってしまった(笑)

 

 「あなたに憧れて、あなたみたいになりたいって思っている若い女性に一言」と言われ、ビックリして「えっ?私に憧れてる?私もまだ自分自身を確立しようと努力している最中よ。」と真摯に答えるゼンデイヤに好感持っちゃったなぁ。また最後に、「(私が)ジョシュで、(ジョシュが)マイク、(マイクが)ゼンデイヤでした〜!」って言うところも、とってもチャーミング。人としても魅力的な3人が演じるロマコメ『チャレンジャーズ』、日本公開早くPlease!!


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※以前のインタビューで、「ルカ(グァダニーノ監督)が興味を持っているのは、肉体と汗…かな?」と語っていたマイク。なるほど、だからこんなシーンが…。大歓迎よ(笑)

 

ボブ・ディランになりきるティモシー・シャラメ〜『A Complete Unknown』

 「プリンス・オブ・ハリウッド」ティモシー・シャラメが伝説のシンガー、ボブ・ディランを演じる『A Complete Unknown』。セットの写真がSNS でかなり出回っているので、撮影は順調のようですね。

 

 ヲタクがブログで「プリプロ始まったよ〜!」って皆さんにお知らせしたのがちょうど1年前。でも作品の制作が発表されたのは遡ること3年前で、その後コロナ禍その他の理由で予定は延びに延び、一時は「もしかして製作中止!?」なんてウワサされていた曰くつきの作品。無事に撮影にこぎつけて、良かった、良かった。

 

題名の『A complete unknown』は、ディランの曲の中でも最も有名な『Like a rolling stone』の中の一節から採ったもののようです。

 

How does it feel
How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone?

どんな気がする?

帰る家もなく独りぼっち

どんな気がする?

転がる石のように

誰からも相手にされないって

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※ブラッシングしないライオンみたいな髪、コーデュロイのジャケットにジーンズ、猫背でトボトボ歩いているとこなんて、ディラン以上にディランしてる?ティモシー・シャラメ

 

 ディランはもはや音楽界のアイコン、スーパースターだというのに普段から挙動不審なのか、はたまオーラが無いのか(笑)女性警官から職質を受けて本人と信じてもらえなかったとか、自分のコンサート会場に入れてもらえなかったとか、けっこう情けないエピソードがあるんですよね(^_^;)…で、そういう時には決まって「Like a complete unknown」の歌詞を引き合いに出されてマスコミにいぢられるという……笑。

 

 煌やかなカリスマの代名詞みたいなティモシー・シャラメが、「Like a complete unknown」スターらしくないスター、ボブ・ディランをどう演じるのかが作品の最大の見所になるでしょう。今から公開が楽しみ!


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ボブ・ディランに多大な影響を与えたという反戦歌手のピート・シーガー役にはエドワード・ノートンノートンは知る人ぞ知る「憑依型俳優」ですが、写真を見る限り、すでに憑依しちゃってるね(笑)


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※シャラメをめぐる女性キャストも超豪華!ディランが20代の頃激しい恋に落ちたお相手、「フォークの女神」「反戦歌の女王」ジョーン・バエズにモニカ・バルバロ(左)、1960年前半にディランの恋人だったという学生アーティスト、シルヴィ・ルッソにエル・ファニング(右)。ティモシー・シャラメエル・ファニングは『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』以来の再共演。『レイニーデイ』では、美男美女のお似合いカップルなのに価値観がすれ違い、ギクシャクして、結局破綻してしまうほろ苦い結末でしたが、さて今回はどんな素敵な恋模様を見せてくれるのでしょうか。


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※撮影現場でのティモシー・シャラメエル・ファニング。二人共60年代っぽい(笑)

 

★オースティン・バトラーがエルヴィス役でカメオ出演!?


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『DUNE砂の惑星 2』での共演ですっかり意気投合したオースティン・バトラー(左)とシャラメ。シャラメはオースティンがエルヴィス・プレスリーとしてこの映画に出演してくれることを熱望してるそう。バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』の公開当時、映画館で何度もリピしたヲタクとしては、ぜひ実現してもらいたい!


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※『エルヴィス』の神演技で映画賞を総ナメにしたオースティン・バトラー。彼がまたエルヴィスとしてスクリーンに戻って来るかもしれないなんて…。考えるだけでドキドキしちゃう٩(♡ε♡ )۶

 

 

「なぜ殺されたかって?女の子だからよ!」〜『12日の殺人』


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 フランス映画『12日の殺人』鑑賞。一応「サスペンス映画」に分類されていますが、ヲタクが直近で観た『落下の解剖学』同様、殺人事件が起きて、頭脳明晰な刑事(または探偵)が登場、見事に謎を解決してめでたしめでたし……なお話ではありません(^_^;)もう冒頭から

仏警察が捜査する殺人事件は年間800件以上。そのうち未解決事件は約20%。これはそのうちの1件だ」

ってテロップが出て来ますから、こっちも覚悟して観なくちゃいけません(笑)

 

 舞台はフランスの地方都市グルノーブル。そう、かつて冬季オリンピックが開かれたあのグルノーブルです。スクリーンの背景にちらっとスキー場のリフトらしきものが映ってましたが、オリンピックの会場の他にも、小さなスキー場が点在しているので、そのうちの1つなのかな……と思います。ヨーロッパに住んでいた頃、冬休みにそういった小さなスキー場のロッジを1週間ほど借りたことがありますが、舗装されてない道を延々と車で登っていく感じで、スキー場以外は何も無い…みたいな(^_^;)そう言えば『落下の解剖学』も舞台がグルノーブルだったんですよね。お互い全員が顔見知りの閉鎖的な社会で、だからゆえに避けられなかった惨劇。

 

 そんな山奥の小さな村で、ある日21才の女性の焼死体が発見されます。名前はクララ。前日の真夜中、友人の家から帰宅途中に突然顔にガソリンをかけられ、生きたまま焼かれてしまったのです。若く美しい女性の、あまりにも惨たらしい死に様に、前任者の定年で新たに班長となったヨアン(バスティアン・ブイヨン)をはじめとする捜査班は早速捜査に乗り出します。捜査を進めるうちに、クララが恋愛依存症ぎみで、多数の男たちと関係があったことがわかってきます。言わばクララと関係した男たち全員に殺人の動機があったわけです。ヨアンたちは昼夜を問わず聞き込みや被疑者の尋問を繰り返しますがどれも確証は得られず、捜査は混迷を極めていき……!

 

 クララが付き合っていた男たちがまあ、揃いも揃ってミソジニストやらDV男やらマチズモ野郎やらで……。狭い村だから、クララが誰と関係していたか男たちの間でも筒抜け……っていう最悪な状況。捜査が進むうちに、担当の刑事たちが次第にクララに対して侮蔑の感情を募らせていって、ついには「これは魔女狩りだよ」とうそぶき、もとはといえば、多情なクララ自身が招いたことなんだと言わんばかりになっていくのが、なんだかやり切れなかった(ToT)1人の刑事なんて、奥さんに恋人ができて離婚を切り出されたのをクララの事件に重ね合わせて自暴自棄になっちゃうし……。

 

もう、しっかりしてくれよ!(笑)

 

 暗澹としたストーリー展開のなか、唯一の救いはやっぱり主人公のヨアンかなぁ……。彼は泊まりに来た同僚に「トイレはちゃんと座ってやれよ」っていうような人で。でもそんな彼も捜査状況が袋小路に入っていくなか、部下たちの「魔女狩り」思想に心が揺らぎ始めます。その時、クララの親友から

彼女がいろんな人と寝ていたから何だっていうの。本人のことを何も聞かず、なぜ寝た相手のことばかり知りたがるの。

なぜクララが殺されたかって?彼女が女の子だからよ!

とズバリ真実を突かれてハッとする場面は良かった…。

 

 事件が迷宮入りして3年後、ヨアンは判事に呼び出され、事件の再捜査を命じられます。その頃にはヨアンを取り巻く環境もずいぶん様変わりしており、男ばかりだったヨアンの班にも、警察学校を首席で卒業した若い女性刑事が配属されています。(彼を呼び出した判事も女性だしね)彼が判事や女性の部下にとる態度を見ていると、3年前のクララの親友の言葉はちゃんとヨアンの心に刺さっているんだな…とわかってね。ちょっとうるっときましたね。

 

 あらゆる点で『落下の解剖学』と対をなす作品だと思います。しかし、絶望に満ちた『落下の〜』のラストと違って、3年後のヨアンの変化の中に、彼のような男性がもっと増えてくればきっと社会も変わってくるはず……という監督のメッセージが透けて見えて……

 

と女の間には深くて暗い河がある

(『落下の解剖学』からの使い回し 笑)

 

しかし、微かな希望が仄見えた結末だったように思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VOGUEが描き出すアンドリュー・スコットの肖像


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※VOGUEより。シャツ…ラルフ・ローレンジーンズ…リーバイス

 

 VOGUE(2024.3.24)に掲載されたアンドリュー・スコットのインタビュー。テート・ギャラリーでインタビュアーのジン・ツェン氏と待ち合わせして、テムズ川のほとりを歩きながらインタビューに応じたアンドリュー。こんなところも日頃散歩を愛する彼らしいね。『異人たち』のキャンペーンも、ポール・メスカルとロンドン中を徒歩で動きながら行ったそうで(ビックリ)、途中自転車に乗った少年たちに追いかけられたエピソードなどを今回のインタビューで語っています。

 

 昨年公開された『異人たち』(日本では来月4月に公開)の名演が評判を呼び(英国アカデミー賞受賞、ゴールデングローブ賞ノミネート)、最近は本国英国だけでなく、ハリウッドでも引っ張りだこのアンドリュー・スコット。でもご本人はそれにだいぶ戸惑いがあるようで、「あまり(名声については)考えたくないな。ちょっと怖いような気がするから」だそうです。個人的には、もっと大手を振って名声を享受してもいいと思うけどなぁ。だってだってアンスコさまは、英国舞台の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞をなんと2度も受賞し、ハムレットチェーホフノエル・カワードユージン・オニールも何でもござれのカメレオン俳優で、ブロードウェイの舞台『Vertical Hour』(2006)で共演したジュリアン・ムーアからは「アンドリューに会ったその瞬間から、彼が並外れた才能を持っていることはすぐにわかったわ!」って評されたくらいなんだから……。


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※VOGUEより。コート…オフィチーネ・ジェネラル

 

 一方アイルランド人であるアンドリューは、シャイである一方で、気さくで陽気な面を持ち合わせているようで、前出のジュリアン・ムーアは「彼はとても愉快な人で、舞台上でもプライベートでも素晴らしいパートナーだったわ」と語っているし、『フリーバッグ』(アンドリューはヒロイン・フリーバッグと禁断の恋に落ちる神父「ホットプリースト」役)で制作・脚本・監督を務めた英国一の才女、フィービー・ウォーラー=ブリッジは「彼はまるでいたずら好きの妖精ね。でも私は、彼のそんなやんちゃなところが大好き。彼は、会った瞬間にこちらを和ませてくれる魔法みたいな力を身につけているの」と大絶賛。

 

 俳優として、また1人の人間としても魅力的なアンドリュー・スコットが今回挑戦するのが、これまでアラン・ドロンマット・デイモンジョン・マルコビッチといった名だたる名優たちが演じてきたダークヒーロー、リプリー。ミステリ作家パトリシア・ハイスミスが造型したこの特異な人物を、アンドリューは「単にソシオパスであるとか、サイコキラーであるとか、類型的な呼び名をつけることはしません。あまりにも彼は心の奥に複雑なものを秘めているからです。人よりも美を愛する彼は、貧困から這い上がるため、戦いを挑んでいるのです」と語っています。あの『シャーロック』、その不気味で抑圧された、しかしどうしようもなく魅力的なモリアーティを演じた彼のこと、きっと今回も新たなトム・リプリー像を造型して、私たちを魅了してくれるに違いありません。

 

★おまけ…平野紫耀 VS. アンドリュー・スコット

 2024年新年早々パリで開催されたルイ・ヴィトンのショウで、平野くんの隣の隣に座っていたのがアンスコちゃん。初体験だというのに堂々として、スタァのオーラに耀いていた平野くんと対象的に、「ボク、ここにいていいのかな?」ふうで落ち着かなさげだったアンスコちゃん。どっちも「らしく」て可愛かった٩(♡ε♡ )۶

 

 

 

 

 

オタクのNumber_i論[12]〜これって推し活革命!?


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 Genius Japanによると、Number_iの『FUJI』が『GOAT』に代わって総合チャート1位になったそうだ。ヲタクはこの結果を見て、少なからず衝撃を受けた。いやだって、あの『GOAT』よりさらにゴリゴリなヒップホップでヘヴィな『FUJI』よ?さらに驚いたのが、『FUJI』に続いて人気があるのが、キンプリ時代には考えられなかったであろうセクシャルなミディアムナンバー『Blow Your Cover』だってこと。プロデューサーとしてもマーケターとしても優れている彼らは、傾向が様々に異なる同時配信全6曲で、市場が、世間が自分たちに何を求めているか、探っていた面もあると思うけど。

 

 ヲタク自身は元旦に『GOAT』のMVを見ていきなり沼った人間なので、彼ら3人の歴史を知るべく、遅ればせながらキンプリ時代のMVをYou-tubeで見直してる。ヲタク的には、『Magic Touch』や『ICHIBAN』によって彼らが新たな可能性を探り始めたちょうどその頃に、「あなたたちの行くべき道はこっちでしょ!原点を忘れないで!」とばかりに(⇐あくまでもヲタクの想像です 笑)、結成5周年記念の『シンデレラガール 2023』がどかんと投下されてるのがかなり興味深かった。まさにこれが旧ジャニーズ事務所のアイドル(虚像)の王道。アイドルは夢の王子様、ファンは王女様で、そこにドロドロしたリアルさはなく、30代になっても40代になってもアイドルは、少年のような容姿を保ちつつ夢の王子様を演じ続けなくてはならない。彼らの辞書に「成熟」という文字は存在しないのです。

 

 そんなキラキラ王子様の衣装を脱ぎ捨てたNumber_iは、しょっぱなから『GOAT』で、従来からのファンに対して踏み絵を突きつけてきた。オマエは間違いだらけの世界に生きてる。俺らについてくりゃ見せてやるぜNew World。「君に見てほしいんだ、マジぶっちぎるShooting Star」と誘いをかけつつも、「間違いじゃない、これが俺のAnswer」。もはや彼らの答えは出ちゃってるわけだから(笑)私たちはもはや、彼らについていくかいかないか二者択一するのみ。

 

 その結果(つまり自ら選択した結果)、作られたアイドルではない、ストリート系ファッションに身を固め、曲の制作にもガンガン関わっていく生身の男性である彼らを選択したファンは、世のしがらみや様々な軛、毀誉褒貶と闘いつつ世界を目指すNumber_iのいわば運命共同体。アーティストのてっぺんに彼らを押し上げるという現実的で明確な目標がそこには存在する。

 

 「辛い現実を推しによっていっときでも忘れることができる」という虚の世界から、理想を目指して共闘するリアルワールドへ。もしかしたらNumber_iは、イマドキの、自立した女性による新しい推し活の道を指し示してくれる存在なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お子ちゃまは見ちゃダメよ♬〜R18『哀れなるものたち』


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 エマ・ストーンが見事2度目のオスカー、主演女優賞を射止めた『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督…彼自身も監督賞を受賞)。ヨルゴス・ランティモス監督とのタッグでオスカーにノミネートされたのは、『女王陛下のお気に入り』(2018年)以来2度目。あの時はレイチェル・ワイズ助演女優賞にWノミネートされました。ヲタクは2人とも好きな女優さんだし、『女王陛下の〜』演技も甲乙つけ難かったから、発表まで凄くソワソワしたのを覚えてる。だって…だって…どちらが受賞してもショックじゃない?本人たちも気まずいと思う。結果的に2人で落選でかえってホッとした。同じ作品から同じ賞に2人ノミネートするなんて、今後は止めて欲しいわ。

 

 ……とまあ、前置きはこのくらいにして(笑)

 

 時代は19世紀ヨーロッパもしくはそのパラレルワールド(……たぶん^^;)世に絶望し、橋から身を投げた妊娠中の女性(エマ・ストーン)。遺体はマッド・サイエンティスト、ゴッドウィン・バクスター博士(ウィレム・デフォー)に拾われ、胎児の脳を移植するという人体実験を施されます。彼女はバクスターにベラ・バクスターと名付けられ、ロンドンのバクスター宅で同居するようになります。博士の教え子マックス・マッキャンドルズ(ラミー・ユセフ)が彼女の成長を記録するという役目を与えられ、バクスター宅を訪れた時には2歳児程度の知能と行動しか示さなかったベラですが、みるみるうちに目覚ましい成長をとげます。性の目覚めと共に自我も覚醒めたベラは、彼女に性の愉楽を教え込んだ遊び人ダンカン(マーク・ラファロ)の誘われるままに、バクスターやマックスが止めるのも聞かず、ポルトガルやエジプト、フランス…と、彼女の言うところの「冒険旅行」に出かけます。彼女は旅先で新たな知己に出逢い、様々に刺激的な体験をしますが、さて、その旅の果てに、彼女が得たものとは……!?


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※それぞれの形でベラを愛するゴッドウィン博士(右…ウィレム・デフォー)とマックス(ラミー・ユセフ)ですが、2人ともベラの知的能力を軽視し、愛情=自分の保護下に置くこと……と勘違いした為に彼女の反発を招き……!

 上流社会ではホンネと建前が大きく違うこと、男性の「愛してる」は欲望を達成するために口にされることが多いこと、自分はふかふかのベッドで寝ているが、一歩外に出れば、食物がないために次々と乳幼児が死んでいく世界があること(エジプト篇)など、ベラは現実世界の厳しさを実証学的に学んでいき、さらには、ベラに初めて読書の楽しさ(おススメはエマーソン)を読むことを教えた老齢の女性マーサ(ハンナ・シグラ)や、「人間は所詮残酷な獣性の生き物」とうそぶく虚無主義の若者ハリー(ジェロッド・カーマイケル)、娼婦としての稼ぎを社会主義運動につぎ込む黒人女性……等、様々な出逢いを通してベラは自力で知的能力を深めていきます。サイレント映画メトロポリス』でロボトミーを受けたヒロイン・マリアは男性たちの玩具に成り果てましたが、イマドキのマリアはそうは問屋がおろさない(笑)


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※ベラに最初の「知」を授けるマーサ役には、『マリア・ブラウンの結婚』のハンナ・シグラ。サスガの貫禄。

 

 

 ……とまあ、ストーリーだけ読むとドイツ文学のおカタいビルディングスロマンみたいですが、いやいやいや(笑)ギリシャ出身のランティモス監督、1人の女性の自我の目覚めと成長ストーリーに、文学で言えば『ボッカチオ』やその名も『艶笑滑稽譚』(バルザック)や、映画で言えば『日曜はダメよ』の艶笑喜劇の味わいを見事にミックスしてみせた!…え?艶笑喜劇って何?ですって?エッチなコメディってことっす(笑)女性蔑視の時代や社会をおちょくるには、艶笑喜劇は最適な武器なのです。エマ・ストーンの緩急自在、巧みな演技も相まってヲタク、全編を通じて笑った、笑った。またね、ハルク・ザ・ヒーローとは似ても似つかない情けないクズ男マーク・ラファロがめっちゃイイ味出してました!

 

 ギリシャ中流家庭出身のランティモス監督、ギリシャの経済危機をきっかけにロンドンに移り住んだそうですが、いろいろご苦労があったんでしょうかね。映画を観てると、階級格差社会や英国人気質へのディスリが度々出てきて興味深い(^_^;)

 

 結論としては…

とにもかくにもエマ・ストーン

後にも先にもエマ・ストーン

ですね!(なんのこっちゃ^^;)

アメイジングスパイダーマン』シリーズでグウェン・ステイシーを演じていた頃、誰が今日の彼女を想像できたでしょうか?

 

 

ギリシャ移民のはなし

 夫の仕事の都合でベルギーに赴任した時、最初に住んだアパートの下に住んでいたのが、ニコさんというギリシャ移民2世の青年でした。子どもたちが騒いだので謝りに行くと、「全然気にならないよ。元気でいいね」と言ってくれた気さくな青年でしたが、移民出身なりの色々なご苦労があったようです。

 夏休み明け、6歳の長女が学校でアタマジラミをうつされてしまい、急いでホームドクターのところへ行くと、「夏休み明けはシラミの相談が急に増えるんだよ。ギリシャとかポルトガルとか、南方の実家に帰った人たちが持って帰ってくるんだ……まったくね!」吐き捨てるように言うドクターの顔に、親切なニコさんが2重写しになり、ひどく心が痛んだのを今でも覚えています。

 

 

 

 

 

 

ティモシー・シャラメ✕オースティン・バトラー、ハリウッド2強の一騎打ち!〜『DUNE 砂の惑星 2』


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 やっと観れた『DUNE 砂の惑星 2』!最新技術を駆使した、圧倒的な映像表現には口アングリ(笑)あまりにも凄すぎて、笑っちゃうくらい(^_^;)

 

 「香料を制する者、宇宙を制す」香料メランジの採掘権を巡って敵対していたウラディミル・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)から父を殺され、肥沃な領地から追われて不毛な砂漠に辿り着いたアトレイデス家の嫡男ポール(ティモシー・シャラメ)。第2作でポールは、彼を助けてくれた砂漠の民フレメンの戦士となり、父の汚名を濯ぐため、フレメンと共にハルコンネン家に戦いを挑みます。しかしそれは、血で血を洗う壮大な復讐劇の幕開けでした……!

 

 『DUNE 砂の惑星2』の最大の見どころは、「プリンス・オブ・ハリウッド」と称されるティモシー・シャラメがその名に違わず、その圧倒的カリスマ性を遺憾なく発揮しているところ。Netflix『キング』(2019年)でヘンリー五世を演じた時も、若き王の風格に目を見張るものがありましたが、あれから4年さらに演技に円熟味を増し、28才になったシャラメの魅力は眩いほど。砂にまみれて顔が黒く汚れていても……です(^_^;)特に、ポール・アトレイデスが、これまで教母となるべきベネ・ゲセリットの女性たちにしか許されていなかった「命の水」を惑星の男性として初めて飲み、過去・未来を見通す予知能力を身につけ、預言者として民衆をデマゴーグするシーン。熱を帯びていながら、反面ポールの出自から来る冷徹さを垣間見せるところは、おそらくシャラメでなくては演じられなかったことでしょう。観ていてヲタク、背筋ゾクゾクしたもん(笑)

 

 ……というわけで、ポールの前に立ちはだかる宿敵フェイド・ラウサ・ハルコンネンを演じるのは、そのカリスマ性、セックスアピール、(もちろん)ヴィジュアル、演技力、身体能力……全てにおいてシャラメに匹敵するような人物でなくてはならない。その栄えある役目を仰せつかったのが、我らがオースティン・バトラー、Yeah!!

 

 

 この作品が撮影真っ盛りだったちょうど1年前、監督のドゥニ・ヴィルヌーブはとあるインタビューで、フェイド・ラウサ役を「冷血な暗殺者である」と解釈し、さらに……

 オースティン・バトラーはスクリーン上に、サイコパス、ソシオパス的なシリアルキラーと剣術の達人、蛇、そしてミック・ジャガーがないまぜになったような人物像を造型してみせた。

と語っていました。

 

 その時ヲタクは、「サイコパス、ソシオパス的なシリアルキラー」はわかるんだけど、「なぜにミック・ジャガーなん?」って思ったの。それがずっと頭の片隅に残っていたんだけど、今日オースティンを見て、謎が解けたわ!

 

 監督の言うように、彼が演じるフェイド・ラウサは、冷血で、極悪非道なヴィラン。……でも、演じるオースティンの溢れ出る魅力が、観ている私たちを沼に引き摺り込んで、いけないと思いつつも?スクリーンの彼から目が離せなくなってしまうんです。


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※素顔は爽やか好青年のオースティン・バトラー。今作では、『エルヴィス』の時の柔らかな南部訛りから一転、低音のハスキー・ヴォイスで勝負!

 

 ヲタクはヴィルヌーブ監督の発言と、スクリーン上のオースティン・ラウサを実際にこの眼で見て、ローリング・ストーンズのドキュメンタリー『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』でのミック・ジャガーの言葉を思い出しました。

舞台でのパフォーマンスは演技してるよ。自分とは違う人間になる。なぜって?皆を楽しませたいから。

たちと観客の間には性的な交流があると思う。


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※永遠の愛を誓うポールと、フレメンの女戦士チャニ(ゼンデイヤ)。しかしラスト、思わぬ悲劇が…。

 

 観ている者の心の裡に眠る欲望に火を付け、支配する圧倒的なパワー。彼に魅入られたらもう、善悪やルールなんて吹き飛んでしまう。そんな力を持つ人物をカリスマと呼ぶとしたら、まさにミックも然り、フェイド・ラウサも然り。オースティン演じるフェイド・ラウサは、(コイツはサイコパス、ソシオパスだから近づいちゃいけない)と思いながらずるずると耽溺してしまうような、危うい魅力に溢れていました。ちなみにミック・ジャガーのカリスマ伝説も相当なもので、興奮と恍惚の余り、20数名の女性ファンがバタバタ失神したライブもあったように記憶してます。デヴィッド・リンチ版の『砂の惑星』では、フェイド・ラウサ役はスティングだったわけですから、元来ラウサというキャラは「ロックなカリスマ性」が不可欠な要素だったのかもしれませんね。

 

 ……してみると、

バズ・ラーマン監督の『エルヴィス』で、キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーがまるで憑依したかのような神演技を見せ、英国アカデミー賞主演男優賞受賞、オスカーにもノミネートされたオースティンがフェイド・ラウサを演じるのは、ひとつの「運命」だったのかも。

 

 今までハリウッド次世代の中ではティモシーの一人勝ちでした。……でもきっとこれからは、ティモシー&オースティンの2強時代が到来すると思うわ!

 

★おまけ……ハリウッドの2大プリンス


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※ラスト、2人の決闘シーン。2人のアクションと身体能力ヤバすぎて、見ているこっちの心臓バクバク。

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 映画の中では敵同士だった2人(写真上はオースティン演じるフェイド・ラウサ(左)とティモシー・シャラメ)ですが、プライベートはこんな感じの仲良しさん♬(写真下)

 

 ティモシーの元カノのリリー=ローズ・デップとオースティンがロンドンの街角で熱烈キスしているのをパパラッチされたこともあったりして(ちょうどティモシーとリリー=ローズが「すわ、復縁か!?」ってウワサがタブロイド紙を賑わしていた頃です)、初共演以前にも何かと因縁のあった2人ですが、いざ共演となればこの通り。性格的には2人ともワンちゃんタイプ、気さくな人たらしだから合うかもね〜。ティモシーは新作で伝説的フォークシンガー、ボブ・ディランを演じることになっていて、オースティンにぜひエルヴィス・プレスリー役でカメオ出演してくれるよう頼んだのだとか。ティモシー、監督に直訴してぜひ実現させて!

 

オタクのNumber_i論[11]〜『Blow Your Cover』

 
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※曲調によってカメレオンのように姿を変えてくるNumber_i。ヲタクの妄想の中では『Blow Your Cover』の彼らはコレ↑

 

(ファンにとって)狂乱の?『To Heroes〜TOBE 1 st Live』が終わって放心状態のところに、さらに燃料投下!4月1日のCDLVに出演決定〜〜!!(ぱちぱちぱちぱち)しかもしかも、『GOAT』は当然のこと、日頃冷静な神宮寺くんがラジオで思わず「エロい」と口を滑らし、平野くんを慌てさせたというアノ『Blow Your Cover』もTV初披露という超朗報が!いやいやいや神宮寺くん、あなた自身が1番エロいのよ。もうアイドルじゃないんだからもっとエロくていいでしょ?……って余計な話は置いといて(笑)

 

 エロティシズムのツボっていろいろだと思うけど、個人的には、肉体の直截的な表現よりもむしろ、こちらの妄想をかき立てる

消えないほどKissした背中越しのパノラマ

かなぁ……。平野くんのハスキーボイスがめっちゃセクシー。

 

 どこか引いてて逡巡している「彼女」を半ば強引に自宅に誘って、甘いLiquorで酔わせて。(たぶん)自分の住んでるタワマンの、煌めく夜景のパノラマを彼女の白い背中越しに見てる……って、そのイマージュ、エロすぎる(笑)若いけど地位も名声もある、遊び慣れてるイケメン…なんだろうな、「彼」は。

 More Chocolate?

 

……彼女にチョコレートを奨めてる‥‥‥‥ってことは誘いの甘いLiquorから、※重厚なカヴェルネ・ソーヴィニヨンか、辛口のシャブリに移ったってことかな。お供のプラリネやトリュフは、老舗のGODIVAかWITTERMERか、はたまた新興勢力のPIERRE MARCOLINIか。一夜限りの恋をどこか後悔してる風情の彼女に、(遊び慣れた筈の)「彼」がまるで少年に戻ったみたいに「もっとチョコレート、どう?」と心の必死さを隠しながら声をかけている様子が切ない。囁く岸くんの声がまたこの情景にぴったりで……沼る(笑)

※チョコレート好きはワイン好き‥‥‥というアンケート結果が出ているそうで。甘いチョコレートに合うワインは、重厚で深みのあるボルドー の赤か、白だったらすっきり辛口のシャブリがおススメ。

 

 

もうちょっとですべて溶けてしまうだろう

 

 舌の上で溶けるチョコレートからの、儚く消えてしまう泡の香りの追い打ちが、彼らの恋の危うさ、脆さを連想させてエグい(笑)

 

 そしてとうとう最後まで心の裡を一切明かさず、おそらく「彼」が眠っている間に、静かに去って行った彼女。

 

Baby now Blow your cover……

が幾度となく繰り返されるけど、「彼」が1人、空っぽのベッドの上で呟いてるかと思うと、めっちゃ切ないわ〜。

しかも「彼」は平野紫耀だから!

岸優太だから!

神宮寺勇太だから!

 

………萌えすぎでしぬ案件(笑)

 

 『Blow Your Cover』。結ばれても心が掴めない彼女に「あなたの心の鎧を脱いで」って訴えかける意味だと思うけど、なぜかヲタクの妄想は平安時代に飛ぶ(笑)文のやり取り、御簾越しの会話から始まる平安時代の恋。御簾(Cover)を取り払って(Blow)自らの姿を男性の前に現すことはすなわち恋人として相手を受け入れたということ。

 

 『源氏物語』には、光源氏の子夕霧が野分(のわけ…台風)の日、強風にたなびく御簾の間から義母である紫の上の美しい姿を垣間見て心乱す場面が出てきます。たちまちのうちに夕霧は紫の上に心惹かれますが、それは二度と起きてはいけない禁断の出来事。求めても絶対に手に入らない高嶺の存在に懊悩する平安朝の貴公子もじゅうぶん切ないけれど、『Blow Your Cover』の後半、たとえ体を重ねて一夜の温もりを得たとしても、その人の心は得られない、冷たくなったベッドの上で「どうか本当の心を見せて」と呟く現代の貴公子の後朝の歌には、寂寞とした現代人の孤独と不毛な愛が滲んで……聴いている私たちをもっと狂わせる。


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※『To Heroes〜TOBE 1st Live』2024.3.17

叶わぬ恋の切なさを全身で表現したNumber_i。

 

★おまけ…ベルギーチョコレートのはなし

 ヲタクは夫の仕事の都合で丸5年、ベルギーに住んでいたのですが、ベルギーの人たちにとってチョコレートはお菓子のジャンルではなく、栄養素の詰まったサプリ的なもので、それに凄く驚きました。娘の担任の先生(娘たちは現地の小学校に通っていました)の朝食は365日チョコレート1個とリンゴ1個って言ってたし、お弁当に板チョコ1枚とブロート(固いパン)っていう子も大勢居た。

 

 普段食べてるのはスーパーで売っているような、例えばGALLERやCOTE DORの板チョコで、ショコラティエが作るプラリネやトリュフ、ガナシュは特別な時用の贅沢品。GODIVAは現地の人にはなぜか人気がなくて、当時は海外展開していなかった王室御用達のWITTERMERやLEONIDASのほうがポピュラーだったかも。

 

 PIERRE MARCOLINIは店構えがめっちゃオサレ。ブリュッセルからロンドンに行く特急の発着駅に1店舗あったんだけど、黒と白のスタイリッシュな内装、店内には黒尽くめのブロンド・イケメンがすんっ、と立っていて、ヲタクはたかだかトリュフ2箱買うのにめっちゃ挙動不審になったことを覚えてる(笑)

 

 

 

 濃密なミディアムナンバー『Blow Your Cover』を彩ったチョコレートのお話でした♬

 

オタクのNumber_i論[10] 〜『To Heroes〜To Be 1st Live』

 
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 昨夜の『To Heroes』オーラスアマプラ動画配信、いやはや凄かったっすねぇ……。3時間観終わってなんかヘトヘトになって放心状態の割には夜なかなか寝付けなくて(^_^;)今日は頭回らず仕事にならなかった……。

 

 事務所発足当時から既に「世界展開を視野に入れている」ことを明言している滝沢社長。巷で話題になっている、曲の題名や歌詞を英語にしているところとか、SNS拡散OK、コンサート一部撮影OKなどマーケティングの手法、つまり「HOW」の面でももちろん凄いと思うんだけど、ヲタクはむしろ、彼が打ち出す「WHAT」の部分、コンサートを貫くコンセプトやメッセージ性を大事にしているところが、社長をはじめアーティストたちが既に世界へ一歩を踏み出している証だな、と思いました。ただ単に事務所の顔見世興行で、わちゃわちゃフェス状態のファーストコン……というのではなくて。

 

 「あなたにとってHeroとは?貴方がた一人ひとりが胸に抱く「Hero」に会いに行きましょう!」……という呼びかけから始まった今回のコンサート。世界同時配信もきっと、その延長線にあったのでしょう。ラストにIMP.の佐藤新くんが「皆さんもまたヒーローなんです!ここにいる人たち全員がヒーローなんです!」とめっちゃ爽やかに、高らかに宣言してくれたことで、最後にちゃんとファーストコンのテーマ「全員が主役〜皆Heroになれる」が完結して素晴らしかった。またそれが、DiversityやSelf-Relianceを尊重するという、イマドキの世界の趨勢にもマッチしていたし。

 

 欧米のアーティストは、「自分はこの曲を歌うことで何を社会に訴えたいのか」というメッセージ性を重視しているし、自分の存在が社会にどんな影響を与えるかを常に考えている人が多い。特に米国の場合、自分は民主党支持か保守党支持か、政治的スタンスまで表明しちゃうしね。日本のアーティストでも海外で活躍している人は、作品やパフォーマンスが第一級であることは絶対条件だけど、それに加えて政治や世界情勢、地球の諸問題等に関心を持って、社会参画の意識が高い人が多い印象。故・坂本龍一さんとかYoshikiとかね。

 

 だからそういう意味では、今回のファーストコンで、事務所の慈善活動プロジェクトの一環としての『Be on Your Side』を発表したことはまさにタイムリーでしたね。またね、Number_iの3人が「被災地の為に自分たちが何かできないか」滝沢社長に相談、応援歌の制作を社長から提案され、夜を徹して作詞…って流れがヲタク的には……もうね……たまらんよ。こんな素晴らしい人たちのファンになれたんだ、幸せだなーって。また社長の返答がジワるね。◯◯したら?とか◯◯がいいよ、ではなくて、「チャリティソングならみんなで歌えるね」って……(ToT)経営者としてだけでなく、教育者としても一流のタッキー社長。

 

 歌の趣旨は……

 そばにいて、あなたの手を取り励ますことはできないけど、抱きしめることはできないけど、僕たちの歌を届けることはできる。音楽の力であなたを勇気づけることはできるよ。だからこの世から悲しみが消えるまで、僕たちは歌い続けるんだ。

……というもの。

 

 被災地の人々、ひいては様々な苦しみを抱える世界中の人々への応援ソングであると同時に、「僕たちは、音楽の偉大な力を信じてる。だから僕たちはより良い作品を作り続けて、これから日本だけじゃない、世界中のみんなを元気にしていくんだ!」っていう、Number_iのアーティストとしての宣誓文奏上みたいに聞こえて、胸がアツくなりましたことよ。

 

★おまけ★

 天から三美神が降臨する『FUJI』。本来ならクールにキメる演出なんだろうけど岸くん、嬉しすぎて楽しすぎて思わず笑みが溢れて……。それも邪気のない少年みたいな笑顔で。思わず沼落ちした春の宵闇(笑)

 

 

 

オタクのNumber_i論[9]〜『HIGHSNOBIETY』インタビュー

  
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 奇しくもAmazonプライム『TOBE To Heroes』全世界配信の前日に届いた『HIGHSNOBIETY』。

 

 GUCCIやVUITTON、BURBERRYなど、世界の名だたるハイブラを身にまとった3人の男たちの肖像はため息が出るほど美しいけど、何よりヲタクの眼を引いたのは、そのインタビューの内容の濃さ!

 

 先日とべばん特別篇『サシで仲良くなってもらっていいですか?〜平野紫耀✕大東立樹』を見た時、今まで勝手に抱いていた平野くんのキラキラ王子様イメージが(良い意味で)崩れて、いたく驚いたヲタク。

「プライベートは何をしているのか?」という問いに答えられなかった平野くん。プライベートを充実させたい……なんて考えは今の彼にはとんと持てないらしく、

(曲作りにおいても)俺らは積極的にクリエイティブな所に入ってやってるから

幾多の打ち合わせにも参加するし、実際にはスタジオに籠もって音作りをしていることも多く、自分の時間はほぼない……的な話をしてた。ええ!?まんまアーティストの日常じゃん!

 

 今回の『HIGSNOBIETY』のインタビューは計らずもそれをさらに深めた内容になっていて、

 

 僕達でスタジオにこもって、「ここのハイハットはこの数にしてほしい」とか、「ここの8小節なくしてここだけにしてほしい」とか、「ここは逆にこういう音を入れてほしい」など、意見を言いながら作り上げていきました。

 打ち合わせして、動画のサンプルをピックアップできたりするものは自分たちで事前に探して、また監督にお会いしたときに「こういう感じがいいんですとお見せした感じです」(平野)

 

 そうだったんだ……!!ヲタクは(ハイハットって何!?)のレベルだから、ネットで調べたよ(笑)あのMVは単なるプロモーションのツールなんかじゃない、監督やスタッフ、Number_i全員が骨身を削って作り上げた、いわば芸術作品なんだね(驚)ヲタクは『GOAT』のMV観てカミナリに打たれたみたいになって、いきなり沼った人間だけど、元はと言えば児玉監督の映像作品のファンで、(……あ、またMV手掛けたんだ、児玉さん。ところでNumber_iって誰!?)って感じだったから…。こんな素晴らしいアーティスト3人に巡り合わせてくれた不思議なご縁に感謝、感謝。

 

 次々と斬新なアイデアを繰り出す天才肌で完璧主義者の平野くん、それを咀嚼してリアリティを持たせ、最終的には当初のアイデアを超えてくる努力型の岸くん、そして皆の士気を常に鼓舞し(1番年下であるにもかかわらず 笑)ムードメーカーの役割を果しているのが神宮寺くん……という印象。温厚で物静かなイメージの神宮寺くんの発言の数々が意外にも「超アゲアゲ」、攻めの一手なのにはビックリ(笑)でもそれもきっと、グループの精神的支柱だという自覚があるからなんだろうな。

 

 「世界を目指す」っていう文言がまるで1つの接頭語みたいについて回ってる今の彼らだけど、彼らが目指しているのは他者(日本でも海外でも)の評価というよりもむしろ、まずは自分自身が納得できる作品作りやパフォーマンス、そしてそれらが昨日よりも今日、今日よりも明日とアップグレードし続けていくことなんだ……と感じた。彼らが対峙しているのはあくまでも自らの裡に在る理想形なんだね。

 

いい意味で需要と供給を裏切ることも必要だよね(平野)

 

 おおー、さらっとそこまで言うか。頼もしいことこの上ないな。彼らはクリエイターであると同時に、優れたプロデューサーでもあると見た。……ついでにマーケターの才能もアリだよね(笑)

 

 この3人を信じてついて行けば、今まで見たこともない壮大なパノラマを見せてもらえる。

 

 それはもう、揺るぎない事実だ。

オタクのNumber_i論[8]〜生き方がロックな彼ら


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 3月14日〜17日にかけて開催されているTOBEファーストコン『To Heroes』(オーラスはAmazonプライムで世界同時配信)。な、なんと時間限定で動画撮影&SNS拡散おっけーという、タッキー社長の太っ腹具合がエグすぎて、Xは毎日お祭り状態。

 

 我らがNumber_iの撮影許可シーンは、『FUJI』〜〜〜!!FUJIFUJIFUJIFUJIFUJI(⇐うるさい(^_^;)ヲタクは参戦した皆さんの短い動画見るだけでも過呼吸になりそうだってのに、花道の真下で紫耀くんのLVグラサン外すシーン撮ってくださった方、無事に帰れましたか?(笑)

 

 最初『FUJI』聴いた時、『GOAT』よりさらにゴリゴリなヒップホップに驚いて、しかも和テイストも入ってたから「桜吹雪の中、和装で踊りまくるNumber_i」を脳内妄想していたヲタクでしたが、見事に外れた!(笑)もちろん『GOAT』もそうだけど、「いい意味で予想を裏切っていきたい」という紫耀くんの日頃の発言が、はっきりした形になったようなステージで、感動(ToT)!!明日のAmazonプライム配信、スマートTVの前で正座して待つわ(笑)

 

 天井から、圧倒的オーラを放ちながら降りて来る3人。まさに神々の降臨、リヒャルト・ワーグナー。BGM『ワルキューレの騎行』でもよかったんじゃない?っていう(笑)所狭しと置いてあるのはバンドの楽器?もしかして3人、ロック・アーティストな設定?

 

それってアリかも!!っていうか、そうあってほしい(笑)

 

 体制に阿ることをよしとせず、自らをがんじがらめにする軛を引きちぎって、全てを捨て、あえて獣道を行く彼らの生き方はまんまロック・スピリットだもん!……やっぱりヲタクは年代的に、ヒップホップよりロックのほうが燃えるんだわ(笑)

 

……ヲタク的に、ジンくんはその紳士的で知的な佇まいからクイーンのブライアン・メイ、紫耀くんは「ロック界の黄金(ブロンド)美神」レッド・ツェッペリンロバート・プラント、そしてそして岸くんは(以前このブログでも書いたように)5オクターブの音階を持つ美声の持ち主、ガンズ・アンド・ローゼズアクセル・ローズぢゃ!

(……あ、あくまでも全盛期の若い頃ね 笑)


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※左から若き日のブライアン・メイロバート・プラントアクセル・ローズ。Number_iは全盛期の彼らよりイケメンだわ!(断言)

 

 紫耀くんのコーデは全身ヴィトンだったらしいけど、そもそもヴィトンそのものが、老舗と言いつつ、その伝統にあぐらをかくことを潔しとせず、生き馬の目を抜くフランスのファッション界で、様々な新しい試みを重ねて戦い続けてきた「挑戦者」だからね。


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※紫耀くんのヤバすぎるビジュアル。

 

 それとあの舞台装置、断続的に火吹くやつ!あれがさ、『マッドマックス 怒りのデスロード』の、あの「火炎放射ギターマン」の世界線なんですけど!!!


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 タッキー社長ってマッドマックスのファンなの?……まさかね(笑)

 

 

 

 

 

 

今、『光る君へ』が面白い!②〜見る女・紫式部

 
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 10話まで見て、すっかり『光る君へ』にどハマリ中のヲタク。五節の舞や打毬(だきゅう…平安時代馬術競技)シーンなど、当時の宮廷行事も度々登場、それだけでもめっちゃ楽しい。NHKはさすがおカネがあるから、衣装もセットもモノホン感ハンパないしね(笑)。

 

 ヒロイン・まひろ(吉高由里子)が後々、自らの宮廷での体験を基にして『源氏物語』を書いたものと考えれば、これからドラマのほうにも、物語中に描かれる平安時代の様々な名シーンが登場するのでしょうか。つらつら思いつくだけでも、「藤の花宴」(右大臣家の姫君と一夜を共にし、名を告げることなく扇を交換する…『朧月夜』)や賀茂祭(源氏の正妻・葵の上と愛人である六条御息所が鉢合わせ)、月見の宴(京を追われた源氏が須磨で明石の上と月を愛でる)等など枚挙にいとまがありませんが、ヲタク的に1番映像化してほしいのは、やはりあの、光源氏と頭中将が、唐から伝わった二人舞の青海波(せいがいは)を披露する場面かしら……。٩(♡ε♡ )۶源氏があまりにも人間離れした美しさであったため、「不吉過ぎる美しさだ。こんなに美しい人は神隠しにあうのでは」などという口さがない噂が出るほどでしたよね。打毬(だきゅう)より、青海波プリーズ!!(笑)

 

 ……って、結局何が言いたかったんだっけ(^_^;)……あっ、そうそう、宮廷の人々と交わりはじめたヒロイン・まひろの周りでは、良しきにつけ悪きにつけ実に様々な出来事が起こりますが、脚本家の大石静氏は、まひろを徹頭徹尾、知性の勝った客観的な観察者として描いているところが上手いな、と思います。私たち視聴者も、まひろの視点を通して、当時の貴族社会をそっと覗き見しているような気になる。それも対象はやんごとなき天皇様や、歴史物語や和歌集に登場する貴人たちよ?そんな方々が繰り広げる愛憎ドロドロ……それを黙ってじっと観察するまひろと私たち。まあなんて淫靡な楽しみ方なんでしょう(笑)

 
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※ヒロイン・まひろ(後の紫式部)を演じるのは、吉高由里子。この方のふだんのキャラからいくと、源倫子(黒木華)の不思議ちゃんキャラのほうが適役なのでは…?なんて当初は思っていましたが、まひろの鋭く、硬質な感じを巧みに表現していて、素晴らしいです。

 

 「見る女」、「観察者」まひろの面目躍如だったのが、第10回、藤原道長柄本佑)と初めて契りを結ぶシーン。政治のドロドロ派閥争いに嫌気がさした道長が、まひろに駆け落ちを持ちかけますが、彼女は即座に「あなたが今、政(まつりごと)から逃げたら、この世を正す人がいなくなる。私はあなたが世を変えていくさまを見ていたいのです。」と切って捨てます(笑)。カッコよかったよね、まひろ。自分自身の特性を早くから見抜いて我が道を行く、ブレない女。彼女は、生まれながらの名評論家といえるのではないでしょうか。この夜のシーン、演じるのが稀代のラブシーンの名手、吉高由里子柄本佑なんで絵面はめっちゃエロいんですが、まひろの台詞をよくよく聞いてみると、かなりバッサリ切られてるよね、道長(笑)。

 

 そんな彼女の批評眼に、これからどんな景色が映っていくのか。私たち視聴者もまた、息を潜めて成り行きを見守ることといたしましょう。

今、『光る君へ』が面白い!①〜麗しき女人たち


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 ヲタクが今ハマってるのは、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』!うん、いいですよね。汗臭く泥だらけの合戦モノから華やかな宮廷絵巻へ。脚本も演出も主役も女性が深く関わっている。こういう大河ドラマが見たかったのよ!……あ、男臭い時代劇を否定するわけじゃ、ありませんよ。たまには…たまには、ね?こういうのもいいよね、新鮮で。

 

 『源氏物語』は、男女の愛憎が濃密に描かれていて、男性に選ばれ、通われなければ価値を為さないかのような当時の貴族社会の女性の、恋愛や結婚生活での悲哀や懊悩や怨念が溢れ返っていて、時に息苦しいほどでしたが、『光る君へ』に登場する女性たちは皆賢く、ヒロインのまひろ(吉高由里子)をはじめとして、男たちの野心や権力争いに翻弄されつつも、運命に抗い、それを乗り越えようと奮闘します。NHK大河史上初の「女縁のドラマ」と言っても過言ではありますまい。

 

 『源氏物語』には魅力的な女性たちが登場しますが(ヲタクは個人的に、光源氏狂言回しの役割で、主役は彼が恋するあまたの女性たちだと思っております)、『光る君へ』を見ていると、(あっ、この人はきっとあの人がモデルなのね)という場面が度々出てきて小ネタ満載、何とも面白いです♬

 

★『光る君へ』を彩る麗しき女人たち


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※ヒロインまひろ(後の紫式部吉高由里子)が五節の舞姫を務めるシーン。『源氏物語』にも、源氏がかつて五節の舞姫を務めた「筑紫五節の姫君」(父親が筑紫太宰府の役人だった)に懸想するくだりが出てきますよね。

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円融天皇に入内し、たった1人の皇子を産んだにも関わらず、天皇に疎まれ、憎まれ、孤独を深めていく藤原詮子(吉田羊)。弘徽殿女御か光源氏の最初の正妻・葵の上のモデルかしら。ヲタクも若い頃は源氏の寵愛を受けた紫の上や明石の上に憧れていたけど、年取ってからは、身分が高くても愛を得られず、孤独に苦しむ女人たちに心惹かれるようになりました。

 

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※後に藤原道長柄本佑)の妻となる源倫子(黒木華)。春風のようにたおやかかと思いきや、笑いに包んで鋭いホンネをかましてくる、どこかとらえどころのない、しかしめっちゃ魅力的な女性。彼女の猫好きエピソードは、光源氏最後の正妻、女三の宮を思い起こさせます。女三の宮もふわふわした不思議ちゃんだもんね(笑)


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※ヲタクイチ推しはこの人!当代随一の教養人にして女流歌人赤染衛門(凰稀 かなめ)。迸る知性と凛とした佇まい……。お慕いしておりまする〜(笑)

 

 健気で辛抱強く、魅力キラキラな女性たちに引き比べて、男性のキャラはどこか頼りなく、権力争いに汲々とするさまはどこか滑稽です。自分の出世の為なら天皇にさえ毒を盛る冷酷非道な陰謀家であるかと思えば、悪夢にうなされて妾の藤原 寧子(『蜻蛉日記』の作者・財前直見)に(ボクチン、コワイ)とばかりにすがりつく藤原兼家段田安則)や、おカネのためには何でもしがちな?安倍晴明ユースケ・サンタマリア……晴明よ、オマエもか。なんでこんなに堕落しちゃったんじゃ〜(ToT)『陰陽師ゼロ』の山崎賢人くんがこうなっちゃうのね……笑)、愛妻・忯子(井上咲楽)がいないとなーんもできん花山天皇(本多奏多……『キングダム』同様、上手いなぁ狂える貴公子が 笑)、仕事のグチを延々と話すものだから、妻から「私に話さないで日記にでもかけば!」と言われちゃう藤原実資ロバート秋山)……etc.etc.マトモなのは藤原道長柄本佑)とまひろの父・藤原為時岸谷五朗)くらいかしら(^_^;)

 

 しっかし、町田啓太や本多奏多など当代きってのイケメン俳優を揃えたはずが、演じる若い公達(きんだち)、ゲスばっか。イケメン俳優の無駄遣い…(^_^;)まあ彼らも厳しい身分制度でがんじがらめにされ、当時の貴族社会のシステムの中で右往左往しているだけなんで、現代人のヲタクが文句つけてもしょうがないんだけどね。

 

 若い公達と言えば、『源氏物語』の帚木の章、あの有名な「雨夜の品定め」を想い起こさせるこんな場面も。

 

 平安京いちのモテ男、左大臣の息子・藤原公任(町田啓太)は宮廷の若い女房たちから数え切れないほど恋文をもらってるらしく、「字は上手いが顔が悪くて」「たまに(貰った文を)便所に落としちゃう」など、言いたい放題(^_^;)それを受ける藤原斉信(はんにゃ・金田哲)も「そりゃ運が悪い」だって。全くねぇ……。


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※政(まつりごと)そっちのけで女性の品定めに興じる若い公達たち。軽いなー、軽すぎるよ、君たち(笑)大河出演2回目の町田啓太くん、『青天を衝け』あの凛々しい土方歳三今いずこ……(泣)

 

 この場面は昔も今も変わらぬ若者のありがちなエロトークなんですが、公任たちの軽々しいトークを、

※「雨夜の品定め」に昇華させるなんて、さすが稀代の天才ストーリーテラー紫式部

※この時、光源氏は義母である藤壺女御と許されぬ恋の真っ最中、しかもその後、会話の相手の頭中将の昔の愛人・夕顔となさぬ仲になる……という展開でかなりドロドロしております。


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※何もかも捨てて駆け落ちしようと迫る道長に、「それはなりませぬ。あなたは良き政を為すために生まれて来た。私はそんなあなたを死ぬまで見つめ続けます」と言い切るまひろがカッコよすぎて泣いた…… 。

 

 先日の第7話で紫式部のライバル、清少納言ファーストサマーウイカ)も初登場したことだし、これからますます面白くなってきそうな予感!!

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