オタクの迷宮

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なんてったってユーリー・ボリソフ❗️〜「Anora アノーラ」

 
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 テラスモール湘南内のシネコン、109シネマズ湘南にて「Anora アノーラ」観賞。

 

NY でストリップダンサーをしながら暮らすアノーラ(愛称アニー)。クラブでロシア富裕層の御曹司、イヴァン(マーク・アイデルシュタイン)と出会います。アニーは彼がロシアに帰るまでの 7 日間、1 万 5 千ドルの契約金で「レンタル彼女」になることに。毎夜のパーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごすアニーはまるで「プリティ・ウーマン」(1990年…NYのコールガール(ジュリア・ロバーツ)が、億万長者の実業家(リチャード・ギア)と恋に落ちるロマコメ)状態(笑)契約が終わる頃にはもはや離れられない仲になった2人はなんと、ラスベガスの教会で電撃結婚❗️幸せ絶頂の2人でしたが、息子がセックスワーカーアメリカ人と結婚したとの噂を聞いたロシアの両親は激怒、結婚をなかったことにしようと、アノーラを脅しにマッチョ男たちを息子の邸宅へと差し向けます。しかし大暴れするアノーラをマッチョ男たちは持て余し、ビビったイヴァンは邸宅から逃げ出して行方不明に(^_^;)なぜかマッチョ男たちを従えて❓️懸命にイヴァンの居所を探し回るアノーラですが……。

 

 インスタ等で発掘したズブの新人を主役に据えることも多いというショーン・ベイカー監督が当て書きしたというだけあって、ヒロイン役のマイキー・マディソンがパワフルでピュアなアノーラ役を好演、もうキラキラ輝いてます。今回のアカデミー賞主演女優賞、大本命はデミ・ムーアとの大方の下馬評を覆して彼女が見事受賞しましたが、それも宜なるかな……といった感じ。ヒロインのアノーラは苗字がミケーヴァなので、おそらくロシア移民の二世か三世……といった設定なのだと思いますが(彼女自身は本名を嫌い、アメリカ名「アニー」で通している)、セックスワーカーとして搾取されてきた彼女が、千載一遇のチャンスを必死に掴み取ろうとする姿に胸が熱くなります。当初、レンタル彼女の契約を交わした時はあくまで金銭にこだわり、ロシア富豪のボンボン・イヴァンをコントロールしようとしたアノーラ。しかし付き合ううちに、天真爛漫なイヴァンに次第に心を寄せ始めます。シンデレラの夢を見始めるのです。……しかし、所詮夢は夢。「プリティ・ウーマン」のようなバブリーなロマコメみたいにHappily Ever After(末永く幸せに暮らしましたとさ)…とはいかない。厳しい現実が彼女の前に立ち塞がります。ラスト、絶望の淵に立たされたアノーラに、差し伸べられた武骨だけれど温かな手。その手にすがって大泣きする彼女の姿に、不覚にもヲタクは目頭が熱くなりました。移民やセックスワーカー貧困層等、社会的弱者に向けられたショーン・ベイカーの温かな眼差しが感じられるシーンだったと思います。イヴァンやその両親はとんでもない人非人で、性産業に従事するアノーラのことを人間扱いしていないのに、用心棒のイゴール(ユーリー・ボリソフ)をはじめとする手下のマッチョ男たちのほうが紳士の設定なのも、ベイカー監督の隠れた意図が読み取れるような気がしますね。

 

 アカデミー賞受賞式のスピーチの中で現在映画業界が置かれている厳しい現状に言及し、

である皆さんは、子どもたちに劇場で映画を見せてください。そのことが次世代の映画ファンやフィルムメイカーを育てるのです。そして私たち全員が、できる限り劇場で映画を観ましょう。そして、映画体験という素晴らしい伝統を守りましょう

 

と、訴えかけたベイカー監督。私たち観客もまた、映画館に通い続けます。映画という素晴らしい伝統を守り抜くために。

 

★なんてったってユーリー・ボリソフ❗️


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 ……ハッキリ言って、映画の中盤でユーリー・ボリソフが登場してからと言うもの、彼からずっと目が離せなかった。「コンパートメントNO.6」を観て以来、ずっと彼に注目してきたヲタクですが、「アノーラ」の、寡黙な中に純朴さを滲ませる彼の神演技は、「コンパートメント〜」を遥かに上回った❗️登場人物の多くが喋りまくる(しかもFour-letter Word )この映画の中で、彼演じるイゴールだけが驚くほどセリフが少ないですが(笑)、彼の吸い込まれるようなブルーアイズが、言葉よりも遥かに多くを物語るのです。イゴールこそ姫様を守るモノホンのナイトだと思うんだけど、それはヲタクが年寄りだからそう思うんであって、若いアノーラには彼の良さはまだまだわかんないだろうなぁ(笑)

 

 昨年のゴールデン・グローブ賞に引き続き、ロシア人であるというハンデを乗り越え、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたユーリー。ロシア人俳優がアカデミー賞にノミネートされるのは、なんと50年ぶりだそうです。

 

 今回「アノーラ」はアカデミー賞作品賞ショーン・ベイカーの監督賞、脚本賞など主要5部門総ナメで、最多受賞作品となったわけですが、ベイカー監督を取り囲んでスタッフやキャストが会場でわちゃわちゃやってる中、ちょっと場違いな感じで、照れ臭そうに立ってるユーリーにヲタクは萌えました(笑)トランプがゼレンスキーと会談決裂したばかりのこの時期、ユーリの助演男優賞受賞は、「アプレンティス/ドナルド・トランプの創り方」で若き日のめっちゃカッコ悪いトランプを演じて現大統領を徹底的にコケにしちゃった我が推しセバスチャン・スタンの主演男優賞と同じくらい受賞の可能性は低かったよね。でもいい❗️ヲタクの中ではアカデミー賞助演男優賞はユーリー・ボリソフだし、主演男優賞はセバスチャン・スタンなんだから(笑)

 

★昨年から「Anora アノーラ」が観たくてたまらなかったヲタク^^;

2025年公開が楽しみな映画〜「ANORA アノーラ」 - オタクの迷宮

 

★世界がユーリー・ボリソフに注目したフィンランド映画「コンパートメントNO.6」。世界最北端の街へ向かう寝台列車で、失意のフィンランド女性(セイディ・ハーラ)が出逢ったのは、粗野なロシア人労働者の青年(ユーリー・ボリソフ)で……。ベイカー監督はこの映画を観て、イゴール役をユーリに当て書きしたそう。

映画自体も素晴らしく、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。


最後に愛は勝つ〜『コンパートメント No.6』 - オタクの迷宮