オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

アーロン・テイラー=ジョンソンとグスタフ・スカルスガルドも❗❓〜『ノスフェラトゥ』


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 ヲタクが最も新作を待ち望んでいる監督の1人、ロバート・エガース(『ライトハウス』)。つい最近まで、日本では超大作『ノースマン 導かれし復讐者』が絶賛公開中でしたが、監督の次なる作品は、映画史上不朽の名作、ドイツ表現主義の巨匠フリードリヒ・ヴィルムヘルム・ムルナウ監督の吸血鬼映画『ノスフェラトゥ』のリメイク❗ストーリーの舞台は、19世紀のドイツ。ルーマニアトランシルバニア地方からやって来た不死の吸血鬼、ノスフェラトゥから魅入られた若い女性の底知れぬ恐怖を描いたゴシック・ホラーです。

 

 吸血鬼ノスフェラトゥ役にビル・スカルスガルド(『イット/IT それが見えたら終わり』、彼から付け狙われる美女役にリリー=ローズ・デップの2人がキャスティングされたと正式に公表されてしばらく経ったのち、第二弾として我が推しニコラス・ホルトウィレム・デフォー、エマ・コリンの名前が上がりました。

 

 今日「Film Updates」のツイッターにUPされた写真を見ると、先日は発表されていなかったアーロン・テイラー=ジョンソン(『キック・アス』のオトボケヒーローから『アンナ・カレーニナ』のロシア貴族、『ノクターナル・アニマルズ』の悪のカリスマ、『ブレット・トレイン』のコミカルな演技に至るまで、この人のカメレオンぶりも凄いです)やグスタフ・スカルスガルド(ビル・スカルスガルドのお兄ちゃん)が写ってる〜〜😍2人、どんな役なのかなぁ…。そもそも『ノスフェラトゥ』って、そんなに人がわらわら出てくる映画だったっけ❓(笑)

 

 エガース監督のことだから、今回の作品も単なるホラー映画に留まらず、人間の魂の深淵を覗き込むような闇深い作品になりそうですが(^_^;)この写真を見る限り、みんなお酒で顔赤くして仲良しこよし、異国の春を楽しんでいるもよう🎵(チェコプラハで撮影中らしいです)

 

……それにしてもビル・スカルスガルドって、顔ちっちゃ❗パリコレモデルみたいな吸血鬼(笑)

 

 

 

ジョシュ・オコナー✕ポール・メスカル、ゲイロマンス『THE HISTORY OF SOUND 』で共演


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 『THE HISTORY OF SOUND 』は、第一次世界大戦中、アメリカの農夫たちの声や音楽を記録する傍ら、自らの人生を振り返る2人の青年ライオネルとデヴィッドの物語。ベン・シャタック原作の短編の映画化です。演じるのはポール・メスカルとジョシュ・オコナー。ポール・メスカルは『グラディエーター2』の為に鍛え上げた肉体を一旦元に戻してから撮影に臨むようで、かなり大変そうですね(^_^;)

しっかしポール・メスカルは最近、破竹の勢いですねぇ…。前身はサッカー選手という異色の経歴を持つ彼。俳優に転身してからというものあっという間に頭角を表し、『After Son』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたかと思えば、今回ウェストエンドの舞台『欲望という名の電車』でローレンス・オリヴィエ賞主演男優賞を受賞❗……どこまで行っちゃうのか想像もつきません(笑)

 

 さて、『THE HISTORY OF SOUND』のストーリーは……。

 ニューイングランド音楽学校で知り合った、似通った部分と同じくらい異なる部分も併せ持つ2人。絶対音感と完璧な歌声の持ち主で内気なライオネルと、社交的で音楽史に精通するデヴィッド。ニューポート出身で洗練されたデヴィッドはボストンの上流社会にもすんなり馴染んでいましたが、ケンタッキーの田舎出のライオネルは気まずく、居心地の悪さを感じていました。彼らは夏休みに田舎を旅し、共に土地の人々から音のサンプルを収集するうち、互いの共通点を発見して、次第に惹かれ合っていきます。

 

 監督はオリバー・ハーマナス。…そう、現在上映中の黒澤明監督作品のリメイク『生きる LIVING』の監督です。

 

 僕はこのベン・シャタックの完璧なまでに美しい短編に恋してしまって、これはぜひスクリーンに再現せねば……と思い立ちました。ポール(メスカル)とジョシュ(オコナー)は彼らの世代の中で最も卓越した俳優たちで、魂を深く揺さぶるような演技を見せてくれるに違いありません。この作品は20世紀初頭のアメリカの生活や民族音楽を巡る旅であり、音の歴史を探るうちに思いがけなく恋に落ちる青年二人の物語でもあるのです。

 

 シャタックの短編はオンライン書籍でも読むことができるようです。撮影は夏からアメリカ、英国、イタリアで行われる予定。続報をお楽しみに❗

話題作・問題作が目白押し〜オースティン・バトラーのこれから

 FilmUpdatesに、「オースティン・バトラーの今後のプロジェクト」と題する記事が❗この記事を元ネタに、今ハリウッドで最も期待値の高い俳優オースティン・バトラーのこれからの出演作品を見ていきましょう。


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★マスターズ・オブ・ザ・エア

『Masters of the air』は、スティーブン・スピルバーグトム・ハンクスが共同制作した戦争ドラマの名作『バンド・オブ・ブラザース 』と『ザ・パシフィック』に続く三部作の最後を飾るドラマシリーズで、第二次世界大戦におけるアメリカ第8空軍のドキュメント『 Masters of the Air:America’s Bomber Boys Who Fought the Air War Against Nazi Germany(空の支配者:ナチスドイツとの空戦を戦ったアメリカの爆撃機少年たち 』(ドナルド L ミラー)が原作となっています。

 高度25,000フィートを飛行する第8空軍の爆撃隊と、それを対空砲と戦闘機で迎撃するナチスドイツとの激しい攻防戦を描いたドラマ。スピルバーグトム・ハンクスは2019年にHBOと契約しましたが、制作費が2億ドルまで膨れ上がったためHBOが撤退してしまい、Apple TV+と契約し直したという曰く付きのドラマです😅

 

 オースティンをはじめとして、バリー・コーガン、カラム・ターナー、アンソニー・ボイル、フレディ・カーターなどイケメン演技派総出演、第2の『ダンケルク』(クリストファー・ノーラン監督)になりそうな気配です。


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※『DUNE/砂の惑星 PART 2』を彩るゴージャスなメンツ

 

★『DUNE/砂の惑星 PART 2』

  PART1では、皇帝とハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)の陰謀により父レト(オスカー・アイザック)を殺されたアトレイド家の嫡子ポール(ティモシー・シャラメ)と継母のジェシカ(レベッカ・ファーガソン)。二人が暗殺者の手をかわし、広大な砂漠を命からがら逃げるうちに砂漠の民フレメンと出逢うところまでが描かれました。そこでポールは運命の恋人チャニ(ゼンデイヤ)と廻り合います。PART2、二人は離れがたい絆で結ばれ、子どもも生まれますが、砂の惑星統治権を完全に手中に納めるため、ポールは皇帝の娘であるイルラーン姫(フローレンス・ピュー)と政略結婚をすることを余儀なくされます。

 

 オースティンはポールの宿敵であり、知力武力あらゆる面でポールに匹敵するカリスマの持ち主であるフェイド・ラウサ役❗ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はPART2でフェイド・ラウサを初登場させることについてELLE誌でこんなふうに語っていますよ。

 

 これは、個人的に決めた選択なんだ。最初のパートでは、多数のキャラクターが登場した。だからフェイドはPART2までキープしておくほうがエレガントだろう?

 

 PART2で、オースティンの演じるフェイド・ラウサが最重要人物として登場することは間違いありませんね❗

 


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※『The Bikeriders』撮影現場にて。左から、トム・ハーディエモリー・コーエン、オースティン・バトラー。

 

★『The Bikeriders/ライダーズ』

『The Bikeriders/ライダーズ』(ジェフ・ニコルズ監督)の時代背景は1960年代、アメリカ中西部のライダーズクラブ(架空)が舞台。1967年に出版されたダニー・リオンの写真集「The Bikeriders/ライダーズ」に、ニコルズ監督がインスピレーションを得たのがそもそものきっかけのようです。当初は地元の社会からはみ出した不良たちの溜まり場だったライダーズクラブが、次第に邪悪なギャング集団に変貌していき、元々のメンバーたちの人生を脅かすことになる……というストーリーのようです。

 

 共演はジョディ・カマー(『キリング・イブ』でブレークし、映画『最後の決闘裁判』や、鮮烈なウェストエンドデビューを飾った一人芝居『プライマ・フェイシィ』で近年各方面から熱視線を浴びている彼女。『プライマ・フェイシィ』ではついにローレンス・オリヴィエ賞主演女優賞までかっさらいました)と、あのトム・ハーディ


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※この写真がどうも『The Bikeriders』撮影時のマイクっぽいんだよねぇ…

 

……そしてそして、ヲタクが最も楽しみにしているのが、ヲタク最愛の推し、マイク・ファイストの出演が告知されたこと❗❗推しと推しの共演ほどコーフンすることはありませんからねぇ…(笑)公開の日を指折り数えて待ってます🎵


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★『City on Fire』

そして最後は、前回当ブログの記事で取り上げたばかりの『City on Fire』。

 

『City on Fire』は昨年4月に出版されたばかりのクライムノベル。今回映画化されるのは三部作のうちの第一章で、第二章の『City of Dreams』はなんと、今月の18日❗に出版予定だそう。この三部作は、ギリシャ叙事詩イリアス』『オデュッセイア』『アエネーイス』等の要素を、現代のクライムストーリーに反映したものになっているとか。

 

 舞台はニューイングランド。街を牛耳るアイルランド系とイタリア系の2大マフィア。現代の「トロイのヘレン」がこの2つを引き裂き、血塗られた抗争に発展していきます。オースティンは主役のダニー・ライアンを演じます。街のチンピラから、家族、友人、愛する故郷を守るため、冷酷なボスに変身を遂げていきます。イタリアンマフィアや地元警察、権力との生死を賭けた闘いの中で、彼は自身の帝国を築き上げようとしますが……。

 

 この作品でオースティンは主演だけでなく、プロデュースにも進出することが発表されました。俳優だけでなく、いち映画人としての彼の今後の活躍に大注目❗ですね。

 

オースティン・バトラー『業火の市(まち)/City on Fire』主演&プロデュース


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 またまたオースティン・バトラーのニュースをお届けします❗(嬉)精力的だなぁ…オースティン😍今回はプロデュースも兼任なんて、『エルヴィス』のバズ・ラーマン監督の予言通り、「第2のレオナルド・ディカプリオ」街道まっしぐらぢゃ❗

 

 オースティンが主演&初プロデュースするのは、※ドン・ウィンズロウ原作の『業火の市/City on Fire』。配給はソニー3000ピクチャーズ。ソニーはこの映画化にかなり力を入れているもようで、早急に脚本家と監督の会議が持たれる予定とか。(オースティンがソニー・ピクチャーズに出演するのは、クェンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)以来)

※かけがえのないものを奪われたとき、
男たちは血で染まる道を歩み始める――
鬼才ウィンズロウが放つ
新3部作の幕開け!『ゴッドファーザー』以来、最強のギャング小説」
――CWA受賞作家スティーヴ・キャヴァナー

 

『業火の市/City on Fire』は昨年4月に出版されたばかりのクライムノベル。(日本では田口俊樹さんの訳で、ハーパーブックスから発売中)これは三部作のうちの第一章で、第二章の『City of Dreams』はなんと、今月の18日❗に出版予定だそう。この三部作は、ギリシャ叙事詩イリアス』『オデュッセイア』『アエネーイス』等の要素を、現代のクライムストーリーに反映したものになっているとか。

 

 舞台はニューイングランド。街を牛耳るアイルランド系とイタリア系の2大マフィア。現代の「トロイのヘレン」がこの2つを引き裂き、血塗られた抗争に発展していきます。オースティンは主役のダニー・ライアン。アイリッシュのほうですよね。街のチンピラから、家族、友人、愛する故郷を守るため、冷酷なボスに変身を遂げていきます。イタリアンマフィアや地元警察、権力との生死を賭けた闘いの中で、彼は自身の帝国を築き上げようとしますが……。

 

 映画化に当たりオースティンと既に話し合った原作者のウィンズロー氏は「『エルヴィス』を観た人全員がそうであったように、私も彼の演技に驚愕したよ。オースティンとはこの三部作について何度も何度も話し合った。30年もの長い年月を費やした私のライフワークとも言うべき作品に彼がこれほど深く関わり、主演のダニー・ライアンを演じると同時にプロデュースもしてくれるなんて、感激の極みだよ」とベタボメ❗

 

 オースティンの最近の快進撃を見ていると、俳優としての才能はもちろんなんだけど、仕事に対する真摯且つ積極的な姿勢、不断の努力(彼の読書量はハンパない)が周囲にも確実に認められつつあるのを感じます。

 

これから彼の成長を見守っていくのがめっちゃ楽しみ❤

 

キャストが最高❗〜『ダンジョンズ&ドラゴンズ〜アウトローたちの誇り』


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 横浜駅ビル上のシネコンで『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』(吹替版)鑑賞。コメディは吹替版で見るのもいいですね🎵普段はだんぜん字幕派なんだけど、コメディの場合に限っては、(このアメリカンジョーク、翻訳者の人どうやって日本語に直すんだろう)とかついつい気になっちゃって(^_^;)(ヲタク、10年ばかり翻訳を生業としていた時代があったものですから…)今回の『ダンジョンズ〜』、ダジャレやジョーク満載のコメディアクションでしたが、セリフがテンポのいい、こなれた日本語になっていて、翻訳者の方に脱帽❗です。

 

 世界初のロールプレイングゲームとして知られる『ダンジョンズ&ドラゴンズ』。ゲームの実写版が成功するか否かは、登場キャラにどれだけ人間的魅力を持たせられるかにかかっているかと思うんだけど、今回は大成功でしょう❗それぞれ見事にキャラ立ちしてるし、演じる俳優さんたちが魅力的すぎる……😍……って単にヲタクの大好きな人たちが勢ぞろいしただけ?(^_^;)


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 聖騎士ハーパーの一員だったエドガン(クリス・パイン)は貧しさから妻子を救うため、出来心で宝物の盗難を働き、相棒のアマゾネス、ホルガ(ミシェル・ロドリゲス)と共に投獄されてしまいます。娘キーラ(クロエ・コールマン)に会いたい一心で脱獄した2人ですが、元の家にキーラの姿はなく、エドガンは昔の仲間のフォージ(ヒュー・グラント)が宝物を独り占めし、その上キーラも連れ去ったことを知ります。フォージは金をばら撒き民衆を懐柔して、領主に収まっています。フォージは強大な魔力を持つ邪悪な魔女ソフィアを側に置いており、彼の城は鉄壁の守りを誇ります。エドガンは城に忍び込むため、落ちこぼれの魔法使いサイモン(ジャスティス・スミス)や、フォージの悪政に反抗しているドルイドのドーリック(ソフィア・リリス)、聖騎士のゼンク(レジ=ジーン・ペイジ)を仲間につけ、フォージの城を目指しますが……❗


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※『ブリジャートン家』で大ブレイクしたレジ=ジーン・ペイジ。正統派イケメン登場…と思いきや、「クソッタレ❗」と叫ぶホルガに、「キミ、クソをタレたのか?」って大真面目に聞いちゃう天然クン(笑)

 

 主役のクリス・パイン、『ワンダーウーマン』シリーズの絵に書いたようなイケメンより、今回みたいな愛すべきズッコケ父ちゃんのほうが魅力的😍。娘キーラが『ガンパウダー・ミルクシェイク』でヒロイン、カレン・ギランと共闘して強烈な印象を残した天才子役のクロエ・コールマンだもんね。(カレン・ギラン、すっかり食われてたよね^^;)可愛いだけぢゃなくて、賢さが隠し切れないところがいいのよね。(芦田愛菜ちゃんみたい)ラスト、父娘の再会は泣かせます、泣かせます😭

 

 エドガンの相棒ホルガにミシェル・ロドリゲス。はいっ、ご存知『ワイスピ』シリーズで、当代一のタフでホットなアクション・スターに上りつめた彼女。この作品でもそのワイルドな魅力を遺憾なく発揮しており、いやはやオニ強い。主役のクリスが縛られた手をほどこうと四苦八苦している間に10人くらいなぎ倒してるし(笑)。

 

 ヒュー・グラントも、サイコなラスボスタイプより、『英国スキャンダル』や今回の作品みたいに、情けない小悪党のほうが似合ってる。……あ、決してヒュー・グラントご本人が情けない小悪党だと言っているわけではありません、念のため(笑)


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※様々な生き物に変身できる術を使うドルイドのドーリック(ソフィア・リリス)。

 

 そこはかとないロマンスを感じさせるのは、A24制作『Sharper 騙す人 』(Apple Tv+)で、大ベテランのジュリアン・ムーアやセバスタを向こうに回して大活躍だったジャスティス・スミスと、今注文のライジングスター、ソフィア・リリス。(2人は、MCU『エターナルズ』のドルイグ(バリー・コーガン)とマッカリ(ローレン・リドロフ)みたいな仲良しこよし。カワイイ😍)特にソフィア・リリスは『イット/IT それが見えたら終わり』や『ナンシー・ドリュー 秘密の階段』のオールアメリカン・ガールから一転、清楚でエアリーな妖精そのもの。(外見に反して、毒舌家でツッコミ激しいキャラ設定も◎❗)

これから来そうですよね、彼女。

 

 とにもかくにもキャストもストーリーもアクションも最高なこの映画、笑って泣いて、スカッとしよう❗

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの凸凹コンビが帰って来た〜Netflix『マーダーミステリー2』

 
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美容師として働くオードリー(ジェニファー・アニストン)と元警察官のニック(アダム・サンドラー)、倦怠期でミステリーオタクの凸凹コンビが帰ってきた〜〜❗

 

 前回のPART1では、夫妻が15年目のハネムーンで訪れたヨーロッパでひょんなことからある英国貴族と知り合い、彼の誘いで地中海の豪華ヨットクルーズに乗船、そこで起きた連続殺人を2人が解決するお話でした。オールスターキャストで、アガサ・クリスティの『ナイル殺人事件』のオマージュでしたよね。(ラストは、2人の長年の憧れだったオリエント急行に乗ってたしね)今回のパート2は、ハイ❗英国お家芸のスパイ映画のお株を、中年のアメリカ人夫婦がちゃっかり奪っちゃいます(^_^;) 

 

 前回の連続殺人事件を見事に解決したオードリーとニック、調子に乗って?探偵事務所をオープンしたものの、たちまち閑古鳥の経営難に。オードリーは「探偵検定」に合格して巻き返しを図ろうとしますが、ニックはどこ吹く風。またまた2人の間に秋風が立ち始めたところに、パート1の事件を共に乗り越えたインド人の大富豪マハラジャ(アディール・アクタル)から、彼の持つ地中海の島で行われる結婚披露宴への招待状が届きます。(お相手のパリジェンヌ役に『マイファミリー 遠い絆』のメラニー・ロラン)パート1で遅いハネムーンを台無しにされた2人は、「今度こそは」と、喜々として旅立ちますが、この2人の行くところ、次々と弾丸が飛び交い、刃物が舞う(笑)……なんと、新郎マハラジャが披露宴の真っ最中に誘拐されてしまいます。大富豪の誘拐事件ゆえ、MI5から命を受けて島に乗り込んできたのが、VIP誘拐の専門ミラー(『裏切りのサーカス』『キングスマン』のマーク・ストロング… 相変わらずカッコいい。スキンヘッドのイケメン…とくればユル・ブリンナーマーク・ストロングでしょ❤)。彼の著書は探偵検定にも採用されていて、オードリーは彼と一緒に仕事ができると有頂天になりますが……❗


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 マーク・ストロングが登場して来たところで既にストーリーの方向性は決まりましたよね。ヘリコプター脱出やランボルギーニのカーチェイスアストンマーティンぢゃなくて残念)、エッフェル塔での近接格闘など、007もまっつぁおの手に汗握るスパイ・アクションてんこ盛りです。……ただし主役の一人がブルックリンっ子のアダム・サンドラーなんで、取り澄ました英国紳士ふうスパイなんてクソくらえ❗……とばかりに、下ネタ連発しながらの大暴れ(笑)

 

 『RRR』が世界を席巻している昨今、ボリウッド映画ばりのダンスシーンが楽しい🎵さすがスタンドアップ・コメディアン出身の※アダム・サンドラーが昔取ったきねづか、ステップも軽々と踊りまくっています。

アダム・サンドラー、ヲタク的には『パンチドランク・ラブ』(ポール・トーマス・アンダーソン監督)だけど、あの映画でもタップダンスが上手くてビックリした覚えがある。

 

 

 

ロバート・エガース監督に夢中❤③〜「監督の好きな映画10選」

本日は前回に引き続き、ヲタクが今、大・大・大ファンのロバート・エガース監督が好きな「映画10選」後編です❗まずは、我が日本の誇る巨匠、黒澤明監督のこの映画から。

太字の斜体は、元ネタ記事のライターであるクリスティアン・ジルコ氏のコメントです)

 


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6 七人の侍

(過酷な)天候の中人間の争いが勃発し、果てしない残虐性が解き放たれるさまに注目するエガース監督が、この映画を推すのは少しも不思議ではない。

 

 す、凄いな❗古今東西、どれだけ多くの映画人に影響を与えてきたかわからない「世界のクロサワ」の大傑作ですが、天候と人間の残虐性の発露を関連づけて考えるなんて、さすがエガース監督❗……やっぱり天才だわ……。確かに『七人の侍』のクライマックス、七人の侍と村人VS野武士軍団の最終決戦、土砂降りの泥水の中だからこその大迫力。敵は激しい雨と野武士。侍たちの、武士の体面も大義もかなぐり捨てた「野生の目覚め」が凄まじかった。俳優さんたち命懸けだったらしいけど(^_^;)

 

 ヲタク、この映画は大好きでもう10回くらい繰り返し見てるけど、独自の視点や深い教養がなければ、真にその映画の魅力を語ることはできないよねぇ……(反省)


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7 黄金(ジョン・ヒューストン監督)

 一攫千金を狙ってシェラマドレ山脈に入った男たち。……しかし黄金をいざ手にした時、彼らの仮面は剥がれ、欲の本性が剥き出しになって…。

 当時の西部劇というと、ジョン・ウェインゲーリー・クーパー、アラン・ラッド等、どこを切っても清く正しく男らしいヒーローばかりで、ヒネクレ者のヲタクはいまいち乗り切れなかったものですが(白人至上主義でインディアン等先住民をめっちゃ見下してるし。今なら絶対炎上事案 笑)、この『黄金』は、ハードボイルドなノワール映画で名を馳せたハンフリー・ボガートを主役に据えただけあって、ひと味違う西部劇となりました。

 

 一攫千金を求めるうちに、次第に人間らしさを失っていく2人の男。この映画はエガースが得意とする飽くなき人間性への探求をテーマとしている。映画ファンの多くが、エガース監督にいつかは西部劇にチャレンジしてほしいと願わずにはいられないだろう。

 

 エガース監督の西部劇かぁ…。ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』顔負けのエグい話になりそうだな(笑)


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8 2001年宇宙の旅

(1968年……スタンリー・キューブリック監督)

 もはや話題にするのも憚られるくらい有名なSF超大作。何せこの映画が作られたの、1968年ですよ❗精巧に作り上げられた宇宙船の内部、「ツァラトゥストラはかく語りき」や「美しく青きドナウ」をBGMにスクリーンに広がる宇宙の壮大な光景はもちろんのこと、映画の主たるテーマとなっているA.Iの暴走の恐怖が今となっては現実のものとなりつつあることを考えると、キューブリックの天才ぶりに畏敬の念を抱かずにはいられません。……と言いながらじつはヲタク、キューブリック監督作品のイチ推しは『時計じかけのオレンジ』なんですけどね(笑)


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9 地獄の黙示録

(1979年……フランシス・フォード・コッポラ監督)

 戦争映画だというのに米軍の協力が得られないままの238日にも及ぶ長期撮影、資金調達ができずコッポラ監督は私財を投げ打ち、あまりの過酷さにキャストたちは次々と病に倒れ……。まさに撮影現場が戦場と化した曰く付きのこの映画。(ヲタクが観たのは劇場公開版。ファイナルカットはさらに30分延びたらしい(^_^;)あれ以上観たら、身が持たん 笑)エガース監督の最新作、太古のヴァイキングの復讐譚『ノースマン 導かれし復讐者』を見た時ヲタク、何の脈絡もなくこの『地獄の黙示録』を思い出したんだけど、『地獄の〜』で使用されたワーグナーの※「ワルキューレの騎行」のせいかと思ってた(笑)

ヴァイキングの信仰対象であった北欧の神々をテーマにしたリヒャルト・ワーグナー作『ニーベルンゲンの指輪』4部作の1。

 

 でも後から、エガース監督が自身のインタビューの中で、『ノースマン』の壮絶とも言える撮影現場を『地獄の黙示録』になぞらえていると知ってヲタク、エガース監督と見えない糸で繋がっているのかしらん、と思ったんでした、ぢゃん、ぢゃん❗(⇐バカ (^_^;))


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※『フィツカラルド』。ヘルツォーク監督の作品で有名になった、「怪優」クラウス・キンスキーがここでも主役を務めています。彼は過激な政治的発言で物議をかもし、撮影現場でもスタッフと衝突を繰り返して、実生活でも「怪人物」でした。

 

10 フィツカラルド

 ドイツ人監督ヴェルナー・ヘルツォーク(『アギーレ/神の怒り』『アラビアの女王 愛と宿命の日々』)によるこの作品、ヲタクは未見なのでなんとも言えないんだけど、じつはヘルツォーク監督、今回エガース監督がリメイクする『ノスフェラトゥ』を以前すでにリメイクしてる先輩なんですよね。ヘルツォーク版『ノスフェラトゥ』、ヒロイン役のイザベル・アジャーニがめちゃくちゃ色っぽくて目を奪われたけど、作品自体の出来は#@[/£€¢℃℉……だった気がするので(^_^;)、エガース監督、(ヘルツォーク監督は尊敬する先輩。『フィツカラルド』なんて良かったもんなぁ…。だけど『ノスフェラトゥ』のリメイクはイマイチだったよな。よし❗今度こそオレが……)なんて、考えてそう(笑)

 

★今日の記事の元ネタはコチラ❗🔻🔻🔻🔻🔻🔻

 

 

ロバート・エガース監督に夢中❤②〜「監督の好きな映画10選」

 昨日に引き続き、Indie Wireに掲載されたクリスティアン・ジルコ氏というライターの方の記事「ロバート・エガース監督の好きな10選」について。

 

 最近ヲタクの中で、「新作が公開されたら真っ先に映画館に駆けつけたい」監督No.1と言えばロバート・エガース監督で、しかも監督が選んだのがほぼヲタクが好きな監督の作品ばかりで、ますますヲタクのエガース監督に対する敬愛の念は深まるばかりなんであります。エガース監督自身の作品同様、決して万人に愛される作品ではありませんが、ヲタクのブログを読んで下さっている方々の好みにはきっとハマるのではないかと……。

 

 それでは早速ご紹介しましょう❗太字斜体で書かれている文章ジルコ氏のコメントを翻訳したもの、他はヲタクの好き勝手な呟きです(笑)。


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裁かるるジャンヌ

(1928年…カール・ドライヤー監督)

 有名な「オルレアンの少女」ジャンヌ・ダルク。彼女に対する異端審問裁判の一部始終から火刑に至るまでを、可能な限り史実に基づいて描いたもの。死への恐怖から一度は異端放棄するものの、再び神への絶対的な信仰心を取り戻し、決然と生きながら火に焼かれるジャンヌ。対する異端審問官の、神の名のもとにいたいけな少女を拷問にかける冷血の恐ろしさ。火刑シーンを寝る前に見るとうなされるので注意(^_^;)

カール・ドライヤー監督のこのサイレント映画の傑作は、エガース監督が1928年に映画制作に携わっていたとしたらおそらく同様の作品を作っていたであろうと思わされる。


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ノスフェラトゥ(1922年…F・W・ムルナウ監督)

戦艦ポチョムキン』や『メトロポリス』と並ぶサイレント映画の傑作❗白壁に映る異形の魔人の翳、急峻な峡谷に次第に現れいでたる吸血鬼の城……。『ライトハウス』では、このムルナウ監督の『ノスフェラトゥ』のオマージュでは…?と思わせる場面が度々登場しましたね。(当ブログでもさんざん話題にしていますが)エガース監督、その「ムルナウ偏愛」が高じて、ついにリメイク作品を撮ることに(笑)


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アンドレイ・ルブリョフ

(1966年…アンドレイ・タルコフスキー監督)

15世紀最大のイコン画家の伝記映画の体裁をとりながらじつは、芸術や精神性にまつわるタルコフスキー自身の様々な考え、また政治的抑圧下の人間の存在価値を描いた作品となっている。

 

 ソヴィエト連邦に生まれながら、何よりも「美」を追求した「映像の詩人」、アンドレイ・タルコフスキー。ヲタクは、タルコフスキーといえばその自然の美しさがすぐに頭に浮かびます。『鏡』の、雨の中に燃え上がる家、ガラスを突き破って飛び立つ鳥、『ノスタルジア』イタリアの山村に白く深く立ち籠める霧……。ヲタク『アンドレイ・ルブリョフ』は未見なんですが、ソ連当局の厳しい検閲により一部がカットされるという憂き目に遭っています。後年はフランスに亡命したタルコフスキー。他の彼の作品とは少々異質な、時の権力の横暴に対する批判を込めた作品となっているようです。


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④ペルソナ

(1966年…イングマール・ベルイマン監督)

 ヲタクは密かに、アルフレッド・ヒッチコックロベール・ブレッソン、そしてイングマール・ベルイマンを映画史上の「三大いぢわるおじさん」と呼んでいますが(^_^;)エガース監督もそれに1枚加わりますね、確実に。

『ペルソナ』は、エガース監督が追求する、自己認識や強迫観念など心理学的諸問題を内包した作品。別荘という閉鎖的空間で生活を共にする二人の女性の関係が悪化の一途を辿る……というストーリーは、エガース自身の『ライトハウス』を想起させる。


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エレファント・マン

(1980年…デヴィッド・リンチ監督)

 あの「ぶっ飛び」リンチ監督らしからぬ作品ですよね(笑)

 

この作品にはリンチ監督のシュールな世界観はどこにも見られないが、一方で、いわゆる「上流社会」に潜む邪悪さを抉り出した点で、エガース監督作品との共通点が見られる。

 

なるほど❗エガース監督が注目したのは「異形の者として生まれついた、しかし心は無垢な青年の壮絶な悲劇」よりむしろ、彼を取り巻く社会の闇……。さすが「いぢわるおじさん」(笑)



 今日は「ロバート・エガース監督の好きな映画10選」の中から、5作品をご紹介しました。次回は残りの5作品について、最終回です❗

 

★今日の記事の元ネタはコチラ❗🔻🔻🔻🔻🔻🔻

 

 

 

 

フローレンス・ピュー、ティモシー・シャラメとの再会を喜ぶ


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  『DUNE /砂の惑星 PART 2』で、皇帝の息女コリノ家のイルラン姫の役で出演するフローレンス・ピュー。彼女は以前、グレタ・ガーウィク監督の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』で既に主役のティモシー・シャラメとは共演済みですが、今回の再会についてこんなふうに言っていますよ。

 

 4年前に初めて会った人が、信じられないくらい集中力のあるプロフェッショナルな俳優になってる……。

 もちろん初めて会った時から彼の特性は変わっていないけれど、『DUNE /砂の惑星』みたいな大規模なプロジェクトよ?

 こんな超大作の主役を張る彼を間近に見れるって素敵だわ!

 

 ティモシーはティモシーで

フローレンス・ピューは本当に特別な人。

稀有な演技者だ。

『DUNE / 砂の惑星 Part2』でも、彼女は信じられないくらい素晴らしかったよ。

彼女は、演じる役柄に重厚さを加味したと思う。

と別のインタビューで語っています。

 

 相思相愛?のように見える2人ですが、さばけたアネゴ肌のフローレンスの性格等を考えると、同じ目標を目指して走る「同士」って雰囲気かな?

 

 2人の他にも、ハリウッドのニューエイジゼンデイヤやオースティン・バトラーが出演する超大作『DUNE /砂の惑星PART2』ですが、ウワサされていたヴェネツィア国際映画祭(9月開催)では上映されません😢翌10月のニューヨーク・フィルムフェスティバルでワールドプレミアが開催されるもよう。

 

ニュースが入るたびにお知らせ更新しますのでお楽しみに❗
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※『DUNE 砂の惑星』PART2を彩る煌やかなスタァたち。ティモシー・シャラメ(ポール・アトレイデス)、ゼンデイヤ(チャニ…ポールの生涯のパートナー)、フローレンス・ピュー(皇帝の息女・イルラーン姫)、オースティン・バトラー(ポールの宿敵、フェイド・ラウサ・ハルコンネン)。

 

 

 

ロバート・エガース監督に夢中❤①〜『ウィッチ』・『ライトハウス』・『ノースマン』

 Indie Wireに面白い記事見つけました〜🎵

「ロバート・エガース監督の好きな映画10選」。クリスティアン・ジルコ氏というライターの方の記事なんですが、いちいちヲタクのツボにハマっちゃったんで、今日はこの記事をご紹介します。

 

 

ロバート・エガースは映画制作のキャリアは浅く、今までに3本の作品しか監督していないが、アーティストの多くが生涯をかけてやっと持ち得る独自の「視点」を既に身につけている。


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※『ウィッチ』(2015年)

アニャ・テイラー=ジョイの透き通るような美しさが衝撃的。まさに美と恐怖の融合。

 

エガース監督は2015年の『ウィッチ』で、彗星の如く映画界に登場した。あまりにも素晴らしい内容だったため、※「Elevated Horror」などというジャンルまで生まれてしまったほど。この17世紀のニューイングランドにおけるピューリタン社会を題材にした作品で、エガース監督は人間の心の裏側に潜む闇について深い洞察力を有していることを如実に証明してみせたのである。続く『ライトハウス』で彼は「孤立」と「性的抑圧」のテーマに挑んだ。人魚をあのような形で見せられる作品は他にそうそうないだろう。『ハムレット』の元ネタとされるヴァイキング叙事詩を、歴史に忠実に彼は描いた。

※Elevated Horror

高尚なホラー、とでも訳すのかなぁ(^_^;)アート・ホラーとも呼ばれるようで、スプラッターのような、ただただ生理的に怖いホラーではなく、ドラマ性や包括的テーマ、芸術性を追求したホラー。古くは『カリガリ博士』、『ノスフェラトゥ』、『サイコ』、新しいところではエガース作品はもちろんのこと、『ヘレディタリー 継承』や『ミッドサマー』『ラム LAMB』等、主としてA24制作のホラー映画を指すようです。
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※『ライトハウス』(2019年)

ロバート・パティンソンの狂気の演技が凄まじい。この映画の中で、人魚は性的抑圧の象徴。

 

 エガースの作品は万人向けではないが、好きになるとますます沼にハマるタイプ。彼が所謂「時代モノ」を好んで制作する理由は、「現代社会が目を背けている人間の本質を描くことができるから」。「 この種の創造的作業は、安閑とした現代社会で、自分自身のエゴにしか関心の持てない状況では成し遂げるのが難しい」と、2022年のインタビューで彼は語っている。「神の名のもとに祭壇を造っていた中世の職人が羨ましい。他者の祝祭の為に仕事をすることで、創造性は培われるのだ。この退屈で商業主義にまみれた現代文化の只中にいる私から見れば、彼らを取り巻く環境はワクワクするものばかりだ」


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※歴史に忠実……というだけあって、まるで獣と人間の中間のような、泥と血と汗にまみれた当時のヴァイキングの描写がリアル(……過ぎる 笑)

 

 ジルコ氏の「ロバート・エガース論」、いちいち頷きながらヲタク、読んでしまいました。そしてそして、エガース監督の待望の新作は、ドイツ人監督ムルナウによる史上初めての吸血鬼映画※『ノスフェラトゥ』(1922年)のリメイク❗この大傑作をエガース監督がリメイクするとなればもはや楽しみ以外の何ものでもない❗

モノクロの沈鬱な映像美と、美とグロと恐怖の融合‥‥ヲタクは大好きな映画で、無声映画ベスト3を選ぶとしたら、『ノスフェラトゥ』『メトロポリス』『戦艦ポチョムキン』かな❓映画学科の学生とかなら、一度は見てるんじゃないでしょうか。


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※現在発表されているエガース版『ノスフェラトゥ』のキャスト。左からビル・スカルスガルド、リリー=ローズ・デップ、ニコラス・ホルトウィレム・デフォー、エマ・コリン。さすがエガース監督、オールスターキャストですね❤

 

 「エガース監督の好きな映画10選」、これもまたツボだらけなんですが、それについてはまた次回。(我が日本の誇る巨匠、黒澤明監督の『七人の侍』も入ってます)

 

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映画に見るウィーンの2つの貌〜『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』&『愛の嵐』

 今回ご紹介するのは、「映画で巡る四都物語」音楽の都ウィーンです。ヲタクもヨーロッパに住んでいた頃、夏休みを利用してウィーンを訪れました。パリやロンドンはあまり治安が良くなくて、絶対夜足を踏み入れてはいけない地域はあるし、ボーッとしているとすぐスリや置引きに遭うので常に緊張を強いられましたが、ウィーンは治安が良く、ウィーンっ子も大らかで親切、ノンビリと旅できたように記憶しています。……ところがウィーンを舞台にした映画というと、ヲタクが感じた街の明るい印象をそのまま描いた映画と、それとは裏腹に人間の心の闇を描いた、両極な映画が存在するような気がするんですよね。

 

 その原因は、ウィーンの持つ歴史に関連性があるような気がします。第二次世界大戦ヒットラー率いるナチスドイツはオーストリアを併合してウィーン入城を果たし、当時の首相シューシュニクはヒットラーオーストリア自治を認めてもらう見返りとして、半ユダヤの法律制定やナチス党員の内閣入閣等、屈辱的な条件を飲まざるを得なかった。しかし後年、この時のオーストリアの決断はヨーロッパ各国の批判に晒されることになりました。国際連盟加盟国でありながらなぜ連盟に助けを求めなかったのか?市民を挙げてナチスに徹底抗戦したパリやロンドンとは異なり、ヒットラー無血開城を許したウィーンは、親ナチスの烙印を押されてしまったわけです。

 

 その、ウィーンの人懐っこい貌に潜む歴史的な暗黒の部分が、ウィーンの人々の心の奥に翳を落とし、ウィーンを舞台にした作品は、時に人間の魂の内奥を抉り出すようなものも見られる……。ヲタクの深掘りしすぎ?(^_^;)

 

 …そこで今日は、そんなウィーンの対極の世界を描いた映画を2つ、ご紹介しましょう。


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★ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年)

 ヨーロッパを横断する列車の中で偶然乗り合わせた若い男ジェシーイーサン・ホーク)と若い女セリーヌジュリー・デルピー)。男ジェシーはウィーンで下車して母国アメリカへ帰る飛行機に乗る予定でしたが、短い会話の中でも2人の間に何かを感じたジェシーは、パリまでそのまま列車に乗るというセリーヌに対して「夜が明けるまでウィーンで僕に付き合ってくれないか」と誘います。

 

 誘いに応じてジェシーと共にウィーンで下車したセリーヌ。2人は街角でアングラ演劇に誘われたり、カフェでお茶をしたり、プラーター公園の観覧車に乗ってウィーンの夜景を眺めたり、占い師から手相を見てもらったり……と、濃密な時間を共有し、そして……❗

 

 殆どが2人だけの会話劇なんですが、そのやりとりを通じて、ユーモアに溢れ、一見明るく自身に満ちたように見えるジェシーがじつは、自分の存在意義を見出だせず、両親の離婚のトラウマからか、恋愛にもしごく臆病になっていることが、観ている私たちにもだんだんわかってきます。一方セリーヌはソルボンヌの学生で、両親の愛情の下、恵まれた裕福な家庭で何不自由なく育ったお嬢。フランス人が不得意とされる英語も、ネイティブか❓っていうくらい流暢に操るクレバーさ。ラスト、互いに愛情を確かめあったのにアドレスも電話番号も交換せず、半年後ウィーンでの再会を約束して別れるシーン、特にジェシーの、セリーヌに対する愛と憧憬とコンプレックスがないまぜになった表情がめちゃくちゃ切ない……😢この作品はイーサン・ホークも脚本制作に係わっていることがわかっているから(2作目の『ビフォア・サンセット』、『ビフォア・ミッドナイト』では、セリーヌ役のジュリー・デルピーも参加)、彼の心の内奥を覗き込む一種のドキュメンタリーのような感じがして、ちょっとドキドキします。

 

 夜通し街角を彷徨ったり、公園で2人で寝転んでワインを飲んだり……と、1995年のヨーロッパでこんなことができたのはおそらくウィーンだけでしょうね(^.^; 平和で治安がよく、観光客フレンドリーなウィーンの一面を描いた代表的な例と言えるでしょう。

 
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★愛の嵐

 一方、ウィーンの明るい貌に潜む暗部を描いた典型的な作品が、ルキノ・ヴィスコンティ監督に心酔していたリリアーナ・カバーニ監督による「愛の嵐」。恐怖と美とデカダンスの融合、ヴィスコンティイズム満載の作品。


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※戦後は高名な指揮者の妻となってセレブ生活を送るルチア。過去の凄惨な記憶は忘れ去ったように思えましたが……。

 

 戦後ナチス狩りから身を隠すため、ウィーンの小さなホテルのナイト・ポーターとして名前を変えて働く男マキシミリアン(ダーク・ボガード)。ナチス高官だった彼は、かつてユダヤ人の少女を愛人にしていました。その少女ルチアは戦後指揮者の妻となりますが、夫の演奏旅行に伴って訪れたウィーンで、マキシミリアンと運命の邂逅をしてしまうのです。忌まわしい記憶を忘れ去ろうとしながら、泥沼のような関係に引き戻されてしまうルチア役を、今では英国、いや世界の名女優となったシャーロット・ランプリングが演じています(最近では彼女、フランソワ・オゾン監督のミューズですね。)ナチス高官たちによる倒錯の宴。上半身裸にサスペンダーをつけ、ナチスSSの制帽を被って気だるく歌い踊るシーンは、あまりにも有名です。血と暴力でしか愛を確かめられない男と女の悲劇。ダーク・ボガードの抑えの効いた演技と共に、シャーロットのファム・ファタルの「魔力」は圧倒的。


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 彼女を最初に見出だしたのはルキノ・ヴィスコンティ監督。17才の彼女は、ナチスドイツの台頭によって運命を狂わされていくドイツの名家を描いた「地獄に堕ちた勇者ども」でデビューし、この作品で共演したボガードの熱烈な推薦が「愛の嵐」に繋がっていきます。


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  シャーロット・ランプリングといえば有名なのが、あの三白眼。新人時代は、なんと「そんな目付きじゃ仕事が来ない。整形しろ」と言われたそうです。彼女は頑として受け付けなかったそうですが、一般受けはせず、爆発的な人気は博さなかったけれど、欧米の映画賞を総ナメにし、最近は大英帝国勲章まで……🎖️👀70才を越えた今でも多くの名匠に愛される彼女。卓越した演技力もさることながら、マニアックな映画ファンをトリコにする三白眼もその理由のひとつだと思うのですが…いかがでしょうか?


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※2人が運命の再会を果たすウィーン

 

パリを舞台にしたおススメ映画PART4〜『死刑台のエレベーター』『さよならをもう一度』

「パリを舞台にしたおススメ映画」第4弾は、モノクロ画面で輝く美しいパリ……でございます。
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死刑台のエレベーター(1958年)

 武器密売に手を染めるカララ社の社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)は、年の違いすぎる夫カララとの結婚生活に絶望、夫の部下ジュリアン(モーリス・ロネ)との情事に惑溺し、ついには彼に※夫殺しを命じます。ジュリアンは自殺に見せかけてカララを射殺しますが、計画が狂ってエレベーターに閉じ込められてしまいます。おまけに逃亡用に停めてあったシトロエンを若い無軌道な男女に盗まれてしまい、彼らがさらに別の犯罪を起こしたことで、運命の歯車は大きく狂い始めて‥‥‥。

※電話口で「私を愛しているなら夫を殺して」と言い放つ時の、ジャンヌ・モローの凄味ったら‥‥。

 

 ルイ・マル監督の、若干25歳の時のデビュー作。1950年代と言えばまだ第二次世界大戦の傷跡深く、路上生活者が溢れて労働者のストも多発、美しい筈のパリの街もゴミだらけだった頃。主人公のジュリアンも戦時中は落下傘部隊で戦功を上げ、ヒーローともてはやされたものの、現在は将来に希望を持てず悶々としています。追い詰められて捨て鉢になり、衝動的な犯罪に手を染める二組の男女。被害者の社長が不動産開発の裏で死の商人‥‥という設定も、悪事に手を染める以外裕福になる手立てはない……といった世相を表していて、そんな時代の閉塞感を巧く絡めているところは、さすがヌーベルバーグの旗手‥‥といったところ。


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 エレベーターに恋人が閉じ込められて消息不明となり、焦燥感に駆られて夜のパリの街を彷徨い歩くフロランス。ビュンビュン車が通るシャンゼリゼ通りを彼女が無表情に横断するシーンは凄い。命がけぢゃん(^_^;)ヲタクもヨーロッパに住んでいた頃、パリの街を車で走ったことあるけど、街のど真ん中だっていうのにみんなスピード出すわマナーは悪いわで往生した記憶があります。ジャンヌ・モローって肝据わってるよねぇ‥‥‥。


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 全編に流れるのはマイルス・デイヴィスの気怠いトランペット。この映画を観て、ジャズにハマった……という人も多いんじゃないでしょうか。恥ずかしながらヲタクもその一人(^_^;)

 

★さよならをもう一度(1961年)


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 「彼女に見つめられると男はみんなセクシーになる」と、『カサブランカ』で共演したハンフリー・ボガードに言わしめたハリウッドの美神イングリッド・バーグマン。彼女は人気絶頂の頃、妻子のあるイタリアの映画監督※ロベルト・ロッセリーニと恋に落ち、婚外子を出産します。ピューリタニズムが支配するアメリカ映画界はそれを許さず、彼女は仕事を干されてイタリアに渡ります。彼女がロッセリーニ監督と離別後、ハリウッドの映画界に復帰するのはじつに8年もの歳月を要しました。

※女優・監督・作家とマルチな才で有名なイザベラ・ロッセリーニ(『ブルー・ベルベット』『永遠に美しく…』)は2人の愛娘。知性を父から、美貌を母から受け継いだ最強の女性だとヲタクは思っているんですが。


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 この映画の時、バーグマンは46歳。分別のある中年の女性として登場します。パリで装飾デザイナーとして自立している女性ポーラ(バーグマン)は離婚経験があり、同じ年頃のロジェ(イヴ・モンタン)とは、付かず離れずの「大人の関係」。そんな彼女の日常は、15才も年下のアメリカ青年・フィリップ(アンソニー・パーキンス)との出逢いによって大きく変わっていきます。ひたすら若い情熱をぶつけてくる年下の男性に戸惑いながらも、次第に惹かれていく女性の心理をバーグマンがきめ細やかに演じています。カラー作品だったらこの二人の関係性、ちょっと生々しい感じがしたと思うんですが、モノクロだからこそ良い具合に紗がかかったイメージになって、オトナの、ファンタジックなロマンスの後味。


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ラスト、バーグマンがフィリップに別れを告げて車に乗りこみ、走り出すシーン。雨が降ってきた…と思ってワイパーをかけたら自分が知らずのうちに流していた涙のせいだとわかって、思わず自嘲の笑いを漏らすシーンは必見。「心に残る映画のワンシーン」なんていうアンケートがあったら、1票を投じたい。……ただ、46歳のバーグマンは若い頃と同じくらい魅力的でキレイすぎて、彼女をあきらめられないフィリップに「私はもうおばあちゃんなのよ!」って叫ぶシーンにいまいち迫力がないのが玉にキズ。あれじゃあ、いくら15才の年の差って言ったって、あきらめ切れないよねぇ…(笑)


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 この作品、フランソワーズ・サガンの※『ブラームスはお好き』の映画化で、原作のほうは三者三様の恋の駆け引きや心理描写に重点が置かれていて、ロマンティックな映画よりずいぶんシニカルで苦いテイストです。

 

  ※フィリップがポーラを「ブラームスがお好き?」と、コンサートに誘うことから二人の関係が始まるんですね。映画の中でも、ブラームス交響曲第3番第3楽章の甘美で哀愁のあるメロディがアレンジされて繰り返し流れます。

パリを舞台にしたおススメ映画PART3〜『パリ、嘘つきな恋』『冬時間のパリ』

今日は「パリを舞台にしたおススメ映画」第3弾🎵上映当時もあまり話題にならなかったけれど、そのまま埋もれてしまうには惜しい映画を2つ選んでみました。
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★冬時間のパリ(2018年)

冬は、パリが一番パリらしい季節。そんな「冬時間のパリ」に繰り広げられる、いかにもフランス的な、大人の恋模様。

 

 主人公は大手出版社の編集長アラン(ギョーム・カネ)。妻のセレナ(ジュリエット・ビノシュ)は舞台を中心に活躍する女優で、二人の間には可愛い小学生くらいの男の子もいる。結婚歴はすでに20年。しかし、驚くべきことに、二人にはそれぞれ愛人がいるんですね。夫には若いやり手の部下、妻には、自らの恋愛をテーマに私小説を書く小説家のレオノール(ヴァンサン・マケーニュ)。しかもその小説家を今まで主に担当してきたのが他ならないアランという複雑怪奇な関係(笑)さらには、政治家の秘書であるレオノールの妻も交えて、週末には互いにお酒を楽しむ友人関係でもあるという…。


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※パリの街並みとジュリエット・ビノシュのファッションがお洒落❤

  

 そんな彼らの交流が、まるで予定調和のごとく淡々と描かれていきますが、我々日本人からしたらかなりインパクトがありますなぁ(笑)でも、個人主義が徹底しているフランス人の面目躍如、恋愛感情は個人の問題であって、たとえ親子、夫婦であっても、それを責めたり、自分の思い通りにする権利はない…そんなポリシーがうかがえるような気がするのは深読みしすぎでしょうか❓自分自身がそれに耐えられなくなったら、その時点でもう、離婚になるわけ。フランス人にとって、たとえ結婚していても、恋愛はあくまでも個人の問題であって、倫理道徳に反する、いわゆる「不倫」という感覚とはちょっと違う。映画の中の二人もお互い愛人がいてそちらのほうに心が傾きつつあり、特にセレナのほう、最近は「離婚」の2文字が脳裏を掠めない…わけでもない、という微妙な状況。

 

  マクロン現フランス大統領がブリジット夫人の元教え子で、夫人のお嬢さんのクラスメートだったという事実は、一時日本のワイドショーがセンセーショナルな話題にしてましたね。たぶんフランス本国では、大統領のプライベートなんて興味の対象外だったと思いますが(笑)そのお嬢さんはマクロン大統領と仲が良く、選挙の際はスタッフとして活躍した…というのもいかにもフランス的。

「私のクラスメートと恋愛なんて、ママなんて不潔❗絶対反対だわ、うぇーん」

…なーんて反応はなかったんでしょうか。親の恋愛も「個人の問題」として心理的に処理できたのだとしたら、フランス人の子供って肝が据わってるな(笑)

 

  アランは、自分の担当している作家のレオノールと妻のセレナが関係を持っていることを薄々気づいていますが、気づかぬそぶり。しかし、レオノールの最新作を自分のところで決して出版しようとはしません。なぜなら、その小説には、主人公と、セレナとおぼしき女性との情事が赤裸々に描かれているから。「なぜ出版のOKを出さないの❓」と尋ねるセレナに、妻の目を覗き込みながらアランは静かにこう言うんですね。「相手の女性の描き方が僕は気に入らないんだ。女性に対する尊敬が見られない。だから出版したくない」…と。さあ、その夫の言葉を聞いて、セレナの下した決断は…❓

 

  別に大きな事件が起きるわけじゃない、淡々と進む会話劇なんですが、夫婦って何なのか、自分自身のポリシーや生き方を大事にするからこそ相手をも同じように尊重すべきであるという真の個人主義について、考えさせられる1本です。夫婦、パートナー、恋人と一緒に見て、感想を話し合ってみるのも面白いかも。

 


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★パリ、嘘つきな恋(2018年)

 こちらもフランス映画らしい、大人向けのロマコメです。

 

 今まで一度も恋愛に真正面から向き合ったことはなく、One night loveの出会いと別れを繰り返してきたプレイボーイのジョスラン(フランク・デュボスク…フランスの著名なコメディアン。めちゃくちゃイケオジなり❤)が、ケースワーカー若い女性から車椅子生活の障害者と誤解され、彼女の関心を引く目的でそのフリを続けます。ところがその女性の姉の、こちらは本当に障害を持ったフロランス(アレクサンドラ・ラミー)に真剣な恋をしてしまい…というおはなし。

 

  ロマンスものはあまり観ないワタシですが、これはもうね、序盤はウィットに富んだ設定と会話のキャッチボールに大笑いし、ジョスランが本気の恋に落ちる中盤から涙が溢れて止まらなくなり、ラストはもう号泣状態なので、映画館の館内が明るくなるのが少々気恥しかった覚えがあります(^_^;)

 

  ジョスランの愛すべき「チョイ悪オヤジぶり」(フランス人でこんなタイプ珍しいな、と思ったら、しっかり「イタリア系」って設定だった。納得=笑)、フロランスの凛とした美しさ、強さ、ユーモアのセンスを始めとして、障害の姉を思いやる妹のいじらしさや、ジョスランの嘘にムリヤリ付き合わされてしまう友人(LGBTの医者)、ジョスランを好きだけど自分に自信がなくて悩む秘書、認知症で老人ホームに暮らすジョスランの父親に至るまで、弱さもズルさも持ち合わせているけど、みんな精一杯前を向いて生きている愛すべき人たち。脚本・監督・主演の三役を務めたフランスのコメディアン、フランク・デュボスクの人間そして人生そのものに対する優しい眼差し…その全てが、爽快かつ意外性のあるラストに収束していくという感じです❗


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夏のパリも美しい……。

 

 ン十年前のヨーロッパ駐在時代、夫が急きょ出張になった為、3歳と5歳の娘たちを連れてドイツへのバスツァーに参加したことがありましたが、子連れだからとさりげなくいつも手助けしてくれた若い男子学生。そしてそのバスには車椅子の若い女性が一人旅で参加していましたが、当然のように、他の参加者が手を差しのべる。そしてその女性も当然のように笑顔でその善意を受けとる。介助する側もされる側も、ごくごく自然体だったことが思い出されます。

 

  劇中「障害のことをやっとジョークにできるようになった」というセリフがあるのですが、障害を持った人が主人公のコメディって、成熟した社会でしか成立しないんじゃないか…とふと思いました。観ている側もね、その意識如何によって、必要以上に過剰反応しちゃったりするし…。

 

  それで思い出すのが、イギリスのコメディ「リトル・ブリテン」あれもLGBTを始めとしてマイノリティを徹底的にジョークにしているぶっ飛んだ作品ですが、逆説的に言うと、マイノリティを差別していないからこそ、権威やマジョリティに対してと同様、笑いのタネにできるんですよね。ヘンな意識があると、何も出来ないですけど。

 

  「パリ、嘘つきな恋」のフランク・デュボスクも、「リトル・ブリテン」のデヴィッド・ウォリアムスも高名なコメディアン。本作、笑いと涙の感動だけでなく、いろいろなことを考えさせられる深い作品です。

 

 2作とも映画配信サイトで観ることができると思いますので、機会がありましたらぜひ❤

 



ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じる『A COMPLETE UNKNOWN』プリプロ開始

 
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ボブ・ディランを演じるティモシー・シャラメ。隠しても隠し切れないスターのオーラ(笑)

 

あのティモシー・シャラメが伝説のシンガー、ボブ・ディランを演じることが報じられて早や2年。主にコロナ禍が理由で予定は延びに延び、「もしかして製作中止!?」とウワサされていたところに、去年の秋、突如としてシャラメが自身のインスタで、このプロジェクトが「Coming Soon」と告知し、にわかにマスコミ界隈が騒がしくなりました。

 

……で、つい先日、正式に※プリプロダクションに入ったと発表があったので、今度こそ間違いないみたい(^_^;)しかし、昨年秋に発表された題名は確か、『Going Electric』だったゾ。いつのまに変わったの?ヲタク、芸能ニュースどっかで見逃してたかなぁ……。

プリプロダクションとは、撮影前に行う準備作業全体のことを指します。具体的には、企画・構成・脚本や絵コンテを完成・キャストやスタッフの決定・美術作成・全体のスケジューリング・ロケハンなど。


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ボブ・ディラン本人

 『A complete unknown』は、ディランの曲の中でも最も有名な『Like a rolling stone』の中の

 

How does it feel
How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone?

 

どんな気がする?

帰る家もなく独りぼっち

どんな気がする?

転がる石のように

誰からも相手にされないって

から採ったもの。

 

 ディランは普段から挙動不審なのか、はたまたスターのオーラが全く無いのか(笑)女性警官から職質を受けて本人と信じてもらえなかったとか、自分のコンサート会場に入れてもらえなかったとか、けっこう情けないエピソードがあるんですよね(^_^;)…で、そういう時には決まって「Like a complete unknown」の歌詞を引き合いに出されてマスコミにいぢられるという……笑。

 

 煌やかなスタァの代名詞のようなティモシー・シャラメが、そんな「Like a complete unknown」の哀愁をどう表現するのか?完成が今から楽しみですね❗ 

 

 

Wニコラス豪華共演〜吸血鬼コメディ『レンフィールド/Renfield』予告編解禁


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ニコラス・ケイジがドラキュラ伯爵を演じるという映画『レンフィールド』の正式なトレイラーがついに解禁〜〜❗配給元のユニバーサル・ピクチャーズって、『透明人間』で成功して以来、古典的なホラー映画のリブートに力を入れ始めたらしく、『レンフィールド』がその第2作目らしい。ウワサによると次は狼男だとか。

 

 題名はなぜか、『ドラキュラ』じゃなくて、耳馴れない『レンフィールド / Renfield』。レンフィールドって、原作ではドラキュラ伯爵に洗脳されて、彼の下僕として働いている男。どちらかと言えばモブキャラなんだけど、イケメン演技派ニコラス・ホルトが演じるとなれば、モブキャラなんて言わせない(笑)

 

 予告編の話に移りましょう。ある夜、何かの自助グループアメリカにはアルコール、薬物、引きこもり…etc.と、あらゆる種類の自助グループがあります)の集会にふらっと入ってきた一人の男(ニコラス・ホルト)。彼はいきなり「ボクとご主人さまの有害なる関係性から脱却したいんですっ❗」と言い出し、自助グループのメガネのリーダーは目を白黒。……まあ、ご主人さまが血を啜るために、「無垢な」人間を調達する役目なんて、そりゃアルコールや引きこもりよりよっぽど有害だわ(笑)

 

 カフェでフツーの青年っぽく寛ぐレンフィールド。窓の外をチアガールを乗せたバスが通ると、「バス一杯のチアガール❤…🎵ボクはフツーの生活が送りたいんだ」と、デレデレするレンフィールド。そこに強盗団が押し入ってきて、客たちは恐怖で右往左往。迫りくる危機にレンフィールドがひと粒何かの薬?を飲むとアラ不思議、彼はめきめきとマーベルヒーロー化し、悪漢たちをバッタバッタとなぎ倒します。ヒーロー化したレンフィールドに命を救われる警官役に、ハリウッド若手の中でも1、2を争うコメディエンヌのオークワフィナ(『シャン・チー』『フェアウェル』『クレイジー・リッチ!』)。シャン・チーとの「友だち以上、恋人未満」な関係を爽やかに、飄々と演じていた彼女。ニコラス・ホルトとはどんなバディぶり(それとも今回も友だち以上、恋人未満?^^;)を見せてくれるのか楽しみです🎵

 

 そしてそして、予告編のラストにいよいよ御大ニコラス・ケイジが登場❗先の尖った黒靴でゆっくりと入ってくるドラキュラに、さっきの勇ましさはどこへやら、レンフィールドは身をよじって叫びます。

きゃーーっ、やめてーーっ、彼を入れないでーーっ❗

はてさて、レンフィールドの運命はいかに❗❓

 

 アメリカでは来月4月14日に劇場公開らしいですけど、日本は?夏休み?

暑い夏、ドラキュラ・コメディで涼しくなろうよ(笑)


Renfield | Official Trailer - YouTube