オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

ジャクロくんの歌声に2度オチする(笑)~「イングランド・イズ・マイン」

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(Photo of Manchester from Pixabay)

本日から上映の ジャック・ロウデン主演「イングランド・イズ・マイン~モリッシーはじまりの物語」新宿武蔵野館にて観賞。

 

  2年前「ダンケルク」のヒロイックな英国空軍のパイロット・コリンズ役、殆どゴーグルと酸素マスクで顔拝めず、マスク取った時の客席の女子の声にならないどよめき(笑)クリストファー・ノーラン監督のニクイ演出で大注目🎵その後、BBCドラマシリーズ「戦争と平和」の青年貴族ニコライ、「否定と肯定」新進気鋭の弁護士、「ふたりの女王~メアリーとエリザベス」野心と小心が絡み合う複雑な男色家ダーンリー卿、Netflix「最悪の結末」ふとしたことから罪を犯してしまう平凡な青年…と見てきて、まさに役柄によってビジュアルも演技もガラリと変わる、変幻自在なトリックスターにオチました(笑)

 

  そして、ついに今日❗ずーっと、見たい見たいと言い続けてきた、念願の若き日のモリッシー。当時26才のジャクロくん、どこから見ても17才のモリッシーにしか見えない😲

 

題名の「England is mine(イングランドは僕のもの)」は、ザ・スミスの代表曲「Still ill(まだ病んでる)」の1節からとられたものです。

今日、僕は宣言する
人生とは奪うもの、与えるものではない
イングランドは僕のもの、僕を生かす責任がある
なぜかって聞くのなら、君の目の中に唾を吐いてやる

  モリッシーの大ファンだという監督は、ありがちな「スターの成功物語」として描写していません。  若い人が見たらまさに自分のことかと思って共感できるだろうし、ワタシみたいなオバサンが見たら、ああ、自分にもあんな、何者にもなれそうもない絶望感と、自分はこんなところに燻っているような人間じゃない、未来には何か待っているはずという根拠のない矜持の間を振り子のように揺れた時期があったんだろうかと胸が痛くなるはず。

 

  ジャクロくん自身、最初は弟と二人でバレエの道を目指していて、弟は現在プリンシパルを務めるほどの天才で、ジャクロくんはバレリーノとしては才能がないと、演劇に転向したわけだから、あの若さで挫折も味わってる。映画のモリッシーみたいに、「何者にもなれそうもない」不安と絶望の袋小路みたいな時期は絶対あったと思うんだよね…。そばに弟の天才ぶりを見ていたから、余計辛かったのかな…と。でも、その体験はこの映画に見事に生きた。

 

  若さが胸にイタイ映画ではあるんだけど、随所に英国式のシニカルなユーモアがあって、けっこうくすりと笑っちゃいます。気の進まない女の子とデートで、「何食べる❔」「毒入りなら何でもいい😱」とか、「ボクの頭の中に失敗という文字はない」って言うモリッシーに、お姉ちゃんが「バカだからでしょ❔」って突っ込んだり。モリッシーが職安の面接官にいろいろ質問し始めて、「面接官はオレだ」ってキレられたり…😅

 

  一緒にバンドを組んだ友達だけがプロのバンドにスカウトされ、絶望したモリッシーはしばらく外に出られなくなります。ある日、かっとしたモリッシーは壁紙を破り、本を投げつけ…。「世界はボクを必要としていないんだ」と泣くモリッシーに、お母さんが「それならあなたが(新しい)世界を作ればいいのよ」って励ますところ、ぐっと来ました😢で最後にお母さんの「大丈夫、少なくとも壁紙は破れたんだから(自分の殻だって破れるよ)」の一言にモリッシーがくすりと笑って、それが立ち直るキッカケになるんですね😊いいな~こんなユーモアのあるお母さん。モリッシー幸せくんだよ(笑)

 

  オスカー・ワイルド全集を読んでたり、好きな歌手はセックス・ピストルズデヴィッド・ボウイ、マリアンヌ・フェイスフル…。個人的にツボ満載(笑)

 

  ジャクロくんのいつも通りの、その時々の感情を丁寧に、細やかに紡いでいくような演技に魅了されます。…でも今回の作品の一番の見せ場は彼の歌声❗❗ギル監督が初めて聴いた時、「ジャックがこんなに歌えると思わなかった」といって、即吹き替えなしでいくことに決めたというその歌声。超絶セクシーで、オタク、二度オチいたしました😅