オタクの迷宮

海外記事を元ネタに洋画の最新情報を発信したり、映画・舞台・ライブ鑑賞後の感想をゆるゆると呟いたりする気ままなブログ。

喧騒の横浜駅にこんな静かなカフェが〜『The Royal Cafe YOKOHAMA』


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  大勢の人々が行き交う横浜駅。そんな喧騒の駅地下に、こんな静かな、癒やしの空間があるなんて…❗と、紹介すると殆どの人が驚くのが、地下2階にある『The Royal Cafe  Yokohama』。横浜と伊豆を結ぶ豪華列車『Royal Express』号を模した、贅沢に木を使った造りになっています。広い店内、テーブルとテーブルの間がかなり空いているのが、このご時世かなり嬉しい。


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 ヲタクは通勤に東急線を使っているのですが、地下3階の東急線ホームから南口経由で上ってきて、地下1階東口と西口を結ぶ通路に続くエスカレーターとは反対の方向にしばらく歩いていきます。(眼の前の柱に「ロイヤル・ラウンジはこちら」というちっちゃな貼り紙がしてあります)なぜここにこんな広い空間が!?という疑問が湧くほど、数個のテーブルと椅子以外何もないナゾのスペースを左に見てしばらく行くと、お目当てのカフェがあります。  

 

味は本格的で、オリジナルブレンドのドリップコーヒーのほか、静岡産の茶葉を使用した和紅茶、ウィスキーの樽材で燻製にした燻製紅茶など。軽くお腹を満たしたい時は、※①メゾンカイザーのロールパンを使用したハムチーズサンド(特製粒マスタード使用)や、※②横浜水信の果物を贅沢に使ったフルーツサンドがおススメ。

 

このロールパンは、横浜そごう地下食品売り場に入っているメゾンカイザーで購入することができます。フランスパンと通常のロールパンのちょうど中間の食感で美味しい。

②ハマっ子にとって、フルーツパーラーといえば横浜水信❗ヲタクは、自分で頑張った…と思った時のご褒美は水信のフルーツパフェ…だったんだけど、桜木町駅コレットマーレにある「水信フルーツラボ」は、新規オープンに向けての改装のため、ただいま休業中😢果物の購入だけなら、横浜駅1階のジョイナスにお店が入っています。

 

★The Royal Cafe  Yokokohamaの公式HPはコチラ


CAFE | 【公式】THE ROYAL EXPRESS

音を楽しむお正月🎍〜ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団コンサート


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コンサートが始まる前に、赤レンガ倉庫辺りを初さんぽ。

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 横浜みなとみらいホールで、ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団による「ウィンナワルツ・ニューイヤーコンサート」を鑑賞。

 

 っていうか、…鑑賞というよりもむしろ、演奏の合間に挟まれる楽しいおしゃべりや、楽団の方たちが工夫して下さる様々な趣向に大いに笑い、一緒に手拍子を打って、まるでウィーンの新年のお祭りに参加したみたい。

 

 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団出身で、ライプツィヒ歌劇場の初代常任指揮者、新ウェストファーレンフィルハーモニー管弦楽団の総音楽監督、英国BBCコンサートオーケストラの首席客演指揮者を歴任した※ヨハネス・ヴィルトナー氏が指揮をとる同楽団。ウィーンっ子にとってヨハン・シュトラウス2世のワルツやポルカは魔法の音楽。その魔法に身を任せて踊りを踊ればみんな笑顔になれる、幸せになれる。そんな「魔法の音」を、新年早々みなとヨコハマに連れてきてくれた彼ら。

ヴァイオリンを弾きながら指揮をする…というヴィルトナー氏のスタイルは、ヨハン・シュトラウス1世と2世親子が得意としたパフォーマンスそのままです。

 

 ヨーゼフ・シュトラウスシュトラウス2世の弟…音楽一家だったんですね)作曲のポルカ『騎手』ではヒヅメの音、ワルツ『オーストリアの村つばめ』では鳥の啼き声が入り、『鍛冶屋のポルカ』では、一人の団員さんが大きな前掛けと鳥打帽という鍛冶屋の格好に着替えて演奏するなど、お正月らしい様々な工夫が凝らされていました。

 

 『ピツィカート・ポルカ』が始まろうとする時、先程の鍛冶屋役の方がすっくと立ち上がり、日本の駅員さんふうに「ヨコハマ〜ヨコハマァァ〜」と声高に叫んだので、(んんん?)と思っていたら、一曲早すぎたんでした(^_^;)次の『テープは切られた』(シュトラウス2世の弟エドゥアルト作曲の高速ポルカポルカシュネル)用のパフォーマンスだったんです(笑)やり直した時、かなり照れくさそうだったのもご愛嬌(笑)

 

 プログラム演奏の終了後、アンコールで『ラデツキー行進曲』のほか、日本の『お正月』をどこの管弦楽曲かと思うほど荘厳に演奏して下さり、ヴィルトナー氏の流暢な日本語での挨拶には感動❗


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 30年近く前になりますが、ヨーロッパに赴任している頃、夏休みにウィーンに旅行した時のことが思い出されます。野外のコンサートで、やはりシュトラウスのワルツやポルカを聴いたんですが、特に仕切りもなく、若い学生さんやバックパッカーの人たちが、近くの木々の下で立って聴いてるんですね。(その場合はもちろん無料です 笑)ポルカの時は同じように手拍子をしながら。閉鎖的な空間で「鑑賞」するのではなく、音楽とは共に「音を楽しむ」もの。そんなスタイルが、さすが「音楽の都ウィーン」だと感心したものです。お金があってもなくても、その気になれば音を楽しむことのできる、真に豊かな環境。

 

 そんな音楽の都からやってきた管弦楽団のコンサートは、茶目っ気たっぷり、共に笑い、手拍子をとり、ワルツの調べに乗って身体が自然に動き出す、楽しい楽しい、いかにも福を呼んでくれそうなコンサートでした🎵

 

こいつぁ、新春(はる)から縁起がいいや❗

 

★ついしん

 2023年のオープニングコンサートらしく、開演前と幕間に雅楽と中国獅子舞のご披露がありました。

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雅楽道友会による雅楽「還城楽」(ヘビを見つけ、それをつかまえるさまを軽妙に表現したもの)。年若い少年たちが演奏しており、若い世代がこのような伝統芸能を継承しようとする姿に感動しました。


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※唐山龍獅総会による中国獅子舞(ライオンダンス)。とても愛嬌のある獅子舞で、これを新年に見ると、無病息災、家内安全、商売繁盛のご利益があると言われています。これで我が家も一年安泰だわ(笑)

 

ダニエル・クレイグの夫役を演じたヒュー・グラント〜『グラス・オニオン』

 
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Netflixで大ヒット中、ダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブランを演じるミステリー『ナイブズ・アウト/グラス・オニオン』。

 

 ネタバレになるかな…と思って、ヲタクが昨年UPした記事には「匂わせ」で留めておいたんですが、IndiWireが堂々とご本人のインタビューを載せているので、安心して書けるわ〜。…そう❗そのご本人とは、『グラス・オニオン』で、ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)の夫役を演じたヒュー・グラント。エプロン姿でフライパン握った姿はなかなかにキュートでしたことよ。

 

僕はジェームズ・ボンドと結婚したってわけだ。ほんの数秒の出番だし、え?何で僕?って最初は思ったけど、1作目が素晴らしかったからね、引き受けたんだ。

この記事のライターは、「ヒューは、『次のジェームズ・ボンドはゲイって設定でもいいんじゃない?』とでも言いたげだった」と書いてますが、なるほどね〜❗史上初のLGBTの007、ヲタク的には大賛成だけど、イアン・フレミングは草葉の陰でさぞかし驚くでしょうね(笑)

 

 第1作『ナイブズ・アウト/ 刃の館の秘密』の後に、スピンオフ(ブラン自身の前日譚)の企画が出たらしいんだけど、監督のライアン・ジョンソンはそのアイデアを却下、その代わり、第2作目にブランのプライベートライフを覗わせるシーンを挿入することで落ち着いたらしい。それがあの場面だったんですね。

 

 第3作目の制作も既に決まっているみたいだし、記事にもMCUをもじって「『ナイブズ・アウト』シネマティック・ユニバース」と書かれているから、シリーズ化の予定なのね❗これから出番が増えそう。良かったね、ヒュー(笑)


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 …とは言え、今回の『ナイブズ・アウト/グラス・オニオン』というタイトルにはライアン監督大いに不満だったもよう。確かに前作は、殺人のトリックにナイフが重要な役割を演じたからで、日本での副題も『刃の館の秘密』でした。日本の場合、第1作はあまり評判にならなかったと記憶してます。…ところが、第2作めは一時期Netflixトップ1になるほどの大ヒット、それにつられて、第1作を見直す人たちも増えているもよう。…それも、『グラス・オニオン』の前に『ナイブズ・アウト』がついてるからでしょ?

 

だから安心して下さい、ジョンソン監督❗

少なくとも日本ではそのマーケティング、成功してます(笑)

 

 

パク・チャヌク監督もおススメ❗〜心臓バクバクの『窓際のスパイ〜シーズン2』Apple TV+

 
『窓際のスパイ〜シーズン2』Apple TV+で待望の配信開始〜〜❗

 

 のっけからスリリングな展開。アダルトショップを経営する老人が、店の外を横切った男を目にし、驚愕と恐怖の表情を浮かべます。急いで店を閉め、雑踏の中、男を尾行し始める老人。やっとのことで同じバスに乗り込みますが、老人が生きてそのバスを出ることはありませんでした。


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老人の死は、心臓発作の自然死として処理されましたが、ただ一人、MI5(英国情報局保安部)窓際部署である「泥沼の家」のリーダー、ジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)だけが、その死に疑問を抱きます。というのもその老人は元MI5のスパイで、英国社会で一般人として暮らしながらスパイ活動を行う、「蝉」と呼ばれるロシア人たちの存在を主張した、MI5でただ一人の人物だったからです。ラムとは深い繋がりのある副長官のタヴァナー(クリスティン・スコット・トーマス)でさえ、「蝉?ただのウワサでしょ」とにべもなく言い放つその存在。しかしラムがやっとの思いで入手した老人の携帯には、はたして「蝉」の一文字が…。そして、ラムの、いちスパイとしての鋭いカンは、国家全体を巻きこむほどの陰謀を白日の下に晒すことになるのです…❗

 

 ジャクソン・ラムをはじめとして、クセのあるメンバー揃いの「泥沼の家」。シーズン1の前半は、彼らの人となりの紹介に費やされたきらいがありますが(個人的には面白かったけどね)、シーズン2 はのっけからスリリングな尾行シーン、カーチェイス、所轄機関から防犯カメラのデータを盗み出すシーン…等、手に汗握る場面の連続で、ザッツ・スパイドラマ❗になってきました。対ロシアのスパイフィクションはもはや過去のもの…と言われた時代もありましたが、昨今の世界情勢を鑑みれば、ちっとも過去の遺物なんかじゃない、むしろ「今そこにある危機」じゃありませんか。『窓際のスパイ』を見ながら、世界の何処かで今起きている出来事のように感じて、ちょっとゾッとしました。

 

『窓際のスパイ』、元々の原題は『Slow Horses(鈍足の馬)』あるいは『Slough House(泥沼の家)』。ミック・ヘロンの原作は、版によって題名が違うのが面白いんですが、MI5(英国情報局保安部‥‥国際問題を扱うMI6とは違い、英国国内の治安維持に務める)の中の、「泥沼の家」と呼ばれる窓際部署に寄せ集められた、スパイの落ちこぼれたち(鈍足の馬)という二重の意味になっています。


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  ヲタクいち推しのスコットランド人俳優ジャック・ロウデンは、MI5史上伝説のスパイを祖父に持ち、007ことジェームズ・ボンドに憧れ、前途有望なエリートとして入局しながら、新人訓練の時にある失敗を「やらかして」しまい、「泥沼の家」に左遷されてしまったリヴァー・カートライト役。  

 

 シーズン2の冒頭で、民間の調査機関の採用試験に臨むリヴァーの姿が描かれます。シーズン1 の最後、テロを未然に防ぐという手柄を立てても、新人訓練での「やらかし」が同期の策略だったということがわかっても、彼の「泥沼の家」勤務は相変わらず(^_^;)味方でさえも信用できない、生き馬の眼を抜くようなスパイの世界。そんな世界でリヴァーは正直すぎ、人が良すぎる。自らの目指す理想に弾かれてしまった一人の若者の悲哀を、ジャクロはさすが繊細に演じて、『窓際のスパイ』をただのスパイアクションに終わらせない、深みを添えていると思います。

 

 プライベートでもサッカーの試合を一緒に見に行ったりと、日頃から大御所ゲイリーに可愛がられているジャクロ。『相棒』の水谷豊と反町隆史みたいな感じかしら。

 

 ヒネクレ中年ジャクソン・ラム、こっそり民間機関の試験を受けたリヴァーに「金に目が眩んだヤツになんか仕事はやらない」と言い放ち、ラムの出先に気を利かせてリヴァーが迎えに行けば「駅で下ろしてくれ。お前なんかと2時間も車に乗ってられるか」と容赦ありません(^_^;)…しかし最近はリヴァーも負けていません。場末の中華料理屋で麺をすすっているラムに、リヴァーが独自の推理を披露するシーン。珍しく「悪くないな」と呟くラムに、「僕の推理が?それとも麺のこと?」と突っ込むリヴァー。シーズン2では、なんだかんだ言いながらも気の合うバディになりつつある二人の姿が描かれます。シーズン2、最終の2話で急展開があり、こうなるともはやゲイリー・オールドマンの独壇場、老獪なる名人芸。人を人とも思わぬ態度、超毒舌でいながら、そのじつ誰よりも部下思いの親分肌。『窓際のスパイ』終了後は引退を仄めかしているゲイリーですが、彼の俳優人生の中で1、2を争う当たり役であることに間違いはありません。シーズン3も既に撮影終了しているようなので、今から楽しみ〜♥(2では、ラムの秘書、スタンディッシュがかつて愛した上司、チャーリーの死の真相も明らかになったしね。衝撃だったなぁ…。シーズン3ではまた、新たな展開がありそう)

 

…って、いろいろ書いてきましたが、ヲタクが何度もリピして見ちゃうのは、冒頭のジャクロ、面接試験を受ける時のスーツ姿、潜入捜査の為にタイムズの記者に扮した時のジャケット&メガネ男子姿、小型飛行機のアクロバット飛行に付き合わされるハメになった彼の、上空で恐怖に引きつった表情…etcなのよねぇ、結局のところ。リヴァーの、大人になりきれない青いところも、ジャクロが演じるとめっちゃ可愛い😍

※ヲタク大好き、『オールドボーイ』『イノセント・ガーデン』のパク・チャヌク監督もお墨付きの『窓際のスパイ』。…それって、凄くないですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お正月はライトなミステリーコメディ〜『ウェスト・エンド殺人事件』U-NEXT


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アガサ・クリスティ原作の『ねずみとり』。

俺に言わせりゃ二流の殺人ミステリーだ。

いわゆるフーダニットで、長たらしい序幕で人間関係が紹介され、殺されるのはいつも嫌なヤツだ。

 

……という衝撃的なモノローグで始まるミステリー・コメディ。クリスティ・ファンから総スカンを食らいそうなこの男は、※1 『ねずみとり』の映画化を画策しているハリウッドの映画監督(エイドリアン・ブロディ)。金の亡者で、※2 原作者も脚本家も俳優たちもコキ下ろす尊大なオトコは、自分がクズの嫌われ者だということは自覚していたみたいで(^_^;)『ねずみとり』のロングランと映画化を祝うパーティの夜、

やっぱり殺されるのは嫌なヤツだ。

というセリフを残して殺されてしまいます。

 

※1 ウェストエンドの舞台を映画化する…と言いながら、結末を当時のハリウッドのB級活劇ふうに改悪しようとしたり、主役は英国人ではなくグレース・ケリーにすると周囲に吹聴したり、パーティでは「ホンモノの酒はないのか!バーボンとかウィスキーとか」と叫んだり…と、とにかくヤなヤツなんです(笑)

※2 アガサ・クリスティの戯曲『ねずみとり』は、1952年から2020年までウェストエンドで上演された、連続上演回数世界一の舞台。ヲタクが『オペラ座の怪人』など主にミュージカルを鑑賞した10年前も上演していました(遠い眼)

 

…で、この「嫌なヤツ」が殺されてからは、彼が一番嫌っていた、容疑者が一堂に会して探偵役が登場し、謎を解く「クローズドミステリー&フーダニット」、つまり『ねずみとり』のストーリーそのものの展開になっていきます。

 

時は1953年、場所は第二次世界大戦終結して間もないロンドンの劇場街ウェストエンド(被害者の遺体は殺害現場のパーティ会場からなぜか、『ねずみとり』の舞台上に運ばれていた)。この「ウェストエンド殺人事件」を解決するべく、スコットランド・ヤードから劇場に乗り込んで来たのは、飲んだくれで、妻に不倫の末逃げられてしまった冴えない警部ストッパード(サム・ロックウェル)と、戦争未亡人で二人の子供を抱え、なんとか自活しようと警察に志願した新人巡査ストーカー(名前がストーカーって(^_^;)…シアーシャ・ローナン)。この、ヤル気なさそうでそのじつ推理力ばつぐんの「隠れデキル男」の警部と、メモ魔で早とちりだけど正義感溢れる巡査の凸凹バディがとっても魅力的❗

 

アカデミー助演男優賞に輝いた『スリービルボード』の名演技をはじめとして、ナチスの幹部でありながら人道主義者でユダヤ人の主人公を体を張って助ける軍人を演じた『ジョジョ・ラビット』など、テンション高めの演技が印象的なサム・ロックウェルですが、今回のユルい役もいいなぁ、なーんちゃってハンフリー・ボガードみたいな。バディの巡査が映画オタクで、「今までで1番感動した映画は、※3 『アフリカの女王』です」ってセリフがあるから、やっぱりボガードを意識してるんだろうか…深読みしすぎか(^_^;)

※3 第一次世界大戦下のアフリカ。ボロ船の船長(ハンフリー・ボガード)と同乗した女性(キャサリン・ヘップバーン)が敵に立ち向かうアドベンチャー・ロマンス。

 

かたやシアーシャ・ローナン、我が推しジャクロことジャック・ロウデンの最愛のパートナーである彼女。史上最年少でアカデミー賞にノミネートされ、以降はノミネート常連の演技派ですが、ジャクロのインスタに時折登場する素顔のシアーシャは、ユーモアがあってとっても可愛い人。ヲタクは、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブタペストホテル』や『フレンチ・ディスパッチ』での彼女のキュートでポップなコメディエンヌぶりが大好きなので、今回もすごく良かった〜♥

 

 クライマックス、雪の中関係者たちがアガサ・クリスティ本人の別荘に集められるのですが(クリスティ本人や、再婚相手の考古学者マックス・マローワンも登場、メソポタミアから持ってきたという怪しげな飲み物を勧めたりする小ネタも)ラストは殺された監督が狙っていたドンパチアクションで締めくくる…という、イキな展開に。

 

お正月にピッタリなこのライトなミステリー、U-NEXT での配信が1月いっぱいになっているんですけど…。ということは、映画館公開前の先行配信?映画館で公開されたらまた見に行こうっと。何しろ小ネタ満載で、犯人がわかった後に見直しても面白そうなんだもん🎵

 

 

 

2022年オタクが選ぶ洋画ベスト10プラス1~後編

見ているだけで元気になったり、知らなかったことが学べたり、生きる勇気が貰えたり……。今年も私たちに、数々の素敵な贈り物をしてくれた映画たち。そんな映画の中から、10プラス1の映画を選んでみました。先日UPしました前編に引き続き、今日は後編でございます😊


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ウェスト・サイド・ストーリー

(監督 / スティーヴン・スピルバーグ)

何故今になって「ウェスト・サイド・ストーリー」!?って声もチラホラ出ていたこの映画。……もしかすると、映画そのものの完成度という点では、ロバート・ワイズ版が勝っていたかもしれない(小声)……でもいいの❗

ヲタク的には、ジェッツのリーダー、リフ役を演じたマイク・ファイストという稀有な俳優を知るチャンスをくれただけで、 史上最高の名作映画になったわ(笑)

 

  天真爛漫、オールアメリカンなワイズ版のリフ(ラス・タンブリン)から一転、貧困の中親からニグレクトされ、社会からつま弾きにされ、暴力でしか自分の存在を誇示できないニューヨークの不良少年の苛立ちと絶望を全身全霊で表現したマイク。彼を見るために映画館に足繁く通ったヲタクですが、その度にリフの、死んでからもなお誰にも省みられない切なさに涙が止まりませんでした😢この時の演技で、彼は英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

 

スピルバーグだけでなく、他の監督からもその演技力を認められたようで、これからルカ・グァダニーノ監督の『チャレンジャーズ Challengers』(ゼンデイヤ、ジョシュ・オコナーと共演)、ジェフ・ニコルズ監督の『ライダーズ The Bikeriders』(トム・ハーディ、オースティン・バトラーと共演)と、話題作への出演が続きます❗


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★『エルヴィス』(監督/ バズ・ラーマン)

これもハマりましたよねぇ……。今年の夏は『エルヴィス』一色、って感じだった(笑)

 

  役をオファーされてから約3年、ボイトレ、ダンス、膨大な関連資料を読み込む……等々エルヴィス漬けの日々。おまけにコロナ禍で撮影が中断された間も撮影地のオーストラリアに残って、「エルヴィスであり続けよう」としたオースティン・バトラー。心身共にボロボロ、撮影終了の翌日に緊急入院したり、8年間真剣交際だったヴァネッサ・ハジェンズとも長期間離れ離れになって破局……と、その代償も大きかったけれど、彼が魅せた神がかり演技は、本家エルヴィスの名声とともに、いつまでも映画を見た人たちの記憶に残り続けるに違いありません(断言)


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  エルヴィス役で一躍スターダムに上り詰めた感のあるオースティン、『DUNE / 砂の惑星PARTII』ティモシー・シャラメ演じるポール・アトレイデスの宿敵、※フェイド・ラウサ・ハルコンネンに抜擢されたのを初めとして、バリー・コーガンやカラム・ターナーなど、今注目の若手演技派勢揃いの戦争ドラマ『マスターズ・オブ・ザ・エア』にも名を連ねてますし、前出の『ライダーズ』にも出演が決定しています。何より『ライダーズ』は、ヲタクの推しの二大巨頭、マイク・ファイストとオースティン・バトラーが共演ということで、ドキドキが止まらない今日この頃(笑)

役に応じた肉体改造を行うため、『エルヴィス』のプロモーションで世界各地を飛び回るかたわら(日本にも来てくれたよね〜😍)、ネイビーシールズの軍人に数ヶ月もの間トレーニングを受けたというオースティン。相変わらず生真面目だなぁ…。

 

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★『ドクター・ストレンジ / マルチバース・オブ・マッドネス』

(監督 / サム・ライミ)

原作のドクター・ストレンジはあまり人気がなくて、映画化して大丈夫か!?って声もチラホラあったみたいだけど、とにもかくにも演じるのがベネさまだからね。彼がキャスティングされた時点で半分は成功したようなもんだよなぁ。自分の頭脳や才能をハナにかけ、他人の言うことなどちっとも聞かない頑固一徹……かと思いきや、そのじつかなりおっちょこちょいで、「もっとボクのこと見て❗」のさびしんぼう😅ともすれば反感を買いがちな複雑なヒーローをこんなにチャーミングに演じられるって……やっぱりベネさまは凄い。

 

ポストクレジットに、ドクター・ストレンジの弟子、そして将来のパートナーとなる女性が登場❗演じるのが、美しきアマゾネスであるあのお方。ゴージャス、という言葉は彼女の為にあるような。ベネさまとのツーショット、ヲタクあまりにも嬉しすぎてクラクラしました(笑)

 

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★『モービウス』

(監督 / ダニエル・エスピオーサ)

  原作ではヴィラン扱いなのに、映画では主役を張る……っていうのは、最近のヒーローものの流行りなのかな?『ヴェノム』とか、DCの『ブラックアダム』とか。世の中が複雑化して、ヲタクが子供の頃に人気のあった明るく元気な正義のヒーローでは、みんなあきたらなくなっているのかもね😅

 

『モービウス』も、そんなダークヒーローの一人。不治の病に侵された天才医師がコウモリの血清によって吸血鬼化するというストーリー。モービウスを演じるのは、有名女優を次々とトリコにした、ハリウッドいちのモテ男、ジャレッド・レト。折れそうな細身から、血清効果でバッキバキのボディに変身する時のギャップに萌えた女子は大勢いたことでしょう(笑)

 

  もともと美顔・美ボディの持ち主なのに、「ボクちゃんの売り物は顔やカラダじゃないっ!演技力だいいいっ💢💢」とばかりに、太ったり、痩せたり、ハゲたり(笑)ヲタク、『モービウス』の直前に見たのが『ハウス・オブ・グッチ』のハゲのおじさんだったから⬇️モービウスのカッコよさには身悶えしたワ(笑)

……せっかく神さまから与えられた美しい容姿を持っているんだから、これからはもっと素顔のままで演じて欲しいものです(笑)

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※『ハウス・オブ・グッチ』


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※これ、両方ともジャレッド・レトよ。そんなに自分をイジメなくても……😅

 

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★『ザ・バットマン🦇』

(監督 / マット・リーヴス)

 『トワイライト』シリーズの大成功で、若くして俳優としての名声と巨万の富を得たロバート・パティンソン。しかし彼はそれに安住せず……というよりもむしろ背を向けて、インディペンデント系の映画で、難解な役柄に挑戦し続けてきました。そんな彼が演じるのだから、さぞかしバットマンのダークサイドが強調されるのかと思いきや……

 

すごく可愛いバットマンだった。

そしてそれが、すごくよかった。

 

作りたてのバットマンスーツやマント、武器にも慣れてないから、マントが電線に引っ掛かってそのまま落下しちゃったり、あれこれ世話を焼いてくれる執事に「父親でもないクセに‥‥」って反抗期のスネ夫くんになったり‥‥。中でも可愛さ爆発なのは、セレーナ・カイル(のちのキャットウーマン‥‥ゾーイ・クラヴィッツ)とのシーン。セレーナからコクられるのに、うんともすんともないトーヘンボクぶり(笑)

 

シーズン2で早くバットマンの成長がみたいもんです😊


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★『tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン!』

(監督 / リン=マニュエル・ミランダ)

どちらかと言えばシリアスでダウナー系の役柄が多く、ご本人も傷つきやすくて繊細なイメージのあるアンドリュー・ガーフィールド

 

そんなイメージの彼ですが、このミュージカルではどうでしょう❗伸びのある力強い歌声が素晴らしく、世になかなか認められない焦燥を抱きつつ、それでもなお、音楽への愛と希望を捨てない熱い心を持つ青年の役で、(彼にこんな一面があったんだー)とビックリ😮

 

  10年もの長い間ブロードウェイでロングランを続けた名作ミュージカル『RENT レント』の作詞作曲、脚本家として世界に知られるジョナサン・ラーソン。『チック、チック…ブーン❗』の舞台は、1990年のニューヨーク、『レント』の初演から遡ること5年前。食堂のウェイターとして働きながらミュージカル作家としての成功を夢見る、不遇時代のジョナサンその人を描いたミュージカルです。

 

  このジョナサン・ラーソンは、なんと『レント』初演の前日に、大動脈解離の為に帰らぬ人となってしまいました。、観ている私たちはとうにその事実を知っているから、演じるガーフィールドの突き抜けた明るさが、よけいに後に待つ悲劇を際立たせるようで、切なくなる😢そんな効果をわかって演じているとしたら、恐るべき演技者ナリ。

 

  それにしても、2022年はアンドリュー・ガーフィールドの年だった気がします。アカデミー主演男優賞にノミネートされたこの作品をはじめとして、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』、『タミー・フェイの瞳』(アメリカに実在したカルト宗教の教祖、タミー・フェイの夫役)、ドラマ『天国の旗の下に』(実際に起きた一家惨殺事件を題材にしたドラマ。法と信仰心の狭間で悩む刑事役)と、作品も良作揃いだったし、彼が演じた役柄も実に多彩。

 

  大好きなママが亡くなって、「しばらく仕事は休みたい」って言ってるらしいけど、早くそのはにかんだような笑顔が見たいわ😊

 

……とまあこんなわけで、ヲタクなりに2022年の洋画を総括してみました。

しかし今回のブログを読み返してみると、「ヲタクが選ぶ洋画ベスト10」というよりむしろ、「ヲタク好みのイケメン俳優コレクション」とでも、題名を変えたほうがいい気がしてきた(笑)

 

 

今年の映画納めは『そばかす』で。

 
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KINOシネマ横浜みなとみらいで、映画『そばかす』鑑賞。今年、映画館で観る映画は、これが最後かな。映画納めは『そばかす』で~🎵

 

  恋愛や性に全く興味が湧かない、いわゆる「アロマンティック・アセクシュアル」の女性がヒロインだから、正攻法で描くと、かなり悲痛で重い話になりそうなんだけど、あにはからんやこの映画、随所にほのぼのとしたユーモアが溢れ、客席からくすくす笑いが漏れる場面がいっぱい。それは、ヒロイン役三浦透子の、飄々とした自然体の演技に負うところが大きいでしょう。また、笑いをとる「間」がばつぐんに上手くて、彼女、コメディエンヌとしても素晴らしいんじゃないかな。今度は彼女のコメディを見てみたいです。

 

  蘇畑佳純(そばたかすみ)は、芸大を卒業したものの小さい頃からの夢だったチェリストになることはあきらめ、コールセンターで働きながら、他人とは適度に距離を置き、淡々と日を送ることを信条としています。しかし実家暮らしの彼女は、自分の主義主張を貫いて勝手気ままに生きることは許されません。彼女と違って超現実主義者の妹(伊藤万理華……恋愛に興味がないからといって、「お姉ちゃんはレズなんでしょ!」と断罪する、天真爛漫なガサツさを、嫌味なく演じています)や、離婚歴3回のおばあちゃん(田島令子)にズケズケ意見されたり、佳純の行く末が心配でならない母親(坂井真紀)からだまされてお見合いに連れていかれたり……と、彼女の人生、なかなかに多難。そんな彼女が、様々に愛すべき人々との出会いを通して、自分自身を受け入れ、未来へ歩き出すストーリー。


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  佳純の人生観に決定的な影響を及ぼす、元AV女優で佳純の高校時代の同級生、真帆役に前田敦子。どこかで自分自身を抑制している佳純とは正反対、忖度なし、怖いモノなし、自分が正しいと思ったらどんな相手にも噛みついていく「戦う女」。二人の再会は、自宅近くの浜辺で瞑想?に耽る佳純の前に真帆が前触れもなくすっくと立ちふさがり、いきなり佳純をキャンプに誘うという驚くべき唐突さ😅。しかしそれがなんの違和感も感じさせない力業(ちからわざ)、ある意味凄いぞ、前田敦子(笑)。

 

  どちらかというと女優陣が生き生き元気なこの映画ですが、佳純を黙って見守る優しい父親役の三宅弘城、佳純や観ている私たちに(もしかしてソウルメイト登場……?)と、淡い期待を抱かせる職場の後輩役の北村匠海が、イイ味出してます😊

 

……そして、ヒロインの佳純は30歳という設定。将来を真剣に考え始める年代です。若い頃の夢を諦め、故郷にUターンしてきた同窓生たちとの交流を通じて、佳純がさまざまな気付きを得ていくという展開が心憎いな……と思いました。

 

公私共に忙しない師走。ともすれば殺伐としがちな心に水分が染み渡るような、そんな癒しをくれた映画。

 

 

 

 

 

 

  

年末年始は上質なミステリ映画を~『ほの蒼き瞳』

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  KINOシネマ横浜みなとみらいで、クリスチャン・ベール主演『ほの蒼き瞳』を鑑賞。ルイス・ベイヤード原作の『陸軍士官学校の死』を映画化したものです。

 

【あらすじ】

  時は1830年ハドソン川近くにあるウェストポイント士官学校で、木から吊るされた士官候補生の遺体が発見された。そしてあろうことか、学校内に安置されていた遺体から心臓がくり抜かれ、どこかに持ち去られるという事件が起きる。内密に捜査を依頼されたのは、巷で名探偵との噂も高い、オーガスタス・ランドー(クリスチャン・ベール)。彼は、士官候補生たちの中から、一風風変わりだが知的洞察力に優れた※エドガー・アラン・ポー(ハリー・メリング)に目をつけ、密かに助手と密偵役を頼み込む。二人は必死の捜査を続けるが、それを嘲笑うかのように第2の殺人が起き、遺体はやはり心臓を抉られ、さらには去勢されていた。その背後には悪魔崇拝の影がちらつき、一方では猟奇的な匂いも……。彼らが辿り着いた衝撃の結末とは……!?

※ポーがウェストポイント士官学校に在籍していたのは事実に基づいており、後に彼の死の遠因となるアルコール依存症に関する描写もあります。

 

  ポーの「生と死の境界線は曖昧である」という言葉から始まるこの映画。オタクはめちゃくちゃエドガー・アラン・ポーのファンで、詩集も好きだし、『アッシャー家の崩壊』のような幻想小説も、ミステリーの元祖『モルグ街の殺人』『マリィ・ロジェの謎』、リアルな恐怖を体感する『落とし穴と振り子』『赤死病の仮面』、サイコホラー『黒猫』……等々みんな好きなんだけど、この映画、ポーのファンほどミスリードされるんです。おまけに途中から悪魔崇拝の話になっちゃうし😅てっきりポーお得意の幻想奇譚かと思うじゃないですか。ラストの種明かし前のクライマックスのシーンは『アッシャー家の崩壊』のオマージュだし。※主人公のオーガスタスはポーの推理小説に登場する名探偵オーギュスト・デュパンをモデルにしてるの?……とか。

オーガスタスは、「尊厳」を意味するローマの初代皇帝アウグストゥスの英語名。デュパンはフランス人なので、オーギュストとフランス語読みとなります。

 

あー、まんまと騙された❗(笑)

 

 ポーが、憧れの女性に自作の詩※『レノア』を捧げる場面があるんですね。「これは貴方を想って書きました」って。(ちなみにその女性は金髪碧眼)しかもご丁寧に、「あなたのそのほの蒼き瞳(Pale Blue Eyes)に捧げる」と言いながら。これがまた落とし穴なのよねぇ……。全てが明らかになった後に、その瞳の真の持ち主がわかるしくみ。

 

※ああ黄金の酒杯は砕け

美酒は永遠に失われた

弔いの鐘を鳴らせ

気高き処女のたましいは いま三途の川を漂う そうしてギイ・デ・ヴィアよ 涙は無いか

今泣かずしていつ涙する。

……で始まる、若くして逝った美女レノアへの鎮魂歌。オタクが持っている一天社古典新訳文庫より抜粋。

 

 

……まあでも今考えてみれば、ランドー初登場のシーン、そして彼がなぜ陸軍士官学校に対して必要以上に敵意を燃やすのか……をはじめとして、ミスリードすると同時に、謎解きへの伏線もちゃんと張り巡らされていたよね。ヲタクが注意力散漫だっただけかも(笑)

 

  季節は冬。雪に覆われた森、ハドソン川に立ち上る冷たい霧。霧や雪は、殺人者の姿を覆い隠してしまいます。(それはあたかも、切り裂きジャックを隠したロンドンの霧のように)

 

  ヲタク、19世紀を舞台にしたミステリーが大好きなんですけど、これもそのうちの1つ。まだ電気も通っていない時代、どこの暗闇に殺人者が潜んでいるかもわからない恐怖。科学的な捜査手段は何一つなく、そしてプロファイリングの祖とも言えるフロイトもその学説が疑問視されていた時代。追う者、追われる者が、知力・気力・体力の限りを尽くし、時には命懸けで戦う。これをロマンと呼ばずして何と呼びましょう。

 

  ジリアン・アンダーソン(『Xファイル』『ザ・クラウン』のサッチャー首相役など)が、ポーの小説に出てきそうな、狂気を秘めたヒステリー気質の良家の婦人を演じて、さすがの貫禄。その他にも、名脇役トビー・ジョーンズロバート・デュバルシャルロット・ゲンズブール等、なにげにゴージャスなオールスターキャストです。

 

  Netflixでは来年1月6日に配信開始だそうですので、E.A.ポーのファンはもちろん、ミステリー好き、19世紀の時代ものがお好きな方もぜひ❗  

 

★今日の小ネタ

キーパーソンのE. A. ポーを演じるのは、『ハリポタ』シリーズ、あのおマヌケ(失礼!)ダドリー、ハリー・メリング。子役の頃より激ヤセして、顔がすっかり変わってる…。ぜんぜんわからなかった(^_^;)


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2022年 オタクが選ぶ洋画ベスト10プラス1~前編

  見ているだけで元気になったり、知らなかったことが学べたり、生きる勇気が貰えたり……。今年も私たちに、数々の素敵な贈り物をしてくれた映画たち。そんな映画の中から、10の映画を選んでみました。(実際はどうしても絞り込めず、日本映画同様、プラス1となっております😅)

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★幻滅 (監督 グザヴィエ・ジャノリ)

 トップバッターは、今月2日に横浜みなとみらいで開催された「フランス映画祭」の一環で観たばかり、まだ興奮冷めやらぬフランス映画『幻滅』❗文豪バルザックの小説の映画化ですが、当時の衣装、社会風俗、建築、調度品等々一分の隙もなく再現、フランス映画人たちの心意気に圧倒される大作です。

 

19世紀末王政復古後、貴族と反体制派がせめぎあうフランス、パリ。当時の印刷技術の急速な発展により、ジャーナリストたちが徐々に力を得、世論を動かし、ひいては政治すらも陰で牛耳るようになっていました。金と虚々実々の駆け引きが渦巻くパリに幻惑され、ついには悪魔に魂を売ってしまう田舎出の純朴な主人公を演じたのは、オーディションで選ばれたバンジャマン・ヴォワザン。巨匠グザヴィエ・ジャノリ監督に見込まれ、この映画でセザール賞新人賞を受賞した秀でた演技力はむろんのこと、上映後の質疑応答で見せたインテリジェンスとフランス流エスプリの効いた会話術は、将来が楽しみな大器と見た😊

 

バンジャマンの清新な演技を支えるのは、グザヴィエ・ドランジェラール・ドパルデュー、ヴァンサン・ラコスト、ジャンヌ・バリバールら、オールスターキャスト❗普段の役どころとは違う端正な演技を見せるグザヴィエ・ドランはギャップ萌えだし、主人公を堕落した都パリの悪徳に引き摺り込むメフィストフェレス、ヴァンサン・ラコストも出色。(ラコストは、セザール賞助演男優賞受賞)


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響け!情熱のムリダンガム (インド映画)

 今年は超大作『RRR』が世界の話題を席巻、インド映画の底力を見せつけましたが、忘れちゃいけないのがこの映画❗『響け!情熱のムリダンガム』。いいなぁ、この泥臭さ。将来のため、会計士になることを親から命じられているオタク青年が、ある日南インドの伝統楽器ムリダンガムの音色に魅せられ、名人の師匠のところに無理やり押しかけ入門😅主人公が、ぶ厚いカースト制度にもめげず、厳愛に満ちた師匠の下、ムリダンガム奏者としても人としても成長していくさまを胸アツに描いた感動作です。

 

インド版『セッション』とも言われていますが、どちらかと言えばこの「道を極める話」、まんま日本の少年熱血マンガぢゃん❗と思いながらヲタクは見てました(笑)師匠に昼夜を問わず練習を命じられて、(当然のことながら)手に激痛が走り、ガールフレンド(注・主人公の彼女は看護師)にコルチゾン注射を打ってもらった主人公、「この痛みは精神で乗り越えられる👊✨」って、『柔道一直線』かいいいっ❗(←古い😅)

 

  さらに驚くべきは、東京都荒川区にある南インド料理店「なんどり」の店主の方がこの映画に惚れ込んで、直接上映権を買い取ったということ❗インド映画ファンも負けず劣らず熱い(笑)

 

  動画配信サイトで配信の可能性はあるんでしょうか?……一人でも多くの人に見て欲しい作品。このまま埋もれちゃうのは惜しい❗

 

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ノースマン / 導かれし復讐者

(監督 ロバート・エガース)

ヲタクは、11月に開催された「東京国際映画祭」の一環として鑑賞しました。

 あのシェイクスピアの有名過ぎる四大悲劇の1つ、『ハムレット』の元ネタになったと言われている「ヴァイキングの王子・アムレートの復讐奇譚」。鬼才ロバート・エガースが、当時の価値観そのままに描いた作品。近代的自我に目覚めたシェイクスピアハムレットのイメージでこの映画を見ると、ショックで倒れます(笑)こっちの主人公アムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)はもはや、獣と人間の中間みたいな感じで😅狼の遠吠えとかフツーにしちゃってるし(笑)彼にとって、いやあの時代の男たちにとって、近代的な倫理道徳の観念なんて全く存在しないわけで、やられたらやり返す、目には目を、振り向けば死屍累々、ご遺体の山((( ;゚Д゚)))敵をバッタバッタと叩き殺し、血塗れで仁王立ちのアムレート。何しろ、戦いの中で死ななければ天国(ヴァルハラ)に行けないから、あの時代の戦士たちはみーんな嬉々として死地に赴くわけです。恐ろしい時代だよ……ぶるぶる。見ているうちに、自分の価値観が根こそぎ引っくり返されます😅

 

  世界で唯一、天皇陛下を象徴として戴く私たち日本国民。日本の皇室は時折、ヨーロッパの王室と比較対照されますが、言わば「神の子孫」であり、国の安寧と平和を祈念する神事を司る日本の天皇陛下とは違い、ヨーロッパの王たちは、敵を武力で捩じ伏せ、略奪と破壊と侵略の上に成立した存在。この映画を見れば、その違いがよく理解できるでしょう。

 

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イントゥ・ザ・ラビリンス

(監督 ドナート・カリシ)

結末のどんでん返しが鮮やかなサスペンスを「マインドファック」映画と呼びます。これまでも、『アイデンティティー』(アメリカ)、『ピエロがお前を嘲笑う』(ドイツ)、『女神は二度微笑む』(インド)、『去年の冬君と別れ』(日本)……等が生まれていますが、もう1つ、傑作が誕生した❗

 

  15年前、誘拐された少女が突然発見された。彼女は重度のPTSDを発症しており、高名な精神科医(ダスティン・ホフマン)が必死の治療に当たります。もちろん彼に託された目的は、治療と並行して憎むべき犯人の手がかりを得ること。一方、彼女の両親が亡くなる前に犯人探しを依頼したのは、重病を患う私立探偵(トニ・セルヴィッロ)。彼は、警察も尻込みするような命懸けの捜査を始めますが……。

 

  米・独の名優二人がラストに会いまみえる時、明らかにされる真実の衝撃たるや……❗

 

 イタリアの作家ドナート・カリシの小説を、カリシ自らの脚本・監督によって映画化したものなので、その緊迫感、凄いです、怖いです。同じくカリシ原作・脚本・監督の『霧の中の少女』もイヤミスの傑作です。(主演はやはりトニ・セルヴィッロ)

 

いつの間にか公開されて、いつのまにか終了してしまったこの映画😢動画配信サイトで見かけた時はぜひご覧になって下さい。

 

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アフター・ヤン (監督 ココナダ)

深い 森のなか、風のそよぎや、さやさやと葉の鳴る音を聴いているような気持ちになる映画。映像もひたすら美しく、登場人物も善意に満ちて、見終わった時思わずヲタクは、(……究極のヒーリング映画だわ)って呟いたものです😊

 

  社会的分断や人種の違いなどは乗り越えて、さらに人類がAIやクローンと共存しようとしている近未来。家族同然だったAIのヤンが突然壊れて、動かなくなってしまいます。半永久的な存在と認識していたAIが突如としていなくなってしまうという思いがけない出来事を、試行錯誤の末に乗り越えていこうとする家族の姿が淡々と描かれます。

 

  AIを描いた作品として頭に浮かぶのは、『エクス・マキナ』。あの作品に描かれた人間と、徐々に進化していくAIの、食うか食われるかの心理バトルはひじょうにリアルで、気の小さいヲタクなどビビってしまって😅(もし本当にこんな未來が待っているなら、AIなんて要らないよー)などと悲観的になってしまいましたが、『アフター・ヤン』みたいな世界なら体験してみたいかも(⬅️単純  笑)

 

この作品、言わずと知れたA24の製作。この他にも、『ラム/LAMB』、『ドント・ウォーリー・ダーリン』、『グリーン・ナイト』、『MEN/同じ顔の男たち』と、今年も次々と良作を世に送り出したA24。そんな中からオタクがなぜ『アフター・ヤン』を選んだかというと……。

単に好みの問題です。(笑)


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ボイリングポイント / 沸騰

(監督 フィリップ・バランティーニ)

クリスマス前の英国のとあるレストランの一夜を、驚異の長回し、ワンカットで撮影した作品。原題の「ボイリングポイント」とは「沸点」。妻子と別居して家を追い出され、借金まみれの主人公、崖っぷちシェフ(スティーヴン・グレアム)をはじめとして、抜き打ちの衛生管理検査で問題発覚、さらにはオーバーブッキングのトラブルやモンスター客でレストランのスタッフたちはまさに「沸騰」寸前。さらには毒舌で知られる評論家が突如来訪というてんやわんや。はてさて彼らが行き着く先は天国か、それとも地獄か!?

 

  リアルタイムで映画がスリリングに「疾走」していくので、映画を観る……というより「体感」する感じ。見終わった後ぐったり疲れました(笑)英国アカデミー賞4部門ノミネート。

 



 

おシャレな会話と小ネタとサスペンスと~Netflix『ナイブズ・アウト~グラスオニオン』

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  待ちに待った『ナイブズアウト~グラスオニオン』Netflixで配信開始~🎉✨😆✨🎊

 

  第1作目の『ナイブズアウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019年)は、ちゃんと映画館で公開されたんだけどな。第2作目も、ストーリーの斬新さやキャストや舞台設定のゴージャスさを考えると、テレビの小さい画面じゃ勿体ない感じ。洋画冬の時代だなぁ……。はっ❗いけないいけない、せっかくお正月だというのにマイナスな話は止しにしよう。おせち食べながら、お酒飲みながら、まったり楽しみましょう😊

 

テクノロジー産業で巨万の富を築いたマイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)は、毎年古くからの友人たち(州知事、科学者、カリスマYouTuber、ファッション・アイコン)を呼んでクレイジーな宴を開くのが常。今年の舞台は、ギリシャ沖、彼がエーゲ海に所有する孤島。丘の上には巨大な建造物「グラスオニオン」が聳え立っています。船着き場に集合したマイルズの友人たち。ところが、そこに二人の「招かれざる客人」がやって来て強引に迎えの船に乗り込んだ為、彼らはにわかにザワつき始めます。一人は、ご存知我らが名探偵、ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)。島で出迎えたマイルズは彼に会うのは初めてで、招待状を送った覚えなどないと言いますが、ブランは「確かに自分宛に送られてきた」と言い張ります(このナゾは、中盤以降に明らかになります)。そしてもう一人は、かつてのマイルズの共同経営者カッサンドラ(ジャネール・モネイ)。彼女は知的財産権をマイルズと争い、裁判で負けたばかり。そして招待客たちはマイルズに対して、こぞって彼に有利な発言をしたのです。彼女は彼らに対して恨み骨髄な筈。それなのに、今回の旅に姿を現した目的は……?


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 主演のダニエル・クレイグをはじめとして、エドワード・ノートンジャネール・モネイケイト・ハドソンジェシカ・ヘンウィック、デイヴ・バウティスタ等々、公表されてるキャストはもちろん、カメオ出演が豪華すぎ~❗バッハの小フーガについてひとくさり蘊蓄を垂れるヨーヨー・マ(注・チェロを弾いてはくれません  笑)、クールなスーツ &グラサン姿でイケ散らかしてるイーサン・ホーク♥️(彼は客たちの喉にコロナ対策の消毒剤をシュッと噴霧するだけの役なんだけど。ヲタクもシュッってしてもらいたい~~~⬅️バカ)、そしてそして、なんとヒュー・グラントがあの役でぇぇ~~❗彼の役はネタバレしちゃうとつまらないので、ぜひ本編で確かめて😉……ただヒントはですね、監督がインタビューで「ブノワ・ブランはゲイ」って言ってました。島での彼のファッションを見ると確かにねー、って感じなんだけど、ヒュー・グラントの登場でそれは決定的に。(……ほとんどネタバレしちゃいましたね)テニスチャンピオン、セレーナ・ウィリアムズが意表をつく登場の仕方で思わず吹いてしまった。

 

マイルズが※1ジャレッド・レトのハードコンブチャを客に勧めたり、※2ジェレミー・レナーから激辛香辛料がごまんと届くといった、ハリウッドの内輪ネタ?も満載。

※1健康意識の高いアメリカ人の間で流行している発酵飲料(……でもこれってぶっちゃけ、日本で30年前位に流行った「紅茶キノコ」よね?口が曲がるくらい酸っぱい飲み物(゚ж゚))ジャレッド・レトサイドビジネスしている事実はありませんが(笑)、通常はアルコール度数3%なのに、レトのは9%で、それを飲みまくったカッサンドラが酔っぱらって、なぜか探偵能力が倍増する……というオチ。

※2 こちらもレト同様。ジェレミー・レナーが香辛料を販売している事実はありません。笑


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※名前だけのご出演、ジャレッド・レトジェレミー・レナー

 

お久しぶりのエドワード・ノートン、ハリウッドでも1、2を争うインテリの彼ですが、この映画の中のキャラ設定、我々が彼に抱いているイメージを逆手にとってるんですよね。単純なヲタクはすっかりダマされた(笑)パーティ会場には、ノートンの『ファイトクラブ』時代の美ボディの肖像画がこれ見よがしに?飾ってあります。現在は……残念ながら、万年ムキムキ青年のブラピと違って中年に相応しいおカラダに変わってますが(笑)あっでも、相変わらずイケメンよ😉

 

  ビートルズの『グラスオニオン』が好きで、この映画のアイデアを思いついたというライアン・ジョンソン監督。パーティシーンでしっかり使われてます。孔雀の羽みたいに7色の艶やかなドレスを着たケイト・ハドソンが、裾を翻しながら曲に合わせて踊るんだけど、相変わらず綺麗ですねぇ、彼女😍曲と言えば、デヴィッド・ボウイの『スターマン』も流れましたね。監督、ボウイのファンなのかな。

 

……とまあ、こんな感じで前半は小ネタとシャレが効いた会話劇っぽいんだけど、第1の殺人事件が起きて、ブランが島を訪れた理由が明らかになってからは、あれよあれよと怒涛の展開、一気にサスペンスアクションに。

 

  第1作目の『ナイブスアウト / 刃の館の秘密』ではアナ・デ・アルマスがブレークしましたが、今作の強くて美しいヒロイン役はジャネール・モネイギリシャの陽光の下で、煌めくような魅力を振りまいています。美しいだけではなく、知的な雰囲気のある人で、『ドリーム』の天才数学者や『アンテベラム』の作家、そして今回のCEOと、イメージぴったりの役が続いていますね。

 

あー、早く第3作目が見たい❗……その時は、ブランとアノ人のプライベートライフもノゾキ見したいワ(笑)

 

★今日の小ネタ

しかし一番ビックリなのはジェシカ・ヘンウィック。冴えない髪型にドすっぴんの熱演で、『グレイマン』の時の、スタイリッシュなエージェント役と同一人物とはとても思えない。『ナイブズ・アウト / 刃の館の秘密』と『007 ノータイム・トゥ・ダイ』の時のアナ・デ・アルマスと同じくらい落差が激しい(^_^;)


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ジェシカ・ヘンウィックの役者根性に乾杯🍸✨🍸

 

 

 

 

  

 

  

 

 

X'mas~お正月に見たい!ハッピーなロマコメ3選~『ハッピーニューイヤー』『ノエルの日記』『フォーリング・フォー・クリスマス』

 もうすぐ楽しいクリスマス🎵🎄🎅🎁✨

続いて楽しいお正月~🎍

 

 しかし上がる気分とは裏腹に、ここ数日は強烈な寒波が日本列島を覆い、凍えそうに寒いが続いています。景気も悪くてお財布の中身も寒い😅……そこで今日は、観るだけでほっこり温かくなり、ハッピーな気分になる作品をご紹介しましょう。X'masとHappy New year今年公開 & 配信開始の新作から選んでみました😊

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★ハッピーニューイヤー(現在、全国の映画館で公開中)

桜木町駅前のシネコン、「ブルグ13」で『ハッピーニューイヤー』鑑賞。ホテル「エムロス」は、クリスマスから新年にかけての繁忙期でてんやわんや。そこに集う男女14人。大企業との合併を控えた御曹司のイケメンCEO、認知症の母を抱え、客室係をしながらミュージカル女優を目指す女性、就職も恋愛も上手くいかず人生最後の思い出にホテルで散財しようとするフリーター、15年も思い続けた相手から、他の女性と結婚すると告げられてしまったホテルマネージャー……etc.まんま、韓国版『ラブ・アクチュアリー』ですが、こっちのほうが登場人物は2倍くらいいるよね(笑)まあしかし、よくもまあこんなに上手くストーリーを繋げて、ラストの大団円に持ち込めるもんだと、改めて韓国のエンタメ力に脱帽でございます!

 

  クリスマスって欧米では宗教的な意義のある日。make a wish(願をかけて)家族の絆を深め、クリスマスの奇跡を待ちます。一方、日本や韓国でのクリスマスって、どちらかといえば恋人同士のロマンチックなイベントっぽい。神社に詣でて願をかけたり、家族親族集まって絆を深めるのは、新年の元旦ですよね。この映画も、クリスマス前後の様々な出来事やイベントを経て、新年になってめでたく大願成就する、収まるところに収まる……というエピソードが多かった。なんだろう、日本と韓国、国同士いろいろあるけど、やっぱり同じアジア人同士、文化・風俗・習慣においては共通点が沢山あるんだよなぁ……と、改めて感じましたことよ😉


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★ノエルの日記(Netflix)

 当代一のベストセラー作家、ジェイコブ・ターナーこと、ジェイク(ジャスティン・ハートリー)。才能があって、ハンサムで、お金持ちなのに、なぜかステディな相手もなく、どこか他人と一線を引いているふう。そんなある日、母親が亡くなったという知らせが、弁護士からジェイクのところに入ります。え?実母が亡くなってお葬式も済んだのに連絡なし?そんなに疎遠だったの?一人息子みたいなのに。……なんだかかなりのワケありみたいね😅遺産整理に入った母の家は、高価なスタンウェイのピアノにも雑多な物が積み上がり、もはやゴミ屋敷状態。毎日片付けに追われる彼のところに、1人の客人が訪れます。レイチェルと名乗る若い女性(バレット・ドス)は、ジェイクが幼い頃住み込みで面倒を見てくれていたノエルという少女の娘だというのです。レイチェルは生まれてすぐ養女に出され、それ以来音信不通となった母に、会って確かめたいことがある……と。ノエルの行方の唯一の手がかりを握っているのは、30年以上も前に家を出ていったきりのジェイクの父親。レイチェルの真剣さに心打たれたジェイクは、これまた疎遠だった……というより、ある事件をきっかけに恨みさえ抱いていた父親を訪ねる決心をしますが……。

 

  二人はかなり年の差がある設定っぽいけど(アンジェリカは大学を出たばかり?)、彼女はとてもクレバーで、ジェイクの生育環境やトラウマが、彼を恋愛に対して臆病にさせていることに気づきます。そしてそれは、自分自身にも共通しているということも……。ジェイクが、うんと年下の彼女にそれをズバリ指摘されても素直に受け入れ、かえって彼女に牽かれていくプロセスがとても素敵♥️真のジェンダーレスぢゃん!……いざ父親に会う時になると尻込みするジェイクに、レイチェルが「今逃げたら、お父さんと同じになっちゃう。あなたはあなたの家族で初めての、「逃げない人」になるの!」って励ますシーンは胸アツ。そうだよね、逃げないで、真摯に、誠実に、正面から立ち向かう。そうすれば必ず道は開ける。それがきっと、「クリスマスの奇跡」なんだね。

 

  謎解きあり、ロマコメあり、人間ドラマあり、ロードムービーの要素もあり。ベストセラー小説が原作だけあって、ストーリー展開が緻密で破綻がない。そして何より、白銀の雪に包まれたアメリカ中西部の自然に心が洗われます😊

 


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★フォーリング・フォー・クリスマス(Netflix)

 あのお騒がせセレブ、リンジー・ローハンが、久しぶりに主演を務めた映画。ご存知、歌手としても女優としても(誰でも知ってる『フォーチュンクッキー』)一世を風靡したリンジーも、早や36歳。しかしその後はティーンアイドルあるあるでスキャンダル連発、一時はすっかり「過去の人」になってしまった感のあった彼女ですが、さて、今回の作品をきっかけに返り咲きなるか……!?と言ったところ。

 

  ホテル王の一人娘シェラ(リンジー)は、生まれてこのかた大勢の使用人にかしずかれてワガママ放題。しかし最近あまりにもヒマなので、父親にお飾りの役職を用意してもらおうと考えています。クリスマスも近いそんなある日、フィアンセと一緒にスキーに出かけた彼女は木に激突、近くで小さなホテルを経営しているジェイク(コード・オーバーストリート)に助けられますが、目覚めた彼女は、名前はもちろんのこと、一切の記憶を失っていました……!

 

  シェラのノー天気なワガママぶりがさもありなん……って感じで(笑)記憶を失ってジェイクのホテルにお世話になることになった彼女、洗濯機を使おうとしてそこらじゅう水浸しにしたり、料理をすれば火事になりそうだし。でもそれを演じるのがリンジーだからリアルで、くすぐったい笑いを誘うんですよね。……一方で、身の回りのこともできない自分に自己嫌悪、落ち込む場面や、何か自分も人に役立つことはできないかと考える場面は、きっとワガママ娘の時代にも、シェラは心の底ではそんな願いを持っていたんだなぁ……とさりげなくこちらに思わせて、ホロリとさせる。ドル箱女優リンジー・ローハン、いまだ健在というところ。

 

  これをきっかけに、彼女の演技もっと見てみたいなぁ。人生いろいろ体験して、酸いも甘いも噛み分けて、今だからこそできる役柄がきっと、もっとあるはずだから😊

 

  

 

 

  

 

日本の誇るカウンターテナー藤木大地~クリスマスコンサート in みなとみらいホール

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※12月21日夜のみなとみらい

 

横浜みなとみらいホールで「クリスマス・パイプオルガンコンサート」。

 

  みなとみらいホールは、新たなウォーターフロント街づくりの一環で、「海の見えるコンサートホール」として1990年代に建設されたもの。その後全面改装を経て今年の秋にリニューアルオープン、改装後初めて迎えるクリスマス!……となれば、主役は当然みなとみらいホールの「顔」、舞台正面に設置されているパイプオルガン、名付けてルーシー😊アメリカのC. B. フィスク社製で、マホガニー製のケースには、横浜にちなんだカモメの彫刻が。横浜らしい明るい音色で、「光」を意味するラテン語“lux”から"ルーシー"と名付けられたのも納得です。


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横浜みなとみらいホールの「顔」、パイプオルガンのルーシー。

 

プログラムは、グノーの「アヴェ・マリア」、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」、フォーレの「レクイエム」等々、馴染みの深い曲ばかり😊ルーシーを奏でるのは、ホールオルガニストに就任された近藤岳さん。そしてそしてなんと!後半は日本の誇るカウンターテナー、藤木大地さんが特別ゲストとして登場~~🎉✨😆✨🎊(藤木さんはみなとみらいホールのプロデューサーでもあります)


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よりパイプオルガンの多彩な音色が楽しめる曲を……との近藤さんのお考えで、当日ラストがヴィエルヌの「オルガン交響曲第1番」から、同じヴィエルヌの「ウェストミンスターの鐘」に変更になりました。

 

ヲタク、1990年代にベルギーに住んでいた頃、当時人気だったスラヴァっていうロシア出身(後にイスラエル国籍を取得)のカウンターテナーにハマっていたことがありまして。若い頃は、ああいう、セクシーで絡みつくような歌声が好きだったのね😅彼が歌うと、宗教音楽に聴こえないのよ。……でも最近は、スラヴァはちとヘヴィすぎて(笑)年を取るにつれ、油ものが苦手になるのと一緒かな。

 

  それに比べると藤木さんの歌声、清く美しく、ルーシーの音色にぴったり😊カウンターテナーというより、ボーイソプラノの少年がそのまま声変わりせずに大人になった感。フォーレの「レクイエム ピエ・イエズ」は、※ボーイズ・エア・クワイアが歌うレクイエムばかりを集めたアルバム「少年のレクイエム」の中に収められたものが一番好きなんだけど、藤木さんの歌声、その時の感動を思い出したわ……。

※ボーイズ・エアー・クワイアはセント・ポール大聖堂聖歌隊をはじめとする、世界で最も高い評価を受けている英国聖歌隊のトップ・ソリストを集め、1996年10月にロンドンで結成された少年合唱団。

 

ルーシーと藤木さんの奏でる天上の音楽に、浮き世の憂さも忘れて癒された一夜。

 

 

我が愛しのダーク・ヒロインよ~『ウェンズデー』(Netflix)

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  Netflixで、あの『アダムス・ファミリー』のスピンオフとも言うべき『ウェンズデー』全8話鑑賞。ご存知の通りNetflixは、今までの視聴履歴から、こちらの好みに合いそうな映画やドラマを「おススメ」してくれるのですが、『ウェンズデー』はなんと、驚異の99%!なんてったって原案はティム・バートンだし、なんてったって『アダムス・ファミリー』だもんね。見るっきゃないっしょ!

 

  ……結果、まんまとネトフリの策略にハマり?「ウェンズデー」沼にどっぽーーん!(笑)

 

  ファーストシーン、カラフルな衣装で溢れ返るオールアメリカンな高校の廊下を、黒づくめのゴス・ルックでガン飛ばしながら歩いて行くウェンズデー(ジェナ・オルテガ)。でもって彼女のしょっぱなのモノローグが

一体誰が考えたのか。

若者を安っぽい施設に閉じ込め、夢破れた惨めな大人に指導させる。

いいサディズムね。

……ときた。この台詞で彼女に堕ちない人なんている?

(……ヲタクだけだったりして。もしかして  笑)


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 彼女は弟をさんざん苛めた水泳部の連中に復讐する為、彼らが泳いでいるプールにピラニアの群れを放ち、当然のことながら放校・保護監察処分となり、父親ゴメズ(ルイス・ガスマン)と母親モーティシア(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の母校である寄宿制のネヴァーモア学園に転校させられます。鬱蒼とした森の奥深く、陰気に聳え立つ学園は、言わば「闇のギフテッド」の巣窟のようなところで、ウェンズデーのような魔女の末裔をはじめとして、超能力者や人狼、ゴルゴン、セイレーンたちが勉学に励みつつ、しのぎを削っておりました。ところが、ウェンズデーが転入する前後から学園の周囲で残虐な殺人事件が頻発、遂には生徒の一人も犠牲になってしまいます。自身でもミステリーの執筆にいそしんでいるウェンズデーは、シリアルキラーの正体の解明に乗り出します。しかしそれと同時に、父親ゴメズがネヴァーモアの学生時代に手を染めたとされる過去の犯罪事件も掘り起こされ、ナゾがナゾを呼び……!

 

  独立独歩、「友達なんてジャマなだけ。孤独こそ幸福」とイキがってる、究極こじらせ女子のウェンズデーが、殺人事件の解明に奔走するうち、ルームメイトの人狼少女イーニッドをはじめとして、次第に学園の生徒たちと友情を育んでいく過程が胸キュンモノです。

 

 最終話、男子生徒はけっこう役立たずで、女子生徒たちが共闘してラスボスを倒す……という展開はやっぱり、今ドキだわね(笑)アダムス・ファミリーファンはもちろん(ハンドが今回は八面六臂の大活躍!昔のドラマや映画ではいまいち作り物っぽかったのに、今はCGの進化でビックリすぎるくらいリアルです)、ハリポタシリーズの世界観がお好きな方にはぜったい、おススメ!

映画でウェンズデー役を演じた元祖ゴスロリクリスティーナ・リッチも重要な役どころでゲスト出演してます。


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ウェンズデーの愛すべき奇妙な仲間たち。

(上)人狼能力がなかなか目覚めず悩むルームメイトのイーニッド。

(中)描いた絵が動き出したり、未来を予言したり……という超能力の持ち主ゼイヴィア。ウェンズデーにご執心。

(下)学園一の優等生で、人心を繰る能力を持つセイレーン、ビアンカ

 

 ラストを見ると、シーズン2に続く気まんまんよね?ネトフリさん😉我が愛しのダーク・ヒロインに再び会える日を楽しみにしてるワ♥️

 

★今日の小ネタ……ウェンズデー名言集

私の初恋の人サルトルは、「地獄とは他人」だと言った。

 

入学のお祝いに黒いダリアを贈られたウェンズデー。

※ブラックダリアは好きよ。

シリアルキラーの名前と同じだから。

……ってオイ!

「ブラックダリア殺人事件」……1940年代、ハリウッドで起きた猟奇殺人事件。この事件を題材にジェームズ・エルロイが小説を書き、ブライアン・デ・パルマ監督が映画化した。

 

イタリア語を覚えたのはマキアヴェリの言語だから。

 

「弓を射たことがあるか?」との問いに

「生きた標的になら」

……って、オイオイ!(笑)

2022年 オタクが選ぶ日本映画ベスト10プラス1~後編

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★さかなのこ (沖田 修一監督)

  あー、これ、個人的にもう、好きでたまらない映画。かなりリピートしました(笑)ご存知、「さかなクン」(もはや彼自身が1つのアイコン化しています)の半生を、あの、のんが男性として演じるというアイデアの凄さ、不思議さ。

そして、全編を流れる、ネジがちょっと緩んだようなユーモア。またはストレート直球な笑いぢゃなくて、ひょろひょろ~っと飛んできた変化球がじつはかなりツボにはまって後からジワジワ効いてくる……というか。しかもその裏にはしっかり、人生の苦さや皮肉も利いています。のんは言うまでもなく、柳楽優弥磯村勇斗井川遥岡山天音三宅弘城カメオ出演さかなクン自身も含め、脇役陣も隅から隅まで適材適所、演技のアンサンブルもお見事!何度見ても、優しく暖かい気持ちになる映画です😊

感動でギョざいましたっ!


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★もっと超越した所へ。(山岸 聖太監督)

 元々は根本宗子さんの劇団「月刊・根本宗子」が下北沢のザ・スズナリで上演した舞台の映画化のようで、特にラストのどんでん返し❓は舞台劇ならではの演出で、めっちゃ楽しかった~🙆

 

  キレイで性格も良くて生活力もある4人のヒロインたち(前田敦子、黒川芽衣趣里伊藤万理華)。それぞれの場所で懸命に生きる彼女たちには、ある共通点がありました。それは、揃いも揃ってダメンズ好きだということ。でもって、相手のダメンズたち(菊池風磨三浦貴大千葉雄大オカモトレイジ)は、しょーもない奴らなんだけど、どこか可愛くて、憎めない😅……彼女たちの気持ちも、わかる。ヲタクもじつは、かなりのダメンズ好き(小声)しかし、男たちのあまりの自己チューっぷり、不甲斐なさかげんにさすがに女たちもある日ぷっつんアタマの回線がキレて、ダメンズたちに向かって叫ぶ。

私の家からさっさと出てってよーーっ!

唖然呆然、「……でもボク、今でもキミのこと好きだよ」と、メソメソする男たち。

はてさて、彼らの多難な恋の行く末はいかに……!?

 

  ……しかし、良い時代になりましたね。恋愛において、女性が選択できる時代。男性がガマンせずに泣ける時代(笑)日本の中年以上の男性たちに心筋梗塞が多いのは、幼少期から「男のクセに泣くな」って言われ続けて、そのストレスが一因である……なんて説を聞いたことあるんだけど😅もっと泣け泣け、男たち。もっと行け行け、女たち(笑)

 

  そんな男女の「いま」を表現するに相応しい脚本、相応しい旬な役者が勢揃い。シモキタの舞台の熱気が、そのまま伝わってくるような映画でした。


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★窓辺にて (今泉 力哉監督)

ある日、妻の不倫を知ってしまった1人の中年男(稲垣吾郎)。しかし彼が落ち込んだ原因は、妻の不倫そのものではなく、その事実を知ってもショックを受けていない自分自身にあった……!

 

  中年に差し掛かって、結婚生活にも、自己認識にも、岐路に立たされた男の悲哀と少しばかりの滑稽さ。稲垣吾郎が心憎いほど自然体で演じていて、フィクションではなく、彼が演じる市川茂巳というフリーライターの日常を淡々と追ったドキュメンタリーなのではないかと錯覚するほど。この役にゴローちゃんをキャスティングした今泉監督の慧眼たるや、もはや神(断言)

 

  ヲタク的には、なぜか自分になついてくる高校生作家(玉城ティナ)を見つめる時の、自分がもはや永遠に喪ってしまった若さと、煌めく才気に対する微かな羨望と諦めの入り交じったゴローちゃんの表情にヤられました(笑)

 

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★ある男(石川 慶監督)

人権派弁護士として知られる城戸(妻夫木聡)は、かつて離婚訴訟を手がけたことのある里枝(安藤サクラ)から、彼女の再婚相手で、樹木の伐採作業中不慮の事故で亡くなった夫・大祐(窪田正孝)の身元を調査をして欲しいという相談を受け、横浜からはるばる宮崎まで足を伸ばします。大祐は里枝に、自分は伊香保温泉の旅館の次男坊だと話していたのですが、長年疎遠になっていた大祐の兄(眞島秀和)が一周忌に訪れ、遺影に写っているのは全くの別人だと告げたことから、4年近く夫と思っていた誠実で優しい男性が全くの別人だったことがわかったからです。城戸は何かに取りつかれるようにこの事件の調査にのめり込んでいきますが……。

 

  この社会派サスペンスは次第に、出自に複雑かつ鬱屈した劣等感を持つエリート弁護士の妻夫木聡、過酷な人生に翻弄される哀しみを的確に体現した窪田正孝、人生の流転に否応なしに流されていく薄幸な女性・安藤サクラの、三者三様の演技合戦の様相を呈していきます。……そして、見終わった後、私たちの心に染み入るのは、現代社会に今も潜む差別や分断、それによって引き起こされる人生の辛さ、哀しさ、切なさ。ミステリーの名を借りた、深い人生ドラマで、登場人物一人一人に向ける作者の温かい眼差しは、どこか松本清張を思わせる味わい。


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★夜、鳥たちが啼く(城定 秀夫監督)

  十代の頃に書いた小説で華々しいデビューを飾った慎一(山田裕貴)。しかし彼は、自分自身の裡に時折沸き起こる暴力衝動を持て余し、さりとてそれを自己分析して文章に表現することもできずスランプに陥り、悶々とした日々を送っていました。そんな彼の家に、ひょんなことから同居することになった若い母親(松本まりか)と小学生の息子。それぞれに孤独で人生の傷を抱える彼らが、「疑似家族」となって身を寄せ合い、それによって少しずつ、彼らの裡の「何か」が変わっていく過程を淡々と描いた映画です。

 

  こういう、登場人物の意識の流れをそのまま辿っていくような映画って、役者さんにとってはひじょうに演じにくいのではないかと思いますが、主役の山田裕貴松本まりかコンビが、そりゃあもう体張って頑張ってました。とにもかくにも若いお二人の果敢なる挑戦に拍手!


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★天上の花 (片嶋 一貴監督)

  日本近代詩の祖とも言われる萩原朔太郎の息女・葉子の小説『天上の花~三好達治抄』の中から、特に、朔太郎の弟子のような存在である詩人・三好達治(東出昌大)と朔太郎の妹慶子(入山法子)との短くも激烈な結婚生活をテーマに選んで映画化したもの。

 

  男に可愛がられ、奉仕されることしか知らない奔放な慶子に若い頃一目惚れした三好は、16年もの間自身の妄想の中で「あらまほしき慶子像」を発酵・醸成し続けた結果、やっとの思いで彼女との結婚に漕ぎ着け、最果ての地、越前三國の海岸沿いで、二人だけの生活を始めます。  しかし贅沢好きの慶子にとってそんな生活が耐えられる筈もなく、折しも太平洋戦争の暗黒が日本全体を覆い始めた頃、彼らの結婚生活は早々に破綻、ついには三好は慶子に対して、ことあるごとに激しい暴力を振るい始めるのです。

 

  何しろ、慶子への激しい憧憬と落胆、せめぎ合う愛憎の果てに、DV夫、さらにはストーカーと化す、三好達治を演じる東出くんが何より凄いです、怖いです。夜中に家を飛び出して逃げる慶子を追いかける東出くんの鬼の形相たるや、まるでホラー😅もはや失うものなど何もない、なんでもござれな捨て身の居直り演技。……これからの役者・東出昌大が楽しみなような、恐ろしいような(笑)

 

★前編5作品についてはコチラ⏬⏬⏬⏬⏬

 

 

 

 

 

  

 

 

 

ジャック・ロウデン、『Benediction』で英国アカデミー賞(スコットランド)主演男優賞おめでとう!

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ま、まつげ、まつげ、まつげ😅

 

 第一次世界大戦に従軍して戦功を立てたものの、戦場での心的外傷から精神を病み、反戦詩人として知られたジークフリード・サスーンの人生を描いた作品『ベネディクション(祝祷) Benediction』(テレンス・デイヴィス監督)の類い稀なる演技により、我らがジャクロ、英国アカデミー賞(スコットランド)受賞~🎉✨😆✨🎊

 

  国際シネフィル映画賞や、カンヌ映画祭のショパール賞に続いて、本国スコットランドでのこの栄誉。ジャクロにとっては、何より嬉しいことに違いありません。

 

英国紙「The Mirror」にも、

ジャック・ロウデンはサスーンを演じるにあたり、彼のキャリア史上最も力強く、緻密な感情表現を見せ、繊細且つ写実的かと思えば、ついには怒涛の如き感情のうねりをも表出する。

と絶賛されたジャクロの演技。

 

なんで日本での公開が決まらないのぉォ~😭

本国ではNetflixでも配信されてるのに……

って、もはやヲタクのブログではネタみたいになってるこの叫び。まぁ、日本で英国俳優が人気といってもジャクロは異端の帝王。「スクリーン」誌による「英国俳優人気投票」で、昨年はかろうじて30位に入っていたけど、今年はどこにも見当たらない😅『Benediction』も、『The long song』同様、英国からDVD取り寄せる運命か……。

 

まっ、いつものヲタクのしょーもないグチは置いといて(笑)とにもかくにも受賞おめでとう!

 

★ついしん

ちなみに女優賞は、とあるレストランでの一夜を描いた驚異のワンカット映画『ボイリングポイント 沸騰』から、客と上手くコミュニケーションがとれず、パワハラめいた行為の対象となってしまう接客係を演じたイズカ・ホイル。彼女、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』で、メアリー・スチュワート(シアーシャ・ローナン)の侍女の一人を演じていましたね。

  『ボイリングポイント』のほうは早々と映画館公開されたし、今じゃ動画配信も始まったのに……。い、いかん、またグチが(笑)